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経営者力診断スペシャルトークライブ EQを高めて経営者力を発揮する!(全5記事)

日米欧で見られるマネジメントスタイルの二極化 トレンドの「支援・共感」型と、根強い「統制・管理」型

経営者やリーダー向けに、「経営」「マネジメント」をテーマとした各種セミナーを開催する経営者JPのイベントに、日本におけるEQ理論の第一人者でEQ関連書籍を多数出版している株式会社EQ会長の髙山直氏が登壇。経営者JPの代表・井上和幸氏と共に、米主要企業のトップが考える「これからのリーダー観」や、髙山氏が分類したEQの24因子などを語りました。

欧米で求められる「EQの高いリーダー」

髙山直氏(以下、髙山):もう少し調査結果をご紹介したいと思います。これは井上さんの会社のライバルになるのかもしれないですけど、アメリカ本社のアデコさんという人材系の会社さんです(笑)。こちらが2020年に世界8ヶ国で調査した結果です。

「ResetNormal」とありますが、パンデミック後に何が変わるかという調査です。40ページくらいの調査報告書の中に、「これからはEQの高いリーダーが求められる」と書いてあったんです。もちろん弊社はこの調査にまったく関わっていないのに。

アデコさんはEQを「共感とサポートの姿勢を重視したリーダーシップ」と定義していて、それに関して世界の74パーセントが「そのとおりだ」と回答しています。

井上和幸氏(以下、井上):日本は低いですね(笑)。

髙山:さすが、いいところに目をつけましたね(笑)。そこで、なんと僕にインタビューがきたんですよ。なぜ日本は低いのかって。

井上:なるほど。でもそれはそうでしょう。

髙山:それで僕の第一声が「え? 僕のせいですか?」(笑)。

井上:(笑)。髙山さんのウン十年の努力が足りなかったと。

髙山:ですよね(笑)。「僕の力及ばずで日本がこういう結果になって申し訳ない」とアイスブレイクからお話に入りましたよ(笑)。井上さんはよくご存知だと思いますが、キャリアの文化が特に欧米と日本では違いますよね。

井上:そうですね。

髙山:欧米の場合は自分のキャリアは自分で作り、キャリアアップして収入も上げていくので、世界の動きをいつもチェックして経済フォーラムもウォッチしている。だから「これからはEQだ」と言われたら、彼らはEQを学びにいきます。日本の場合は、会社を通して知る。人事部さん主催の研修や講演などがEQを知るきっかけとなります。

要するに、EQの認知度の低さが理由だと僕は……回答しました。でも私的には悔しくて、日本のマネジャーやリーダーに敬意を表して、もう1つの考え方として日本ではこれは当たり前で、「経営者は従業員を家族と思っている。何を今更当たり前のことを言ってるの」と思っている部分もあります……と書いたら、大ひんしゅくで(笑)。

「そんな経営者はいない」とか「そんなリーダーはいない」とか「リーダーが足手まといだ」とか「リーダーがパソコンができなくて、なんで僕らがしなきゃいけないんですか」という反論がいっぱい来てしまって(笑)やはり日本は低いかもしれません(笑)。

井上:なるほど。

米主要企業のトップが考える、これからのリーダー観

髙山:もう1つがこれです。アメリカのトップカンパニーのCEOのメッセージを集めて、僕が5つの共通項に整理したものです。

どうですか。「リーダーは弱さを受け入れろ」とあります。

井上:最近こういうのもよく言いますよね。

髙山:ありますね。そのために「正直になれ」とか「心を開け」と言っています。

井上:オーセンティックリーダーシップと言います。今ちょっと書き込みもいただきましたが、「サーバントリーダーシップとも言えるのではないでしょうか」というのはそのとおりですね。

髙山:おっしゃるとおりですね。2、3は「本心と本音」です。建前じゃなくて本当の気持ちを伝えたり、本当のことでコミュニケーションをとるという、けっこう感情に近い話なんですよね。

それと日本が得意としてきた「仕事に人間味」を持たせるというものです。これからはこの仕組みを構築しろと言っているんですよ。「人間味」については詳しくは書かれていないんですけど、「お互いの成長を実感できる。共感する、感動する、感謝できるような仕事の仕組みのことだと思います。

そして共通して出てくるのが、健康面です。メンタルに限らず、とにかくこれからのリーダーは従業員の健康を見守ってあげないといけない。リーダーシップとか経営者のあり方、心構えが昔と変わってきたなと思います。井上さん、これが世界の動きです。

井上:ありがとうございます、なるほど。おもしろいですね。欧米……という言い方で典型化するのも必ずしも良くない気はしますが、日本に比べて「何が起きているか」を明確にして取り組むところがすごくあると思うんですよね。

髙山さんが紹介してくださったようなこういう動きをとらえて、トレンドにちゃんと乗せていかないとうまくいかないと思います。いろいろな意味で考えさせられるところが多い話ですね。

髙山:そうですね。一方で、「パワーマネジメントだ」「統制と管理、競争、強い指示、命令じゃないと成果は出ない」という考え方が根強くあるのも現実です。これからの世界の動きの対極ですね。

井上:なるほど。

日本でも見られる、マネジメントスタイルの二極化

井上:日々いろいろな企業を見ていると、日本の中でもそのへんはけっこう二極化している感じもしますね。これもあまり典型化して語るべきじゃない気がしますが、比較的若い会社というか新しい会社は、まさしく髙山さんが頭出ししてくださったところが、自然と前提になっているケースが多い気がするんですよね。

スタートアップで非常におもしろいビジネスを展開されて、急成長されているところもすごく増えています。そういうところは、経営者・経営陣の方とお話ししていても、今話してくださったような姿勢をすごく大事にしています。

髙山:良い流れですよね。

井上:あえて言えば、どちらかというと歴史がしっかりとある、特に大手さんになってくると……ずっと経年で引きずっているものがある(笑)。

髙山:文化や伝統ですね(笑)。

井上:企業文化、組織文化のあり方が、先輩方から受け継がれているものを受けて動いていると、なかなか全体的に変わりにくかったり、抵抗があるという話はよく出る気がしますね。

髙山:とはいえ、多くの企業様でダイバーシティとか心理的安全性をすごく積極的に学ばれています。教科書的に必要だというのは、そういう会社の方々もわかっている。わかっているけどできない(笑)。わかっているけど実現するのが難しい、というステージにあるのかなと思いますね。

井上:なるほど。「そうなんだろうな」と思うけど、「でも今ウチはこうなんだけど、どうすればいいんだろう」ということはあるのかもしれないですね。

髙山:メンバーが言うことを聞かないし、自分で考えないし、指示命令しても動かないし、言ったことができない。こういう悩みを抱えながら心理的安全性とかダイバーシティとかハラスメントを考えるから、リーダーの方は大変だと思いますね。

井上:その狭間にいて苦しまれている方とかからすると、もしかしたら、「そりゃお前、できりゃやりたいけどそうはいかないんだ」という話がきっとあるんですよね。

髙山:本当におっしゃるとおり。だから、あまりこういう話をすると敵になる方がいます。「お前が来てやってみろ!」と(笑)。

井上:まぁ、そこに一足飛びに全部いけるわけではないと思うんですが、少し橋をかけていただけるようなお話をここからしていければと思います。

髙山氏の『EQトレーニング』

井上:EQ理論のところは髙山さんがおっしゃったとおり、今日それだけを説明するのももったいないので、終了後に髙山さんの本を読んでいただくのがいいと思います。

髙山:ありがとうございます。

井上『EQトレーニング』は手軽でいいと思うんですよね。

髙山:ありがとうございます! そこでちょっとご紹介しますよ、今日からできるEQトレーニング。

井上:ぜひ、お願いします。骨格の話だけ少し簡単にご紹介しておこうと思ってこのスライドを入れました。

もしかしたら今日参加いただいてる方もEQ検査を受けたことがあるかもしれません。その方はご存じかと思いますが、いくつかの種類のEQ検査のうち、髙山さんが開発されたEQIを僕らも使わせていただいています。

髙山:ありがとうございます。

井上:その考え方で言うと、全体で24の因子があって、中でも「心内知性」「対人関係知性」「状況判断知性」の3つの区分けは、すごくしっくりきます。

「心内知性」は自分自身を知る力。「対人関係知性」は自分を他者に伝えていく力。「状況判断知性」は逆に、いろいろな人たちのことをちゃんと受け取っていく力です。この3つでEQは成り立っているとおっしゃっていて、これが非常にわかりやすい。

さらにこの下に24因子があるわけですけど、スライドで表示しているものはそれぞれがどういうことかを解説したブックから引っ張ってきたものです。

EQの24因子

井上:最近のアップデートでこのへんの考え方が多少変わったりしますか。

髙山:いや、「24の因子が多すぎる」とか、「多いから理解しにくい」とか、いろいろな声がありましたが、24あるからどんな時代でも適応する検査になっているんですね。

井上:いや、よくできています。だから、もう髙山さんに言うのも変ですけど、一部言葉遣いをもう少しわかりやすくするといいのではと思います。

髙山:専門用語が多いからね。これもいろいろと意見が別れるんですよ。わかりやすくすると、「このテストの専門性はどうなんですか」と言われる。

井上:あぁ~。なるほど(笑)。ま、そういうこともありますよね。

髙山:専門性を入れると「わかりにくい」と言って。ちょうど中間を取ったのが、この文言なんです。

井上:さすが。半分冗談ですけど、「抑うつ性」と「特性不安」の話も僕はよくするんですけど。

髙山:これはまさに心理学用語です。

井上:ちょっとかっこいい感じがするので(笑)。「抑うつ性」は、過去に対してくよくよするかどうか。「特性不安」は、未来に対してのものです。

未来は不確かで、我々の認識として未来が明確と思える時と思えない時がありますけど、そこを見ているんです。このへんの話はよくします。

髙山:「特性不安」はおもしろいんですけど、感情なので根拠は何もないんです。「未来は明るい」という言葉はすごく美しいんですけど、「ま、なんとかなるんじゃない」という感じなんですよ。

だから、そう思える人と、「いや、ああなったらどうなるんだろう」と思う人のどちらかを測っているんです。「なんとかなるさ指標」にすると、いろいろ言われそうなのでそのまま「特性不安」で続けています。

井上:専門性を捨てちゃうのももったいないですよね。でも「セルフ・エフィカシー」という言葉は本当に普及しましたよね。

髙山:そうですね。自己効力感ですね。

井上:「情緒的安定性」もよく言いますよね。

髙山:表現は、すごく重要ですね。

井上:ありがとうございます。このへんの細かいところについて、ご興味がある方は髙山さんの本とか、僕らのサイトとか、髙山さんの会社のサイトに載っていますので、ぜひ見ていただければと思います。

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