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『プロ経営者・CxOになる人の絶対法則』出版記念イベント(全3記事)

優秀な人が大企業に留まり、“死蔵“の状態になっていた過去 大転職時代で高まる「プロ経営者」というキャリアのニーズ

いち社員としてではなく、プロの経営人材として企業を渡り歩き活躍する「プロ経営者」。今回は、そんなプロ経営者・CXO人材になるための絶対法則がまとめられた『プロ経営者・CxOになる人の絶対法則』の出版記念イベントの模様をお届けします。共著者の荒井裕之氏と小杉俊哉氏、書籍内でもプロ経営者としてインタビューが掲載された、ベイシア相木孝仁氏が登壇。プロ経営者を取り巻く社会の背景や、プロ経営者としてどんなキャリアを歩んできたのかが語られました。

プロ経営者・CxOのキャリアとは何か

赤池辰介氏(以下、赤池):(オープニングの後)それではパネルディスカッションというかたちで進めさせていただきたいと思います。

本日特別なゲストといたしまして、株式会社ベイシアの代表取締役社長、相木孝仁さまにお越しいただきました。また共同著者であります、THS経営組織研究所代表社員でいらっしゃいます小杉俊哉先生。それから弊社キャリアインキュベーション社長の荒井裕之の3名で、「プロ経営者・CxOのキャリアとは何か」といったところに迫るような、ディスカッションができればなと考えております。

ぜひ、今回の話を持ち帰っていただきまして、今後のキャリアの参考にしていただければと思っております。それではさっそく進めさせていただきます。みなさま、自己紹介からお願いします。では、相木社長から。

相木孝仁氏(以下、相木):みなさんこんばんは。今日はお時間ありがとうございます。あらためましてベイシアの相木と申します。どうぞよろしくお願いします。

(会場拍手)

相木:「ピカピカの会社に興味がない」という話がさっき(オープニングで)あったと思うんですけど、ベイシアはけっこうピカピカな会社で……。

(会場笑)

相木:ピカピカというのは、磨くところがたくさん残っていれば、僕にとってはピカピカなので。そういう意味ではものすごく伸びる会社だなと思っています。みなさんおそらくベイシアを知らないかもしれないんですけれども、カインズとかワークマンは知っていると思うんですよね。そのグループの一部です。

ベイシアとカインズとワークマンは兄弟会社になっていて、北関東を中心にビジネスをさせてもらっています。今日はみなさんとお話できることを楽しみにしておりました。どうぞよろしくお願いします。

(会場拍手)

小杉俊哉氏(以下、小杉):みなさんこんばんは。共著者の小杉俊哉です。よろしくお願いします。

私はもともとはNECで、留学を挟んでマッキンゼー、それからユニデン、最後にAppleで人事の責任者をしておりました。39歳で独立して今25年ですね。大学で教えたり研修・講演、コンサルをしたり、数社社外取締役をやっていますが、裏側では個人事業主をやっています。今日はよろしくお願いします。

(会場拍手)

荒井裕之氏(以下、荒井):本日はお忙しいところ、たくさんのみなさまにお集まりいただいてありがとうございます。主催者のキャリアインキュベーション株式会社で社長をしております、荒井裕之と申します。よろしくお願いいたします。

私はリクルートに10年ほど勤めておりまして、そのあとキャリアデザインセンターという会社で創業に参画しました。2000年に今のこのキャリアインキュベーションという会社を創業して、今23期目、もうすぐ24期になるところです。相木社長とも小杉先生とも長くお付き合いをいただいておりまして、今日この場でご一緒できていること、大変うれしく思っております。よろしくお願いいたします。

(会場拍手)

「プロ経営者」「CXO」のキャリアを選ぶ人が少なかった

赤池:それではパネルディスカッション、スタートさせていただきます。みなさまのお手元にお配りいたしました書籍に関連しまして、まず荒井さんにお聞きしたいなと思います。今回の書籍の読みどころをご説明いただけますでしょうか。

荒井:2015年に前作(『職業としてのプロ経営者』)を小杉先生にお書きいただいておりまして、その続編という位置づけになります。先ほど言いましたとおり、2000年に私がこの会社を創業した時から、プロ経営者やCxOといった、いわゆる経営者になれるような方の支援をしたいと思っておりました。

ただ、20数年前というのは時期がちょっと早すぎまして、まだ日本にプロ経営者と言われるような方がいませんでした。最近は外部から経営者を獲得したいという企業が非常に増えていまして、逆にプロ経営者が少ないと。

しっかりとした経験や学びを行って、経営者として力を発揮できるという方が少なすぎて、そこで危機感を持って、若い方にどんどんチャレンジしてもらいたいという思いで出したのがこの本でございます。

みなさまにとって参考となるキャリアの事例が......事例というと失礼ですけれども、すばらしい経営者がたくさん出ていますので、ぜひお手に取って、みなさまのキャリア構築の学びとしていただけたらと思っております。よろしくお願いいたします。

『プロ経営者・CxOになる人の絶対法』(クロスメディア・パブリッシング(インプレス))

赤池:ありがとうございます。プロ経営者を目指す方に向けた本を今回出版させていただきましたが、プロ経営者というキャリアを歩まれる方がそもそも少ないという背景が、今回の動機につながっている部分もございます。1作目から2作目というかたちで、どういう方であればプロ経営者のキャリアが積めるのか、をまとめているものと自負しております。

大企業で優秀な人を“死蔵してしまっている”状況があった

赤池:小杉先生におうかがいしたいのですが、2015年に1冊目を出させていただきまして、そこから今に至るまで、だいたい8年くらい経っているかなと思うんですよね。とした時に、現在の「プロ経営者」というキーワードが、どういった認知で世の中的には広がってきているのか、経営者のキャリアについて昨今の状況について教えていただけないでしょうか。

小杉:ありがとうございます。前作を書いた時は、大企業で非常に優秀なみなさんが、そのままずっとそこに滞留して、言い方は悪いですが“死蔵してしまっている”というのは、見るに堪えないという思いがありました。

一方で、世の中ではプロ経営者の人が40代から活躍されている。そんな方たちのインタビューをもとに、企業で出世する、あるいは起業する、のどちらでもなくプロ経営者という道があることを知って欲しいと考えました。

ちょうどその頃は、例えばマクドナルドや資生堂、サントリー、LIXILなど、そんなところの著名なプロ経営者が目立っていた頃で、まだ数は限られていました。ただ、名前はそんなに世の中で知られていなくても、確実にプロ経営者の方たちが活躍されていて、その方たちの平均年齢は45歳くらいでした。

上場企業の課長の平均年齢は46、7歳でほぼ同じぐらい。一方は経営者・社長として活躍されて、一方は中間管理職。そういった構図は非常にもったいないなと思うんですね。最初はみな同じようなキャリアのスタートをしているのに、どこで変わってきてしまっているのか。そんなことを解き明かしたのが前作の本です。

転職も盛んになり、プロ経営者のニーズも広がる

小杉:その後どうなったかというと、今回はプロ経営者だけではなくてCxOも加えているわけですが、着実にそのニーズが広がっています。

大企業がプロ経営者を招へいするというのは、非常に限られているわけです。あるいは、当時まだ盛んだった外資系企業がプロ経営者を社長に据えるというのも、残念ながら増えていないわけです。日本の経済の元気がなくなってきて、新たに進出するのにはあまり魅力的な市場ではなくなってきているんですね。

ただその中で、プライベートエクイティのM&A、あるいは大企業が事業を切り出していくカーブアウト。こういったもののニーズはものすごくあって、そこでプロ経営者やCxOが求められている。

それから相変わらず強いのは、中小企業の事業承継問題です。そこで次代を担ってくれる、あるいは会社を変革してくれる経営者を探している。そんなニーズがこの8年でますます強くなっているなと感じます。

赤池:2015年では数としてはいたけれども、その中で埋もれてしまっていたということなんですかね。

小杉:プロ経営者が埋もれているというよりも、今ほどまだ転職が盛んではなくて、外に出て自分のキャリアを自律的に作り上げていくことをやっている人と、大企業で我慢して働いている人との差がすごく大きかったんだと思いますね。

今日お見えのみなさんも、どんなバックグラウンドかわかりませんが、転職をされている方も多くいらっしゃると思うんですよね。それが普通になってきたなと、大きな変化として感じます。

赤池:環境を変えてチャレンジしようと思う方々が、どんどん増えている。その中でプロ経営者としてなっていく方もいれば、CxOになっていく方もいれば、それこそプロフェッショナルな、もっと専門性を磨いていこうと思われる方もいれば、ということでしょうかね。

小杉:国も膨大な予算をつけて、リスキリングで人材の流動化を促そうとしている流れが、ますます加速しているなと思います。

ビジネススクールの仲間を見て「経営者」を志すように

赤池:ありがとうございます。そんな中、相木社長にぜひお話をうかがえればと思うんですけれども。相木社長はプロ経営者として名を馳せていらっしゃると認識しています。それこそひと昔前、プロ経営者が一般化していない中で経営を志されて、今に至るまでにキャリアを磨いてきたかたちになろうかなと思います。

こちらにいらっしゃるみなさんに、ぜひキャリアの変遷ですとか、どういったことを考えて自分のキャリアを構築していこうと思われたのか、お話いただいてもよろしいでしょうか。

相木:私、プロ経営者と言われるとちょっとくすぐったくなるんです。ぜんぜんそんな大したものじゃなくて、なんとか日々がんばっていたら、一応会社を経営できるようになったというかたちなんです。

もともと私は、ずっと小・中・高・大、実業団でテニスばかりやっていまして、テニスでなんとか生きていけないかなと思っていたんです。でもちょっと難しいなということで軌道修正をして、NTTの中で仕事をしていたんです。

NTTに入る中で、なんでかわからないですけど、自分の得意なリーダーシップをうまく使って、組織をリードする仕事をしたいなと思って、2年くらいでコーネル大学のビジネススクールに留学したんですね。

その時に同級生がものすごく視座が高い人たちばかりで、当然みんな経営者になりたいと。コンサルも金融もいましたけれども、「経営者になりたい」と言っていて、僕もその時に「経営者になって企業価値を高めて、地域社会の役に立つ人間になりたいな」と思った。それが24〜25歳くらいの時です。

その時からいろんな変遷とか失敗とかスベったことがいっぱいあったんですけれども、なんとかベイン(・アンド・カンパニー)に入ったり、ベインからツタヤオンラインにいったり。あとは、楽天で10年くらい仕事をしたり。

楽天では楽天カードとか楽天市場とか、花形事業は1回もやったことなくて、その時々の一番問題事業と言われている事業を担当してきたんですね。それもやりたくてやったわけじゃなくて、たまたまNTT出身だったので(担当したんです)。

たまたまフュージョン・コミュニケーションズという、何十億円も年間赤字を出す会社を楽天が買って、これを私がたまたま担当することになって、たまたまうまくいっちゃって、たまたまきれいにターンアラウンドできたんです。それで楽天の中で「ややこしい事業が来たら相木くんにやらせよう」という感じになってしまって。

そこからずっと10年間国内外の問題事業をやってきて、なんとなく経営者として生きていけるという自信がついて、そのあと鎌倉新書に行ったり、パイオニアに行ったり、今のベイシアにたどり着いたという感じになります。

プロ経営者になってわかった「会社を動かす」難しさ

赤池:ありがとうございます。「経営者になろう」とは、はじめは漠然と考えていたくらいなんですよね。

相木:そうですね。ビジネススクールに行った時には経営者になろうと思っていましたけど、それ以前は考えたことなかったですね。

赤池:ビジネススクールで周りに感化されたこともありますし、世の中にちゃんと経営者として貢献していこうというところを、そこで思いを固められたんですね。

相木:そうですね。あとはベインにいた時にも、すごく結果にこだわるコンサルティングではあったんですけれども、最後の最後(の決定は)自分でできるわけではないので、やはり自分で会社の経営やりたいんだと思って飛び出したのが、ツタヤオンラインで。

でもそんなに甘い話じゃなくて、会社は会社の論理があって、会社のポリシーもあるわけで、どうしたらオーナー会社を動かしていけるのかいろんな失敗をして。その時にもう1回コンサルをやりたいと思ったんですね。なのでベインに出戻りしています。

コンサルには当時ロジックとか分析に強い人がたくさんいたんですけれども、会社を動かす、オーナーを説き伏せるみたいなことに長けた人ってそんなにいなかったので、もう1回だけやってみようということで、3年半。2007年までコンサルをやっていました。

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