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中堅社員がボロボロ辞めてしまうのは、なぜな~ぜ? 有能な社員を流出させないための秘策を伝授します!(全2記事)

中堅社員が辞めない職場環境を作るための“5つの要素” 給与では改善できない離職問題への打ち手

会社としてもインパクトが大きい中堅層の育成。しかし、管理職育成や若手育成ばかりに目がいき、放置された中堅社員の離脱が止まらないというケースも。そこで今回は、株式会社PDCAの学校の宮地尚貴氏が有能な社員を流出させないための秘策を伝授します。本記事では、中堅社員の離職防止対策としておすすめな、フィードバックや日報制度を実施する際のポイントについて解説します。

中堅社員の離職を防ぐための対策

宮地尚貴氏:(中堅社員の離職を防ぐための)1つ目の対策です。キャリアビジョンやスキルマップが整備されていない会社さまは、整備していく必要があると思います。

あとは、転職理由や退職理由を見ていると、上司の部下への関わり方がけっこう影響している方が多いなと思います。特に20代の転職で、この理由を挙げられる方が多いです。なので、「部下を育ててくれない」「教えてくれない」「3年、4年働いてまだそういうこと言うのか」という感情になってしまうところはあるんです。

(中堅社員の退職には)管理職の関わり方も影響しているところがあると思いますので、管理職育成に取り組んでいるのか(もポイントです)。

3つ目が「評価制度が充実しているのか」。条件面でも「何年か働いて成果を上げることによって、きちんと自分にリターンがあるのか」というところもポイントになっているのかなと思います。

これらを整備していく中で、ぜひやってみていただきたいのが、まずは業務フロー、流れを整備していくことです。その上で、必要なスキルを洗い出していく。なので、業務の流れとは何なのかをまずは整備いただいて、その上で業務が洗い出せると、その業務を遂行する上での必要なスキル・能力を洗い出すことができます。

じゃあ、その能力の習熟度は、どのような基準を設けることができるのか。能力の基準値や成果に目標を設定して、そこから評価制度を構築していく。

なので、等級整備やキャリアマップがきちんと整備できていないと、評価制度の運用も途中で形骸化してしまうケースがあったりします。言葉で言うのは簡単なんですが、こういった流れで構築されるのがおすすめなのかなと思います。

日報制度を導入する際のポイント

(対策立案の)2つ目に関しましては、管理職がメンバーからの課題に対応しているかどうか、業務管理を行えているかどうか。

メンバーから相談ごとを持ちかけられた時に、それを上司が対処しようとしているのか、もしくは第三者の人事側が対処しようとしているのかが、まずは1つポイントになるのかなと思います。

1on1面談の実施、もしくは質の向上に手段としては努めていくのか。それとも管理職が業務管理を行っていくのか。日々の現場での行動力を高めていくために、管理職の方が部下のPDCAサイクルを支援するような働きかけができているのか。

なので、「放任になっていないか」というところがリンクしてくるところではあるんですが、ここも中堅層の離脱を防ぐ上での対策になるのかなと思います。

これは弊社でも必ずやっているんですが、日報制度を導入していたり、週報制度があったりします。上司がそこに必ずコメントを入れるようになっていて、その上司のコメントの質をさらに上の人間がチェックします。

なので、日報制度や週報制度を入れられてない企業さまは、まずは1日の業務をやって、「今日はこれが良かった、これが良くなかった。明日はどうしよう」「昨日より5パーセントでも10パーセントでも改善ができた」という(フィードバックの)積み重ねで業務への習熟度も上がってくると思います。

日報は「書いて終わり」になると意味がない

PDCAが現場任せになってしまうと、ちょっともったいないなと思いますので、それを手軽にやるのが、日報制度や週報制度になるところはあると思います。ただ、それも部下が書いて終わりになってしまうと正直意味がないので、上司が必ずコメントをつけるようにする。

できれば、上司がどんなコメントを入れているのかをさらに上の方が見て、上の方に指導のフィードバックをするという流れがおすすめです。これをやることによってメンバーのタスクも把握できますので、もしかしたら業務過多・業務の偏りがあった時に、上司の方が調整をすることができたり、現場・部下の状態を把握するきっかけにもなると思います。

実際に部内・課内でメンバー同士で意見交換をする時、「意見については進捗や可否を明確にする」という文言がありますが、意見交換をして、「じゃあこれはいつまでに進めよう」というのを、必ず期日ベースで明確にしましょう。

「じゃあ、いつまでにこれをやっていこう」というのが決まってない意見交換・会議だと、正直意味をなさないので、上司の方がファシリテーションができているのか。

あとは、意見が出た時にぼやかすのではなくて、それがマルなのかバツなのか、上司の方がきちんと理由も添えて伝えることができているのかも、関わり方ベースではけっこう大切になっていきますので、このあたりも押さえていただければなと思います。

管理職の責任と役割があいまいになっているケースも

3つ目です。管理職の現場指導に配慮があるかどうか、管理職が楽しそうに働いているか。この「楽しそうに」という表現が、もしかしたら間違っているかもしれないんですが、「充実感を持って働いているか」みたいなイメージです。

「管理職の現場指導に配慮があるか(ハラスメント要因)」とあります。これは、整備していかないと(ハラスメント)至るところで、場合によっては炎上してしまったり、知らないところで離職してしまうということが、どうしても出てきます。

よくある対策としては、ハラスメント研修や窓口の設置。ただ窓口の設置をしても機能してなかったら意味がないので、定期的な匿名アンケートの調査をやるとか。窓口を有効活用してもらうために、ハラスメント以外の勉強会も窓口主催でやっていく。よくあるのが、女性の働き方やキャリアについて考える機会です。

ハラスメント窓口主導でそういった勉強会をいろいろ企画して、窓口にとっつきやすくする工夫をされている企業さまもいらっしゃったりします。なので、「ちょっと機能してないな」という会社さまは、そういった試みもやられてもいいと思います。

あとは、管理職が充実感を持って楽しそうに働いているのか。管理職としての責務・役割を認識ができてない、現場業務でひっ迫してしまうケースが圧倒的に多いのではないかなと思いますので、それをどんどん委譲していかないといけないんです。

それを委譲していくためには、管理職の育成。管理職側がきちんと部下に指導をする……要は雑に仕事を振るのではなくて、仕事の振り方や、仕事を振った時の指導の仕方もありますので。そこで管理職の育成が求められているとか、部下を育成するという認識を管理職に持たせることが、やはりずっとついて回るところなのかなと思います。

「採用のどうしようもない失敗は教育じゃ取り返せない」

4つ目が「年齢・階層に空洞化がないか」「認め合う文化が醸成されているのか」「社内に相談できる仲間・社員が1人でもいるのか」。

上のところで言うと、採用人材のペルソナ化。弊社でも過去によくお客さまにお伝えしていたのが、「採用のどうしようもない失敗は教育じゃ取り返せない」。あからさまに自社に合わない人材をいかに教育しても、やはり合わないというのは拭えないので。

研修会社にも関わらず、若干無責任にはなってしまうんですが、採用と教育と評価制度はかなり密接に連動しているところがあります。前提の段階で、自社に合う人材を採っていくための取り組みができているのか。誰でも彼でも来たら入社、みたいにされていないか。

あとは、認め合う文化が醸成されているのか。社員は社内に相談できる仲間が1人でもいるのか。大企業もそうですが、中小企業だと特に横の連携が大切になってくるのかなと思います。

ここでおすすめなのが、「ナレッジ共有の機会を設ける」というものです。弊社内でもよくあるんですが、プロジェクトベースとか、もしくは若手だけで週に1度集まって「今週の営業の取り組みはこうでした」「ここが良くて、ここが難しかった」(と共有し合う)。

一般的には縦でフィードバックをもらう、上司からフィードバックをもらうケースが多いとは思うんですが、同じ目線に立っている人たちからお互いにフィードバックがある。これがナレッジ共有というものです。

「自分は、目標達成のために今週はこの取り組みをやりました。その結果、こんな結果が出て、良かった点としてはこれで、課題はこれです。次はこうしようと思います」と共有して、それに対して同僚がフィードバックをしていく。

そうすると、例えば上司が部下を3人持っていた時に、上司の指導・育成の効率化も図れるんじゃないかなと思います。

フィードバックのコツは、賞賛やねぎらいの言葉から入ること

例えば、上司がAさんという部下と同行していて、Aさんに指導しました。この内容をBさんにもCさんにも知っておいてほしい。ただ、どうしても業務で、現場に入っていってBさん・Cさんにそれを言える機会がない。

また別で時間を取って言うとなると、部下が多ければ多いほど大変になってくると思うんですね。そこをある程度効率化していくために、部下同士で共有の機会を設ける。

「今週こんな活動をしました」と共有する時に、「上司の方からこういう指導をされたんですよね」というのもポロっと出てきたりするんですね。そこで「あ、そうなんだ。知らなかった」と、横の連携が深まっていく。上司の方も、1人に伝えたことが2人、3人、4人と派生していきますので、指導・育成の効率化にもつながるのかなと思います。

(スライドに)「フィードバックに賞賛を、被フィードバック者の真摯さに賞賛を」というところがあると思います。フィードバックをする方は、まずは必ず賞賛、ねぎらいの言葉から入る。

いきなりツッコミから入るのではなく、「今週も1日お疲れさまです。この取り組み、めちゃくちゃ良かったですね。ただ、ここが課題なんじゃないですか?」という構成で、フィードバックをするように訓練をしていく。

フィードバックを受ける側の方は、フィードバックを受けた内容に対して否定をするのではなくて、そこに対して受け止め表現をしたことに対して賞賛をしましょうということです。

年次が長ければ長いほど、フィードバックをもらったことに対して「いや、それでも」ってけっこう言いがちだと思うんですね。そこはいったん受け入れて、そのあとで意見交換か取捨選択をするのか(を決めていく)。

なので、フィードバックをもらったら、そこでいったん受け止める。受け止めたことに対して周囲は賞賛をしましょうというのが、ナレッジ共有を進めていく上で大切になる考え方です。

辞めない職場環境を作るための5要素

辞めない職場環境というところで、主にこの5要素が必要になってくるのかなと思います。「技能多様性」「タスク完結性」「タスク重要性」「自律性」「フィードバック」。

辞めない職場環境を作っていくためには、内発的動機ができる職場環境が1番良い。働いている中で自分で手応えを感じられるとか、裁量があるとか、成果を出したことに対してのインパクトが大きいとか、いろんな業務に精通している、能力が高いとかですね。

これらがあると(内発的動機としては)かなり強いのですが、これらを網羅するのはめちゃくちゃ至難です。そこで、部下のモチベーションを第三者から動機づけしていくために、このハーズバーグの動機づけ・衛生理論が考え方としてはおすすめです。

これは何が言いたいのかといいますと、動機づけをする時に、条件面で上司の方々が動機づけするケースはけっこう多いのかなと思います。それがいわゆる衛生要因で、金銭、作業時間、ワークライフバランスといったところです。

このハーズバーグの動機づけ・衛生理論は何が言いたいのかというと、衛生理論を解決したからといって、社員のモチベーションにならないと言っています。なので、条件面を解消したからといって、モチベーションに直結するとは限らない。

大切なのが、左側の動機づけ要因です。仕事の達成感、責任範囲の拡大、能力向上、自己成長。ここが動機づけできていればできているほど、定着率は上がるんじゃないかという考え方です。

なので、実際に第三者の上司の方から「今日もよくがんばったな」というねぎらう。本当にすぐできるところにはなってくるんですが、密なフィードバックをする。「密」というのはフィードバックの頻度ですね。関わりの頻度が大切なのかなと思いますので、フィードバックのタイミングをいかに増やすことができているのか。

採用アプローチから変えてみるという手も

フィードバックの内容としては、例えば「先々こうなってほしいから、今はこれについて取り組んでいこう」と、キャリアを見せる。

「今週1週間の中でこの業務ができるようになって、3ヶ月前と比べるとかなり上達しているね」と、仕事の達成感や充実感に気づかせてあげるようなフィードバックの仕方をすることによって、本人のやりがい・働きがいにつながってくるところがあります。

業務上のやり取りが業務上の指示だけで終わっていないかというのは、見直していただくといいのかなと思います。

ただ、若手育成・管理職育成・中堅層育成と、毎年本当に多くの企業さまに携わらせていただく中で、まず着手しないといけないのは……こういったWebセミナーだからお伝えするんですが、採用のアプローチから変えていく。

特に今、社会的欲求以降のより上位の欲求を持たれてる方は非常に多いです。「評価されたい」「仲間と切磋琢磨して働いていきたい」「自分はこのキャリアを構築していきたい」といった願望を持っている方は非常に多いです。

ただ、そういった方々は、キャリアも挙げるとキリがないので。僕らはあえて「なんとか働いていかないとダメなんだ」みたいな、その層を採るための採用を、まだ道半ばなんですが進めていこうとしています。生理的欲求を欲している、そこに欲を感じている学生を採ろうと。

今の若手社員が会社に求めていること

今、世の中の流れとして、若手は成長欲求があるとか、先ほど一般的なデータを共有させていただいたとは思うんですが、「自らの成長が期待できる会社に入りたい」と(いう若者が多い)。

なので、「成長欲求がある」という人はパイとしては多いので、訴求をした時に多くの学生の目に留まりやすいと思うんですね。

ただ、そうじゃなくて。学生も何十万人もいると、生理的欲求、安全の欲求、生きるため・生活をするための糧として職場で働いてる方は、一定数いるんじゃないかなと思います。よく言えば貪欲、悪く言いすぎてはいないんですが、悪く言えばちょっと博打みたいなところがあります。

いろんな新卒層を見ていると、この層を採りにいくのもありだなと弊社内では思っているので、今はここの採用のスキームを構築しにかかっています。

ここが構築できて、実際に採用して弊社内で活躍したところがあれば、この採用のデータもご共有ができればなと思っています。というところで、内容としては以上です。

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