CLOSE

心動かす「伝わるプレゼンの法則」~ストーリー編~(全3記事)

自社商品の説明ばかりのプレゼンに必要な“コンセプトの軸” ドンピシャでターゲットに当て、成果に結びつけるコツ

商品やサービスを購入してもらうために欠かせない「提案力」。それには、聞き手の目線に立ったストーリー作りや、商材の魅力を伝えるプレゼン、相手の課題解決へ導くトークなど、さまざまなスキルが必要です。そこで本記事では、提案力を身につけたい起業家やセールスパーソンのために「プレゼンの法則」を全3回にわたってお届けします。第1回目の「ストーリー編」となる今回は、株式会社MOVED代表の渋谷雄大氏が、プレゼンのコンセプトの作り方や相手を動かす伝え方について解説しました。

前回の記事はこちら

プレゼンのコンセプトに必要な軸とは

渋谷雄大氏:2つ目。プレゼンのコンセプトを考えていきたいと思います。これは相手目線で考える時にすごく大事な質問なんですけれども、まずは「誰にこの話をしていくのか」によって、話し方とか話す内容を変えていきます。

だから全部同じ資料で話すんじゃなくて、相手によって話し方を変えていかなきゃいけないですし、誰のために話すのかを、あらためて考えていかなきゃいけない。

その人がプレゼンを聞いたあとになんて言ってもらいたいか。「ああ、このサービスをもう本当に求めてました。すぐ買います」みたいに言ってもらいたいんだったら(どうしたらいいか)。

まず「誰に話すか」と「その人が聞いた時にどういう反応をしてほしいか」を軸に考えると、プレゼンの内容がブレなくなります。こういうのを「コンセプト」って言うんですけど、これを作っていくのが大事です。

「相手にこう動いてほしい」という視点で考える

例えば、採用イベントとかで会社説明会をする時に、まずはじめに「こっちの話をどう伝えよう」となりがちなんですよね。会社概要、事業内容とか、よくあるようなテンプレートを並べて情報を入れていきますと。

「うちの会社は売上はこうで、事業内容はこうで、提供サービスはこうで」と、どうしてもテンプレート的に話しがちなんです。でも「どういった会社で、私が入ったらどうなるのか」が、やはり相手にとって大事なことですよね。

就職活動する時に失敗したくないじゃないですか。例えば相手が就活生であったら、「この人にどう言ってほしいか」とまず考える。例えば「この会社に入ったら楽しそう。やりたいことができそう」って思ってほしいんだったら、「相手にそう思ってもらうためには何を話したらいいか」っていう視点で考えていくんですね。

そうすると、例えば会社概要はもうパンフレットを見てもらえればいいと。(プレゼンで本当に伝えるべきなのは)「どんなメンバーが働いているかも紹介します」とか「うちはこういうビジョンがあるんです。一緒にやっていきませんか」とか、あとは「どんな人を求めていて、どんなキャリアが積めるのか」とか。

そうすることで(応募者が)やりたいことができるかの道筋が見えますよね。「楽しそうって思っていただけるように、去年入ったメンバーの生の声を話してもらうのがいいんじゃないか」とか、まず相手視点で考えていくのが、本来のプレゼンの作り方になります。

自分目線じゃなくて「相手にこう動いてほしい」というところに合わせて作っていくのが、大きなポイントになります。これはすごくおすすめなので、ぜひ使ってみていただきたいなと思います。

ドンピシャでターゲットに当てるコツ

ということで、まず自分目線から相手目線の話し方に変えて「相手を主語にしよう」という話をしていきました。そして「その相手は誰で、プレゼンでどういう話をしてほしいと思っているか」を考えていく。これがコンセプトですね。

そうすることによって、これから何を話したらいいかを、相手目線で考えていくことができる。今日はちょっと細かなところはやらないんですけど、「じゃあ相手は誰なんだろう」と考える時は、「どんな人なのか」「何に興味がある人なのか」とか、その人の課題や心配ごとを書き出していくんですよね。

これがこのあとに話す「ペルソナ」とよく言われるものです。事業を説明する時に、例えば「男性向けに提供してます」とか「40代に提供してます」とか、「東京に住んでる人に提供してます」って言ったり。

これはターゲティングやセグメントと言ったりしますよね。「うちのターゲット、うちのセグメント」って使い方をよくするんですけど、そういう人っていないんですよ。「40代の人」っていうのは、人じゃなくて大きな括りなだけで、もっともっと絞っていかないと、やはりドンピシャで当てられないんですよね。

これを考えていく時には、あらためて「みなさんの事業で誰を助けたいのか」を、めちゃくちゃ絞っていくのがおすすめです。その要素としてさっき挙げた属性情報ですね。42歳男性とか、右に出てますけど「佐藤昇さん、男性、59歳、会社員で東京世田谷区在住で、既婚で」とイメージできるぐらいにその人(の情報)をどんどん書き出して絞り込んでいく。

そうすると「この人に喜んでもらうプレゼンにするにはどうしたらいいか」と、すごく(内容の)粒度が上がっていくんですよね。

「課題」と「興味」を深掘りする

あとはみなさんの提供したい商品、サービスに関するふだんの興味ですね。例えば車だったら、ふだん車に乗っているか乗っていないかによって、話す内容がぜんぜん違いますよね。どのブランドが好きとか、何を重視するのかが違えば、それぞれ相手に刺さるコミュニケーションが変わってきます。

めちゃくちゃ燃費がいい車を求めているのか、運転する楽しさを求めているのか、安全性か、とかですね。それによって伝えるメッセージがぜんぜん違ってくるので、そのための商品の興味とか行動って、どんな状態なんだろうと考えていく。

あとは一番大事なのが、やはり課題ですよね。何か課題があって「それを変えていきたい」っていうのが、お金を出したり商品を買うきっかけになるので、その人がふだんどんなことに不満を持っているか。それから「こういう不満を持った人を助けたい」という自分の思い。

例えば私の場合は、今日もプレゼンが苦手っていう方がたくさんいらっしゃいましたけど、こういう課題を持った方が解決できたらやはりいいよねと。もっと成功していくし事業もうまくいくし、もっと良くなるから、このギャップをやはり超えていってほしいんですよね。

そういうふうに「じゃあどういう課題があって、それに対してどういうふうに未来が描けるのか」って考えていくのが、プレゼンをする時のポイントです。

プレゼンとは出発点から到着点へのストーリー

今日はこのへんをみなさんで考えていきたいなと思うので、1個だけワークを持ってきました。パソコンでやれる方は一緒にやっていきたいんですけれども。プレゼンとはシンプルに考えると、「出発点から到着点への道を示してあげるコミュニケーション」だと思ってます。これが何かというとこんな絵ですね。

まず相手目線で見ると、聞き手がA地点にいます。出発点に「課題」って書いていますね。つまり今、聞き手の方がA地点で課題を持っています。この人がプレゼンを聞いて動いた後に、未来の「B地点に行けますよ」と。シンプルに考えていくと、こういうストーリーがプレゼンなんですね。

「みなさん、プレゼンが苦手という課題はありませんか」と。「これはなんとかしたいですよね。プレゼンの課題が解決できたらどんなにいい生活、いい社会、いい仕事ができるか」と。

「プレゼンができたら、こんなことができます。事業も成功するし、多くの方を支援できるし、価値提供をしていける。こっちにぜひ行きたいですよね」みたいなのが、AからBなんですよね。

そのために、我々が提供するのがこのチェンジ「C」ですね。例えば「プレゼンの研修を受けませんか?」とか、「こういうサービスを使いませんか」というのがプレゼンの大枠になります。

自社商品は、あくまで問題解決のための手段

あらためてみなさんのプレゼンをこれでシンプルに考えてみていただきたいんですけど、まず「A」は、よく「As Is」って言われるところです。

みなさんが聞き手、プレゼンをする相手の現在の姿です。「会社の業務が、無駄が多くて非効率じゃないですか」とか、「残業が多くないですか」とか「家族との時間がなかなか取れてないですよね」みたいなのが、相手が解決したい課題になります。

これに対して、B地点。「To be」って言われるもので、「こうなりたい」という理想の姿です。「無駄な業務をなくして、お客さまに価値提供する仕事に集中したくないですか」とか、「仕事もバリバリしつつ、やはり家族の時間も大切にできるような、ワークライフバランスの整った働き方ができるようになりたいですよね」みたいなのがB地点です。

これがまずプレゼンの主体なんですよ。そもそも課題を持った人がいて、「この課題を解決することで、こんなにいい状態になりますよ」っていうのが、大事な軸になります。これはみなさんの事業でもプレゼンでも同じです。

そのためにみなさんは事業をやっていて、これから何かやりたいと思っているはずなんですね。なので何のサービスをやってるかも大事なんですけど、それ以上に「そのサービスを通して、相手が今の課題を(解決して)どう良くできるか」が、やはり相手が求めてることですよね。

どうしても情報提供のプレゼンをしがちなんです。要は「私の事業を知ってくれ。応援してくれ。使ってくれ」って話しがちなんですけど、それって自分の話ですね。そうじゃなくて、やはり主体は相手。相手はBに行きたいんですよ。

いかに「みなさん今こういう状態、こういう背景、こういう市場ですよね」というAから、「Bに行きたいですよね。だったらCを使ってみませんか」というところに持っていけるかが、プレゼンの大枠になります。

自分の話ばかりしちゃって、相手が出てこないことが本当に多いのですが、こうするだけで相手に伝わりますし、少なからず相手が自分ゴト化できます。そういうプレゼンができるようになるために、ぜひ押さえていただきたいポイントです。ちょっとこれで1回話すのを最後にしますね。

最後のアクションをひと押しするフレーズ

じゃあ「それが欲しい」と思っていただけましたと。これで終わっちゃうともったいなくて、プレゼンのゴールは行動してもらうことなので、その行動の仕方まで、最後にちゃんと伝えてあげてください。

「『この商品が欲しい』と思ったら、どうやって買えばいいのか」を、ちゃんとアクションで示してあげないとわかんないですよね。

相手はもう買いたい状態なので、例えば「ここから申し込みができます」とか「今ならもうちょっと安く買えます」とか「このQRコードを読み込んでください」とか。

プレゼンのゴールは相手にアクションを起こしてもらうことなので、それをちゃんと最後に伝えるのも大事なポイントです。ここも抜けてる方が多いですね。

最後にプレゼンの中で、「このサービスを30日間お試しで使っていただくことができます」とか「このサービスは、Webサイトからメールアドレスを入れるだけで使うことができます。お手元のスマートフォンでもすぐ申し込めるので、今ぜひ登録をしてみてください」とか。

「このQRコードを読み込めば、今すぐ申し込むと20パーセント割引で買えます」とか、この一言を言うだけで、相手の「これが欲しい。行動したい」というアクションのひと押しになるので、絶対にこのフレーズは入れるようにしていただければなと思います。

ということでバーっと話してきたので、1回画面を外して簡単なワークをしたいなと思っております。

【ワークショップ開始】

【ワークショップ終了】

続きを読むには会員登録
(無料)が必要です。

会員登録していただくと、すべての記事が制限なく閲覧でき、
著者フォローや記事の保存機能など、便利な機能がご利用いただけます。

無料会員登録

会員の方はこちら

この記事のスピーカー

同じログの記事

コミュニティ情報

Brand Topics

Brand Topics

  • 日本の約10倍がん患者が殺到し、病院はキャパオーバー ジャパンハートが描く医療の未来と、カンボジアに新病院を作る理由

人気の記事

新着イベント

ログミーBusinessに
記事掲載しませんか?

イベント・インタビュー・対談 etc.

“編集しない編集”で、
スピーカーの「意図をそのまま」お届け!