2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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田尻望氏(以下田尻):こんにちは、カクシンの田尻でございます。このたびはご参加いただきまして誠にありがとうございます!
このたび『付加価値のつくりかた』という書籍を書かせていただいたのですけれども、おかげさまで発売5日にして、もう1万部を突破いたしました。ありがとうございます! 本当にありがたく思っております。
「付加価値」というものを世に伝えることができれば、よりたくさんの方々が幸せに働くことができるんじゃないかなと思っております。今日は本を見るだけではわかりづらいところも含めてお話ししていこうと思いますのでよろしくお願いいたします。
あらためまして、田尻でございます。大学を出たあとにキーエンスという会社に入りまして、そのあとはアーバンマネジメントという会社の創業に携わらせていただき、今はカクシンという会社を営んでおります。
現在「お客さまの営業利益を改善する」ということを仕事として行っております。いろんな会社さまに対して価値提供を行っておりまして、全国経営者大会に出させていただいたり、日本経営合理化協会さんでお話しさせていただいたり。今回は本を出させていただきました。実は過去にも1冊出しておりまして、今回が2冊目です。来年も2冊ほど出版予定です。
……と、良い経歴が載っているんですけれども、実は私は2012年6月にキーエンスを退社いたしまして、その後すぐに事業に失敗いたします。6月に辞めて2013年初旬ですから1年ももたずに、本当に大変な状態になりました。
どれくらい大変だったのかと言うと、妻の両親の家に居候。もともと住んでいた家の家賃が払えなくなってしまったんですね。何をすれば価値が出せるかわからず、職なし。「付加価値のつくりかた」という本を書いているくせに、この時は価値の作り方がわからなかったんですね。そして生まれたばかりの娘と、妻がいる。家なし、職なし、家族ありという、この3つが揃った状態でございました。
その状態から飲食グループの創業家の方に拾っていただきます。雇っていただき、ではないです。拾っていただいて、ゼロからのスタートをいたします。
どんな状態を体験したのか。「1製品10万円以上の営業利益があるものを売っている会社」から「一杯のどんぶりで10円の営業利益があるかないか」。「完璧な営業システムが揃っている状態」から「システムどころか数値の換算もあいまい」。「納期は絶対」から「納期を守れたらすごい」。
「やると言ったことは、クオリティ高くやる」から「やると言っても、そもそもやらないかも」。そして「日本有数の超高収益企業」から「9時から24時までほぼ休みなく働いて、月収25万円(時給666円)」。
でもここで大事なことが、「それでもありがたかった」ということなんですね。この時の経験があるからこそ私自身、みなさまに今回「付加価値のつくりかた」というのをお伝えできるんじゃないかなと思っております。もし私自身にこの経験がなかったとしたら、こんなことは話せなかったと思います。
先ほどのこの状況の中、当時の飲食グループの社長からこう言われるんですね。「お前このまま終わるつもりか」と。そんなわけあるか! と。
もちろん実際にその拾っていただいた社長に対して「そんなわけあるか!」と言ったわけじゃないです(笑)。心の中で言って、「社長、やりたいことがあります」ということをちゃんと言ったわけですね。
じゃあ始めたことは何か。その会社の社長自身へのコンサルティングをしました。もちろん社長に対して「御社のコンサルをしますよ!」なんて言ったわけではなく、何を言ったかというと「店舗の立て直しをやらせてください」ということを伝えたわけですね。
そして何をしたか。売上、リピート率、利益率、離職率、なにがなんでも改善するということを目標にしました。そして始めたのは「1,000人いたら999人に無視される仕事」です……そう、呼び込みですね。大阪の街では、特定の人に声をかけたら違反なんですね。なので私にできたことというのは、人を特定しない声出しです。
「お兄さんお店はいかがですか」と特定の人にお声かけするのではなく、「あちらにというおいしい店があります」ということで、ずっと立って声を出しておりました。そして、雨の日でも呼び込みをしておりました。
結果どうなったかと言うと、もともとの売上が前年比で悪く、離職も多く大変だという状態から、昨対比プラス27パーセント、そして離職ゼロという状態になりました。私自身これが初めてのコンサルティングです。もしキーエンスしか経験していないとしたら、みなさまに伝えられることなどあまりないと思います。
しかしながら9年前のこの時から、飲食、ホテル、携帯、通信、コールセンター、高級服飾、Webコンサル、インフルエンサー、鍼灸整骨院、SaaS系会社、BtoB、BtoC、BtoBtoX問わず、みなさまに付加価値を提供してきました。なので今回のお話であなたも、あなたの会社も必ず伸びるということが言い切れますし、もしも今回のお話だけで伸びなかったとしたら、またいろんな質問をいただければと思っております。
これは本の中で出てきた例ですが、鍼灸整骨院さまでも単月6,000万円プラスになられたり、コールセンターさまでも2ヶ月半で2,400万円プラスになったり、BtoBの法人の会社さまでも変化率176パーセント、8,300万円の成果が出たり、訪問販売の会社さまでも成果がたくさん出ているというのが現状でございます。
お伝えしたい大事なことがあります。何かと言うと、日本で古来から言われているこの話です。「がんばっていれば結果は自然とついてくる」「一生懸命やっていれば利益はちゃんとついてくる」……って、本当ですか? 僕はこれは嘘だと思っています。
ただ、嘘じゃないところがあるのでわかりづらいんですよ。がんばってうまくいく人もいるんですね。でもがんばってもうまくいかない人がいるんです。それが何かというところが今回のお話です。
それがこちらです。「付加価値を創れていれば、結果は自然とついてくる」「付加価値を提供できていれば、利益はちゃんとついてくる」、これが答えだと思います。
もし付加価値を提供できているのに利益がちゃんとついてこなかったとしたら、どうなるか。あなたは徳を積むことになり、人から好かれ、さまざまな運気が上がります。付加価値をちゃんと提供できていれば、利益はちゃんとついてきます。これが本当の話だと私自身は思っています。
この本を通じてお伝えしたいことは、「価値ある努力」と「愚直な実行」です。間違った努力と愚直な実行をしても、人生は苦しいだけです。価値ある努力と愚直な実行とは何か、というのをみなさまにお伝えしたくこの本を書いています。
この『付加価値のつくりかた』の中で醍醐味として、超高収益企業・キーエンスというのが出てきます。キーエンスとはこんな会社です。2018年度連結売上高5,871億円、営業利益3,179億円、営業利益率54.1パーセント。
それがコロナの影響を最大に受けた時、下がりますね。2020年度の売上高5,381億円、営業利益2,768億円、営業利益率51.4パーセント。ですが、2021年度の決算でこう変わります。
売上高5,381億円が7,552億円まで、営業利益2,768億円が4,186億円まで、回復どころかチェック(✓)字で上昇します。もうこのコロナの時代の変化に合わせてアジャストしてきたということですよね。ただここでよく言われるのは「キーエンスは競合がいないからなんじゃないですか?」ということなんですが、ぜんぜんそんなことはないです。
みなさんもご存じの会社だと、三菱電機さん。オムロンさん。世界的にはめちゃくちゃ有名な、シーメンスという7兆円、8兆円企業。こんな会社も競合です。その名だたる兆円企業の中で、これだけの営業利益と営業利益率を出せる会社というのが驚異的だと。
じゃあ何がすごいのかと言うと、こちらです。「付加価値の戦略」と「差別化の戦略」。このわかりづらい言葉を平易な言葉にすると、付加価値の戦略というのは「あなたの役に立ちますよ」戦略です。差別化の戦略というのは「他社とは違います」戦略です。
重要なことは、これを両方同時にやることです。片方ずつやってみましょう。「あなたの役に立ちますよ」という付加価値戦略。「この商品はあなたの役に立ちますよ」。
そうすると、お客様は、「そうなんだ、役に立つんだ。でもね、ほかの会社も役に立つと言っているんだ。値引きしてくれる?」。
差別化の戦略。「この商品は他社とは違うんです」。
そうするとお客様は「他社とは違うんだ。でもね、今回は使わないからさ。値上げはだめだよ」。片方だけだと、価格がつかないんですよ。
両方同時にやってみます。「この商品のこの機能はあなたの役に立ちます、しかもこの機能はうちにしかありません」。そうするとお客様は、「……これいくら?」と。
この付加価値の戦略と差別化の戦略、「役に立ちます」戦略と「他社とは違います」戦略を同時にやることで、実は初めて価格がつきます。それをキーエンスという会社は、商品の企画者、販売促進・マーケティング、営業の企画者、そして営業一人ひとりに至るまで一気通貫でできている。これがすごいところなんですね。
みなさまも自分自身、そしてご自身の組織は、これが一気通貫できていますか?
付加価値の戦略と差別化の戦略をしっかりとわかった上で、それを組織として一気通貫でできるか。それだけで営業マン1人としても伸びますし、マーケティングに携わる方としても伸びますし、経営者としても伸びます。
またこの会社、売上高が上がれば上がるほど営業利益が上がっていく仕組みになっていますので、業務効率化も非常に上手です。売っているものはこういったセンサーで、モノを売る会社です。そしてこの会社のすごいところが、新製品の70パーセントが世界初か業界初だというところです。
世界初か業界初が1個でも作れたらすごいと思うんですけれども、彼らが作り出す年間30個以上の新製品の7割が世界初なんです。彼らは世界初・業界初というものをしっかりと定義をして、それを再現可能にしているんです。ということは「キーエンスがすごい」もそうなんですけれども、実はその再現可能なやり方を知ればみなさんもできるんですね。
実際、大企業さま、中堅企業さま、中小企業さまだったりしても、世界初・業界初をやっていらっしゃる会社があります。でもそれをキーエンスのようにうまく使って営業利益にまでできている会社は、すごく少ない。それは非常にもったいないなと思っております。
年商7,550億円、営業利益4,180億円。平均年収も、一人当たり営業利益もめちゃくちゃ高いです。時価総額も高くて営業利益も高い。こんな会社がやっていることというのが、ふんだんに詰まっているのが今回の本。しかもそれをけっこうわかりやすく書かせていただいていますので、ぜひ読んでいただきたいです。
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