2024.12.24
「経営陣が見たい数字」が見えない状況からの脱却法 経営課題を解決に導く、オファリングサービスの特長
第595回 ビジクリ2.0『自走するチームを作るためには?』(全1記事)
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田久保善彦氏:グロービス経営大学院の田久保です。このコーナーでは、みなさまからお寄せいただいたさまざまなお悩みに、私からお答えさせていただいています。今日は、「どんなふうにしたら自ら学んで、自ら前に進んでいくチームを作れますか」という質問です。
もうだいぶ前になりますが、「学習する組織」というコンセプトが流行った時代がありました。ザックリ言うと、お互いにお互いが刺激を与えながら、組織として学んで良くなるという話ですよね。
昔、とある方とこんな議論をしたことがあります。「どうしたら組織が学ぶようになるのか。その答えはシンプルに、三角形のてっぺんにいる人がちゃんと学ぶことである」という話でした。
どういうことか。例えば、社長のすぐ下にいるのは役員ですよね。役員のすぐ下にいるのは執行役員。執行役員の下が部長、課長、係長、チームリーダー、そして新しく入った方々。会社というのはそんな感じで、多かれ少なかれピラミッド構造をしているわけですね。
そうすると、多くの人は、自分より1段上の人。もしくは1段飛ばして2段上くらいの人の背中を見ながら毎日ビジネスをしているというのが実態だと思います。
結果として何が起こるかと言うと、見ている背中に、自分の行動が似てくるということです。なので、例えば新人で入られた方はチームリーダーの背中を、チームリーダーの方は係長とか課長、最近だとマネージャーというポジションかもしれないですけれども、そういう人の背中を見て生きている。
マネージャーの人たちは部長を見て……みたいなことだとすると、答えはシンプルですよね。社長がサボれば役員はサボり、役員がサボれば執行役員はサボり、執行役員がサボれば部長はサボる。
逆に言えば、「これは一生懸命ついて行かないとヤバイよね」というくらいトップが学び、アクティブに動いていれば、連鎖的にその組織は学ぶ体制に、自走する体制に入っていくと思います。
この三角形は会社全体で捉えると今みたいな話ですが、5人や10人のチームでも同じだし、プロジェクトでも同じだと思います。プロジェクトのリーダーが、ちゃんと新しい情報を取って、「自分の能力を開発しよう。このプロジェクトを成功に収めよう」と思って、ガツガツ学ぶ姿勢を日々見せていれば、メンバーが感化されて学ぶような文化になっていくと思います。
一方で、その三角形のリーダーがあまり学ばない。「無難にやろうよ」みたいなことだと、自ら学ぶ組織だとか、自走してどんどん前に行くみたいなことには、なっていかないのではないかと思うわけです。
これって実は、家庭の中でも同じかもしれません。親の背中を見て子どもが学ぶ。ということは、親がサボっていれば、親が楽しそうに仕事をしていなければ、「なんか仕事っていいものなのかな」と思う可能性がどんどん減っていくわけです。いろんな意味で行動や考え方は、身近にいる影響力を持つ人から強い影響を受けるということです。
つまり、どうやったらいいチームが作れるか、自走できる組織ができるか、自ら学び合う組織ができるか。まず一丁目一番地は、そのチームなり組織の三角形のトップにいる人が必死に学び、自分の能力を高めようという姿を見せ続けることではないかと思います。このご質問をいただいた方は、まず自らの学ぶ姿勢を問い直してみるといいかもしれません。今日はこれで終わりにします。
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