2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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田ケ原恵美氏(以下、田ケ原):イベント「シゴトイノベーション」(2022年11月24日開催)の「強いチームの作り方、チームのマネジメント術」というセッションに登壇したヤッホーブルーイングの代表取締役社長、井手直行さんのプロフィールです。
電気機器メーカー、広告代理店などを経て、クラフトビールの製造および販売を手がけるヤッホーブルーイングに営業担当として入社。地ビールブーム終焉のあと、再帰をかけ、2004年に楽天市場店の店長として、ネット通販事業を軸にV字回復を実現されました。
2009年より代表取締役に就任し、フラッグシップ製品「よなよなエール」を筆頭に、個性的なブランディング、ファンとの交流にも力を入れ、現在まで19期連続増収。クラフトビールメーカーが国内でおよそ600社ある中で、シェアトップを誇ります。
そしてもうお一方、トゥモローゲート代表取締役、最高経営責任者の西崎康平さんのプロフィールです。大学卒業後、リクルート系ベンチャー企業に入社された西崎さん。大阪支社の立ち上げに携わり、入社2年9ヶ月で大阪支社の社長に就任。関西圏を中心に、大手ベンチャー企業を含む500社以上の採用コンサルティングに従事されました。
2010年4月、採用に特化した企業ブランディングサービスを手掛けるトゥモローゲート株式会社を設立されています。では、その井手直行さんと西崎康平さん、そして我らが入山マスターが登壇したセッション、「強いチームの作り方、チームのマネジメント術」の模様です。
入山章栄氏(以下、入山):「強いチームの作り方、チームのマネジメント術」というテーマでお送りします。今、いろんな企業やビジネスパーソンのみなさんが、チームの重要性をすごく見直されているなという印象があります。
これだけ変化が激しくて、いろいろチャレンジしなきゃいけない時には、いいチームを作っていくことがものすごく大事になってきます。今日のお二方は、まさにそのチーム作りについての第一人者でいらっしゃいますので、その視点からいろいろおうかがいしていこうと思います。
入山:まず、西崎さんからおうかがいしたいのですが、チーム作りの強い会社で思い浮かぶものってありますか?
西崎康平氏(以下、西崎):やっぱり、社員たちが楽しんでいる組織は強いなと思いますね。言い換えると、自発的な組織かなと思います。仕事をやらされているのではなく、いかに自分たちからよい会社作りをしていこうと(考えているか)。そのためにはビジョンが必要で、それがある組織はすごく強いなと感じます。
自分もいろいろ失敗してきたので、仕事を通していろんな組織ともかかわってはきたのですが、自分からやりたい、おもしろいと思ってやる仕事と、「これをやれ」と言ってやらされる仕事とでは、やっぱりパフォーマンスの出方がまったく違うなと思います。いかにそういう組織作りをできるかが、伸びる組織、成長する組織につながるのかなという印象です。
入山:今の西崎さんのお話、てんちょ(井手さん)はどうですか?
井手直行氏(以下、井手):そのとおりだと思いますね、楽しむのは大事です。うちも組織文化において、いくつかフレーズがあります。「自由に言い合えるようなフラットな組織」の1つに「仕事を楽しむ」というフレーズがあるんですよ。
「どうせやるんだったら仕事を楽しむように工夫しよう」というのを組織文化の1つに入れるくらい、楽しむのは大事ですね。
入山:「楽しむように工夫しよう」ということですね。
井手:そうです。仕事をしていたら、正直楽しくない仕事もありますよね。ただコピー1つ取るにしても、やらされてコピーするのは嫌じゃないですか。
入山:嫌ですね。
井手:でも、「どっちが早くコピー終わるか競争しようぜ」みたいに、ゲーム感覚でやると楽しいじゃないですか。工夫しながら、「あっちのコピー機も空いてるから2つ使ってやっちゃえ」みたいな感じでやると、早く終わるとかね。
そんなところを1つとっても、仕事をいかにエンターテイメントにして楽しんでいくかが、とても大事だと思いますよね。基本的には、「仕事が楽しくなるように工夫してやる」というのが、うちのやり方ですかね。
入山:すごい。今のお話、西崎さんはどうですか?
西崎:すばらしいですね。僕らもすごく通ずるところがあります。「いかに仕事を楽しく」というところの、僕たちのもう1つのテーマとしては、「任せる」ことをすごく大事にしています。
やっぱり、言われたことをやるというのはけっこうね......自発的になるのはすごく難しいんですけど、自分たちで決めたことをやると、より自発的になりやすいのかなと思います。
うちでは、目的を伝えることをすごく大事にしていて、「手段は自分たちで考えろ」と。「何のためにやるのか」とか「そのための自分たちの判断基準は何か」を、会社のほうでしっかりと明示します。
入山:なるほどね。本当にそのとおりなんですけど、日本の既存の会社は意外とできないじゃないですか。
西崎:そうですね(笑)。
入山:なんでできないんでしょう?
西崎:たぶん、それをやることによって、会社が成長するという実体験が足りないのかなと思います。
僕は実体験を得て、それができるようになったんですよ。というのは、2010年に会社を作って、それまでは全部僕が会社を見ていたんですよね。ただし社員が10人を超えてきたら、物理的に(会社を)見れなくなってきたんです。翌年、僕が会社に出なくなったら、その年が一番売上利益が上がったんですよね。
入山:(笑)。
西崎:よくよく考えたら、「なるほどな」という感じだったんです。これまでは全部僕が決めていたので、考える時間をめちゃくちゃ奪っていたなと。社員たちが何か提案しても、結局社長の意見になるし、お客さんとやりとりするのも結局社長だし、みたいなところがありました。
それを物理的に(会社に)行かないことによって、本人たちが考えなきゃいけなくなるわけじゃないですか。もちろん成功することも失敗することもあるだろうけど、その結果、経験を通じて本人たちが成長していきました。
僕が一人で対応するのと社員みんなで対応するのとでは、当然、割けるリソースも変わってきます。なので、それによって最終的にはお客さまの満足度が高まった感じがあります。
西崎:ただし、これにはいくつか前提条件が必要だと思っています。
入山:はい、はい。
西崎:ヤッホーブルーイングさんもそうだと思うんですけど、やっぱり、いい人材がいないと、任せることによってクレームが多発したり、会社の成長につながらなかったりすると思います。それが、自分がやってみて感じる部分でもありますね。
入山:そう考えると、仕事のアサインメント、つまりどういう仕事を割り振るか。そして、まさにご専門ですが、採用がすごく大事になってくるということですよね。チームのカルチャーに合った人を採用していかないと、そのまま崩壊するわけですからね。
西崎:そうですね。僕らのもともとの事業は、採用ブランディングです。言ってみれば、採用に特化した制作物を作っていたんですよね。採用パンフレットとか採用サイトを専門で作っていました。
採用だけに特化した制作物に振り切ってやったら、その頃は実績が際立ったものが多かったので、発注もたくさん来ていました。
ただ、そのサービスを使って採用してもらっても、みんなすぐに辞めてしまうんですよ。
入山:なるほど。
西崎:見た目だけを取り繕っているような状態だったので、実際にたくさんの人は集まるんだけど、入社したあとのギャップで辞めていくということがありました。その中で、「このままでは事業が続かないな」と思いました。
「いい採用をやりたい」とか「いいお客さまと取引がしたい」となった時に、「いい会社を作らないと、結局うまくいかないな」という至極当たり前の結論に至ったので、中から変えていく会社作りを支援する事業に、2018年からシフトした経緯がありますね。
入山:中から変える時に、最初にやることって何ですか?
西崎:完全にビジョン作りですね。
入山:お客さまの会社は、だいたいそういうビジョンを持っていないんですか?
西崎:基本的には、企業経営をされていて経営理念を掲げていない会社って、ほぼ皆無なんですよ。ホームページを見たら、経営理念ってだいたいあるじゃないですか。
「世のため人のため」と書いてあるんですけど、具体的に誰に対して「世のため人のため」と定義している(かを明文化している)会社は、ほぼないんです。
入山:「誰のために」というのがないんですか?
西崎:全部ひっくるめてですね。「誰のために」もないし、「自分たちの存在意義は何?」みたいなところ(もありません)。
入山:わかる、わかる。
西崎:「やっていいことと悪いことは何?」というところまでしっかり明文化したり、「5年後、10年後にどういう会社になっておくのか」というところを明確に指し示したりしている会社は少ないです。まず、会社の理念からしっかりと設計していきましょうと。
僕らで言えば、「世界一変わった会社を作ろうぜ」というビジョンが最終ゴールとしてあるんですけど、「そのために、まずは大阪で一番おもしろい会社作りをしよう」というのが中期ビジョンとしてあります。これは2025年までにやり切ると決めています。
入山:2025年までに、大阪で一番おもしろい会社にすると。
西崎:はい、そうです。
入山:いいですね。「はい、そうです」と言い切っていますよ。
田ケ原:(笑)。
西崎:本当にやる気なんですよ。今日会場に来ていらっしゃる方々に、「大阪で一番おもしろい会社はどこ?」って聞いた時に、一番うちの会社の名前が挙がるような会社作りをしていこうというのが、中期のビジョンとしてあります。
入山:いいですね~。
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