
2025.02.12
職員一人あたり52時間の残業削減に成功 kintone導入がもたらした富士吉田市の自治体DX“変革”ハウツー
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日比谷尚武氏(以下、日比谷):ちょっと駆け足で、後半は事例を詰め込んでいきました。もう1回さらうと、こういった活動は一発花火を上げればいいというわけではなく、「モメンタムと蓄積」ということで、時折花火、例えばカンファレンスをどーんとやるとか、調査をやってあちこちに露出する。
一方で講演会とか、ブログを書くとか、手弁当での勉強会とか、ウェビナーとかをコツコツやって、「なんか見かけるな」という状態をキープしながら、時折花火を打つことを重ね技でやることで、だんだんと認知が高まっていくと思います。
1個やって終わり、1種類やって終わりではなく、複合技でうまく組み合わせてやっていくといいかなと思います。その結果、「このテーマと言えばこの会社だよね」「じゃあ聞いてみよう」「登壇してもらおう」「相談しよう」ということが生まれます。
まとめると、「広報の仕事は非常に幅広いんだよ」ということ。それから、「経営戦略とか事業戦略に基づいて広報の戦略を立てましょうね。そういう組織にしましょうね」ということ。そして、「ソートリーダーシップ戦略」とはどういうことか、具体的にどんな打ち手があるかということをお話しさせていただきました。
少しでも、聞いているみなさんの会社や事業促進の一助になればいいなと思っていますし、「広報とはこういうものなんだ」という理解につながればいいなと思います。長時間のご清聴、どうもありがとうございました。
司会者:日比谷さん、ありがとうございました。「広報とは何か?」というところから、「ソートリーダーシップの戦略」、さらに実例までお話しいただきました。
ここからは、第2部として質疑応答のお時間とさせていただければと思います。さっそく、いくつかご質問をいただきました。業界レポートや調査レポートの話題が出ていますので、そこを中心にお尋ねしていければと思います。
司会者:まず、業界レポートについてです。
「現在から過去については、アンケートや通常の調査で実施可能だと思います。ただし、未来を予想する、『これから何が起きるのか』みたいなことをレポートする時の根拠をどう探せばいいか、そのあたりにはちょっと難しさがあるのではないか」とコメントをいただいています。
日比谷:予言者ではないので、未来は誰もが予想できるわけではないですし、必ずしも正解を言う必要はない。ただ「こうなるんじゃないか。なぜならば、こういう傾向やこういうデータがあるから」という論拠をちゃんと説明できれば、見立てであっても問題ないと思うんです。
大事なのは、ちゃんと見立てを持っているかどうかだと思います。恐らく見立てをするためにも、海外も含んだ今の動きを知るために、ちゃんと勉強しないといけないと思うんですけど。
たぶん厳密性や正確性を問われたり、あとで「違ったじゃないか」と言われることを気にされてのことかなとお見受けしますが、未来予想の場合は、僕はそれでいいのかなと思います。
司会者:なるほど。ということは、やはり現在や過去の、業界全体のベースの情報をいかに把握しているかだったり、ソートリーダーシップを取っていくのであれば、それから何を導き出すかみたいな考え方だったり。そのあたりを明文化することも、けっこう大事そうですね。
日比谷:そうですね。今のお言葉で思い出しましたけど、そこに自分たちの会社のビジョンやWillを乗せるのも大事です。つまり、「自分たちはこういう世の中にしたいからこういうサービスをやっていて、こうやって助かる人を増やしたいんだ」というものを会社として持っていれば、それを当てはめていきますよね。
司会者:確かに。
日比谷:そればっかりになっちゃうと、できすぎたポジショントークになって薄っぺらくなりますけど(笑)、盛り込むほうがいいですよね。
司会者:なるほど。ビジョンに対して今どう動くかを語れると、「こういう社会を作ろうとしている会社なんだな」という認識を持ってもらえるということですよね。
日比谷:そうですね。
司会者:そういう意味でも、トップの方と広報の関係性は大事ですよね。
日比谷:大事ですね。コメントでは「未来予想」と書かれていますけど、予想であって予測でもないし、見解とかWill、「こうしたい」があっていいと思うんですね。特にスタートアップの立場であればなおさらね。
司会者:続いて調査レポートについて。
「調査レポート自体は、会社のマーケティングのご担当者が実施することが多そうです。まさに業界の動向を語るとか、広報という立ち位置からメディアさんに一目置いてもらうためには、どういう視点でマーケ部門の方にオーダーをするといいのか。日比谷さんだったらどうしますか?」。
日比谷:たぶん質問者さんの会社は、マーケティングの方がこういった調査レポートをやるということですね。
会社によっては、マーケは直接的にリード獲得につながるような活動。例えば、広告を出すとか展示会とかで、調査は広報でやるという場合もあるんですよね。だから、会社によってそのへんは違うなとまず思いました。
仮に会社のマーケが調査を担当している時にどうするか。「項目は何を挙げますか?」というのは、ケース・バイ・ケースなので言いにくいんですけど。僕だったらまず、「どういう調査があったら取り上げたいですか?」「知りたいですか?」とメディアの方に聞きます。
その延長がさっきの「官公庁の人に聞く」ですね。要はステークホルダーたちがどういう調査だったら興味を持つか、「なるほど」と思ってもらえるか、から逆算するわけですよね。だからその人たちに聞いちゃう。
例えば、働き方に関する幅広い調査はあるけど、「リモートワークに特化した、深掘りしたものはないんだよね」とか、「リモートワークのツールについてはないんだよね」とか、「リモートワークの制度についてはまだないね」みたいな話になっていったとする。
「じゃあ制度を深掘りしましょう」とか、「ツールの費用対効果についてもないね」「じゃあ費用対効果も聞きましょう」みたいな。既存の調査を基に、より自分たちの専門性で語れる場所を探すみたいなことをやりますね。
抽象度を上げれば、冒頭に申し上げた「メディアや世の中が、何を求めているか」を知った上で何を発信するか、と変わらない。
司会者:なるほど。
日比谷:ステークホルダーが何を求めているかだし。今どんな情報が出回っているか。出回っている情報の中でどれが使われているかを見ると、「こっちの路線がウケるんだな。こっち路線で足りないところは何だろう?」みたいなことを探せるわけですね。
司会者:確かに。
日比谷:という発想ですかね。答えになっているかな。
司会者:ありがとうございます。
司会者:あと1問ぐらいお受けできるかなと思います。事前にいただいていた質問にも気になるものがあって。どちらにしましょうか?
日比谷:両方いきましょうか。
司会者:ありがとうございます。では、Sansanの時のエピソードについておうかがいしたいと思います。
「『名刺を管理する』『クラウドやツールで管理する』という概念がなかった時に、社会やメディアの方にその価値をどう理解していただくのか。具体的なエピソードを教えてください」。
日比谷:実は、正解に近い記事があります。昔、本田哲也さんが「日経クロストレンド」で連載を持っていた時に、確かブランディングの話で、Sansanの説明をしたことがあって、そこで語っているので、もし気になる方は「クロストレンド 本田哲也 Sansan」と検索してみてください。
ダイジェストで言うと、名刺を管理する、特にデジタルで管理するのが「うさんくさい」とか、「そんな手間を掛ける必要ないじゃん。金をかける必要があるのか?」とか「危ないんじゃないか?」みたいなことを言われていた時代がありました。
「名刺の印刷でしょ」とか「パンチ入力でしょ」と誤解されるので、最初は名刺と言わずに、僕らは「顧客管理です」とか「営業管理です」と言った。それで、問い合わせが来たら「実は名刺でやるんです」と言う。一番訴求したい価値の「顧客管理」「営業管理」からアピールして、「実は名刺です」というメッセージの順番でやりました。
そして、デジタルでやるのが当たり前になった時は逆転させて、名刺、名刺とこすり倒す。「名刺と言えばSansanだ」と。
一般の方にわかりやすくするために、例えばクッキーを名刺で作って配る。記者さんに名刺のクッキーを渡すんですよ。そうすると「え?」となる。「これ、持って帰る時に割れちゃわない?」みたいな。でもスマホで撮ってもらえば、ブツは要らないので食べていいんですよね。そこで「名刺アプリを入れてください」とやるんですね。
司会者:絶妙ですね(笑)。崩れそうなもので表現するってことですね。
日比谷:そうです。「割れちゃうんだけど」「だから今すぐ撮ってください」みたいな。
司会者:なるほど。
日比谷:あとは、メディアの方には名刺をスキャンするのは「絵にならない」と言われるんです。なので、名刺の束をどさっと持ってきて、スキャナという機械で名刺をジャカジャカ読み込む様子はおもしろいんじゃないかということで、全国のコワーキングスペースにスキャナを配って、名刺を取り込む様子を取材させるとか。
お寺を借りて、年末に「名刺納め」と言って、1年間に集めた名刺をどっさり持ち込んで預かっていただく。預かる前にちゃんとスキャンするとお札をいただけるみたいな企画を毎年やったりして。
メディア向けだと、名刺がデジタル化される様子をいかに絵になるかたちにするかという企画だったり、生活の中で名刺が出てくるシーンで、ちょっと変わった絵面を撮らせるみたいなことをやって、結果的に「名刺と言えばSansan」を刷り込むということをやりましたね。
真面目なものだと、さっき申し上げたコンソーシアムを経産省さんと一緒にやったり、事例をやったり。モメンタムと継続ですよね。たまに大型花火のカンファレンスやテレビ露出をやったりしながら、コツコツと弾を撃ち続けるというのをやっていましたね。
司会者:一山あっての継続ということですね。
日比谷:一山あって継続を途切らせないみたいな。
司会者:最後にあと1つだけご紹介したいと思います。「今回のテーマである『ソートリーダーシップ』の戦略を立てて、トライしてみます」ということなんですが。
その時に、成果の測り方をどこに持っていったらいいのか。あるいはどのタイミングでそれを確かめればいいのかというところですね。
日比谷:これは広報活動全般が定量化しにくい、成果が測りにくいという課題とほぼ同義だと思います。ソートリーダーシップの場合は、企画を考える時点で、それがどうアウトプットされるか。
例えば調査リリースがどれくらい引用されるかとか、その結果、年間どれくらい講演に呼ばれるかとか、イベントをやった時の来場者数とか。目先の数字としてはそれを置いて、それがきちんと小さい山になっているか。
あとは、さっきのモメンタムと蓄積がどれくらいインパクトを与えるか。これはどっちかというと行動指標とか、途切れずに毎月発信できているかといったことです。
例えば調査や露出を見て問い合わせがあったとか、業界内調査をやった時に、認知度調査のガチなやつ、「○○と言ったら第一想起はどこですか?」「会計ソフトと言えばどこですか?」みたいなことをやるのは、お金をかければもちろんできますので。
司会者:確かに。
日比谷:余裕があればそれをやるべきですよね。そういったことを組み合わせてやるとか。
司会者:なるほど、ありがとうございます。なんとなくトライする時に成果を見やすいテーマでもありますね。
日比谷:そうですね。広報でもそうですけど、見えるかたちで成果をステークホルダーに発信することが多いので。発信したら終わりじゃなくて、それによる問い合わせや、サイトへの流入、リツイートなのか「いいね」なのか、もっとより成果につながるものなのか。何かしら参考指標を取ると思うんですけど、それと同じだと思います。
司会者:ありがとうございます。それでは質疑応答は以上とさせていただければと思います。
日比谷:ありがとうございます。
司会者:本当に長い時間、日比谷さんもありがとうございました。
日比谷:みなさんも聞いていただいてありがとうございました。
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