
2025.02.12
職員一人あたり52時間の残業削減に成功 kintone導入がもたらした富士吉田市の自治体DX“変革”ハウツー
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小山綾子氏(以下、小山):私も2人の話を聞いてて、忘れちゃいけないのは「何のために」というところ。例えばダイバーシティを推進していくことを目的にしてはいけない。それは企業としての成長のために、その経営戦略として必要だってなった時に、ちょっと違う意味を持ちますし。
先ほど威津馬さんと栗原さんに議論していただいたように、そもそもそんなダイバーシティ推進室なんてものがあることのほうが世界的に見て遅れるとした時に、その推進室のためにがんばることを目的にしちゃいけないなって、あらためて感じています。
とはいえ今はまだ日本がこういう現状で、本日ご参加されてる方の中にもまさに、会社の中でダイバーシティ推進の役割をされてる方もいらっしゃると感じるんです。今回は国際男性デーということですが、男性のその活動により当事者意識を持ってもらって、男性を巻き込んで、結果、企業におけるDE&Iの推進につながるようにしていこうとした時に、どのように会社の中で働き掛けをしていくといいのでしょうか?
どうすれば男性も女性も、それ以外のあらゆる方々も、気持ち良く全員で同じゴールを目指せるようになるのか。この議論も求められてる気がしたんですが、いかがですか? 例えば男性が女性村に、モヤモヤすることのないように働き掛けるには、どうしていったらいいか。少しアイデアがあったらぜひと思うんですけども。
栗原さんはもうその活動を直接的に社内でされてることが多いのかななんて思いますが、いかがですか?
栗原健輔氏(以下、栗原):自分の会社でやってみてわかったことは、まったく同じメッセージでも話を男性がするか女性がするかで、男性の受け取り方が違うという事実があるとということです。
社内でよくイベントに出させていただいてみなさんの反応を見ていたんですが、僕が言ったことはきっとこれまでもダイバーシティ推進室の方々が何度もおっしゃっていたことなんです。でも僕が言うだけでまったく受け取られ方が違った。なので男性が男性に言っていくのがすごく大事かなと思いました。
小山:「誰が伝えるか」から仕掛けるってことですか?
栗原:はい。あと、先ほどあのチョコの絵で、目指すところはダイバーシティじゃなくてインクルージョンですよね。そこはみなさんスッと受け入れていただけるんですけど、「じゃぁ、何したらいいの?」っていうところになると、また男性は止まるんです。
「だって女性をサポートする動きでしょ?」「男性だから特に何もしないでいいんだよね」っていう方が多いんです。そしたら私はそういう方々に(この絵を見せるんです)。これは
「【子育てコラム】子育てとジェンダー」というコラムからお借りしているスライドになります。
わかりやすくいうと、この左側と右側でシーソーの均衡をとろうとしています。「何で男性も何かしなきゃいけないんですか?」「男性側も動かなきゃいけないんですか?」という話をする時にこの絵を見せたら、ものすごい多くの弊社の男性のメンバーに「腹落ちした」、「確かにマジョリティ側が動かないといけないですね、ぜひやりましょう」と言ってもらえたんです。
栗原:見ていただいてわかるとおり、マジョリティとマイノリティでは重さが違います。メンバーがバランスをとろうとしてる時に、左側の男性は、「私は中立でいるポジションです」とシーソーの真ん中に立つんですね。
「べつに反対もしないし賛成もしないよ、どうぞやってください」と、何もしない状態なので、マジョリティの方が重いので、見ての通りシーソーの均衡はとれません。
一方で右の図のように、重いマジョリティ側の我々男性が、マイノリティ側に1歩踏み込むアクションをとると、均衡がとれるんです。
だから「我々は散々今までいい思いさせてもらったんだから、これからマイノリティ側に1歩歩み寄る、このアクションを会社の中で一緒にやっていきませんか?」っていう話をするんです。そうすると「あ、そうだよね」「じゃぁ、やっぱ男性もやらなきゃいけないよね」って、ものすごい数の男性に共感をいただくことができました。
そういう言葉をたくさんいただくことができたので、もし今日ダイバーシティ推進の担当の方がいらっしゃれば、ぜひこういうスライドを使って、男性の方に誰か話していただくと、少し進むんじゃないかなと思いました。
小山:ありがとうございます。コメントでは「威津馬さんに言ってもらいたい」って。
田中:うちの社内の方ですね(笑)。言いますよ、言いますとも。
小山:栗原さんの話を泣きながら聞いてくださってる方もいるようです。難しいですよね。中立とか平等とかって、今みたいに視覚化するとその実体がわかったりもするので、(絵は)すごくいいツールだなと思います。
小山:栗原さんが、「今まで男性はいい思いをさせてもらってきたんだから、そうじゃないマイノリティ側に歩み寄っていこうよ」って言ってくださったんですけれども。
でもアンケートをとって感じるのが、とはいえその男性は男性のアンコンシャスバイアスがあって、周りも自分自身も入り込んで、もしかしたら今までそれに縛られたような働き方や生き方があったかもしれない。それに加えてマイノリティ側に歩み寄ることも求められると、苦しさを感じたり否定的な反応を示したりする方もいらっしゃるのかな? と思いました。
男性の気持ちをどうやって同じ状態に持っていけるか、威津馬さんいかがですか? 「威津馬さんが私の言葉を代弁してくれている」っていうコメントもけっこうあったので、もう率直に感じてることを。
田中威津馬氏(以下、田中):ありがとうございます。マジョリティとマイノリティのバランスをどう取るかは、本当にさっきのシーソーの絵がすごくわかりやすくて。それから男性が言うと効果があるよねっていうのは本当にそうだなと感じます。
オールドボーイズチックなところがあるのかもしれないんですが、やはり弊社の中でイベントをやって、男性の社長がばしっと言うと、それはそれで響きますよね。でも感じるのは、いろんな価値観が世の中にあふれていることが、社内で、組織の中で可視化される仕組みを作っていくことがすごく大事だと思っています。
私が社内で「2ちゃんねる」を作った話をしたんですが、このダイバーシティの文脈で、匿名さん同士がけんかしたりするんですね。それが大勢の方に見える。当然研修プログラムも用意してますけど、それとは別にリアルな声で、こんな人たちにこんな問題があるんだっていうのがわかる。わかんないから、たぶん配慮もなにもできないんだと思うんですよね。
田中:いろんな声が可視化される仕組みが必要。そこでテクノロジーがけっこう重要な役割を果たすとは思っています。いろいろ可視化されるツールをがんがん入れると、本当に風通しが良くなるなと思っているところです。そんなのも活用しながら、いろんな意見が出てくる場があることが、本来健全じゃないかなとは思うんですよね。
うちのメンバーが言っていたことで、アンケートを取った時に、「生きにくさ感じます?」って聞いたら、「あんま感じないです」って言う方が多くて。これは逆に、本質的にけっこうヘビーな問題だと感じたんです。要は「他の方々がどういうところで苦しんでるのかわからない」ってことでもあると思ったんですね。
可視化される、わかる。それも単に教科書を読む程度の勉強ではなく、ちゃんとリアルな人間の声として聞くみたいな環境を作る。だいぶカオスなので統制がとれてなくて、ちょっと生々しくて怖いかもしれないですけど、すごく大事な環境だと思っています。みんなが健全に、オープンに議論できる会社にしていきたいですね。
小山:ありがとうございます。確かにオープンな議論はその通りですね。そもそも、男性女性っていう言葉そのもので作っている壁があるんですよね。威津馬さんがおっしゃっていただいた「一人ひとりが個でありマイノリティである」って考えた時に、その壁を取っ払って意見交換できる場があるという重要性は、すごく感じましたが。栗原さん、いかがですか? 今の話でご意見あればぜひ。
栗原:そうなんですよね。ただそのダイバーシティを進めていると、どうしても男性は肩身が狭いみたいにおっしゃる方がいらっしゃるんです。私の持論ですけど、ダイバーシティが認められてない会社は、男性のダイバーシティも認められてない。男性も「こういう人じゃなきゃ出世できないよ」みたいに言われている会社なんじゃないかなって思わなくもなくて。
要は女性に限らず、ダイバーシティを認めようとしている会社は、べつに性別に限らないじゃないですか? いろんな働き方、いろんなキャリア、いろんな可能性があっていいですよね? そういう社風があるんだと思います。
活動の中で、ダイバーシティ=女性だけなのかという批判をいただくこともあるのですが、そういうことではなくて「いやいや、女性に限らずうちの会社で将来、あなたがこういうふうに働きたいっていう働き方の多様性だって認めてもらえることになるんですよ」って。そういう前向きな解決ができないかなって思っております。
小山:ありがとうございます。今ちょうどコメントで、大学生の男性の方が書いてくださってるんですけれども、今私たちは企業においてとか、家庭を持ったあとの話に焦点を当ててるんですけれども、そもそも学生のころから、なかなか男性学、女性学って観点を含めて、ジェンダーに対する意識を持つ機会がないんじゃないか?
だから先ほどのシーソーのアンバランスに対して、どうするかという観点につながらないんじゃないかな? という示唆をいただいきました。もしかしたらその前の段階から、社会に出る前から始まるんだなって思っちゃいました。
田中:私は経験があります。私、子どもにめちゃんこ怒ったことがあって。何かというと、「男の人は、女の人と結婚しなきゃいけないんだよね」みたいなことを言いだしたんですね。どこでそんなの習ったの? って僕すごく怒ったんです。
メキシコ人の友達に同性愛で結婚してる人たちがいて、行事とかで会ったり、女性同士で結婚している知り合いもいるし、LGBTQの文脈ですけど、なんだっていいじゃないですかと。なのに、その価値観を小学校1年生の時に持って帰ってきて、衝撃を受けました。まさにこの教育からっていうのは、本当に取り組んでもらいたいというか、自分でも発信してきたい大きな課題だと思いますね。
「あとで是正する教育」も大事だと思うんですよ。間違った認識を正すのは、企業の中で私たちがやっている社員教育とかでなんです。なのでこの学生さんのコメントにすごく共感します。
小山:ありがとうございます。栗原さんもお子さんいらっしゃる中で、何か感じることありますか?
栗原:そうですね。それほど強烈なのはないですけど、でも本当に日本ってジェンダー教育がほぼないですよね。私自身も受けた記憶がないですし、大学の時にジェンダー学をやっている友人を横目で見てたぐらいで、自分は結局履修しなかったですし。
もっと普通に教育の中に取り込まれていくことで、我々の根底にある、ジェンダーに対する偏見は取り払っていきたいなと思います。
小山:ありがとうございます。教育のところまで踏み込むと、またもう1本別のイベントができるぐらいですね。
栗原:(笑)。
小山:そういう思いや意見が私たちLean In Tokyoとしてもあるところです。今回は特に企業におけるダイバーシティ&インクルージョンの推進っていうところに焦点当ててお話を伺ってきました。
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