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心動かす「伝わるプレゼンの法則」~ストーリー編~(全3記事)

「プレゼンがすごく得意」はたった6% 人前で話すのが苦手な人に欠けている「相手目線」とは

商品やサービスを購入してもらうために欠かせない「提案力」。それには、聞き手の目線に立ったストーリー作りや、商材の魅力を伝えるプレゼン、相手の課題解決へ導くトークなど、さまざまなスキルが必要です。そこで本記事では、提案力を身につけたい起業家やセールスパーソンのために「プレゼンの法則」を全3回にわたってお届けします。第1回目の「ストーリー編」となる今回は、株式会社MOVED代表の渋谷雄大氏が、プレゼンが苦手な人にありがちなマインドについて解説しました。

プレゼン指導のプロ・渋谷雄大氏が登壇

渋谷雄大氏:「思いを伝えていく」というのが今回のテーマになりますけれども、あらためて伝わるプレゼンの法則ということで、今日はけっこう本質的な話をしていきたいなと思っております。

「相手に伝わる話し方、伝え方をするにはどういうところを意識したらいいか」ですね。みなさんにもただ聞いていただくだけじゃなくて、アクションもしていただきたいなと思うので、ちょっと簡単な質問です。

プレゼンは好きですか? 「得意」とか「苦手」とか、「ちょっと得意」とか、みなさんのニュアンスでいいんですけれども、このZoomのチャットにみなさんのプレゼンの好き度合いを、書いてみていただいてもよろしいですか。

「嫌い」「苦手」「やや好き」。ドワーッと(コメントを)ありがとうございます。今日は本当に多くの方にご参加いただいていて、プレゼンに興味、また課題感を持っている方が多くいらっしゃるんだなと、あらためて感じます。

「苦手」「苦手」「苦手」「苦手」「好き」。いいですね。比較的得意っていう方もいらっしゃいますね。すばらしい。「好きですがうまくできていない」「苦手ですが仕方なく」。そうですよね。

せっかく仕方なくやるんだったら、やはり得意になりたいですよね。こんなかたちで時々投げかけたりするので、ぜひリアクションをいただけると私もやりやすいですし、気持ちを込めて話せるのでお願いします。

プレゼンが「すごく得意」はたった6パーセント

実はこれもプレゼンのテクニックで、相手に参加してもらうのも大事なポイントだったりします。いいコメントで「相手次第」っていうのもありましたね。今日は比較的得意な方や好きな方が多い印象なんですけど、やはり調査を見ても人前で話すのが苦手な方が8割以上と、圧倒的に多いという結果も出てます。

逆に「すごく得意」という方は6パーセントしかいないと。私は、これってすごくチャンスだとも思っています。

例えば1,000人が起業したとして、この6パーセントの60人に入れればめちゃくちゃチャンスじゃないですか。相手により伝わって、心を動かせる。やはり事業もうまくいくし、事業だけじゃなくてふだんのコミュニケーションでもそうなので。

例えばパートナーとか家族、友だちとコミュニケーションをする時。より相手に本質的な思いを伝えられるスキルなんですけれども、やはり学ぶ機会が少ないから苦手な方が多いと思ってるんですよね。

英語とかプログラミングは、やはり社会人になる上で大事なスキルということで学校でも学べるようになりましたけど、このコミュニケーションのスキルって、同じくらいめちゃくちゃ大事だと思うんですよ。

プレゼンもやはり学校で学ぶべきだなと思って、私は今、高校でプレゼンを教えてたりもします。やはりこういった機会を作っていかないといけないと思いますし、今回のように研修したりして後天的に学べるスキルなので、今日はぜひそのエッセンスをお伝えできればなと思っています。

「苦手」「嫌い」とおっしゃっていた方も、話を聞いて「次のプレゼンでいろいろ試してみよう」とか「ちょっと楽しみだな」って思っていただけるのを今日の私のゴールとして、みなさんにお伝えできればと思っております。

目的は「いかに相手を喜ばせるか」

本題に入っていくんですけど、プレゼンがなぜ苦手かというと、「緊張する」「怖い」「失敗したらどうしよう」「準備が面倒くさい」といった話が出てくるんです。これってけっこう自分目線の話なんですよね。

自分で勝手に落とし込んでいるというか、負担をかけている状況じゃないですか。この状態でプレゼンしようとするとすごく嫌なんですけど、入り口としてちょっとマインドを変えていきたいなと思います。

「プレゼンって結局誰のためのものか」と考えていくとわかりやすいんですけど、相手が必ずいるじゃないですか。なので相手と私、最低でも1対1だと思います。今日はたくさんの人にご覧いただいているので、この場合は1対他ですね。

自分がつまんないとか緊張するという話もあるんですけれども。せっかく聞いてくださってる方がいるんだから、「この人にいかに喜んでもらえるか」を考えていくのが、やはりプレゼンの目的だし本質なんですよね。

これって、例えば人にプレゼントをしようという時に、みなさんも絶対に考えると思うんですよ。「せっかく渡すんだったら相手が気に入るものがいいな」「好きなものとか興味があるものは何かな」「これを渡したら、めちゃくちゃ喜んでくれるんじゃないかな」と思ってプレゼントを選ぶじゃないですか。

「相手が嫌なものを選ぼう」「私、買うのがめんどくさい」とかじゃなくて、やはり相手が喜ぶものを考えて選んでいくと思うんです。こういった思考で考えていくだけで、プレゼンの捉え方や伝える内容がけっこう変わってきます。

「いかに相手を喜ばせるか」「どんな贈り物を届けるか」という視点で、あらためてみなさんのプレゼンの内容を見てほしいんですよね。そうするとけっこういじりたいところが出てくると思います。

「理解してもらう」ことはゴールではない

ここで大事なのが、発表や説明とプレゼンをちょっと分けたいんですね。説明とプレゼンの違いって何でしょう。大きく言うと一緒なんですけど、もうちょっと分けていくと、説明とか発表って、相手に説明をしてわかってもらう、理解してもらうということです。

例えば、「私の事業を説明します」「うちの事業はこういうことをやってます。こういうサービスでこういう機能があって、いくらで売ってるんです」というのは説明ですよね。相手にとっては「わかった」と理解した状態になるんです。

ただ、本来はこれがプレゼンのゴールじゃないんですよ。「わかった」って言われるのがゴールじゃなくて、「じゃあ買います」とか「契約します」「申し込みます」とか。あと他にも「出資したい」とか、「申し込みます。今度会いましょう」とか。

何かしら相手に行動をさせるのがプレゼンのゴールなんですよね。これが抜けていると、ただ話して終わるんですよ。

こういうことってけっこうあるんですけど、やはりプレゼンがうまい方や売れる営業マンは「いかに相手に行動させるか」を軸やゴールにして考えています。この壁ってめちゃくちゃでかくて、ぜひ右側を意識して今日は話していければなと思います。

相手に伝わるだけではゴールじゃないんです。もちろん「わかってもらう」というのは大前提なんですけど、そこで終わっちゃダメです。その先に相手が決断、行動をしてくれる話をしないとやはり意味がないというのを、あらためて意識していただきたいなと思います。

ゴールを達成するための3つのポイント

今日は3つの大きなポイントを話すんですけど、そのために「相手目線」というキーワードと、「自分ゴト化できているか」と、あと「ワクワクさせる」。こんなキーワードでお話できればなと思っています。

1つ目の「ゴールをどこにしようか」ということについて、あらためて認識合わせをしていきたいです。プレゼンの目指すゴールは、「『ココロ』を動かす」。ただ「情報を伝えました」で終わりじゃなくて、やはり相手の「ココロ」を動かして行動してもらう。ここをあらためて認識をしていただきたいなと思います。

なのでゴールもちょっと変えます。「わかってもらう」のは、もうゴールじゃないです。まず相手にワクワクしてもらう。例えばみなさんの事業を話した時に、「これ、めちゃくちゃおもしろいね」「すばらしい」「こういうのに早く出会いたかった」「絶対必要だよ」って言わせたいじゃないですか。

そのためにどうやって話すかを考えていくんです。「ワクワクさせる」っていうのが1つ。「絶対必要だよね」「めちゃくちゃいいよね」って言ってもらえるような話を考える。

2つ目が「行動を起こす」。ただワクワクさせるだけじゃダメで、さらに「じゃあ何をしたらいい?」「どうやって買えるの?」と、行動してもらうにはどうしたらいいか(を考えるの)が2つ目ですね。

あと、今って例えばクチコミとかSNSとかいろんな情報発信の方法があるので、その人が「めちゃくちゃおもしろいサービスがあったんだよ」とか「これめちゃくちゃ良かったから使ってみて」みたいに、誰かに伝えたくなるかもけっこう大事です。

また「伝えやすいような伝え方をしているか」も大きなポイントです。このあたりをゴールにしていくと、ぜんぜん違う話し方、意識になってくるので、まずここを押さえていただきたいなと思います。

相手目線で「自分ゴト化」させる

具体的な話に入っていきます。けっこうこのへんは事前の質問でもいただいていました。「相手に話してもそこから行動が起きない」「なかなか伝わらない」みたいな話があったんですけど、これもポイントです。

「情報を伝えているだけじゃないですか?」っていうことで、「情報紹介のプレゼンから抜け出せ」というのが大きなテーマになります。「理解」してもらうところから「行動」してもらう。みなさんにはぜひ、こんなプレゼンができるようになっていただきたいなと思います。

そのために、さっきの2つ目のポイントですね。いかに相手目線で「自分ゴト化」させるか。相手が自分ゴト化して、「これ、私に必要だよね」っていかに思わせるかが、大事なポイントです。そうしないと「そういうサービスがあるんだ。へえ。で?」で終わっちゃうんですよ。

そうじゃなくて「これめちゃくちゃ俺に必要なサービスじゃん」とか、「うちの家族に必要じゃん」とか「あの人に紹介したい」と思わせるのが自分ゴト化。そうすることによって初めて人は行動するので、このへんを話していきます。

そのためにぜひ押さえていただきたいのが、さっき言っていた「相手目線」。自分の伝えたいストーリー、情報を伝えるだけでは、やはり相手って自分ゴト化しないんですね。そこで一番わかりやすくてぜひやっていただきたいのが、「相手が主役のストーリーでどう伝えていくか」なんです。

「相手が主役のストーリー」で伝える

そのためのポイントは、「主語を相手にする」こと。けっこう「相手目線で話しましょう」とか言うじゃないですか。「どうやるんだ?」となると思うんですけど。

一番わかりやすいのが、まず左側に「Iメッセージ」って書いています。要は「うちの製品はここがすごいんです」「私はここをがんばったんです」とか、「弊社はここがすごいんです」というのは全部、Iメッセージ。

「私は」「弊社は」「うちの商品は」って話なんですよね。要はこっちの情報を伝えてるんです。これがよくある営業とか情報を伝える説明ですね。ただこれだけじゃなかなか相手は動かなくて、「ふーん」で終わっちゃうんですけど、ここから右側に持っていく。

「Youメッセージ」って書いていますね。「このサービスを使うことで、あなたがこう変わります」。例えば「あなたの課題を解決します」とか、「あなたの生活にぴったりなサービスです」「これであなたも助かります」「こういったことができます」。こんなふうに、そもそも話す内容にYouが入ってくるんです。

「あなた」もしくは「みなさん」とか相手が入ってくると、聞いてるほうも主語が自分なので「私がこうやって使うとこうなるんだな」と自分ゴト化しやすいんですよね。これだけでけっこう変わるんですよ。

みなさんのプレゼンに、「うちはこういうサービスを提供しています。このサービスを使うことであなたはこう変わります」とYouメッセージを1つ入れるだけで、一気に相手目線の話し方ができるようになってきます。

「ふーん」で終わらせない説明の仕方

わかりやすい例を1つ挙げているんですけど、例えばみなさんがフィットネスクラブの営業だとしましょう。お店にはダイエットしたい人が来るから、説明する時に、「弊社はフィットネス業界の最大手です」とか(言いますよね)。

「うちは設備に数億円も投資していて最新のマシンが揃ってるんです。うちのトレーナーはめちゃくちゃ育成にも力を入れていて、選べる料金も3プラン用意してるんです。どうですか。入りませんか?」って言われたら、みなさん「入りたい」って思いましたかね。おそらく思わないんですよね。「ふーん」で終わるじゃないですか。

これは情報だけ伝えているので、(聞き手としては)だいたい「ふーん、この料金はいくらだから他と比べてどうかな」みたいに、他社比較が始まるんですけど。

プレゼンがうまい方、相手目線の話し方ができる方はそうじゃなくて、右側で「あなたのダイエットに私たちはコミットします」と。これは、どっかで聞いたような話ですね。

「あなた」って入っていますね。「我々はあなたのダイエットにコミットしていきます」「うちに来てくれたら、あなたが今までリバウンドを繰り返していた経験を、これで最後にします」と。

もっとわかりやすく言うと、「3ヶ月であなたの体重を5キロ減少させます。見た目も劇的に変わります」。こう言われたほうが、自分ゴト化できますよね。

「ここに来たら、このトレーナーの方々も私にコミットしてくれて、5キロ痩せるって約束してくれるんだ」と思ったら、「じゃあここに入りたい」ってなるじゃないですか。

これが大きな違いなんですね。これは相手目線、聞き手目線のストーリーの作り方になります。なのでみなさんの事業って、誰かの困りごと、ペインのところですよね。

やはりペインポイントを解決するために手がけているはずなんですけれども、どうしても説明する時に「うちのサービスはこうやって作って、こうやって使って」って、自分の話ばっかりしがちなんですよ。

ただ、やはり相手にとっては「私がどう良くなるのか」が大事なんですよね。なので相手の話をしないと伝わらないです。ここがまず押さえていただきたい1つ目のポイントになります。

私も今日けっこう、相手を主語にした言い方を使ってるんですけど。「みなさんプレゼン苦手ですよね」とか、主語をどんどん変えていっています。

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