2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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安藤広大氏(以下、安藤):(部下の行動量の最大化を阻害する要因の)2つ目。「少ない行動量で高い成果を上げられれば、楽に評価が得られるぞ」という部下側の勘違いです。
これはそもそも運動量を上げること、行動量を上げることに視点がいっていない。これも人間の大きな勘違いの1つですね。
「できる限り自分の体を動かさず、高い成果を得ることができたほうが、たくさん動いて得た成果よりも得だと思う」というものがありまして、慣れてくればくるほど、できる限り体を動かさないほうがいい。体を動かさないように持っていってしまう。
でもそうすると、先ほどから申し上げているとおり、母数が減ってくると、同じ確率で徐々にヒットの数も減ります。さらに仕事の場合は、練習という機会がほとんどありませんので、母数を減らすと、結果的に練習量も減ることになり、確率も下がっていくことになる。どんどん目も当てられない状態になっていきます。
ベテランになればなるほど確率が下がり、うまくいかない事実から逃げたくなって、どんどん動きが遅くなり、行動量を最大化するところから遠ざかっていきます。
3つ目は「失敗したくない」ということですね。ミスをして怒られたくない。できるだけ失敗しないように、1つ1つの行動が慎重になってしまう。
「結果」とは期限時の状態、事実を指します。「成果」とはでき栄えです。結果に対して他者の評価がついたものを「成果」と識学では定義しています。start、goalがありますと、goalの状態が「結果(事実)」です。結果に対して評価が乗ったものが「成果」です。
リンゴの木に実がなり、リンゴが取れました。これが「結果」です。その「結果」に対して「評価」が乗ったもの。「500円のリンゴになりました」は、「他者の評価」が乗っているので「成果」になります。
安藤:じゃあ、「結果」に視点を置くべきか、「成果」に視点を置くべきかですが、これはやはりコントロール可能なもの、つまり結果側に視点を置かないといけない。リンゴの実を作るものだとすると、いいリンゴを作ることに視点を置き続けることで集中力が増す。
「成果」のほうに視点が行くと、「高く売れなかったらどうしよう」とか、他者の評価を気にして、目の前の結果に対する集中力が低下してしまうので、とにかく結果視点である必要があります。
例えば、フィギュアスケートを5分間滑りきるのが「結果」です。それに対して何点つくのかが「成果」だとすると、滑っている間は5分間自分の演技をしっかりやりきるようにしたほうが、目の前の集中力は上がるんですね。
要は高い点数、高い成果を得るためにどうしたらいいのかという結果が決まったのであれば、その結果に向けて動き出す。自分なりに全力でやった結果、高い評価を得られなかった。高い成果を得られなかったのであれば、そこに対する不足を認識した上で、新たに結果を設定し、また「結果視点」で動き出すことが重要です。
結果を設定したら、成果のほうに視点を向けずに動く。結果に向かうまでに、成果に視点がいって動きが止まることは、ロスタイムになります。これによって運動量が下がってしまいますので、結果視点になりましょう。
テレアポで電話を掛ける。電話を掛けてしっかり物事を伝える。これは「結果」で、アポイントが取れるかどうかは「成果」ですね。
成果視点にしてしまう人は、電話を掛ける前に「取れなかったらどうしよう」とか「なんとなくこの業態取れなさそうだな」と考えて動きが止まる。そうすると運動量が落ちてしまう。
でも結果視点の人は、そんなこと考えずにどんどん電話をしていくことができる。そうすることで運動量が上がります。我々もよく「成果視点になっているよ。結果視点で行きましょう」と、部下のみなさんに伝えることがあります。
安藤:次は「上司の言うことが納得できない」です。これは識学の中でいう「位置」の問題で、組織における役割、「組織における位置の錯誤」によって起きています。
役割や責任は、個人と役職のどちらにひもづいているのかと言うと、先ほどから申し上げているとおり、役職です。
つまり、上司は個人として部下より優れているから、部下に対して指示をできる権限を有しているわけではなく、上司のほうが偉いからでもないんですね。役職に基づいた責任に応じて指示をしているので、部下のみなさんは納得できないとか、納得できるかどうかという権限はありません。それは、責任を取れる立場にないから。そういう役職ではないからです。
ただし、部下のみなさんには部下のみなさんに与えられた役割や責任がありますので、その責任を果たす上で、上司からの指示が「こういう部分で問題が出てきそうです」とか、「その責任を果たす上で不具合が生じそうです」ということに関しては、その事実を報告し、上司に判断を仰ぐ権限は持っています。
しかし本人自身が納得できるかどうかで、動く・動かないを決める権限は持っていないので、上司と部下は上下であるということです。
これを例えば、部下が「自分が上司と同じ立場にいる」という錯覚を起こしたり、上司が部下と同じ場所にいると錯覚すると、指示ではなくお願いになってしまう。お願いになると、当然部下のみなさんは「お願い」ですから、納得を求める立場になってしまうので、組織が動かなくなって、行動量が下がってしまう。
今日はそういうテーマではありませんので、これをどう解決するかに関しては、『リーダーの仮面』を読んでいただくことをお勧めしたいと思います。
第2章は行動量をテーマにお伝えさせていただきました。
安藤:第3章は「変数と定数」という話をさせていただきます。大事なプレゼンに挑む時、プレゼン資料の完成度を上げた。でも結果はあまり変わらなかった。これは、資料の完成度が「変数」ではないということです。
最初の10秒で結論を述べてきた。成功回数が上がった。これは伝え方が「変数」だったということです。
ここでは、自らを変えることができる数字で、かつその結果に対して影響を与えることができる数字のことを、「変数」と定義しています。
この「変数」をしっかり捕まえて、有効に動かしていくことによって、最終成果を掲げていかなければいけないということです。「変数」とは、自ら動かすことができる数字ですので、部下に定数を変数と勘違いさせるようなマネジメントをさせてはいけない。
部下は「景気が悪くて」「競合が強くて」「商品が弱くて」と言いますが、「確かにそうだよな。気持ちはわかるよ」と認めてはいけない。要するに定数とは、その立場の人間の責任と権限において、動かすことが不可能な数字です。
例えば、「商材が弱くて」は、営業の立場でなければ、動かすことができる数字になっている可能性はあります。しかし、どの会社も営業職は、今与えられている商品を、いかに売るかという責任を負う存在ですので、「商材が弱くて」と言ってもしょうがないですね。
そうすることを認めてしまうと、部下は不足を感じることができずに、成長できないので。つまり自責の認識を動かすことができません。ですので、この定数を変数と勘違いするようなマネジメントをしてはいけない。
景気が悪かろうが、競合が強かろうが、商材が弱かろうが、それを自ら動かせない環境下において、いかに数字を上げるかに、集中させなければいけません。
手前味噌ではありますが、2020年の4月くらいからコロナの騒動が始まって、一時期本当に世の中が止まってしまった時期があったと思います。あの時に社内で誰が一番動揺したかというと、私自身かなと思うんですけれども、本当に営業マン一人ひとりはふだんと変わらず、自分が達成できないことに対して、不足を認識してやってくれていたんですね。
これはやはり、彼らがコロナという環境すらも定数だと認識して、自分が動かせる部分に対して、向き合ってくれていたからかなと思います。
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