2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
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守屋実氏(以下、守屋):大企業って、延々と働いていられるじゃないですか。お尻がないんですよね。
佐古雅亮氏(以下、佐古):そうですね。
守屋:独立起業したら、会社を登記したその日からどんどんキャッシュが溶けていって、倒産というか、もうもたない数字が見えるじゃないですか。でも大企業は、たぶん定年するまでいられるんですよ。
佐古:確かに。
守屋:そうすると、「やるぞ」と思っているんだけど、先延ばしが延々とできるんですよね。だから、いったん(期限を)切ってみようかと。「700日、2年間やってダメだったら2人して(博報堂を)辞めよう」と言って(笑)。
佐古:(笑)。
堂上研氏(以下、堂上):というのが、ちょうど700日前ぐらいですよね。
佐古:そうなんですね。
堂上:そう決めて、僕ら二人で「700日戦争」という言い方をさせてもらっていました。
守屋:気分を盛り上げるためですよね。名前をつけて、タイトルをつけて。
堂上:そうそう。気持ち的に「あと三百六十何日だね」みたいな話をするわけですよ。「こんな事業を作るぞ」と、きちんとお尻に火がついた状態で700日以内に事業が作れない環境は、僕がもう負けという話になるのです。
堂上:10年間ずっと僕の中では負け戦ばかりだったわけですね。最後の1勝を取りにいくために、自分自身が出島の出島として起業家になるしかないという判断をしたのが、大きなターニングポイントだったんですよ。
佐古:なるほど。
堂上:実際に、ちょうど1年前ぐらいですかね。僕が守屋さんに「僕自身が起業家になることに決めました」という話をして。700日戦争と言っていた頃は、僕はまだインキュベーター、いわゆるキャッチャー役だと思っていたんですよ。みんなに「作れ」と言っていて、一緒にWelluluの事業もやっていたメンバーに社長をやってほしいなという思いがあったわけです。
「彼に起業してもらえればいいかな?」「この人のこの事業を伸ばしたらいいかな?」って思っている時期だったんですが、「自分が起業家になるぞ。自ら飛び出すぞ」って決めた理由のもう1つが、うちの直属の役員なんです。
最初に年初挨拶みたいなものをやるじゃないですか。あの時に、ミライの事業室で「脱皮しないヘビは死ぬ」という話と、「コンフォートゾーンから抜け出せ」という話をしていただいて、僕はそこで「自分自身はコンフォートゾーンにいるな」と思って目が覚めるわけですよ。
自分自身がコンフォートゾーンから抜け出すという気持ちになるためには、また時間がかかったんです。例えば、本当は起業家には肩書なんかどうでもいい話で、役職があるというのは捨てなくちゃいけないことなのに、なんか「部長です」とか「室長です」みたいなものが重しになっていました。
大企業にいると、そういうものはなかなか捨てづらいところがあったりするので。マネジメントしているほうが、それなりにみんなを束ねたり、チームをリードできたり、判断もできたりすることもあって、肩書を捨てるのにもちょっと時間がかかったんですね。
佐古:そうですか。
堂上:実際に肩書を捨てて、700日戦争の中で「自分が起業家になるぞ」って決めたら、守屋さんから「51パーセント以上マイナスのものは全部排除してください」と言われて。
佐古:51パーセント以上マイナス?
守屋:会社の中にいると、いろんな話でいろんなことをやらなきゃダメじゃないですか。「自分で事業を立ち上げるんだ」と言っているけど、会社全体でいろんなことがあるから、この事業と関係ないこともやってくるじゃないですか。
そうすると、うっかり事業と関係ないことをやっていて、事業がおろそかになることってけっこうありがちだと思うんですよね。だから、関係ないことはやらないほうがいいよと言いました。
佐古:(事業と関係のないことは)やらない。
堂上:「51パーセント以上」という基準を作ってくださったわけですよ。「関係ないもの、どれがあるかな?」と思ってバーッて見たら、正直言うと、やろうと思った事業のうち、3分の2ぐらい、その事業に関係ないものの仕事に追われていることが多かったんですよね。
なので、すべてやめるためには肩書を捨てる決心をしました。マネジメント会議や、他の事業のメンタリングしながら、調整役として社内のいろんな事業のお話を聞いたりする。そういったことも含めて、一緒にやってきた仲間に謝りながら「このタイミングでこの事業のサポートをやめさせてください」と、お願いしにいったりしました。
堂上:「Welluluを中心とした事業を作ることに集中しますので、100パーセントここに集中させてもらえる環境を作らせてください」と、お願いをしました。だから、1年前に肩書を捨てることを決められたのは大きかったですね。
佐古:1年間で起業家モードに変わっていくわけですね?
堂上:守屋さんから見てどうですか? 変わっていっているように見えましたか?
守屋:目の色が変わりましたね。
佐古:変わるんですね。
守屋:もともと10年間ぐらい、ずっと「がんばるぞ」と言っていて。700日戦争で「2年で」と言っていて。10年あって、2年あって、最後の最後の1年ですが、やはり本気モードに入ると目の色が変わって。そうすると同じものを見ているんだけど、ぜんぜん違って見えるはずなんですよ。
例えばさっきの3分の2という数字をそのまま使うと、今までは10見ているんだけど、3分の2ぐらいはよそのことを考えているわけです。だって、その新規事業のことだけを考えられないわけだからね。
例えばWelluluという商売があって、Welluluの客がいるわけですよね。客の側から見た時に、3分の1しか自分たちのことを考えていない起業家と、全力で考えている起業家がいたら、全力のほうがいいに決まっているじゃないですか。
佐古:そうですね。
守屋:そういうのも含めて、やはり目の色が変わるってすごく大事だと思います。けっこう当たり前のことで、普通のことなんですが。
堂上:「それが普通だろ」と言われて、「普通ってどうだ?」みたいなね。
(一同笑)
堂上:そうなるわけですね。
佐古:なんで目の色が変わったかというと、やはり楽しかったんですかね?
堂上:それが大きいです。僕はもともと人と出会うのが好きだったのもあるんですが、ウェルビーイングの産業を作るぞと決めて、Welluluを通していろんな人たちとお会いしました。2023年だけで1,000人以上と名刺交換をさせていただく機会をいただいたりしました。
それこそWelluluでいろんな人たちと対談させていただくとか、人と出会うことが楽しいし、事業を作っている過程がめっちゃ楽しい。
よく僕らは、ウェルビーイングな組織やウェルビーイングな仕事の仕方の相談もいただくんです。これはいい表現かどうかわからないですが、よだれが垂れるぐらいそこに熱中している状態って、ウェルビーイングな状態だと僕は思っているんですよね。
そういった状態を自分自身が作れているという意味で、「もうこれ、楽しすぎだな」と思って。この1年間、僕はこんな楽しいことをやらせてもらえるんだというワクワクしかない。
守屋:だから、年間で500記事も作るし。
佐古:そうですね。
守屋:MAUでも25万人を超える、すごい人数の人たちがやってくるようになるというのは、やはり起業家としての熱が乗っているから。商売に血が通っていて、それがお客さまにも通じているというサイクルに入ったんだと思うんですよね。
佐古:ピュアにやりたいことや向かいたいことにフォーカスできているという、ウェルビーイングな状態(になった)。
堂上:僕は今までマーケティングやクリエイティビティの世界でやっていて、イノベーションという言葉にたどり着いたんですが、その先で新しいことを創造するって、やはりウェルビーイングなんですよね。
堂上:結局「起業家精神」って、その人がファーストペンギンになってどういう意志を持って動くか。そこに、一緒に巻き込んでいく周りのフォロワーの人たちがどれだけいるか。仲間がいたから僕はやりきれているなと思っているし、これからスタートを切れるなと思っていて。
守屋さんを含めてですが、実際にたくさんの仲間が「堂上さん、これはいけるよ」とか、応援してくれている人たちが増えてきた。起業家精神は徐々に僕の中で芽生えてきたんだし、目の色を変えることができた。それはやはり「外圧」というか、周りの人たちの影響で環境を替えられたのは大きかったかなと思いますね。
佐古:ありがとうございます。まだまだお話をおうかがいしたいところなんですが、お時間が迫ってまいりました。今日は少しお話ししきれなかった部分もあると思うんですが、ECOTONEを立ち上げていく背景は本にまとめていただいているんですよね?
堂上:はい。じゃあ、ちょっとこのへんのご紹介をさせていただければ。この10年間の僕の挑戦と失敗について、ずっと日記を書いていたんですね。それを5万字ぐらいでまとめてみました。
「そうやって堂上は悩みながら立ち向かって、こういう失敗もしたんだな」みたいなものを、けっこう赤裸々に語っていますので、ぜひ見ていただけるとうれしいなと思います。
佐古:ありがとうございます。こちらのセッションアンケートを回答いただいた方にもURLをお渡しいたしますので、今日お話ししきれなかった部分はこちらの書籍も読んでいただければと思っております。
佐古:時間が迫ってまいりましたので、締めということで最後に一言ずついただければと思っています。じゃあ、まずは守屋さんからお願いします。
守屋:はい。じゃあ、せっかく(堂上さんの5万字の日記である)『道は拓ける。』というものが出たので、堂上さんの紹介とは別で、僕なりにこれの紹介をしてみますね。博報堂の中の堂上さんの物語なんですが、これは他社の、他人の話じゃないと思うんですよ。今、聞いている方々が、我が社の中のご自身にも重なる部分があると思うんですね。
この10年の最後の2年間の日記はむちゃくちゃ参考になると思うんですよ。これを追体験して、「じゃあ、俺はどうするんだ?」「私はどうするんだ?」というヒントにしてほしいんです。これは本当に事細かに書いてあって、「なるほど」と追体験をすることができますので、そういう部分はおすすめです。
佐古:ありがとうございます。では、堂上さんからも一言。
堂上:ありがとうございます。今日はこういう機会をいただいて本当に感謝ですし、僕が「事業を作る。起業家になる」と決められたのは、周りの人間に支えてもらったのがめちゃくちゃ大きいです
結局、何かをやるにも孤独を感じたり、なかなか前に進めないことなんていっぱいあるんです。ただ、そこで仲間が後押ししてくれたり、一緒の船に乗ってくれる仲間がたくさんいたのは、今まで人の輪を作ってこられた財産を自分で使えているんだなと感じています。
僕は「ウェルビーイング共創社会」と呼んでいるんですが、これからもぜひご縁をいただいて、いろんな人たちとそういったものを一緒に作っていけたらなと思っておりますので、ぜひみなさん、お声掛けいただければと思います。今日はありがとうございました。
佐古:それでは、こちらのセッションは以上で終了とさせていただければと思っております。堂上さん、守屋さん、ご視聴いただいたみなさまもありがとうございました。
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