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育成に変革の時! 毎年500社2000名の育成実績を誇るPDCAの学校が解説する「育て方改革とは」(全2記事)

若手社員を伸ばすには、仕事に取り組む「言い訳」を作る 育成環境が低下する中で、企業におすすめな3つの施策

昨今注目されている「働き方改革」と同時に、企業に迫られているのが「育て方改革」。若手社員の育成に悩む企業に向けて、毎年500社2,000名の育成実績を誇るPDCAの学校の宮地尚貴氏が、企業が取るべき行動について解説します。本記事では、若手育成の課題を踏まえながら、おすすめの施策を紹介します。

OJTを中心とした育成が「限界」に近づいている

宮地尚貴氏:今までの場合だと、同じ釜の飯を食う型の仕組みがOJTを機能させていた。ただ働き方改革以降は、やっぱりワークライフバランスが重要です。

過労死の事件もございましたので、そういった事件などをきっかけに日本全体で労働法の改正があり、新卒採用をされる企業さまにおかれましては、労働環境の情報開示が義務づけられています。

最近だと「口コミ」ですね。この会社で働くとどんな状態なのかとか、社員さんの声とか、調べたらある程度出てくる状態です。

前提として、限られた時間の中でいい成果を出さないといけない。なので、今までよりも指導に時間をかけづらくなっていると思うんですね。

今までの場合だと、例えば日中は自分の業務に向き合って、仕事が終わってから若手の指導にあたられる方と飲みに行ったりする。そこで、社会人としての大切さだとか、仕事で成果を出すためにどういうことが大切なのかを解いていって、そこを育成の時間と捉えて動いていた。ただ、今はそれがなかなか難しくなっている。

最近はもう落ち着いてると思いますが、特にここ2~3年はコロナもございました。そもそも飲みにもいけないというのがあり、OJTを中心とした育成そのものが限界に近づいているんじゃないかなと思います。なので、多くの企業さまの中で働き方改革が行われています。

「働き方」は変わっているのに「育て方」はそのまま

ただ、働き方改革は行われているんですが、育て方は従来のままになってしまっている。なので時代に合わなくなって、若手がちょっと疲弊してしまっているという企業さんも、少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。

「データで見る育成環境の低下」というのも、実は大手の企業さまでも起こっています。「一定の教育プログラムを基に、上司や先輩等から指導を受けた」という割合が、2015年は40.9パーセント。なんと2021年になった段階で、30.3パーセントまで減ってます。

ほぼ変わらない・やや微増しているのが、「一定の教育プログラムにはなっていなかったが、必要に応じて上司や先輩等から指導を受けた」。なので、“なんとなくのOJT”みたいなものは逆に増えている。あとは「上司や先輩等から指導は受けてないが、仕事ぶりを観察することで新しい知識や技術を身につけた」。

指導時間を割けないぶん、例えば「マニュアルを見なさい」「やってる姿を動画とかで見なさい」とか、製造業の企業さまだと「やっている工程や作業の姿を見なさい」「上司や先輩等から指導は受けていないが、マニュアルを参考にして学んだ」も増えています。

求職者側も、研修や教育に対して知識を持っている

「Off-JT」、いわゆる社外研修ですね。新入社員研修における社外研修に割く時間が、2015年と2021年でなんと8ポイントちょっと減っているというデータがございます。

なので、時間等の制約により従来の育成がなかなか機能しづらいのにもかかわらず、大手の企業さまも含めて、育て方に変化をもたらしている企業があまりにも少ない状態なのではないかなと思っております。

ここで差別化ができれば、もしかしたら中小企業でも採用の段階でPRができて、採用力向上にもつながってくるのかなと思います。育成の分野って、採用の段階からなかなか中身が見えないと思うんですね。文面でしか求職者の方も確認できない。

だんだん時代が変化していく中で、「Off-JTやOJTとは何なのか?」とか、説明会の段階から「教育環境は整ってますか?」という質問をしてくる学生さんも年々増えているみたいなんですよ。なので、だんだん教育に対する知識が豊富にはなってきています。

少し前だと「OJT、Off-JT、しっかりやってます」「あ、なんとなくすごそうだな」というので入社してきていたのが、「OJT、Off-JTって実際はこういうのらしいよ」という知識が(求職者側も)豊富になってきています。

そこの中身をより詳細に見せることができれば、「この会社だと自分は育つことができるんだ」というのを、学生さんにうまく訴求できるきっかけにもなるんじゃないかなと思っています。

ですので、育て方改革を企業として推進していく必要があるのではないかと思います。研修育成会社として、ここらへんを促進できるような投げかけを、毎日こういったWebセミナーを通じてやらせていただいているようなかたちです。

管理職による若手育成の難易度が上がっている理由

おすすめ施策を箇条書きで並べさせていただきます。まず1つが、上司やマネージャーだけに育成の責任を押し付けない。

やっぱり「上司やマネージャーの方々が、自分が育てられたやり方で育てる」というのが基本になっているのかなと思っています。そうなった時に、若手育成の難易度はめちゃくちゃ上がっていると思います。

今まで自分が教えられたことをそのまま還元すれば若手が育つのかというと、そういうわけではないと思うんですね。なので、上司・マネージャー・OJT担当だけに一任せず、社内で横断的に・全体を巻き込んでいくような取り組みが必要だったりします。

やっぱり、人によって教えることが違うというのもあると思います。例えば人事部が存在する企業さまであれば、月に1度、ないし2ヶ月に1度ぐらいのペースでOJT担当の方々を集めます。

OJT担当同士で、どういう指導をしているのかという開示をしたり、「こんな指導がうまくいった」、逆に「こんな指導はあんまり刺さらなかった」という情報共有を行うことで、会社の中で育て方のレベルを底上げすることができる。育て方のノウハウも、社内に溜まりやすくなってくるんじゃないかなと思います。

若手が新しい仕事に取り組むための「言い訳」を作る

今後で言うと、副業・兼業の動きもあるじゃないですか。なのでもしかしたら、会社の外で学ぶという動きも、数年後、十数年後には普通になってくるかもしれないなと思っています。

あとは「若手が何かを始めるための言い訳を作る」。意図や目的を何も伝えずに「これをやりなさい」で動けない方が増えている印象があります。実際にやりたいことに取り組んだりだとか、目の前の業務でも腹落ちをすると、そこに対する行動力がすごく高まっている印象があります。

何か仕事を始める時、何か新しい業務を教える時に、若手の方々が行動ができるきっかけを、企業として・上司として用意をしてあげるというイメージです。

これをやることによって本人にどんなメリットがあるのか、これをやることによって将来どういうことにつながるのか、というのを常に提示ができるように、上司間で共通認識を持っていく必要があるんじゃないかなと思っています。

若手のキャリアを上司も一緒に考えていく

あとは「若手だけに考えさせない」というのもあります。今は、個人個人のキャリア形成がわりと尊重されています。もしかしたら「若手が企業を活かして育つ」みたいな、企業を踏み台にするような風潮も若干あったりもします。

若手だけに考えさせると、好き勝手な道に行く可能性があるんですね。なので、上司も一緒にキャリアについて考えるのがおすすめです。

特に新入社員なんかは、「この会社だったらなんとなく成長できるかなぁ」というので、入社される方も一定数いらっしゃるんじゃないかなと思います。

ただ、働いていくにつれて「自分は将来、大丈夫なのかなぁ」と不安を抱える。もしくは「ここで働いて営業の能力を身につけて、3年後には新天地で活躍したいな」みたいなことを思っていたりとか、いろんな方がいらっしゃいます。

ですので、一緒にキャリアについて考えてあげる。「一緒に」というのはどういうことなのかというと、この会社でのキャリアを上司の方が一緒に提示し続けるというイメージです。

「今、目の前の業務をがんばると、1年後に会社ではこんな未来を得ることができますよ」「1年後、こういう未来を得られることによって、本人にはこんないいことがあるよ」「今、会社でがんばることによって、1年後はこんなポジションにつけるかもしれません」「こんな能力が身につくかもしれません」「こんな仕事ができるようになるかもしれません」「こんなお給料になるかもしれません」。

「そうなると、○○さんにとってこんないいことがありますよ」という2分類に分けて提示をし続けることで、その会社でのキャリアを考えることができます。若手だけに「将来像を考えて動きな」と言うと、斜め45度ぐらいの方向に行かれる可能性もありますので。

若手だけに考えさせないというよりは、上司と一緒に握っていくような手法がおすすめかなと思っております。

自社の教育環境、まずはどこからテコ入れする?

実際に企業さまの中で、まずはここらへんが対策として打っていかないといけないところなのかなと思っております。

自社の制度、教育環境、状況を見直した時に、まずは今、何に一番テコ入れしないといけないのか。ここらへんはぜひ、今回のセミナーが洗い出すきっかけとなっていただければなと思います。

ちなみに冒頭でちらっとお伝えいたしましたが、なんと成長のインパクトは「現場の経験・体験」から学ぶ機会が多い。

ただ、体系的な教育の機会だとか、教育に割く時間が減っていたり、Off-JTも「背中を見て学べ」というので、なかなか成長の機会として得られづらくなっている。

そもそも時間も限られてきている中で、昨今の若手の方々は、仕事の経験・体験によって得られる気づきが少なくなってるんじゃないかなと思います。なので限られた時間の中で、いかにPDCAサイクルを本人の中で回させるのか。

若手育成においておすすめな施策

いろんなWebセミナーでもいつもお伝えしているんですが、弊社としておすすめな方法は、日ごと、週ごとの単位で、今日できたこと・今日できなかったことを報告してもらうことです。

「じゃあ、次はどうしようと思うのか」というのまで考えてもらって、そこに対して上司・先輩がフィードバックしていく。この積み重ねが地上戦ですけれども、こういった社内的な施策は継続しない企業さまが多いです。忙しいを理由にして、やらなくなってしまうことがあります。

ですので、その現場での気づき、経験、体験を深めるには、上司・先輩方の密なフィードバックが求められると思いますので、そのあたりは企業で上司の方がやっていかないといけない。「若手に報告をさせないといけない」というのは、一番重要なタスクとして捉えていただけるといいのかなと思っております。

働きやすさの実現を強化しつつ、上司の方々もマネジメントの視点を変えて、そこで離職を防いで生産性を高めていくことが、今の企業に求められる運営にもなっております。このあたりはぜひ、今後対策を打つきっかけになっていただければなと思います。

ということで、ちょっと問題提起セミナーみたいなかたちになりましたが、その他にもいろんなWebセミナーを開催させていただいておりますので、今回をきっかけにぜひご参加いただければなと思っております。

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