2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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管理職の社外メンターサービス「Good Team」を運営する株式会社Hitoiroが主催した本イベント。「部下がなかなか自主的に動かない」「せっかく採用しても早期離職してしまう」といった組織課題を持つ管理職の方や人事・経営者の方に向けて、より自律的に働く組織につながるための方法を解き明かしていきます。本記事では、Natural Organizations Lab株式会社 共同創業者の吉原史郎氏と株式会社Hitoiro代表取締役の山田聖子氏が、ビジョンが効果的に伝わるメンバーとのコミュニケーションについてお話しします。
山田聖子氏(以下、山田):では、次はビジョンの共有・共感のポイントですね。ここに関しては私がもともとマーケターなこともあって、共感を生むところではいろんなことをお伝えしたいなと思っているんですけど。今日は1つVAKコミュニケーションをご紹介させていただきますが、他のことも気になる方はまたぜひ遊びに来ていただけたらなと。
これは脳科学と心理学のNLPで取り扱われるものなんですけれども。人間は物事を認識する時、1つの感覚にしかつながれないと言われているんですよね。人間はその感覚を3種類持っていると言われているんですけれども、1つ目がVですね。視覚、目から入る情報で物事を認識する。2つ目が聴覚。耳から入る音で理解、認識する。
3つ目は体感覚ですね。これは雰囲気だったり、体で感じる感覚で認識をする、大きく分けてこの3つがあると言われています。視覚で認識する方は、結果思考ですね。イメージ、ビジュアルで認識をしやすい方ですね。最終的なイメージがちゃんと湧いていないと理解ができない。
聴覚の方はプロセスですね。プロセスを順番にちゃんと理解すると、全体が理解できるタイプ。3つ目の体感覚は、自分がその感覚をつかんだという、直感ですね。怖いと感じた、うれしいと感じたというその感覚を体で感じる、この3つのタイプがあります。
人間はすべての感覚を持っているんですけど、(人それぞれ)優位な感覚があります。部下やメンバーの方がどの感覚が優位なのかを日頃の行動や言動から理解しながら、その方に合ったコミュニケーション、伝え方をしてあげると受け取りやすくなります。
山田:代表的なものを少しご紹介しますが、視覚がお得意な方は、先ほどちょっとお伝えさせていただいた図やグラフ、映像や写真を使って、初めに全体像や結論をお伝えすると理解がしやすい傾向があります。
聴覚の方は目から見えるものだけじゃなくて、「なぜやるのか」「どうやるのか」をシンプルに軽快に言葉で伝えてあげる。そうすると方法や手順を順を追って理解していくので、個々がプロセス化されているとちゃんと伝わります。
こういう聴覚タイプの人を判断する時は、本をよく読まれる方、分厚い専門書がお好きな方はけっこうこの聴覚タイプだったりします。体感覚は体験を重視した伝え方の仕組みをされるといいと思います。
楽しいとかすばらしい、「なんかよくわからないけどいいな」みたいな、そんなところから入っていくとすごく興味を持って、それについて考えるマインドが立ちやすくなります。
だからわくわくする感覚を言葉にして伝えてあげたり、そういう体験ができる場を与えてあげられるといいかなと思います。史郎さん、今日はこんなことを伝えてみたんですけれどもいかがですか。
吉原史郎氏(以下、吉原):そうですね、やはり先ほどお伝えしたような、会話している時に日常の小さな喜びを聞くことは大切だと感じています。例えば、冒頭の自分の写真に出ていた方たちに「どんな小さな喜びがあったか」を聞いている際にも、わくわくと自分の言葉で話をされている場合には、言葉にその方のエネルギーがのっています。
ここでお伝えされている体感覚的なものは、(メンバーと)共にわくわくする感覚を言葉にして伝えていくことでもあるかなと感じています。
こういうことを積み重ねていくと、「リーダーとしてこれが大切なことだな」というのが湧き上がってきます。そういったものを例えば左側の視覚、写真のようなビジュアルに訴えかけるようなかたちで(伝えます)。
よくみなさんもキーワードや大切なことを言葉にすると思うんですけども。借りてきた言葉というより、先ほどの自分のわくわくする感覚を言葉にして活用していくことがすごく大事だなと思います。
吉原:これはティール組織の中でも語られていますが、一方でパーパスは言語化に頼りすぎないことも非常に大切なんです。一般言語にした瞬間に、この右側のわくわくする感覚が消えていく場合があるわけですよね。
例えば、パーパスを成文化することは大事なことではあります。ただ、「おもしろい」という表現を1つ取っても、公開情報として社内・社外で伝えていく時は「おもしろい」でも良いとは思います。ただ根っこの部分には、例えば「おもろいわ」とか「おもしろかった!」とか。なんかこう、その方が感じている、エネルギーがありますよね。
こういうエネルギーの動きも大事だよというのが、ティール組織の中で、フレデリック・ラルーが(エボリューショナリーパーパス:生命体的パーパスという言葉で)伝えようとしていることになります。
誰もがそうしたほうがいいというよりは、山田さんがおっしゃるような、「わくわくする感覚を伝えていくことができるな」と感じられた方には活用する。そして現場の仲間たちと一緒に仕事をしていくのは、自分もすごく大事だなと思いました。
山田:史郎さん、ありがとうございます。では次の自分らしくビジョンを語るポイントですね。けっこう管理職をされている方、経営をされている方って、日頃いろんなことに抑圧されることも多いと思います。もう目の前のことを追うのでいっぱいいっぱいになっちゃうことも多いと思うんですよね。
そうすると「自分の方針はなんだったっけ」みたいになることがよくあると思うんですけれども。利害関係なく自分の思いを素直に解放できる環境と仕組みを、ご自身のお仕事の中でも、日頃の生活でも持たれるといいかなと思っています。
それをどうやって持つのかを簡単にご紹介させていただくと、やはり自分なりにビジョンを描きたいという強い思いや欲求をまずしっかり持つ。その必要性をちゃんと理解して、そこをやっていきたいという思いをちゃんと持つ。
今度はビジョンを描き切るために、イメージして、言語化して、それを尖らせ続ける機会をご自身の中でも、環境としてもちゃんと持っていく。ビジョンを持って習慣化していくことで、そういう機会がどんどん作られていくかなと思います。
山田:やはり1人で自分の思いを明確にしながら深掘りしていくってすごく難しいと思うんですよね。それを仲間やメンターと一緒にやっていくことで、自分の思いを大切にした客観的なフィードバックをもらいやすい環境が作れてきます。
仲間やメンターに対して恥ずかしがらずに弱さを出すことができると、そこに対して新たな視点や手法を得られることがあると思います。ぜひそういった仲間と一緒にビジョンを考えていくこともしていただけるといいかなと思います。
仲間やメンターと一緒に考えることを習慣化していくと、リーダーとしての自信や誇りを形成していく中で、強みやリソースも発掘していくことができるかなと。それでこの3つが重なり合うと、自信を持って自分のビジョンを描いて、言葉にして伝えていける状態が徐々にできてくるかなと思います。史郎さん、なにかこのへんで感じることはありますか?
吉原:ありがとうございます。ティール組織の3つのブレークスルー、要点とつなげて重ねてお伝えさせていただくと、ティール組織はいわゆる「生命体組織」と言われております。
そのため、パーパス自体も「いのち」のように変わっていく。それをエボリューショナリーと表現します。つまり、「エボリューショナリーパーパス」という考え方が根幹にあります。これがブレークスルーの1つ目です。
そこからビジョンが生まれて変化していくことがこの山田さんのスライドを通して感じたことです。そういったことを可能にするために、2つ目のブレークスルーである全体性、ホールネスがあります。これは「個人としての全体性」です。
「素直に解放できる」とおっしゃっていたと思うんですけど、本当に神聖なものなので、プライベートをたくさんしゃべるのがお好きな方はそれでも良いと思うのですが。
ただ、人によってヘルシーな度合いは当然違うわけで、素直に健全に解放して「そうだね」と受け止めてもらえるような全体性を育む土壌がすごく大切で、そこともすごくつながるなと思いました。
吉原:3つ目のブレークスルーの「セルフマネジメント」とは自主経営という意味なんですけれども。要はこれは「誰もが持ち場で力を発揮できるプロセス作り」を意味しています。つまり、今日のテーマである「ビジョンを語る」ということについても、これ自体がプロセス作りのひとつですよね。
「ビジョンを本心から語れるプロセス作り」と見ていて、このプロセス自体が生き物なので、少しずつ試行錯誤を通じて育んでいくところがあるかなと思います。
ティール組織を活用していく時に、「どこまで最初に決めれば良いのですか?」というご質問をいただいていました。
まずは、決めちゃったら良いと思うんですけど、大事なことは、試行錯誤によって変わり続けていくことを歓迎する姿勢です。そのため、最初から試行錯誤をし続けられるように心構えをしておくことが大切です。
つまり、ご自身で始めた時は1人で決めればいいんですけど、仲間が増えてきた時に、例えば「どういうプロセスが育まれていくか」はやはり本当にチームや部署ごとに違うので。そういったものをまずは良しとして、プロセスが生き物として育まれていくんだという感覚をリーダーとして持っておく。
そういった自己修正性の高いシステムが生まれてくるプロセス自体が生命体的な組織につながってくるかなと思ってお聞きしておりました。
山田:史郎さん、ありがとうございます。今まで史郎さんがサポートなどで入られた企業さんもあると思うんですけれども。リーダーがビジョンを語れない状態から語ることができるようになった成功事例をご紹介いただけたらうれしいなと思っています。ちょっと私がゆっくり運営をしてしまいまして、1つ2分ぐらいでお話しいただけると。
山田:まず1つ目が、ビジョンを語るところでのお悩み。なんのためにやるのか、ビジョンと言われても、売上しかイメージできないんだよというお悩み。これに対していかがでしょうか?
吉原:僕自身もそうでしたし、先ほど紹介したある企業さんもそうですし、当然その売上という数字がありますよねと。ただその中で、「その数字を通じてお客さんにどんな状態を実現したいか」ということと、「それをどんな仲間たちと協力して実現したいか」という、この2つの問いは必要です。それに対して、ああでもないこうでもないという対話を続けます。
会社の規模にもよりますけど、直属の上司が社長や役員、あるいは部長、課長の場合もあると思うんですけども。やはり上司がそういうキャッチボールを長い目でできることがすごく大切です。昇進資格のためのものではなくて、やはり少なくとも毎月1回ぐらいはそういう(数字以外のビジョンを共有する)場を作って、そのスペースを確保することが大事かなと思いますね。
もしさらに視野が広い人であれば、ふだんお世話になっているサプライヤー(製品の部品などを製造して供給、納入して下さる取引先企業の方達のこと)のみなさんと、どんなつながりを持ちたいかとか。そういうふうに視点を広げていくことも大切かなと思います。
山田:ありがとうございます。売上からその先へ、常に意識しながら視点を徐々に広げていくやり方をされるということですね。
山田:じゃあ2つ目のお悩みにいこうと思います。「現場にはビジョンを語っている時間がないんだよ」というリーダーさんがいらっしゃるんですけど、こういったリーダーさんがビジョンを語れるようになるにはどうしたらよろしいでしょうか?
吉原:例えば、僕の場合だと、リゾートホテルですよね。僕は経営者ですけど、リゾートホテルの現場にいますので、結局振る舞いであったり言動のすべてがビジョンを体現していると感じています。
コピーを頼む時であっても、それぞれのリーダーが大切にされたいことはもう表現されていて、日々みんながそれを見ていますから、時間がないことは心配しなくても大丈夫かなと僕は感じています。
むしろ、時間を取ってしゃべったことでビジョンが伝わっていると思うと、危ないかなと思います。なぜかと言うと、もし、話されたビジョンとの間に日常との乖離があった場合、みんなは何を信じると思いますか? (むしろ)日常とのギャップを見てしまいますよね。
やはり、日常ありきだと思っていますし、その上で大事なストーリーを伝えたいんだという思いがあれば、先ほど、山田さんがお伝えいただいたように自分の言葉で視覚的にも、聴覚的にも入りやすいかたちで表現をしていく。そういった工夫をリーダーはしていくべきだなと思っていましたし、(自分自身でも)そういう部分がありました。
山田:ありがとうございます。やはり時間を取るよりかはそういう仕組みをきちんと日頃の働く中でどんどん入れていくことも大事なんですね。
吉原:そうですね、それはすぐできることですね。当然、例えばまとまった時間でキャンプをしたりとか、森の中でリトリートをしたりとかができればすばらしいですけど、なかなか難しい場合もあると思うので。その中で何ができるかと言うと、少なくとも、先ほどお伝えしたことはできるかなと思います。
あとは会議の時に数字の話も当然出ると思うんですけど、その中でそういうビジョンに近いものをシェアしたり、みんなで考えたりするような場作りの工夫をしていくことも、すごく大切です。それは山田さんがおっしゃるように1人でやる必要もなくて、例えば山田さんのような方に手伝ってもらいながらやるとかもあるかなと思いました。
山田:史郎さん、ありがとうございます。では最後、3つ目ですね。「正直組織ビジョンの前に自分のキャリアもよくわからないんだよ」と。今まで上司からも語られたことがないから、しっかり考えたことがないというお悩みをよくいただくんですけど。こういったことはどうしたらよろしいでしょうか?
吉原:仕事をしていて小さな「うまくいったな」とか「できなかったことができた」とかを大事にしていくのはすごく重要だなと思います。
キャリアというのは、振り返った時に「こんなことがあったな」というストーリーになっていくと感じています。仕事のキャリアと捉えてもいいんですけど、人生と捉えてもいいわけじゃないですか。
「どうしてこのチームに入ったのかな」「この会社に入ったのかな」とか、「こういう仕事がしたかったな」。最初のエントリーしている瞬間って、叶うかどうかわからないですけど、そういうものを持たれていたと思うんですよね。
それが今実現している場合、していない場合があると思うんですけど。「こういった喜びを感じられるな」ということをしゃべることができるとベストですし、それが難しい場合、僕も会社員の時にそういう苦しい時間がありました。
だからそれを耐え忍ぶということも当然あるんですけれども、やはりその時は社内にいらっしゃらなければ、僕の場合は20代の時に社外のコーチングセッションに出た時があったんですけど。
そういったすばらしい仲間たちと触れ合うことで、ちょっと視界が開いて、結果的に転職される方もいますし、会社の中に残られる方もいらっしゃると思うんですけども。自分の人生として今の会社を見てみる。
当然ご家族の状況とかいろいろあって転職が難しい場合もあるので、一概に言えないんですけど、ちょっと広い人生という視点で見てみることも、場合によっては大事かなと感じました。
山田:史郎さん、ありがとうございます。いろんなお悩みがあると思いますけれども、ビジョンを語ることは今日できなくて明日すぐできるというわけではないので。今史郎さんから3つご紹介いただきましたけれども、できるところから一つひとつやっていけるといいのかなと思います。それでは史郎さん、ここまでありがとうございます。
吉原:ありがとうございます。
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