CLOSE

第1163回 仕事に役立つABC『実務経験なしでマネジメントをするためのコツ』(全1記事)

実務経験ゼロなのにマネジメントを任される管理職 部下から信頼されるための2つのポイント

日本最大のビジネススクール「グロービス経営大学院」が、ビジネスパーソンに向けて、予測不能な時代に活躍するチャンスを掴むヒントを配信するVoicyチャンネル『ちょっと差がつくビジネスサプリ』。今回は、実務経験なしでマネジメントをするためのコツをお伝えします。

■音声コンテンツはこちら

「実務経験なし」でマネジメントをする管理職の苦悩

熊谷翔大氏:今日は「実務経験なしでマネジメントをするためのコツ」がテーマです。この毎週水曜日の放送を聴いてくださっているリスナーの中には、職場ではリーダーの立場で、マネジメントの仕事をされている方が少なくないかと思います。

マネジメントは、本当に本や情報がたくさんあるかと思いますが、それだけ難しくて、つかみどころがないものだからだと考えています。だからこそ、悩みが尽きないんですよね。

その悩みの1つが、今日のテーマのとおり、「実務は経験してないけれども、リーダー・マネジャーの立場でその仕事を担う部下をマネジメントすることになった」。こんな場面があるかと思います。私、熊谷も経験があるんですけれども、けっこう難しいんですよね。

何が難しいかというと、シンプルに分解すると、2つの要素だと思っています。1つは、実務を進める肌感覚がないので、仕事が進むプロセスとゴールイメージを持ちづらいこと。その状態で判断や評価することが求められます。

もし自分に実務経験があれば、「この仕事の難しいところはここ」とか、「困った時は、他部署の誰々さんや社外の誰々さんを頼ったらいいんだ」という感じでつかみどころがあるんですけれども。それがまったくない状態からマネジメントの仕事がスタートするんですよね。

もちろん、その仕事をマネジメントする時間が長くなれば慣れてきますが、いかんせん実務担当者ではないので、経験曲線も効きづらいんですよね。これが1つ目の難しい要素だと思います。

「部下から教えてもらう」構図に心理的なハードルも

そして、もう1つの要素は、部下から教えてもらう構図になることです。これはどちらかというと、仕事そのものの難しさではなくて、組織内の、ある意味人間関係のお話かと思います。実務経験がないので、わからないことがあれば、今実務をやってくれている部下に対して、当然ながら教えてもらうしかありません。

もちろん上司と部下の関係性が100点満点であれば、単純に教えてもらえばいい話です。しかし100点はなかなかない状態だと思いますので、「教えてもらうのは心理的なハードルが高い」と感じてしまうこともあるかと思います。

このように、実務経験なしでマネジメントをするのは、そんなに簡単なことではないと思います。でも、「簡単なことではない」「難しい」で終わってしまうと、マネジメントの仕事なんてできませんよね。だからこそ、何か意識するものがあればいいと考えています。

実務経験なしでマネジメントをする2つのコツ

この点については、私もまだまだ試行錯誤を重ねている段階なんですけれども、実務経験なしでマネジメントをしてきた仕事がちょうど丸3年を超えて、「あ、これをやれるといいんじゃないかな」という法則が見えてきました。ということで、今日は「実務経験なしでマネジメントをするコツ」について、2つのポイントをお話しいたします。

まず1つ目ですが、実務を自分でやってみましょう。これはめちゃくちゃシンプルな話なんですけれども、実務経験がないならやってみましょう。「実務経験がなくて難しいな」で終わってしまうと、ある意味思考停止なんですよね。

「時間がない」といった言い訳は一切やめて、部下に頭を下げて教えてもらって、実際に手を動かしてみることが必要です。やはり実際にやってみると、その実務の難しさや大変さ、部下の気持ちが少しはわかるはずです。

これは私が参考にしている、前職のメーカー時代に聞いた話なんですけれども。とある人が役員に就任した際に、工場の製造ラインに実習に行ったと。

工場はもちろん危険が伴いますので、周りの社員は「危険だからやめてください」と止めたらしいんですけれども。その役員の方は、「現場のみなさんの苦労がわからずに役員なんてできるか」と、現場でしばらく働いたというエピソードです。

もちろんこのお話は、すべての仕事に当てはまるわけではないかと思いますが、それくらいの考え方でいいんじゃないかなと感じています。やはり実務を理解しようとしている姿勢を、しっかりと部下・メンバーに見せることが、信頼の獲得にもつながってくるかと思います。

部下から信頼されるためのポイント

続いて、2つ目のポイントですが、その実務の難しいところ、大変なところを、素直に部下に聞きましょう。これもある意味シンプルな話なんですけれども、とても大切です。1つ目でお話しした「実務を自分でやってみる」というのは、もちろん限界があるんですよね。ずっとやり続けるわけにもいきません。

だからこそ、上司として最もやるべき行動を選択して集中する必要がありますが、ぶっちゃけ、その実務がうまく進んでいる時は、ある程度、部下・メンバーに任せておいて大丈夫です。

でも、うまく進んでいない、進まなさそうな時については、しっかりと上司が見て、時には口を出して軌道修正していかなければいけません。つまり、ある意味うまくいっていない場面を選択して集中する必要があります。

だからこそ、部下の方から「これはやばい状況になりそうです」とか、「今こういうことで困っていて大変です」みたいな感じで、難しいところ、大変なところをしっかり丁寧に聞くことが必要不可欠です。

とにかく傾聴して、共感する。そしてある意味、上司はポジションパワーがありますので、必要そうであれば、部下が仕事を進めやすくなるように、しっかりとフォローしてあげる。そんな行動ができるといいんじゃないかなと思います。

部下の方から、「この上司は実務経験はないけれども、大変さは理解してくれる」とか、「困ったら必ず助けてくれる」と思ってもらえることを目指して、コミュニケーションを泥臭く図っていくのが重要だと思います。

実務経験なしでうまくマネジメントをしていくために、「実際に実務をやってみる」。そして、「その実務の難しい、大変なところを部下に聞く」。シンプルですが、この2つのポイントはマネジメントのあらゆる場面で有効なんじゃないかなと考えています。何か少しでも参考になれば、今日から取り入れていただけるとうれしいです。

続きを読むには会員登録
(無料)が必要です。

会員登録していただくと、すべての記事が制限なく閲覧でき、
著者フォローや記事の保存機能など、便利な機能がご利用いただけます。

無料会員登録

会員の方はこちら

関連タグ:

この記事のスピーカー

同じログの記事

コミュニティ情報

Brand Topics

Brand Topics

  • 忙しい採用担当者が陥りがちな「楽な採用」の落とし穴 実は「電話」も効果的?候補者のアクションを起こすポイント

人気の記事

人気の記事

新着イベント

ログミーBusinessに
記事掲載しませんか?

イベント・インタビュー・対談 etc.

“編集しない編集”で、
スピーカーの「意図をそのまま」お届け!