
2025.02.12
職員一人あたり52時間の残業削減に成功 kintone導入がもたらした富士吉田市の自治体DX“変革”ハウツー
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司会者:(社員の自律を促す「新・マネジメント術」をテーマに)非常に示唆があるご講演をありがとうございました。ではここから、Q&Aに入ってまいります。さっそくご質問が来ておりますので、取り上げます。
「私の所属部門は平均年齢50歳くらいで、7人中5人がぶら下がり状態です。社長、取締役もそのタイプで、社員に対する成長期待がありません。私個人は自律レベルが高く毎日遊んでいる状態であるものの、組織としての将来を考えると非常に不安があります。入社して8年経ちましたが、1人も後輩はおらず、部門としてどう活性していったら良いのか悩んでいます」と。
業種がメーカーのハウスエージェンシーということですが、神谷さんからのヒントやTIPSはございますでしょうか?
神谷俊氏(以下、神谷):難しいですよね。キャリア自律のご相談は多くいただくんですが、ご相談の大半が「シニア社員の自律レベルの低さをどうするか」なんですよね。この方の組織で一番難しいのが、シニアの社員の方々を人材開発する人がいらっしゃらないこと。これはかなり致命的かなと思っています。
例えばマネージャーやリーダーがいらっしゃって、その下に自律レベルが低い社員の方がいらっしゃるのであれば、リーダーやマネージャーが、少しずつその方に対して刺激を与えながら、小さなハードルを一緒に作り、伴走型で問題意識を共有して、時間をかけて開発していくことは可能ですけど。
この組織の場合は「社長、取締役もそのタイプ」ということですので、組織全体で自律レベルが停滞している感じかなと。ここから考えることができるのは、ビジネスとして高い自律レベルが求められていないんじゃないかということ。
つまり、言われたことをきっちりとやるセルフマネジメント型の働き方で十分パフォーマンスが発揮できる事業内容なのかもしれません。そういう事業体ではないかという仮説が1つ考えられます。
セルフマネジメントが加速しても、ストレスが過剰にならないぐらいの業務量や労働時間なので、継続的にセルフマネジメントで働けてしまう。そういう組織かなと思うんですね。
神谷:こういう前提を踏まえた時に考えるべきは、質問者がどういうキャリアを歩みたいのか、この会社をどうしていきたいのかを、あらためて考える必要はあるのかもしれないですね。
この方が会社を変革するような権限を持つことはなかなか難しいと思うんですよ。現状でも事業は問題なく回っていて、社長、取締役も「別にいいんじゃないか」という認識なのであれば、この会社の中にいる限り、チーム全体が、自律レベルを高める環境は望みにくいと思うんです。
もし自分がそういう環境を望むのであれば、転職をするとか、社外にそういうプラクティス・フィールドの場を求める。越境学習ですよね。組織の外で過ごす時間を増やしていって、自らの自律レベルを高い状態に維持できる状況を作っていくのが、キャリアマネジメント上必要かなという感じですね。
司会者:なるほど。ありがとうございます。今の会社がそれを良しとしている部分もあると思うので、1人だけで現状を変えていくのは、かなり難しそうですね。
神谷:そうですね。
司会者:続いて2つ目のご質問です。「パフォーマンスがコンテクスト・パフォーマンスに昇華するきっかけや、仕組みがあれば教えてください。また、それは自身の中でコントロールすることができますか?」というご質問をいただいています。
神谷:ありがとうございます。コンテクスト・パフォーマンスは、日本の概念名で言うと「組織市民行動」と言われるんですね。組織の中で1人の「市民」として、住民がボランティアをするかの如く自発的に行動するという。
これが発生する先行要因は、組織に対する愛着なんです。だから自分の会社に対する「この会社が好きだ」という感覚が、けっこう重要なわけです。じゃあ、どうやったら自分の会社を愛せるのか。それは人間関係です。
LMX(リーダー・メンバー交換関係)やTMX(チーム・メンバー交換関係)と言いますが、リーダーとメンバーの人間関係やチームメンバー同士の人間関係の質が高ければ高いほど、組織に対する愛着が生まれて、組織市民行動やコンテクスト・パフォーマンスが促されると言われています。
逆にメンバーやリーダーとの接触機会や情報の共有レベルが低くなると、コンテクスト・パフォーマンスが停滞すると言われています。
つまり、リモートワークでジョブ・デザインされた自分だけの仕事をずっとやっていると、当然コンテクスト・パフォーマンスを発揮できないので、チームが今どんな状況で、他の人たちが何に困っていて、他の人たちがこの組織をどうしたいと思ってるのかがわからない。
他の人たちが何を考えてるのかを共有する場が、まず必要になるかなと思います。そういう場で、互いの仕事情報を定期的に共有していれば、自然と「ちょっとアドバイスをくれない?」「手伝ってくれない?」というつながりが生まれます。
社員を1つの点だと考えた時に、点同士がどういうリソースを持つのかを理解すれば、そこに線が生まれやすくなる。だから点同士の相互理解の場を作っていく。
飲み会やランチミーティングでもいいんです。ラフにコミュニケーションできる場を作るのが有用かなと思います。
司会者:ありがとうございます。上司の対話やコミュニケーションを取る機会、時間を増やしていくのも、重要なポイントだということですね。ありがとうございます。
司会者:もう少しお時間がありますので、私からも少しおうかがいできればと思います。
自律には5段階のレベルがあるというお話の中で、神谷さんは、いろいろな会社を見て来られたかと思うんですが、現状としては、まだまだ自律レベルが低いのか、それとも少しずつ変わりつつあるのか、現状をどのように捉えていらっしゃるのかを、おうかがいできればと思います。
神谷:そうですね。全体としてはあまり変わっていないのではないかと思いますが、全体的な潮流で捉えると、二極化傾向にあるなと。
まずジョブ型雇用が推進されている会社。職務内容を決めて、KPIもしっかりと定めて、セルフマネジメント型で心地よく働ける環境を目指す組織。それから自律レベルを高めて、どんどん新しいことを作っていこうと、組織内でより遊ぶ文化を作っているベンチャー企業や、IT・テクノロジー系の企業など。その二極化傾向にあると思ってますね。
自律レベルを高めたほうがいいのは総論としてはそうです。ただ大切なのは、自社の事業内容、事業ドメインがどこにあるか。新たな技術の台頭が次々と発生するIT領域であれば、当然自律レベルを高めたほうがいいと思うんです。
新しい知識や専門性を身につけて学習を加速させないと、ビジネスのパフォーマンスが停滞するから、そこは高めたほうがいい。でも、例えば大手企業の下請けをやっているグループ企業だったりすると、ある程度職務内容は決まっていて、自律レベルを高めなくても、パフォーマンスが進むケースもあったりするんですよね。
自社の人材開発方針はどっちに行くのか、どういう人材を育てるべきなのかという議論が必要かなと思いますね。
司会者:なるほど。最初にご質問があった「良しとしている」という会社もそうでしたが、やはり自社がどういう方向性なのかは、業界や事業内容が密接に関係していて、そのうえで最後に判断をしていくことが重要ということでしょうか。
神谷:そうですね。仮に、どんなに安定している事業であっても、未来永劫、完全な安定、完全な持続可能性はないと思うんですよね。だから新規事業や新規ビジネスを考案する部署を作る必要があると思うんです。
1つの安定した事業の会社の中で、8割の人たちはセルフマネジメント型でストレスケアをしながら働く。ワークライフバランスを意識しながら働く。そして、2割の人たちはしっかりと垣根を作って境界線を引いた上で、異なる文脈で人材開発をしていく。こういう人材ポートフォリオを踏まえた戦略設計が求められるなと思っています。
司会者:なるほど。わかりやすく整理していただき、ありがとうございます。
司会者:最後に1つ、ご質問が来ていますので、こちらで最後とさせていただきます。「ジョブ・デザインの必要性には大変共感し、同時に対話の質の重要性を感じています。ピラミッド型の対話の質を深化させていく図があったかと思いますが、上司側から押しつけにならないようにするために、どのような会話が望ましいとお考えでしょうか?」というご質問です。
神谷:実は対話の時に「こうやるとうまくいくよ」というベストプラクティスがなかなかないんですよ。相手の気持ちや価値観によって関わり方が変わると思うので、上司がたくさん話したほうがいい場合もあれば、ずっと静かに見守っていたほうがいい場合もあると思うんですね。
ただ絶対にやっちゃいけないことはあって、それは上司っぽく振る舞ってしまうこと。1on1を観察すると、よくあるのは「それってさあ、これが問題じゃない?」と上司が判断してしまう。「お前、もうちょっとがんばれるだろう」と、上司としての評価や期待、エールを送ってしまう。
「他のやつはこうやっていたよ」と良かれと思って他者の事例を紹介する。こういうことをやると、部下は「あ、上司の言うままに従うしかないな」となって自分の考えや発言を控えてしまうんです。つまり上司という仮面をいったん脱ぎ捨てるのが、大前提として必要ですね。
そういう判断を介在させないコミュニケーションは、どうしたらいいのか。私はメモ帳やホワイトボードのツールを使うことを推奨しています。部下が何をしたいのか、その背景にはどういう価値観があるのかを、聞きながらホワイトボードに整理していくんですね。
そうすると上司は完全に聞くモード、書くモードに入るので、判断したり勝手に問題解決をしたりマウントを取ることは、割合少なくなってくると思います。ノートや付箋、ホワイトボードなどを使って、部下の状況を客観的に整理するコミュニケーションは有用かなと思いますね。
司会者:なるほど。ありがとうございます。私もそういう場面に出くわして非常に耳が痛いというか。
神谷:(笑)。
司会者:ついつい言いたくなってしまう。
神谷:そうですよね。言いたくなっちゃいますよね。
司会者:ありがとうございます。ではお時間になりますので、Q&Aはここで区切らせていただきます。あらためまして神谷さん、ご講演ありがとうございました。
神谷:みなさま、ありがとうございました。
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