2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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黄皓氏(以下、黄):さて、時間も差し迫ってきたんですが、今日はIVSに来ていただいて、貴重なお時間を我々の登壇に割いていただいているみなさんに、最後にちょっとメッセージをそれぞれいただけたらなと思います。
事前のお話だと生涯現役のお話があったり、起業はあくまで1つの選択肢だよという話があったと思うんですけど。お2人から、いらっしゃっているみなさんにお言葉があれば、いかがでしょうか。
小柳津林太郎氏(以下、小柳津):最近の僕のテーマは「生涯現役」です。父親と祖父、曽祖父全員が医師国家試験を通って医者の資格を持っていて、父親は今71歳で、社会に対していいことをやろうと週4で現役の医者としてがんばってるんですよね。
片や俺はずっとサラリーマンだったんで、組織人ってすばらしいと思うんですけど、どうしても日本には65歳で定年退職という事象がまだまだあって。優秀なのに65歳で定年退職して、体力もあるのに、再雇用で年収が(現役時代の)7割になる世界ってちょっともったいないなと思います。
それに対して、生涯現役で働けて、社会にとって少しでもいいことができる道筋の1つにスタートアップの起業があったりするんで、そういうテーマを考えて生きています。
発信に関しての僕からのメッセージって言うと、メディアに出るとかInstagramやTwitterをやることって、どうしてもけっこうカロリーを使うんですよね。だから、さっき言ったナチュラルワインの例もそうですけど、コツコツ楽しくやれることを見つけていくと長続きするんじゃないかなって気もしていて。
そういうのはたぶん、黄さんがやってるフィットネスジムもそうだと思うんですけど、「ちゃんと続けるためにはどこからやればいいのか」と考えると、スタートのハードルが下がるのかなって気がしてるんで。コツコツ楽しく長くっていうのを、生涯現役でやっていったらいいんじゃないかなと思います。
黄:ありがとうございます、林太郎さん。尾﨑さんはいかがでしょうか。
尾﨑美紀氏(以下、尾﨑):そうですね。けっこう林太郎さんのお話と近いんですけど、私も学生起業なので、日常でよく「40歳ぐらいで主婦なんですけど、今から起業するのって遅くないですか?」というご質問とか、「学生で経験がなく、人脈もないし、どうやって起業すればいいかわからない」っていうご質問をいただくんです。
さっきお話したように、メディアって、本当に自分のリソースさえ使えれば無料でできちゃう時代なので、そこに対して自分がどれくらい努力できるかによって、そういうプラットフォームを作れるか否かも変わってきます。
何歳になってもチャンスはめちゃくちゃあるので、InstagramもTikTokも、Twitter、YouTube、noteもみんなが無料で使えるからこそ、そういうのをうまく使って、何歳からでもチャレンジしてほしいなと思っています。
起業について言うと、やって失敗するのって、起業だけではなくていろんなことに関してよくある話だと思います。やって後悔するよりも、そこで学びがあればよくて、やらずに「あの時やっとけばよかったな」ってなるのが人生で一番もったいないことだと思っています。
なので、本当に年齢、性別、立場とか関係なく、好きなことでできることからチャレンジして、起業や自分の今後のキャリアを考えていただければいいかなと思いました。
黄:ありがとうございます。
小柳津:黄先生(はいかがでしょうか)。
黄:そうですね。僕、今日ここに来てちょっとびっくりしたんですけど、IVSってすごくないですか?
尾﨑:いや、めちゃくちゃ盛り上がってますね。すごい!
小柳津:今回、累計で1万人くらい来てるんですよね。
黄:そうなんですよ。私なんか、オーナー社長はやってましたけど、ベンチャーになってからまだ3年くらいなんで、この状態を見た時にすごく幸せだなと思ったんですよ。
メディアの発達で、これだけの人が京都のこの場所に集まれるようになって、みなさんがいろんな人とネットワーキングできるようになっている。メディアで活躍していなかったとしても、メディアの力を介してこうやって自分のサービスを知ってもらう機会が世の中にできてる。
たぶん、藤田社長や今日本を支えていらっしゃるようなすごい経営者の時代って、メディアなんかなかったんですよね。そんな中であのポジションを獲得してきたみなさんより、僕らって圧倒的に幸せだと思ってます。がんばれば無料で発信できて、誰かにたまたま見つけてもらえる可能性がある。
あと、五体満足であることをすごく幸せに思ってます。生涯現役とかやらない後悔についてお2人も言ってましたけど、みなさんはすべての選択肢とすべての自由を持ってるんで、やるもやらないもみなさん次第だし、失敗することも失敗しないこともできるんですよね。でも、1回きりの人生、過去に立ち止まる後悔じゃなくて、たくさん失敗して次に進める反省を何回も繰り返しながら成長できる今の環境に、僕はすごく感謝しています。
一方でメディアの怖さはあるものの、何もない僕たちがこれだけ世の中に認知していただけて、自分の声をこうやって届けることができる今の時代にすごく感謝してるんで、みなさんもメディア発信をやりたいけどどうしていいかわからないんだったら、やってから考えましょう。
やって、ちょっとでも届ける努力をしてほしいなと思いますし、「経営者ほどメディアに出ろ」と思ってるんですね。メディアに出ていれば行動も変わるし、姿勢も変わると思ってるんで、「あんなのダセーよ」とか「何もない奴らががんばるものなんだよ」って斜めに見るんじゃなくて、社長こそ積極的に、自分を削りながらがんばっていただけたらなと思っております。
小柳津:いやぁ、今日は楽しかった。あっという間ですね。
尾﨑:あっという間でしたね。
黄:そうですね。あと10分くらいお時間があるんですけれども、みなさんからの質疑応答の時間も取りたいと思うんで、ご質問がある方はあと2、3分で考えていただけたらなと思います。
どうですか? 林太郎さん、今日は久しぶりの登壇だったと思うんですけど。
小柳津:そうですね。さっきの話(メディアに出ることの怖さ)の延長線上で1個あったのが、1回メディアに出て旬になった時に一番怖いのが、旬であり続けなきゃいけないっていうプレッシャーです。それを乗り越えて今旬な状態でみなさんと一緒にお話しできて、すごい楽しかったなと思います。一番はやはり、これだけたくさんの人が見に来てくれたことがすごいうれしいなと思いました。
黄:ありがとうございます。尾﨑さんはどうでしょう? 登壇は最近もけっこうあると思うんですけど、今回あらためて「メディアに出てください」っていうオファーがあってこのように登壇されたのは、ご自身として「出れるなら出て、いろんな方に伝えたい」って感じですか?
尾﨑:そうですね。私もスタートアップをやってますし、メディア出身でいろんなことにチャレンジさせてもらっている立場なので、やはりそういう方たちに向けてできる限り有益な発信をしていけたらいいなと思います。加えて、私はメディアをたくさん活用されたスタートアップの経営者の方、特に女性をすごく応援してるんですけど、(女性がこのような場に)たくさん出てこられて、盛り上がっていくといいなと思ってます。
黄:ありがとうございます。
黄:では今からご質問を2、3問いただいて、基本何でも答えます。「あの時、実際どうだったの?」のような番組に関することはどこまで言えるかわかりませんけども、「こういうメディアの活用はしていますか?」という具体的なことでもいいので、ご質問がある方は手を挙げていただけたらと思います。
質問者1:貴重なお話ありがとうございました。
黄:よろしくお願いします。
尾﨑:お願いします。
質問者1:先ほど、なぜ『バチェラー・ジャパン』『バチェロレッテ・ジャパン』に出ようと思ったかっていうところで、「個人としてのビジネスマンでは見えない新しい景色を見れたら」っていうお話があったと思うんですけど、どんな景色が見えたのか教えてください。
黄:おお、いいですね。
小柳津:僕は演劇上がりなんで、たくさんの仲間と1つの作品を作る経験は小さいながらもあったんですけど、(『バチェラー・ジャパン』で)100人とか200人近くのスタッフの方々が自分を映えさせるために動いてくれることは、金輪際ないだろうっていう景色で。
かつ、(番組で)関わった女性の方々との魂と魂のぶつかり合いのデートとか、プライベートジェットに乗ることももうないだろうと勝手に思っています。そういうビジネスとは関係ないシーンとか、人と人との魂の触れ合いの経験は、本当にかけがえのないものです。
黄:まさにご質問の、個人で新しく開けた世界ってありました?
尾﨑:そうですね。バチェロレッテの旅が始まった時は、2021年なので起業して4年、会社は5期目ぐらいだったと思うんですけど。その5年間は経営がめちゃくちゃ大変で、人の問題もお金の問題も、事業もいろいろあったり、もう時間があれば自分の幸せとかじゃなくて事業を考えたいという(状態でした)。
とにかく会社一筋でやってきた5年間だったので、番組の期間にあんなにパソコンを見ないで、本当に事業のことを考えずに「自分の人生ってなんだっけ?」っていう個人の幸せとか、「これからの人生ってどうしていくんだっけ?」って考えられたのがすごく良かったなと思っていて。
あとは、私もその時にお付き合いしているパートナーもいなくて、林太郎さんもおっしゃってましたけど、婚活とかを真剣に考えたいなって思う歳でもあったので、そういう意味で、ガチンコで向き合えたのはすごい良かったなと思います。
黄:そうですね。僕は日本に来たただの中国人で、まさしくサラリーマンをやっていたので(『バチェラー・ジャパン』の)すべてが新しくて、自分の人生の輝きっていうと変なんですけど、「こんなに楽しい世の中ってあったんだ」ってことを知れたんで、とても良い経験をさせてもらったなと。
事業を始めるのも、ぶっちゃけた話、最初はちょっとモテたいなとかお金が欲しいなって感じで始めるじゃないですか。でも、自分がやってる事業をいろんな方に知ってもらって応援されると、ちょっと使命感に変わってくるんですよね。もっと多くの人に、自分の考えとか自分が最高だと思っているサービスを届けられたら幸せだなって考えられるようになったのは、人としての視野の拡張であり成長だったなと思うし。
僕はやはり、その番組で出会った妻がいて。番組きっかけとはいえ大切な人と出会えたことは、本当に感謝してもしきれないと思ってますね。
質問者1:ありがとうございます。
黄:ありがとうございます。
小柳津:ありがとうございました。
黄:もう1問、何かご質問いただけたら。
質問者2:はじめまして。
黄:よろしくお願いします。
尾﨑:よろしくお願いします。
質問者2:大変貴重な意見やいろんなお話をありがとうございました。先ほどのステークホルダーとの関係性と、メディア出演についてお尋ねしたいと思います。従業員とか投資家の方々がいて、(メディア出演に対する)いい意見とか、逆に出ない方がいいんじゃないっていう意見があったというお話があったんですけれども、そういった中で、実態的にどんなところで懸念を示される方がいて、それに対してどうやって説得していったのかお聞かせ願います。
小柳津:サイバーエージェントの時の話を想像で言うんですけど、実際に3ヶ月近く仕事がほぼできず、できるのは最低限のメールだけです。けっこう厳しい前提でいうと、会社をやってる場合はいろんなことが止まっちゃうんで、そのタイムロスをどうやってカバーするのかっていうリカバリープランがない限り、ステークホルダーからすると「何やってんねん」って話になると思うんですよね。
ただ、ちゃんと信頼できるNo.2とかNo.3がいて回せる体制と、最低限のチェックができるスキームがあれば、(番組出演によって知名度が)跳ねたら下が育つタイミングやチャンスでもあるんで、それをどうステークホルダーに前向きに説明するかなのかなって気はしてますね。
黄:どうでしょう、尾﨑さん。
尾﨑:そうですね。同じく、社長が数ヶ月いないってまあまあだと思っていて、やはり会社って数ヶ月でどんどん状況が変わるじゃないですか。なので、たぶん株主は「本当に社長がいなくても事業って進むんだっけ」というところを一番懸念していて。かつ「売上は落ちないの?」「次の事業成長は考えられてるの?」とか、「会社に何かあったらどうするの?」とか、けっこういろんな懸念があるんです。
私の場合は、そういう懸念も含めて株主と対話しつつ、結果的にはビジョンの達成につながる判断をいただいて、OKをもらった感じですね。
黄:そうですね。私の場合は、実は、ステークホルダーの意見をほぼ聞かずに『バチェラー・ジャパン』に出ました。一方で、今私はけっこう継続的にメディアに出てるんで、投資家や社員に「会社と個人のメディア露出、どっちが大事なの?」っていう謎の二択を迫られることがあって。
小柳津:ああ、逆に。
黄:個人的には両方一緒なんですよ。
小柳津:そうですよね。
黄:個人で有名になっても、実際テレビに出ることでお金をもらえるとかではなくて、結局それがサービスに跳ね返ってくるから僕は出てるんですね。何が言いたいかというと、メディアに出る信念が何か、なんですよ。僕は、メディアに出るのは自分の人生のためではあるんですけど、やはり会社のためだと思ってるんですね。
なので、それを絶対に信じ切ること。僕が何のためにメディアに出ているかを信じ切る。それを信じてくれる社員やステークホルダーはいます。信じてくれないステークホルダーと社員に対してどうするかというと、結果で示すしかないですよ。
僕は信じてもらえる日まで出続けるし、出続けて数字にコミットして「あの時止めたけどやはり出て良かったんだね。黄さん、あの時は疑ってごめんね」って言わせるのが、僕の今の目標です。なので、(メディアに)出続けたいし、どんなに言われても結果を出して黙らせようとしか、今は思ってないかもしれないですね。
質問者2:大変よく理解できました。ありがとうございます。
黄:ありがとうございます。
1時間の登壇もあっという間に終わりました。あらためて今日、メディアに対する考え方とか、言いづらい面もあったと思うんですが、いろいろと開示してくださった小柳津さん、尾﨑さん、そして僕に盛大な拍手をお願いいたします。
(会場拍手)
小柳津:ありがとうございました。
尾﨑:ありがとうございました。
黄:本日はありがとうございました。
(会場拍手)
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