管理職の「疲弊感」がメンバーに伝わるリスク
田岡英明氏:さて、今日は多くの方に参加いただいていて、この後いろんなお話をしていくんですが、みなさんの課題感もちょっとうかがえたらなと思います。今、本当に人手不足の中で、生産性の高い仕事の現場を作ってくれと。そんな中で多様化するメンバーをしっかりマネジメントしてくれと言われるわけですよね。なので、いろんな課題感があると思います。
30秒ぐらい待ちますので、もし「こんな課題感があるんですよね」というものがあったらチャットに入れてみてもらえますか。
「(部下の)気概がなく、変化の必要性を感じていない」。なるほど。当事者意識が現場まで伝わっていかないということですよね。これもよくありますよね。
自分の後継者育成。他責思考。現場への負担、風土。働きがい。各課の慣習ですよね。人事評価。自律型人材を作っていく。これはなかなか大変なところですよね。部下の育成とか積極性を高めるとか、その中で成果を上げることなんかがけっこう多いんでしょうかね。いいですね。みなさん、ありがとうございます。
では、ちょっと時間もありますので、プログラム2の「ミドルのマインドセットと思いを語る」というところをお伝えしていきたいなと。ガンジーの言葉をみなさんにお見せしたいんですね。
ガンジーが「見たいと思う世界の変化にあなた自身がなりなさい」と言っています。我々からすると、メンバーには本当に生き生きと働いてほしい。働きがいを持って働いてほしい。そして、その中で成果を出してほしい。そんなところが非常に大きいと思うんですよね。
その部分においては、やはりミドル自身が生き生きしている背中を見せるのは非常に大切です。私もいろんなところで管理職研修をさせてもらっていますが、どうしても今、管理職の方々の疲弊感が非常に見えてしまいがちなんですね。
もちろん忙しいと思うんですけれども、やはり管理職のみなさんが「疲れたな」という表情とか姿勢を見せると、現場の方々は「今、管理職って大変だなぁ」と。「もう管理職になりたくないな」という思いがどんどん広がっていくという悪循環になります。
「一緒に働きたいと」思われる管理職になるには
今日、みなさんへのお願いということで、ぜひ働きがい溢れるみなさんの姿を(部下に)見せてほしいと思っています。いろんなリーダーシップ論があるんですが、本当に単純なんですけれども「一緒に働きたいと思える管理職になってくださいね」と最近はよく言われます。
みなさま自身もいろんな管理職の姿を見ていると思うんですけど、「あの人と一緒に働いた時は楽しかったな」「あの人と一緒に働いていてよかったな」と思う管理職もいれば、「いや、あの人はちょっとハズレだったな」という方も正直いらっしゃると思うんですよね。
ですので、ぜひみなさんには、「○○さんと一緒に働きたいな」と思われるような姿を見せていただきたいなと思っています。
そんな姿を見せるためにはマインドセットが必要です。これは私がお伝えしているもので、心理学をもとにしています。ニューロ・ロジカル・レベルという人間の意識の6階層をお伝えしているわけなんですけど。
マインドセットということからすると、この6階層のアライメントが取れていることが非常に大切です。上から順に読んでいきますので、みなさんが自分自身の言葉でそれを語るとしたら何かな? というのをちょっとメモしてみてください。
「働きがい」を育む6つのポイント
まず一番上ですね。「自身の仕事が生み出している世の中への影響はどんなものだと思いますか」。自分の仕事、もしくは自分の会社の仕事ですね。世の中にどのような影響を及ぼしているんでしょうか。みなさまからすると、どのような影響を及ぼしていきたいですか? ということですね。
そして、2つ目です。仕事の中で達成している自身の使命(ミッション)ですね。どのような使命を果たしていきたいと思っていらっしゃるでしょうか。会社としてこんな影響を世の中に発揮していくんだ。その中でマネジメントを担っている自分としては、どのような使命を果たしていきたいのかなということですね。
次は、自身が仕事で大切にしていることやこだわりはどのようなものなのか。どのようなことを大切にしていきたいのかということになります。
使命を果たしていく上でこんなことを大切にしていきたい。例えばお客さま目線、従業員の成長。あとは組織のみんなの笑顔。これは価値観が多様化していますので、みなさんそれぞれの中にいろんな大切にしたいものがあると思います。どのようなことを大切にしていきたいのか、ちょっと言葉にしてみてください。
そして、仕事で使っている能力はどのような能力なのか。大切にしていることを仕事で感じるためには、どのような能力を使っていきたいのか。そのような能力を使って、どのような行動をしていきますか? ということです。そして最後に、そのような行動の中でどのような組織を作っていきたいのかということになります。
この赤い字でお伝えした質問に対する言葉が一気通貫、軸となっていれば非常にいいわけです。ただ、やっぱり自分の使命はこうなんだけれども、自分の大切にしているこういうことはあんまり感じられていないなとか。なかなか能力を使いきれていないな。もしくは能力を育んでいないなと。
行動しているけれども作りたい組織になっていないなとか、いろんなものがみなさんあると思うんですよね。ですので、この6つのポイントの軸が取れてくると、働きがいや生きがいを非常に感じられるようになっていきます。ですので、ぜひみなさんの軸をベースに、リーダーシップを発揮していただきたいなと思っています。
指示・管理型のマネジメントから共感・支援型のリーダーシップへ
ジョン・P・コッターさんのリーダーシップ論からすると、マネジメント<リーダーシップという感じですけど。
今までの指示・管理型のマネジメントから、共感・支援型のリーダーシップが求められていると言われています。多様性の時代ですので、さまざまな方々の価値観に共感をしながら、その価値観が感じられるように支援をしながら、同じベクトル、ビジョンに向かって推進させる。
そんな強力なリーダーシップが必要なんだと言われていますので、ぜひみなさんには先ほどの軸をベースに組織のミッション、自身のワクワクを部下に伝えていくことをどんどんやってほしいんです。
なので、そこには共感を呼ぶ情熱が非常に大切になります。共感を呼ぶ情熱の中で自分はこういうミッションなんだ。自分自身としてはこの仕事でこんなワクワクしているんだというような情熱を元に、しっかり自身の思いを部下に伝えていく。そんなことをみなさんにもやっていただきたいなと思っています。
(自分は)どんなミッションとワクワクを部下に語っているかなと、ちょっと振り返ってみてください。多くの方が、会社の未来に関して少し暗いことを語っちゃったり。「いやぁ、自分もどうなっちゃうかわかんないんだよな」とか、少しうつむき加減な背中を見せている方がやっぱり多いわけですね。
ただ、我々としては、生産性の高い職場を作る。そして働きがいを持って働く状況を作っていきたいので、ぜひミドルのみなさんには自分自身のミッション、それにワクワクしている姿を周りにお伝えいただきたいなと思っているわけです。