2024.12.24
ビジネスが急速に変化する現代は「OODAサイクル」と親和性が高い 流通卸売業界を取り巻く5つの課題と打開策
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伊達洋駆氏:本日は「人事の流行を科学する 新しい概念・現象が注目を集め、廃れるメカニズムとは」と題して、1時間にわたってセミナーを行います。
まずは自己紹介です。株式会社ビジネスリサーチラボ代表取締役の伊達と申します。もともとは神戸大学大学院経営学研究科で研究者としてのキャリアを歩んでいました。大学院在籍中にビジネスリサーチラボという会社を立ち上げて、現在に至っています。
ビジネスリサーチラボでは、「アカデミックリサーチ」というサービスのコンセプトを掲げています。データ分析と研究知見を基にして、企業人事の方々、それからHR事業者の方々に向けてサービスを提供しております。
提供しているサービスとしては、企業人事向けには「組織サーベイ」といって、いわゆる従業員意識調査を実施したり、社内に保管されているデータを分析するサービスも提供しています。HR事業者向けには、組織サーベイや適性検査の開発の支援を行ったり、HRサービスを開発していく際のコンサルティングも行っております。
私個人としてもいくつか本を出させていただいています。『心理的安全性 超入門』という本を2023年の5月下旬に出させていただきました。それ以外にも幅広く、人と組織をめぐるテーマでさまざまな本を書かせていただいています。
そうしたいろんなテーマを扱ってきたからこそ、今日のテーマにつながっていくんですが、本日は「流行」についてお話しできればと思います。人事の領域で、流行が起こっては消えていくことがありますが、流行をテーマにしたセミナーはなかなかないですよね。
「流行を予言する」というテーマでもないので、どれぐらいの方に申し込みいただけるのかなと不安に思っていたんですが、なんと非常に多くの方の申し込みをいただきました(笑)。ありがとうございます。
私からの講演は6つのパートに分けて進めます。最初に流行とは何なのか、そのプロセスについて説明します。その上で「流行にはなかなか厄介な部分もありますよ」ということに触れ、最後に「流行とどう向き合っていけばいいのか」を紹介します。
私が話している途中でもけっこうですので、「さらに聞いてみたいな」という点、そして疑問に思った点もそうですし、私の話に対しての素朴な感想でもけっこうですので、ぜひ書き込んでいただければと思います。
ということで、本日は多くのスライドを準備してますので、さっそく内容に入ります。1つ目のパートは「なぜ流行は生まれ、廃れるのか」です。流行とは何なのかも含めて、お話しします。
みなさん、こういった言葉をご存知でしょうか。「人事は流行に従う」。「組織は戦略に従う」を少しもじった言葉ですね。それから「マネジメントは流行に敏感である」。前者は平野(光俊)先生という方が著書の中で言及されていて、後者はドラッカーが述べている言葉です。
みなさんが人事の領域でお仕事をされているなら、毎年のように流行やトレンドが現れることを体感しておられるんではないのかなと思います。
人事の世界の中にはたくさんの流行がありました。例えば、古くは職能資格制度もその1つでしょうし、年俸制もそうですし、それから目標管理制度も該当するでしょう。近年で言えば「ジョブ型雇用」も流行の1つです。
さらには多くの方の注目を集めている「リスキリング」。そして「エンゲージメント」もそうですし、私が本を書いた「心理的安全性」も流行の1つです。さらには「キャリア自律」も挙げられます。このように枚挙に暇がない状況ですね。
「流行を挙げてください」と言われると、それだけでこのセミナーが終わってしまうぐらい、人事の世界においては多くの流行が出てきています。「人事の流行」について考えていくのが本日のセミナーなんですが、その上で有益な研究知見を参照します。具体的には「マネジメント・ファッション研究」というものです。
マネジメント・ファッションという言葉、ちょっと不思議な言葉ですよね。どういう意味なのかというと、あるマネジメント手法が経営の進歩につながるんだとみんなが信じていて、それが広がっていくような現象を指します。
マネジメント・ファッション研究は、特定のマネジメント手法がなぜ広まるのか、どのように広まるのかを検討している領域です。マネジメント・ファッション研究を基に、本日は人事の流行についてお話しができればと思います。
流行という言葉を本日のキーワードにしているんですが、みなさんは流行と言われると、どんなイメージがありますか? もしかしたら、そんなにポジティブな響きがないかもしれません。
ただ、流行というものに対してポジティブな見方をしておきましょう。人事の流行は必ずしもネガティブな側面だけではありません。流行を取り入れるということは、今求められていることを導入・適用していくことにつながります。それは、環境の変化に対応するために必要なことだと考えることもできます。
流行を取り入れることによるメリットがあります。例えば、人事のトレンドを取り入れていくことによって、求職者を引きつけることができる。すなわち労働市場において、有利な立場を獲得できるかもしれません。
ほかにも、人事のトレンドを取り入れることによって、社員のモチベーション向上につながることもあるかもしれません。絶対につながるわけではないんですが、流行を取り入れると、求職者にとっても社員にとってもプラスになることもあります。
そもそも流行の発生は、人間の心理を踏まえると避けにくいものです。だからマネジメント・ファッション研究が成立しているんですが、流行が生まれることには人間の心理も関わっています。
例えば新しいものって魅力的ですし、ワクワクしたりしますよね。それから流行がどんどん広まっても、それを知らないとなると、取り残されてしまうことになります。そういったことを恐れる心理も関係してきます。
さらには「流行についていく」ということが、自己実現の手段になっているという方もいるかもしれません。
新しいトレンドをきちんと理解していることが、人事としての自分のアイデンティティになっているという方ですね。それが良いか・悪いかという判断は留保したいんですが、このようにさまざまな心理が関係してくるわけです。
ただ、みなさんご存知のとおり、流行したものの中で全部が全部定着するわけじゃないんですね。下火になってしまうものもあります。
先ほどいくつか人事の流行の例を列挙させていただいたんですが、その中にも「久しぶりに聞いた」「最近は聞かないな。昔はよく聞いたんだけれど」という言葉もあるかもしれません。下火になってしまうものもあるということです。
廃れてしまう理由はいくつかあるんですが、まずは人事側の理由が1つあります。そのトレンドを実践してみると、「あまり役に立たない」ということがわかることもあります。そうすると、やはり流行を受け入れなくなっていくわけです。
あるいは新しいトレンドが現れてくると、元のトレンドが廃れてしまいます。新しいものに目移りしてしまうということですね。
一方で、HR事業者側にも流行が廃れてしまう理由があります。HR事業者は、「自社にとってプラスになれば流行を広めよう」という気持ちになります。ところがある時点を過ぎると、流行を普及させていくことによる、経済的なメリットがあまり得られなくなってしまいます。
もしくは新しいトレンドを広めていくほうが、自分たちにとってプラスになるということが起こってきます。その結果、流行が鎮静化します。このように流行が消えることには、人事側にもHR事業者側にも理由があるんです。
流行はどのようなプロセスで広まって消えていくんだろうか? もう少し掘り下げてみたいと思います。これまでのマネジメント・ファッション研究を参照すると、およそ5つのステップに分けて整理することができます。
まず1つ目が「誕生」です。まさに新しいトレンドが生まれてくることなんですが、新しい人事の考え方や取り組みが出てきて、「新しいもの」として認識されます。
ただし、誕生した段階では話題になることはありません。広まっていないので当たり前ですよね。業界のどこかで新しい動きが起こってくるということです。例を挙げたいと思います。
私が出した本からの例で恐縮なんですが(笑)、『オンライン採用』という本を数年前に書きました。オンライン採用という流行がどのように生まれていったのか、例として挙げさせていただきます。
インターネットが普及する中で、例えばWeb面接や説明会を「オンラインで実践していこう」ということが生まれてきました。ただ、みんながその時点で「採用をオンラインですることができる」と、明確に自覚していたわけではありません。(あくまでも)一部で起こっていました。
新しい流行が誕生していくことをめぐって、なかなか興味深いのが「新しいトレンドって、どこから生まれてくるんだろうか?」ということなんです。みなさんはどこから生まれてくると思いますか?
「HR事業者が仕掛けているのでは」と思われるかもしれません。部分的には当たっているんですが、HR事業者がより貢献をしていくことになるのは、もう少し後のプロセスなんですね。新しいトレンドが生まれてくるのは需要側、つまり人事側です。組織の中で新しいトレンドは生まれてくるんです。
例えばオンライン採用の例を引き継ぐと、オンライン採用はもともとグローバル企業で行われていたんですね。グローバル企業だと国(同士)が離れてますよね。別の国の求職者と面接をしなければならない時に、飛行機で行っているとなかなか大変です。
往復だけでも時間がかかってしまう、あるいは日程を確保するために、面接の時期が先になってしまうことがあります。そうしたこともあって、「オンラインで面接できるのであればやってみよう」と、Web面接が生まれていきました。
あるいはグリーン採用の文脈の下で、オンライン採用が生まれていったという経緯もあります。グリーン採用とは、エコな採用を行っていこうということですね。
飛行機の往復もエコではないとか、あるいは紙を用いることもエコではありません。オンラインだとそうしたものが削減できます。そのような文脈で、オンライン採用が試行錯誤されていた時期がありました。
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