株式会社らしさラボ 代表取締役 伊庭正康氏の
『研修トレーナー伊庭正康のスキルアップチャンネル』では、業績の悩み、効率の悩み、マネジメントの悩み、コミュニケーションの悩み、モチベーションの悩みなど、仕事の悩みを解決できるビジネスメソッドを紹介しているチャンネルです。今回は、これからの時代に通用しないリーダー像と理想のリーダー像について解説します。
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こちら 今の時代には通用しない「三流管理職」
伊庭正康氏:今の時代、とても通用しない管理職のスタイルがあります。「三流管理職の特徴」と言ってもいいでしょう。今日は調査の結果としてお届けします。
エン・ジャパンさんが20代~50代までの1,838人に「職場で目指すのはどんな上司が良いのか?」というリサーチをした結果があったんですね。つまり、理想の上司がわかる一方で、なってはいけないリーダーがいるんです。そこを今日は確認していきます。
2024年9月9日の日経新聞に載っていたデータも引用しながらスタートしていきましょう。
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さあ、ではいきましょう。まず、リーダーシップには6つのスタイルがある。ダニエル・ゴールマンさんというリーダーシップスタイルの大家がいらっしゃいます。そのダニエル・ゴールマンさんが6つのスタイルを提唱しており、この6つのスタイルに当てはめると、今求められているリーダーと、求められていないリーダーがはっきりとわかったという話なんですね。
リーダーシップの6分類
エン・ジャパンさんの調査は、この6つの中でどれを理想としているのか、イケていないのかもきちんとリサーチされています。じゃあ、まずはこの6つのスタイルを確認していきましょう。
1つは「コーチング型」。指示・命令ではなく、部下に考えてもらい、部下自らが答えを出す。そのようなコーチングのスタイルを取るリーダーです。次の「先導型」は引っ張っていくリーダーですね。「あっちへ行くぞ。ついてこい」、これは先導型。
次が「強制型」。マイクロマネジメントで「これをやりなさい」「あれをやりなさい」「こうしたらいいよ」というふうに細かく指示をする。そして次が「関係重視型」は、メンバー同士の関係を第一に考える。「民主型」は、「みんながそう言うのであれば、そうしていこうか」という民主的な判断をするリーダー。
そして最後は「ビジョン型」。「我々はここに向かってがんばっていこう」「我々が実現させたいのはこういうことなんだ」というふうに、ビジョンや目標を明確にするリーダー。さあ、この中でイケているリーダーとそうではないリーダーが、実は調査でわかったんです。
理想の上司が見えました。エン・ジャパンさんの調査では、1位がビジョン型、2位がコーチング型。このあたりが理想の上司像です。一方でダメな上司像は、下から強制型、先導型。このあたりは理想とは程遠いという話ですよね。
さあ、あなたは今、どんな上司の下で仕事をしていますか? そして、あなた自身はどうなんでしょうね。まず、大事なことはビジョン型。何を実現させたいのかがちゃんと示されているかどうか。挑戦をきちんと企てているかどうかということですよね。
やってはいけない危ないリーダーシップの行動
では、ここからはもう少し整理をしていきましょう。支持されないリーダーシップのスタイルは強制型。マイクロマネジメントですね。もう1つは「ついてこい」という先導型。このタイプは、今はもう支持されておりません。
今、支持されているのは、ビジョンを示し、メンバーをしっかりコーチングをするという流れです。では、やってはいけないことがここから見えてきますね。私なりに整理をしました。
やってはいけない危ないリーダーシップの行動。1つ目は、自己中心的なリーダーシップはダメです。自らが「これをやりなさい」「あれをやりなさい」と、すべてを指示するようなリーダーは嫌われますし、ついていくわけにはまいりません。これは強制型ですよね。マイクロマネジメントを絶対にやめましょう。
これの反対がコーチングです。「今、解決することはどんなことなのかな?」「だよね。じゃあ、現状を確認させてもらっていい?」「じゃあ、何があれば解決できるのかな? 選択肢をいくつか出してみない?」「この中で、『やってみたいな』と思ったことはあった?」。(コーチング型は)これですよね。
このチャンネルの中で、コーチングについて語っている動画はいくつかあります。「GROWモデル」、もしくは「コーチング」で検索をしてみてください。コーチングのやり方を紹介しています。
2つ目が、コミュニケーション不足を放置している。忙しいからといって雑談をしていないとか、部下の声をしっかりと聞いていないということがあれば、これはダメなんですね。
実は部下の7割が「コミュニケーションに課題を感じている」ということが、今回の調査でわかりました。特に上司に対して精神的な距離を感じているというんですね。これ、嫌ですよね。じゃあどうすればいいんでしょう? 会話の頻度を増やすことですよね。
コミュニケーション不足は1on1面談で解消
ただ「伝える」ではなく、「聞く」頻度(を増やす)。これがいわゆる1on1面談です。今、7割の会社が公の施策として1on1面談をやっています。1週間に1回、もしくは2週間に1回。15分、もしくは長いところであれば30分、部下の話を聞き切る面談です。
(1on1面談で聞く内容の)1つ目は、職場で気になっていること。2つ目は、業務のことで気になっていること。3つ目はキャリアで、「今後、こうしたいということがあれば教えてね」。この3つの話を上司が聞く。
このやり方についても、このチャンネルでお示ししています。「1on1面談」で調べてみてください。やり方を紹介しています。コミュニケーション不足は、1on1面談で担保するのが一番やりやすい。ぜひチェックしてみてください。
そして3つ目が、目標設定が曖昧。「このチームはどこに向かっているのか」がないと、ただ単に業務をこなしているだけになっちゃいます。例えば、営業セクションがわかりやすいですよね。「この部門の目標に向かってがんばろうぜ」と、共通の目標があるわけです。
ところが間接部門は(共通の目標が)ないことが多い。となると、ただの縁の下の力持ち状態になっちゃって、張り合いがなくなってしまうことが少なくありません。この場合においても、「いついつに、この状態にしたいと思っている。なので力を貸してほしい」というものがないとダメということです。これがビジョン型ですよね。
どこに向かってがんばるのか、そしてどういった目標に向かってがんばるのか。このあたりをちゃんと設計しておいてください。
部下が求める理想の上司像
ではここからは、じゃあどうすればいいのか確認していきましょう。部下から見た時に、求められる上司の理想像はこういうことですよね。実は今回のエン・ジャパンさんの調査でも、このように結果はわかっていたんです。
1位は「いざという時に部下を守る」。「どんどんチャレンジしなさい。私が責任を取るからね」というが言えているかどうかですよね。そりゃそうなんです、当たり前なんです。部下の失敗は上司の責任ですよね。
いざという時は必ず部下を守る。そして、部下に無理を言うのではなくて、部下からもちゃんと意見を聞く。このあたりはかなり重要ですよね。
2位が「的確な指示・指導ができること」。これも「コーチング」でいいかなと私は思っています。上司は、部下の今の状況をちゃんと話を聞いた上で、「どうしていけばいいんだろうね?」(と考える)。コーチングをする時でも、上司は答えを持っていながら、部下に質問で考えてもらうんですね。
そして第3位が「相談のしやすさ」。ここも1on1面談で十分ですね。ぜひ1on1面談で、職場のこと、業務のこと、キャリアのことを気軽に聞ける場を作ってみてはいかがでしょうか。
強制型のリーダーシップは離職率を高めるだけ
では、まとめていきましょう。今求められているリーダー像は、ビジョン型であり、コーチング型です。私が企業研修で感じていることとして、ビジョンのない現場リーダーはめちゃくちゃ多いです。
「営業目標をがんばる」というのも確かに目標なんですが、「なんでそこまでして我々はがんばらねばならないんですか?」「いや、数字があるからだよね」、これではメンバーは燃えないですよね。
「我々は、こういった状態を作ろうとしているんだよね。なので、今はこの営業目標を追いかけているんだよ」という大義名分も必要ですよね。この大義名分はビジョンに入ってきますので、ビジョンは「大義名分+目標」と思っていただくといいでしょうね。
そして、やってはいけないのは権限で引っ張ることです。「私はこれをやりたいと思っている。なので、ここに向かってがんばろう」という、権限では引っ張れません。先導するだけでは無理なんです。あと、強制型なんかは言語道断で、離職率が高くなるだけです。ぜひやめておきましょう。