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ミドル層が組織成長のキーになる!〜働きがいを高める、一生働きたい職場の作り方〜(全3記事)

部下に残業させられず、自分の負担ばかり増える管理職 組織成長のカギを握る「ミドル層」が抱える課題

組織の持続可能な成長と革新を実現するカギとなるのが、ミドル層のリーダーだと言われています。本イベントでは、『もう、転職はさせない! 一生働きたい職場のつくり方』著者の田岡英明氏が登壇し、働きがいのある職場の作り方について明かしました。今回は、「ミドル層」が抱える課題についてお伝えします。

管理職が知っておきたい、働きがいのある職場の作り方

田岡英明氏:みなさま、あらためましてこんにちは。働きがい創造研究所の田岡でございます。今日は「『ミドル層』が組織成長のキーになる!」ということで、働きがいを高める、一生働きたい職場の作り方のお話をさせてもらいます。

ミドル層は管理職、課長級等々いろいろ言われますが、みなさん本当に忙しいと思います。ただ、この現場の管理を担っているみなさまが、どのようなリーダーシップを発揮してマネジメントをしていくのか。組織成長においてはこのあたりが非常に鍵になってきますので、今日は50分という短い時間ではございますが、お話を進めてまいります。

簡単に自己紹介をいたしますと、田岡英明と申します。今、このようなかたちで研修の講師や組織開発のコンサル等々をやらせていただいていますが、もともとはアステラス製薬でずっと営業をやってきた人間です。



31歳ぐらいからチームマネジメントをさせていただきましたけれども、私自身は仕事が非常に楽しかったんですね。本当にアホな話ですけど、金曜日になると「あ~、早く月曜日が来ないかなぁ」と毎週思っているような人間でした。

ただ、部下は非常にしんどそうに仕事をしていました。なので、そんな部下を元気にしたいというのが、私のキャリアチェンジの1つです。そんな思いで「ひよこ倶楽部」という勉強会を自主企画しました。

勉強会を主催することによって、(人が)目の前で成長していくことに非常に醍醐味を覚えました。やっぱり人材育成ってすごいなと。この人材育成の会によって売上も上がっていきましたので、「この仕事をこれからもできたらいいなぁ」と2014年に(会社を)飛び出して、今に至ります。

縁あって、『この1冊でポイントがわかる ダイバーシティの教科書』とか、本日の内容である『もう、転職はさせない! 一生働きたい職場の作り方』(を共著で出版いたしました)。あとは最近、実践心理学と言われるNLPをベースに働きがい心理学もお伝えしておりますので、そんなものを少し織り交ぜながら今日はお伝えしていきたいなと思っております。

現場のモチベーションを高めるには

本日の目的とゴールですが、働きがいを見失いがちな時代に働きがいを生み出す、ミドルとしてのリーダーシップを身につける。ということで、やはり私の思いとしては、ミドルであるみなさまが元気に働いていくことが非常に大切なんじゃないかなぁと思っております。

その部分の目的として、今日のプログラムは、環境の変化とミドルの憂い。ミドルのマインドセット。そして一生働きたい職場の作り方~5ステップ~、というかたちでお伝えしていきたいなと思っております。

では、さっそく環境の変化とミドルの憂いということで、ご案内をしていきます。チャットも途中で1回ぐらい打っていただこうかなと思っていますので、自分の現状と照らし合わせながら見ていただければなと思います。

まず環境の変化ですが、みなさんご存知のとおり今VUCAの時代と言われていて、先の見えない時代なわけです。何が起こるかというと、モチベーションが上がりにくいということです。なぜならば、みなさんにも感じていただきたいんですが、出口のないトンネルはモチベーションが上がりますか? ということなんですよね。

やはり我々管理職としては、常に出口を見ながら自分自身のモチベーションを高く働ける環境を作る。そして管理職として、部下マネジメントをする際には出口をしっかり見せていくことが求められます。先の見えない時代の中だけれども、現場に働きがいやモチベーションの高い状態を作っていかなきゃならないんだということです。

2030年には「千葉県の人口」を超える労働力が足りなくなる

一方、日本の状況に目を向けてみますと、少子高齢化で労働力人口はどんどん減るわけですね。ある機関によると、2030年には(労働力人口が)640万人足りないという試算が出ているぐらいです。千葉県の人口が600万人強ですから、千葉県の人口を超える労働力が足りなくなると言われています。



そうすると、みなさまの実感もあると思いますが、人手不足感が大きいと思うんですね。なので、人手不足の中でも本当に労働生産性を上げていかなきゃならないんだと。

人手不足感の中で労働力人口はどんどん減っていってしまうので、国は「一億総活躍社会」と言っているわけですね。これまでであれば、家に入って仕事をなかなかできなかった、しなかった方々にもぜひ長く現場で働いてほしいということをやっているわけです。



例えば一丁目一番地は女性活躍推進ですし、障害者雇用を増やしていきましょうねとか。昨今の話題だとLGBTQの方がカミングアウトしやすい環境とか。あとは定年制をどんどんなくしていこうということを、国としてされているわけですね。

ですので、さまざまな背景を持った方々が働ける状態を作りながら、そこに生産性の高い職場を作っていきましょうと言われているわけです。なので人手不足感が進む中、我々管理職としては、生産性の高い組織を作っていかなければなりません。

ただ、少し前のデータですが日本の労働生産性は本当に低いわけですね。そして、生産性を上げようにもなかなか上がらない。生産性が低いということで、長時間労働がいろんな問題になっていました。長時間労働をどんどん下げていきましょう、なくしていきましょうねとか。あとは、なかなか有休も取れない環境がありましたので、有給を取れるようにしていきましょうということがされているわけです。

日本の熱意溢れる従業員の割合は5%

ですので、労働生産性を上げる中で、働きやすい職場を作っていこうと。ただ、本当に働きやすい職場がない。働きにくい職場の環境。そんな部分が労働生産性の低下につながっているのかなと。1つ我々として提唱しているのは、やはりエンゲージメント、いわゆるやる気ですね。

これはギャラップの2022年の調査のものですけれども。日本の熱意溢れる従業員の割合は、129ヶ国中128位で、5パーセントだということです。この次にある国も同じパーセントだったので、実質ビリということですね。



ですので、長時間労働はどんどん下がってきています。有休の取得率はどんどん上がっています。働きやすい環境はできてきているんだけれども、人のやる気はどんどん下がり続けている。というのが、日本においては問題だとよく言われています。ですので、ぜひみなさまにはモチベーションの高い組織を作っていってほしいのです。

ただ、みなさん。やはりみなさまの置かれた環境としては、いろんなメンバーが働くようになっていきます。そして、最近はダイバーシティということが言われていますので、みなさんのメンバーの中にも多様な方がたくさんいらっしゃるわけですね。

#若手がすぐに「わからない」「できない」というのが腹立たしい

そうすると、こんな憂いの言葉が出てきます。これは広告代理店勤務の40代前半の方の生声ですけれど、若手部下についての悩みですね。最近は「Z世代についての悩み」みたいなこともよく言われますけれども。

プレイングマネージャーとして懸命に業績を上げ続けてきた。仕事も勉強も誰よりも必死にやっている自負がある。そのため最近の若手がすぐに「わからない」「できない」と言うことが腹立たしいんだと。



本当は「自分で考えろ!」と突き放してやりたいが、そんな対応をしたらたちまち「パワハラだ」と騒がれる。正直、今の若手は甘えているようにしか見えないということです。やはりどうしても自分自身と比べてしまいますので、今の若手の仕事の出来、仕事のやり方に、本当にイライラしてしまうわけですね。

「年上部下」への指示に気を遣う

そしてもう1人、生声をお伝えすると、これはメーカー勤務の40代前半の課長で、年上部下についての悩みですね。課長への昇進と併せて部署を異動した。これまでと畑違いの領域を任されることになった。現場経験の豊富な部下が4人ついたが、自分だけが仕事をわかっていないためプレッシャーを感じる。



また4人のうち2人は自分より年上で、指示を出す際に非常に気を遣う毎日を送っている、ということですね。私も研修をたくさんさせていただいていますが、多くがリーダーシップ開発です。

そこで出会う管理職の方々の多くが、年上の部下の方々との接し方や年上のメンバーのモチベーション向上に非常に悩んでいます。ですので、みなさんもそのような思いがあるのではないかということですね。

「昔世話になった人が今、部下になっているんです」とか。あとは役職定年という制度がある会社では、「この間まで部長をやっていた方が、今は僕の部下なんですよ」ということがザラにあるわけです。そんな中でチームマネジメントをして組織成果を出していかなきゃならないので、なかなか難しいですよね。

あとは、やはり働き方改革で本当に仕事が忙しい。なんとか課員のがんばりで対応しているんだけれども、やはり本社からは残業時間の規制が来る。部下に残業させることが難しい状況になっちゃって、それを自分自身がやるようになる。



なので、管理職ばかりが忙しい状況が起こってしまっているという悩みです。おそらくみなさまの中にも「なんか自分だけが忙しいな」という思いはあるのではないでしょうか。

いろんな方々がみなさんの部下にいる中で、そして環境変化の中で、非常に忙しいですが……。みなさまにはやはり業績へのプレッシャーが大きくのしかかるわけですよね。

成果を上げられない新任管理職が陥る5つの落とし穴

これは『昇進者の心得 新任マネジャーの将来を左右する重要課題』という本からの抜粋ですけど、「成果を上げられない新任管理職が陥る5つの落とし穴」というのがあったので、少しご案内させてもらいます。



1つ目、隘路(あいろ)に入り込む。細い袋小路のようなところにはまってしまって、身動きが取れなくなる。いわゆる木を見て森を見られない状態になってしまうということですね。

あとは、批判を否定的に受け止める。威圧的である。部下からいろいろな提案が出てくるんだけれども、そこに対して「いや、今までどおりやってくれ」「そんなやり方じゃダメだ」とかですね。批判して威圧的に自分自身の考えを押し通してしまう。

そして4番目。拙速に結論を出す。部下から何か言われたら「それはこうやっておけ」と、結論をすぐに出してしまう。そんなところが、やはりなかなか成果を上げられないポイントになっていると言われています。今は部下に考えさせることが求められていますので、その逆になってしまうとなかなか成果が上がらないよということです。

そして5番目は、マイクロマネジメントに走って、上司がすべてのやり方を指示していくことです。業績へのプレッシャーが強いが故に、「成果を出さなきゃ」と焦る。焦れば焦るほど、このような5つの落とし穴に入り込んでしまうと、本の中では言っています。

そしてこの本の中では、この5つの落とし穴に入ってしまうことを「クイックインパラドックス」と言っています。成果を出すために焦れば焦るほど、逆説的に成果が逃げていくんだということです。

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