2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
経営者力診断スペシャルトークライブ:上司としての悩みを一掃する! Z世代を育てる・人を動かす・転職で成功する、上司コミュニケーション術(全6記事)
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経営者やリーダー向けの各種セミナーを開催する経営者JPのイベントに、『部下を育てる上司が絶対に使わない残念な言葉30』著者の曽和利光氏が登壇。「Z世代を育てる・人を動かす・転職で成功する、上司コミュニケーション術」をテーマに講演を行いました。本記事では、これから活躍する上司像、コミュニケーションスタイルについて語ります。
井上和幸氏(以下、井上):あっという間に時間が経ってきた。僕らが話を進めていますが、ご質問があったらぜひチャットに書き込んでください。お話の流れとぜんぜんつながってないことでもかまいませんので、聞きたいことをどんどん聞いていただけると僕らはうれしいです。
あらためて全体的な話にもなると思いますが、(次のテーマは)「これから活躍する上司像、コミュニケーションスタイル」です。
曽和利光氏(以下、曽和):まとめると3つぐらいあるかなと思います。月並みな言葉ですが、やっぱり今は多様性の時代だと思うんですよね。Z世代といった世代論というよりは、博報堂さんが最近調査されたんですが「消齢化社会」といって、実は年代の差が消えてきていて、むしろ個人差が大きい。
井上:そうですよね。
曽和:僕はこっちのほうが実感があるというか。だからZ世代議論って、単にずーっと繰り返されている若者議論に過ぎなくて。昔、上の世代で「新人類」って言われていたというのは、なんかもう「一緒じゃん」みたいな感じがするんですね。
井上:(笑)。
曽和:世代間、年代間の特性も消えて、むしろ個人差が大きいとなってくると、マネジメントのポイントは、1on1というか「1to1」だと。何かと言うと、まずは目の前にいるメンバーを観察する解像度が高くないとダメだと思う。
どんな能力のレベルなのか、どんな性格で、価値観を持っているのか。あるいはどんなモチベーションリソースで、どんなキャリア指向を持ってるのかをかなり高い解像度で持っていることによって、1to1が初めてできるわけです。
曽和:メンバーからの情報収集の方法って、最近はパルスサーベイやエンゲージメントサーベイとか、1on1のミーティングが増えていますし、みなさんもやっぱりそこらへんは気にされておられるんだと思うんです。目的は何かと言ったら、そういう1to1のマネジメントをしていくというんですかね。
「俺のマネジメントスタイルはこうだ。ついてこい」じゃなくて、「この人はこんなタイプだから、こういうマネジメントをする」「この人はこうだから、こういうマネジメントする」ということができるようになるのが1つだと思います。
あと、これは業界によって違うので一概には言えないんですが、企業側の競争している領域が昔の高度成長期とは違っていて、あるものをいかに早く、安く、きちんと作るかという競争はだんだんなくなってきていて。もちろん、ある部分もあるんですけどね。
むしろ、どちらかと言うと差別化や創造性(が重視されている)。ということは、今抱えているメンバーたちの自立性や創造性をいかに引き出すかがポイント。「右向け右!」と言って統制を取ることの価値よりも、それぞれの持っているポテンシャルをいかに引き出すかが大事なので。
大変革する時とか、もう絶対に右を向かせなきゃいけないって時には牽引型のリーダーシップも必要だとは思うんですが、平時においては環境整備型(のリーダーシップ)ができるような人が、2つ目として大事かなという気はしますね。
最後は、働き方が本当に非同期になってきている。井上さんのところもフルリモートですよね。
井上:そうですね。
曽和:うちも金曜日だけが出社日で、あとはリモートなんですよね。今もZoomでやっていますが、お客さまとの仕事もZoomでやったり。「非同期」というのはわかりますかね? 時空を超えて働くということです。その時に何が必要になってくるかというと、言語化能力がすごく大事になってきてると思うんですよね。「言葉にする力」というか。
曽和:昔は「俺についてこい」みたいな、背中でマネジメントするのがあったような気がするし、「見て盗め」というのも通じたと思うんです。ただ、別にそれが古臭いとか、倫理的にどうこうってことじゃなくて、非同期のチームワークをやっていこうとした時には、「働いてる姿を見せる」ということも物理的に無理ですよね。
例えば今、僕がここでこうやって話していても誰も見てないですから(笑)。もしも同期のチームワークだったら、先輩が電話してるのが見えたり聞こえたと思うんですよ。でも、今はそういうのがないとすれば、結局時空を超えるものは言葉しかないと思うんですよね。
ですから今までのマネージャーよりも、これからのマネージャーは言葉にする力、言語化する力(が重要)。しかもフワッとした言葉じゃなくて、的確に、解像度も高い言葉を使う。国語みたいですが、語彙が多くないといけないと思います。
井上:そうですね。なるべく正しく、論理的に伝える、文章化することがすごく求められている。同時に、あたかもそこにいるかのように、ボディーランゲージや感情も含むようなニュアンスの書き方ができることって、すごく大事になったような気がするんですよね。
前者もなんだけど後者のところって、僕の偏見ですが、男性は下手で女性はすごく上手い人の比率が高いなって。単純ですが、どうですか(笑)?
実際に話せばぜんぜんそういうニュアンスじゃないのに、やり取りに落とした文章が非常に稚拙で、感情的表現を含んでないので舌っ足らずに見えたり。感情的に「反感を持ってるんだろうか?」って伝えちゃったりする率が、男性のほうが総じて言うと多い気がするんですよ。
曽和:生物学的にあるのかもしれないですが、例えば空間把握能力は男のほうがよくて、言語的なところは女性が(得意)というのもあったような気もします。ただあれって、遺伝なのか社会環境なのかもわからないという話なので、よくはわからないんですが。
曽和:1つあるとすると、男のほうが飲みニケーションやタバコ部屋文化があったりとか。
井上:そっちに頼りがちなんですよね。
曽和:「みなまで言わずともわかれよ」というか。男子校文化というか、部室のコミュニケーションみたいなものが、今でもやっぱりちょっと多いというのはあると思いますけどね。だから(男性のほうが言語化が)下手なんじゃないんですかね。
井上:そうですね。
曽和:酔っ払って「なんかわからんけどがんばろうや」と言って、「なんかわからないですけど、がんばります」で通用しちゃう、みたいな。
井上:あと、そもそも書くこと自体が面倒臭いとかね。
曽和:そうですね。別に男の人でも小説家はいますし、もちろん女性も、今の大河ドラマ(『光る君へ』)では紫式部をやってますが、あまり性別に関係なくできる人・できない人がいるかなと思います。環境で言うと、結果論としてですが、特にコロナ前からマネージャーをやってた人の変化が難しいような気もしますけどね。
井上:総じて見れば、みなさん概ね業務上のものは対応してるとは思うんですが、あえて言えば、「しょうがないな」ということで付き合ってるのか、そういう変化を自分として取り入れているのかという差は出てきてるような気もしますね。
曽和:でも、たぶん学ばなきゃいけないんでしょうね。
井上:余談ついでの話になるんですが、これを聞いていただいてる方の中で転職とかを考えてる方いるかどうかはわからないんですけど、例えば面接や面談をした後にフィードバックをいただいたりするじゃないですか。
曽和:はい。
井上:まさしく「書く」ということで言うと、フィードバックコメントを含めて、メールでの書き言葉上でのやり取り力って、結果としては僕らが見ているマネジメントの方々の採用され具合と連動してる部分が大きいと思います。
「こんな話が出ていて、非常にこの部分には魅力を感じた。でも、この部分に関しては今後確認をしたい」とか「この部分は自分にとっては違うかなと思った」みたいなことを、しっかりと長文を書いてくださる方もいらっしゃって。
フィードバックコメントをちゃんと書けるというところは、今日の部分で言うと表現言語力もだし、その方の思考力や論理性が紐づいていますから、やはりこうした部分をちゃんと書ける方は、特にマネジメント層においては力あり企業からも求められる人である確率が高いのは事実です。
逆に、例えば「良かったです!」しか返ってこない人たちは、ちょっとまずいなという感じだったり(笑)。
曽和:難しいですよね。仕事においては、それを解像度を高く表現できないとダメでしょうね。これも余談ですが、僕は食レポができないんですよね。「おいしい」しか言えないみたいな(笑)。
井上:あはは。なるほど。難しいですね。
曽和:できる人、いるじゃないですか。「この味はどうでこうで」とか、すごいなぁと思うんです。なので、すべてにおいて言語化するって難しいとは思うものの、自分の携わってる仕事に関しては、単に「良かったです」じゃなくて、言い分けられることが必要なんでしょうね。
井上:そうですね。全部を書かなきゃダメだとはあまり思わないものの、書けないとダメになってるなというのは、すごく実感しますね。
井上:話して、なんとなく自分のことを全部伝えた気になっちゃうことって確かにあると思うんですよ。だから、会話や非言語コミュニケーション自体は今後もより重要だと思うんです。
ただ、曽和さんがさっき言ってくださったみたいに、それを前提としてできない中で、社内外業務を動かさなきゃいけなかったりするというところへの対応は、今、全員がすごく迫られてる気はしますね。
曽和:本当に難しい時代ですよね。「態度で示せ」とかだったらできていた。「感情を動かす」というのが難しいと思うんですよ。業務連絡みたいなものをきちんと間違いないようにやるのは、そんなにレベルが高いわけではないとは思うんですが、メンバーの感情を動かすための刺さる言葉を文章で書くって、どう思う?
井上:ねぇ。
曽和:でも、実際問題として文芸の世界はあって、あれは心を動かすわけですから、マネジャーもみんなコピーライターにならなきゃいけないというか。
井上:そういう側面はあるんですね。
曽和:そんな気はするんですよね。だからコピーライティングの勉強をするのって、マネジメントスキルとして、非同期のチームワークをやっていくのには大事なんじゃないかって思ったりもしますけどね。
井上:僕もそれはすごく思います。以前は必ずしも要らなかった気もするんですが、いまやコピーライティング力って確実に必要だなと思いますね。みなさん、どうでしょうか?
曽和:拡散した話だったなと(笑)。
井上:いえいえ、そんなことありませんでしたよ。パート1、パート2で、相対するミラーであるという話もしてくださいました。
井上:報連相の報告の観点で、曽和さんからシェアしていただくことってありますか?
曽和:報連相の報告のところだけ?
井上:いわゆる一般的な意味での報連相という観点で。
曽和:これも本(『シン報連相』)に書いてあることの中の1つなんですが、人によって「どれぐらい報告してほしいか」も違うわけです。いっぺんまずはやり過ぎてみて、「いや、そこまで要らないよ」って言ってくれたら、それは信頼されてると思ってちょっとずつ引いていく。そういう感じのやり方が、僕はなんかいいなと思っていて。
だから報連相のスタイル自体も、まずは上司と部下の間でコミュニケーションを取る。ある人とある人の中での理想の報連相と、ある人とある人の中ではまた違う理想の報連相があると思うので、最初はそれを実験することを厭わないのが大事だと思うんですよね。
井上:なるほどね。報告はあれですが、「任せているし、自己判断でやれるところだから、あえて相談してくれなくってもぜんぜんいいよ」みたいなこともあったりしますよね。
曽和:そうですよね。
井上:一方で、「それは確認・相談してほしいな」みたいなことをされないのも困りますし。でも、共有や報告の仕方の頻度、スタイル含めて、それぞれあるかもしれない。
曽和:結局、一番問題が起こってるところってそこだと思うんすよね。
井上:そこがズレてるっていうことですよね。
曽和:量とか。「この領域は相談しろよ、報告しろよ」「こんな細かいことは要らん」「いや、これぐらい細かくやってくれ」とか。そのズレが、やっぱりけっこう大きいところです。他にもいろいろ側面はあるんですが、一番と言われるとそこですかね。
井上:そうですよね。
曽和:そこはもう答えがないので、信頼度合いだったり、その部下のスキルにもよります。
井上:お互いのスタイルや関係性の両方。それと、コミュニケーションスタイルとかで決まっていきますもんね。
曽和:あとは、フロンティアの新しいことやってるのか、それともずーっと今までやってきたことをやってるのかによっても違うと思います。
井上:なるほど、ありがとうございます。だから、そこは個別に合わせていく。曽和さんのおすすめは、最初はちょっと過剰にやってみて、そこからチューニングしていく。それが一番いいですよね。
曽和:それがいいと思います。面接のすり合わせとかもそんな感じなんですよね。最初っからバンバン脅しまくる初期面接の人ってダメだと思うわけですよ。
でも、上げると「なんでこんなやつを上げたんや」って上に怒られて、それがトラウマになって、(合格ライン)ギリギリの人でも「んー、ちょっと証拠がないな。エビデンスがないな」と思って落としちゃうというふうになると、もったいないので。
上の人は上の人で「なんでこんなやつを上げたんや」って言っちゃダメだし、下の人は下の人で「説明できないんだけど“匂い”がする」という人は上げてみる勇気も必要だし。
井上:そうですよね。あと、先ほどの話で思ったことで、どういう表現がいいのかあれなんですが、上司の方はプレイグラウンドみたいなものをちゃんと作っているか? というのは、あらためてすごく思うんですね。
ゲームに例えるのがすべて正しいかどうかわからないんですが、「僕らがやっているこの部署のゲームは、こういうフィールドで、こんなことをやるんだよね」ということが、ちゃんとその上司から明確に提示されてるかどうか。会社からかもしれないんですが、そこは昔に比べてもすごく大事かなとは思うんですよね。
その上で、ゲームに参加しているメンバーの人たちには、なるべく裁量を持ってやってもらえるといいんじゃないかと思うんです。そうすると、そのゲームの中で「あなたはここまでぜんぜんやっていいんだよ」となって、みんなが自由と自己責任でやれる範囲をなるべく広めに取っていける感じだと、みんながやりがいを持てるんじゃないかなとか、成長できるんじゃないかなと思うんですよね。
曽和:そう思います。
井上:わかりました。では時間が来ましたので、ここで締めくくらせていただきます。曽和さん、今日は密度の濃いお話をありがとうございました。
曽和:こちらこそありがとうございました。
井上:みなさんも、いくつか具体的な取り組み方も拾っていただけたのではないかと思いますので、ぜひ実践していただければと思います。
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