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【財産3,000円事件!?】藤野英人のしくじり列伝!<Part1>(全1記事)

経営する会社が大赤字になり、財産が21億円→3,240円に… レオス藤野氏の「しくじり」から学ぶ、失敗からの立ち直り方

レオス・キャピタルワークス株式会社のYouTubeチャンネル『お金のまなびば!』は、ふだんは語りにくいお金や投資、経済の話について、ひふみシリーズの最高投資責任者の藤野英人氏や、ひふみシリーズのメンバーと一緒に学んでいくチャンネルです。本記事では「お金しくじり列伝」と題し、藤野氏がリーマンショックで経験した「財産3,000円事件」を明かしました。 ■動画コンテンツはこちら

レオス藤野氏が語る「しくじり」体験談

司会者:レオス・キャピタルワークス株式会社の代表取締役会長兼社長で、投資信託ひふみシリーズ最高投資責任者、藤野英人さんにお越しいただきました。よろしくお願いします。

藤野英人氏(以下、藤野):よろしくお願いします。

司会者:ふだんは「Sla/shers+(スラッシャーズプラス)」という、複数の肩書きや職業・経歴を横断して、さまざまな挑戦をされているビジネスパーソンに密着する企画をやっているんですが、今回はせっかく藤野さんにお越しいただいたので、特別編ということで「お金しくじり列伝」という企画を勝手に用意させていただいています。

『お金のまなびば!』というYouTubeチャンネルでも、華々しい体験やいろいろなお話をされているイメージがあるんですが、その裏はでしくじりエピソードもお持ちなんじゃないかなと思っています。

ご自身のしくじりエピソードと、そこから学んだことをおうかがいしながら、藤野さんの等身大の一面をみなさんに見せていけたらうれしいなと思っております。

藤野:よろしくお願いします。

司会者:1つ目のしくじりを教えてもらってもいいでしょうか。

藤野:「財産3,000円事件」。2007年、当時レオス・キャピタルワークスの会社の価値が30億円くらいあったんですが、大手のメガバンクや大手の商社に投資をしていただいて、「さぁ上場するぞ!」という感じで、非常に業績も良くて勢いもあったんです。

リーマンショックで、財産が21億円→3,240円に

藤野:私は70パーセントの株式を保有していたので、21億円の資産家だったんです。それが、1年後に“あいつ”が来たんですよ。

司会者:あいつ、と言いますと?

藤野:リーマンショックです。「会社が木端微塵になるってこういうことなんだな」と思いましたね。それで黒字だった会社が大赤字になり、資金調達しようにもリーマンショックでどこも大変だからお金を調達できず、結局1株1円、3,240円で売却することになった。

司会者:つまり藤野さんの資産は……。

藤野:21億円から3,240円になったんです(笑)。1つのけじめとして、銀行に行って「3,240円」と書いてそのまま引き落として、「これが僕の会社の価値だ」と。本当に最悪の気分でしたね。

司会者:その3,240円を額縁に入れて飾っているという噂を聞いたんですが、それって本当ですか?

藤野:そうなんです(笑)。儲かっている時に、10万円くらいですごく立派なエルメスの額縁を買ってはいたんだけれども、何も入れずに置いてあった。

それをじーっと見て、「これを入れるのにふさわしい」と思って、その3,240円をエルメスの額縁に入れて、今もときどき見ているんです。自分の教訓ですよね。

徳川家康に重ね合わせた、自身のしくじり体験

藤野:徳川美術館というところがあって、そこに悲惨な顔をしている家康の肖像があるんです。徳川家康が武田信玄と戦って大敗北するんですが、その時に徳川家康は一番かっこ悪い自分を描かせて、いろいろな戦争のときに「こうならないようにしよう」と、それを自分の戒めとして持っていたんですよ。

実際に私も徳川美術館にそれを見に行ってきました。「君もそうだったか」みたいな。家康と自分を比較するのもずいぶん傲慢な話ですが、僕にとって今回の体験は家康の大敗と非常に似ているから、「自分もそういうかたちで残そう」と思って3,240円をエルメスに飾ってあるんです。

当社の常務である白水(美樹)という女性は、楽天証券の前身のDLJディレクトSFG証券の時代の創業メンバーで、コールセンターの責任者だった人なんですよね。

司会者:すごく上の立場の方が。

藤野:私が「投信を売るほうから、投資を作るほうにまわろうよ」「最初からまたやろうよ」と言って、来てもらったんです。それで会社が倒れちゃったじゃないですか。

司会者:確かに。

藤野:失敗したなと思って。「白水さんごめんね」「地獄の道に引きずり込んでしまったね」と、白水さんに申し訳ないという気持ちを伝えたくて話をしたんです。

お金や権力を失っても、実績や信頼は残っている

藤野:そしたら白水さんに「ちょっと待ってください。『理想の投資信託を作る』と言って私を誘ったんです。できたんですか?」と言われたんですよ。

「できていないどころか、会社はもう倒産も同然です」という話をした時に、「まだ可能性はあるじゃないですか。それで諦めるんですか?」と。

司会者:その方の中では、藤野さんの挑戦はまだ終わってなかったんですね。

藤野:そうなんですよ。僕は「終わった」と思っていたんですが、彼女が最後に「私と一緒にもう一回頑張りませんか?」と言ったので、心を入れ替えてがんばろうと思ったんです。

司会者:そこからどのくらいで復活できたんですか?

藤野:「それからすぐに復活した」と言えるとかっこいいんですが、5年はかかりましたね。でも、その時にまたすごく学びがあったんですよ。お金もない、権力もない、失った状態では何もないと思うけれども、何もないわけじゃないんですよ。それまでの実績や信用や信頼は残っているんです。

司会者:なるほど。

藤野:さらに、開き直るってすごく大事なことかなと思います。開き直った瞬間にすごく強くなったし、自分が丸裸になって一から責任を取ったところから這い上がってくると、ある面で見たらちゃんと禊もしたことになります。

そこでまた人の信用も集まるじゃないですか。なので、失敗した時には全部手放して、一から出直すことが大事だったんだなと思います。

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