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営業人生「年代別の壁」突破策 〜1万人に聞いてわかった「知っている人だけが得をする」ルール〜(全3記事)

30代は「付き合わない人」を決める時期 会社員人生で最も差のつく10年間の歩き方

数々の年代本ベストセラーを刊行してきた大塚寿氏が、営業パーソンの年代別に立ちはだかる「壁」に対処する策を解説する本イベント。営業パーソンとしてブレイクスルーしたい20代・30代から、営業パーソン・マネージャーとしてどのような道を進むべきか悩む40代・50代まで、人生設計のヒントをお伝えします。本記事では、心が折れやすい20代へのマネジメント法や、30代の壁の乗り越え方を解説しました。

前回の記事はこちら

自分たちの時代のやり方では、20代には通用しない

大塚寿氏:今度はそれぞれの壁と対処策という切り口で見ていきましょう。今日は20代の方がいらっしゃらなかったので、みなさんの後輩、あるいは部下や社員へのマネジメントや育成という目線でヒントを得ていただければと思います。

20代の壁って今どういうことが多いかというと、これは最大公約数的な壁なんですけど。要は、理想と現実の狭間で何が正解かわからず空転してるんですね。ここで大事なのが、実は正解なんかなかったりするんですよ。これだけ外部環境がダイナミックに変化していくと、やってみなければわからないことが多いんですね。

つまり、日本で1992年にバブルが弾けて、まあまあそこから1997年ぐらいまでの時代は、「こういうやり方をすればこういう成果が得られるよ」っていうほぼ正解チックな営業のアンサーもあったんですよね。

ところが、それからの長い失われた30年間の間に、もう成熟経済、下手すると低成長どころかマイナス成長経済だったりする場面もあって。となると、過当競争になって競争が激化しているので、かつてのやり方じゃ成果が出なくなってしまったんですね。

何が正解で、何が良いか。あるいは「去年はこうやって良かったから今年も」ということが通用しなくなった。要は、誰も正解がわからない時代になってるわけですね。

それを「自分たちの頃は」と話してしまうと、昭和とか平成前期の古き良き、誰が売ったって売れていた時代の話を今の若い方が聞いたって、「それはあなたの営業力で売ってたわけじゃなくて、時代が良かったから売れたんですよね」と映るんですよね。ということで、ちょっとマネジメントの課題になってたりするんですけど。

受験勉強とか受験とか偏差値、日本の教育の弊害と言ってもいいと思うんですけど、みんな正解を求めるんですよね。ところが、正解なんかやってみなきゃわかんないんだから「これが正解ですよ」「はい、お口開けて」というふうに正解を放り込めないんですよ。

ということで、与えるほうは正解を与えられないし、口を開けて正解を待っている20代は欲求不満になっちゃうし、みたいなことでマネジメントも空転状態になってしまうことが多いんです。

マネジメントの正解は「集中体験」にある

じゃあどうすりゃいいんだ、って話なんですけれども。要は20代の方については、とにかく失敗を恐れず、いろいろやらせてみるのがマネジメント上、正解。ちょっと20代がいらっしゃらないので、マネジメントの話にしてしまいますが。

「成功体験が大事です」ってことはみなさんも感覚的にわかると思うんですよね。なんで成功体験が大事かと言うと、目の前にある業務、タスク、予算、目標などの難易度を測るものさしが自分の中にできるんですね。

成長体験によって、このものさしがどんどん育ってくるんです。「今回の案件は非常に難易度が高いけれども、去年やってたあの案件よりマシだ」って成功体験があると。去年よりマシだということは、がんばればできると思えてモチベーションが湧くんですよね。

どんどんまっすぐ進んでいけるので、成功体験は大事と。ところが「大塚先生はそう言うけど、私たちの業界じゃ今日びそんな簡単に、20代に成功体験をさせられないんですよ」という(声もあります)。それって一面の真実かもしれないですけど、そういう場合はぜひみなさん、集中体験をさせてほしいんです。

小っちゃいタスクでもいいし、期限の決められた間に「何かに集中して自分だけでやり切った」という集中体験をさせてほしいんですね。「あの時、自分はやりきったんだ」という体験が、このものさしを成長させてくれるんです。成功体験をさせられないんだったら、同じ効果がある集中体験をさせることです。

今度は失敗も非常に大事です。失敗して炎上させてしまったり、出入り禁止になってしまったりということで、痛い思いをして覚えるじゃないですか。それを「可愛い、可愛い」と上司が出ていかずに体験させる。ただ、心がポキンって折れやすい20代には、ちょっとフォローが必要だと思うんですが。

とにかくここで失敗も同じように体験して、「次はこうしよう」と同じ失敗をしないように、自分で学ぶ。メタ認知みたいな言い方もありますけど、自分で学ぶことを体験させてほしいと思います。

「嫌われたくない症候群」が生産性を下げている

あと、質より量が大事だよと。量質転化と言いますけど、いろいろ量をこなす中で、質に転換させていきましょう。ただし、いいですか? 時間を犠牲にして成果を出す時代はもう終わってますので、必ず定時内。定時の中で効率よく、サクサクと量をこなしていくことを心がけましょう。

あとこれも20代のマネジメントということで考えてほしいんですが。とにかく良い見本と手本に触れさせる。特にみなさん、これは注意していただきたいんですが、営業って説明じゃ伝わりません。

なので、見本と手本が必ず必要なんですね。営業ではもう半分も説明じゃ伝わらないので、同行営業とか、ロールプレイングでやってみせる。それもうまい人の同行をさせたり見本を見せないと、どんどん悪い癖がついちゃいますんで。クロージングの仕方とかプレゼンの仕方で、良い見本にたくさん触れさせることを重視していただきたいと思います。

あと「嫌われたくない症候群」が生産性を下げてしまう。これは何かというと、安請け合いしないということです。「本当は自分の仕事じゃないんだけど、お客さんに嫌われたくない」「関連事業部に嫌われたくない」とぜんぶ安請け合いして、自分の仕事じゃないのに抱えてしまう。

すると本来やるべきことが疎かになって、何もできなくなって、期限どおりにできずにみんなに迷惑をかけてしまうと。(20代は)抱え込みすぎることがあるんで、ちょっと注意してあげたいですね。ということで、ちょっと20代のお話をしておきました。

30代での人間関係が未来を変える

ここからいよいよ30代の話ですね。30代は何が壁かというと、とにかく実力の差がはっきりするのが30代なんですね。要は、会社員人生で最も差のつく10年ということです。

20代の時は脇役というか、ちょっと修行の意味合いもあったんですけど。20代の脇役時代から、30代になると主役の稼ぎ頭になるわけですね。論語の「30にして立つ」じゃないですけど、その結果、最も差のつく10年になってしまう。

そういう意味では、営業というかビジネス、会社員人生の天王山って、やはり30代なんですね。なので「この天王山で土台を固める10年にしたほうがいいですよ」ということなんですけど。

「じゃあどうすりゃいいんだ」って話なんですが。とにかく30代は業績を意識しましょうと。あともう1つは、業績とはぜんぜん違う話なんだけど、付き合う人で未来が変わるという。30代は特に付き合う人を考えてほしいんですよね。どういうことかと言うと、実は30代から大きな別れ道がスタートする時期なんです。

実は会社の人間関係って、エネルギーを与えてくれる人と、エネルギーを奪っちゃう人がいるんですよね。プラスのエネルギーと、マイナスのエネルギーです。マイナスに関わっていくとどんどんネガティブな発想になっていって、批判的に物事を見るようになるんです。要は負け犬根性になってしまうので、なるべく付き合う人を選んで自分にポジティブなエネルギーをくれる人と付き合っていく。

「あなたとは付き合いませんよ」とは社内では言いにくいですから、フェードアウトというか距離を置くとか、いろんなスマートなやり方があるかと思うんで、とにかく付き合う人を決めていきましょう。

この付き合う人の選択って、20代では早すぎるんですね。40代では今度は遅すぎるんですよ。まさに30代の10年がポイントになりますんで、ここんとこは注意してください。

プレイヤーかマネージャーか、自分の適性を見極めるには

あとみなさん30代の方は、営業パーソンとしてプレイヤー向きなのか、あるいはマネージャー向きなのかを考えていただきたいです。いいですか。プレイヤーとして一生、生きていくのか、あるいは、チーム全体の数字、課の数字を見て育成するマネジメント向きなのかを考えるんですね。

その背景として、今8割が課長にすらなれない時代なんですね。営業組織も非常にフラットになってますんで、その中でみなさんはどういう志向をするのかと。強みとか特性がどっちに生かされるのか。

あるいはみなさんの好みもあるかと思いますし、それよりも会社とか上司とか、後進の評価を重んじる会社さんもあるかと。みなさんの所属団体によるかと思うんですけど、学生時代に個人競技がお好きだったか、団体競技がお好きだったかという選択もあるかもしれないですね。

リーダーとマネージャーってちょっと似て非なる場合もありますけれども、子どもの頃から自分はリーダー向きじゃないと思っている方もいらっしゃいますかね。実は今のリーダーシップ論って、学校の中の生徒会長とか学級委員を決める「私がリーダーをやります」というのとはぜんぜん違っていて。

「この人にリーダーをやってほしい」と周りが付与するんですね。持って生まれた内在する能力ではなくて、周りの人、あるいは経営側、会社側が決めるものなんですね。なので自分がリーダー向きだとかリーダー向きじゃないとかは、単なる錯覚の場合もあります。

これは大きい実験だったんですけど、ある会社の同期が百何人いたとして、リーダーに向いてそうなトップ5人と、「この人がリーダーはダメだろう」というボトムズ5人で同じプロジェクトをさせたら、ボトム5人のほうがよっぽど出来が良くて、いわゆる成果物の品質が上だったと。

「船頭多くして船、山に登る」じゃないですけど、「俺が俺が」と自分がリーダー向きだと自覚してる人がマネジメントが上手いとは限らない。周りが付与することが組織論としては正しくて、今主流になっています。ということで、30代のお話でリーダーシップについて補足しておきました。

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