
2025.02.12
職員一人あたり52時間の残業削減に成功 kintone導入がもたらした富士吉田市の自治体DX“変革”ハウツー
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小田木朝子氏(以下、小田木):本日はご参加ありがとうございます。株式会社NOKIOO主催の90分腹落ちオンライン・セミナーは、毎月1回開催しているオープンセミナーです。
コンセプトは「人材育成や組織開発に関わる方に、90分で役立つ情報をお届けしたい」です。今回のテーマは「課長職以上の女性リーダーが育つ組織の要件」です。ではスピーカーの紹介に入りますね。おなじみの沢渡さんからお願いできますでしょうか。
沢渡あまね氏(以下、沢渡):みなさん、毎度お騒がせしております・沢渡あまねでございます。
小田木:「毎度お騒がせ」、いいですね(笑)。
沢渡:作家、業務プロセス・コミュニケーション・組織変革の支援をしております。日産自動車、NTTデータ、大手製薬会社等を経て、現在では400以上の企業・自治体等の働く景色を変える、マネジメントの景色を変える支援をしながら駆け回っております。
本日のテーマに関して、画面にある『マネージャーの問題地図』も、興味のある方は読んでみてください。今日は「マネジメントの景色をどう変えていくか」といったチャレンジを、小田木さん、有馬さん、そしてお越しのみなさんと一緒にしていきたいと思います。
小田木:沢渡さん、今日もよろしくお願いします。私も自己紹介をさせていただきますね。株式会社NOKIOOで役員をしております、小田木と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
企業さまの人材育成や組織開発を外からお手伝いすることを仕事にしております。いろんな人がいるだけでなく、きちんとパフォーマンスを発揮できる組織を作ること。そのための「仕事のやり方」「チームワーキング」「マネジメント」に必要なスキルを定義して、みんなでスキルアップしていく仕組みや機会をつくっております。
小田木:書籍『仕事は自分ひとりでやらない』も、これからのチームワーキングの一環として書きました。私自身が気合い・根性、そして長時間労働でがんばってきた過去もありますので。
沢渡:三拍子ですね(笑)。
小田木:そうそう(笑)。「仕事のやり方はいつからでも変えられるよね」「変えていけば見える景色がより良くなるよね」という実感を、多くの人と共有できればいいなと思っています。みなさん、今日もよろしくお願いします。
沢渡:よろしくお願いします。今日は、いわば「マネジメントは自分ひとりでやらない」というテーマを掘っていくのかな。
小田木:そうですよね。個人のがんばりに依存せず、それでも個人が最大のパフォーマンスを発揮できる状態や組織とはどういうものか。今日は、こういったことをスペシャルゲストも交えてひもといていきましょう。
沢渡:楽しみです。
小田木:では、みなさんにご紹介させてください。じゃん! 本日のスペシャルゲスト、有馬充美さんです。
有馬充美氏(以下、有馬):こんにちは。
沢渡:こんにちは。
小田木:今日はよろしくお願いします。
有馬:今回はご縁があって、NOKIOOさんのこんな楽しそうなイベントにお声がけいただいてありがとうございました。有馬充美と申します。
小田木:楽しそう(笑)。
沢渡:うれしい。
有馬:私は男女雇用機会均等法という法律ができた年に銀行に入りました。そこで32年間勤務した後、退職して留学したんですね。今はいろんな企業の社外取締役などをやりつつ、留学中に興味を持った人材育成の理論を日本に広める活動を行っております。銀行員時代は、なにかと均等法ゼロ期世代として……。
小田木:ゼロ期世代?
有馬:そうそう。均等法が施行されたのが1986年で、私の入行はその年だったのですが、前年の就職活動や入社直後の配属等はまだ「均等」ではなかったので、自称ゼロ期。おかげで均等法10年目には「この10年間でどうだったんだ?」、20年目には「20年でどうだったんだ?」と、都度都度均等法の進捗についてチェック対象となる年代でして。
沢渡:チェックされるんだ(笑)。
有馬:そうそう(笑)。「だいぶ辞めちゃった」とか「そろそろ役員が出た」とか、30年の間、節目節目でいろんなところからインタビューをされました。私個人として今回のテーマについて非常に関心もありますが、世代としても私の経歴はまさにそういう流れとともにあったなという感じです。
ということで、今日は私がこの問題について30年近く考えてきたことを、ぜひみなさんとシェアさせていただきたいと思います。
一方で、私の経験も古くなっていたり、その時代背景の中でのみ成立したことだったりするかもしれません。だから、今みなさまがリアルに悩んでいることをお聞きしながら、あらためて一緒に考えていけたらなと思います。そういうインプットもとても楽しみにしておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。
沢渡:よろしくお願いします。
小田木:今の自己紹介だけで、期待値が爆上がりなんですけれども。現場で見てきた景色と海外から見た景色、さらに複数の上場企業に関わられて、その組織の中で見えている現実。こうしたいろんな観点からいただけるお言葉を、今日は吸収しながら進めていきたいと思います。よろしくお願いします。
有馬:よろしくお願いします。
小田木:沢渡さん、楽しみですね。
沢渡:本当に楽しみですね。泥臭い話をいろいろお聞きしたいなと思います。
有馬:ぜひぜひ(笑)。
小田木:今日はこの3人で進めさせていただきますね。今日のセミナーの全体像を、進行の流れをみなさんと共有するために、スライドに表示させていただきました。
テーマは、「課長職以上の女性リーダーが育つ組織の要件」です。このテーマを設計するにあたって、実は私たちもすごく勇気がいったんですよ。なぜなら今、政府目標や企業目標も含めて、みなさん女性管理職の比率を引き上げる工夫や推進をしていますよね。でも、そこがゴールじゃない。そこから先があるはずです。
課長職以上、いわゆる上級管理職において多様なリーダーが増えていくための処方箋。これは、これからみんなが見る景色だから、まだどこにも解がないはずなんですね。このテーマを掲げながら、要件をいったん言語化することにチャレンジしてみようと思います。
このチャレンジをするか・しないかという議論にもなったのですが、「みなさんと一緒に、仮説でもいいから要件を言語化することにトライしてみよう」ということになりました
女性の登用は「ゴール」ではなくて、1つの「バロメーター」だと思うんですよね。女性を含めて多様な人材、つまり資質や能力のある人が十分にパフォーマンスを発揮して、きちんと登用されること。そんな世界観を実現するための要件を洗い出そうというコンセプトのもと企画したのが、今回のこの場でございます。
沢渡:欲張り(笑)。
小田木:そう、欲張りなんです。
小田木:そんなチャレンジングなテーマを、1、2、3のステップで進めていきます。まずは1番は「なぜ多様な上級管理職が増えないのか」、もしくは「何が問題なのか」。そして「『女性課長を増やした先に』に組織がぶつかる壁を大予測」ですね。
「課長までは増えたよ。この先に何が起こるだろうね?」「その先が停滞するとしたら、どんな課題が顕在化するだろうね?」ということをひもとくのが1番のプロセスです。
その上で、サブタイトルにあるように「資質ある人材の能力を引き出すための要件」を言語化するのがステップ2です。
そして最後にステップ3は、「多様な上級管理職が増える真のDE&I組織作り」と「人事ができる現場の支援とは」。ここまで言語化してみようと思います。なかなか高い階段ですね。
沢渡:そうですね。
小田木:「そうですね」って(笑)。でも、私たちはチャレンジャーです。やってみましょう。
沢渡:はい、チャレンジャーです。景色を変えていきましょう。
小田木:そして今日は「通常比200パーセントのライブ型」ということで、今の時点で決まった資料はありません。このテーマおよびプロセスに関して、沢渡さん、有馬さんから出てくる着眼点をライブで資料に落とし込みながら、この場で資料を完成させていきます。
この場で出てくる生の着眼点が資料に落とされて、後日みなさんに共有されるという、そんな展開も楽しんでいただければと思います。
沢渡:対話の産地直送!
有馬:すてきな表現。
小田木:さすが沢渡さん。キーワードが毎回冴えていますね。
有馬:本当ですね。
沢渡:作家魂が満たされます。ありがとうございます。
小田木:そしてみなさん、今日はスピーカーたちだけが突っ走ってしゃべる場ではありません。みなさんの関心事や課題感を取りあげたり、お答えしながら、双方向で進めていく場を作りたいと思っています。
手が動かせる方は、Zoomのチャットボックスを使ってコミュニケーションしていきましょう。試しにいつもの「チャットDEオリエンテーション」をやってみますので、ご協力お願いいたします。
まずは、今日はこのテーマにどんな立場のみなさんがご参加をくださっているのか、私たちもちゃんと知っておきたいと思います。1(チームメンバーとして、自分の仕事に活かしたい)、2(マネージャーとして、自分のチーム運営に活かしたい)、3(人事や総務として、制度・仕組み・育成等に活かしたい)、4(その他)と4つの選択肢をご用意しました。
一番ご自身の立場に近いものを選んで……と言っている間に、もう(コメントが)入ってきていますね。
沢渡:速い! 3、3、3。
有馬:これじゃ速すぎて集計できないですね(笑)。
沢渡:みなさん大好き。
小田木:前回も「日本野鳥の会のご協力が必要だね」という話が出ましたけど(笑)。
沢渡:そうですね、カチカチカチカチで。やはり3の「人事や総務として仕組みを作っていく」「育成に活用したい」という方が多いようですね。
有馬:さすが沢渡さん、よくわかりますね。私、ぜんぜん追えないです。
小田木:沢渡さんは動体視力がいいんですよ(笑)。
沢渡:動体視力が鍛えられました。そして、1の方が多いのもうれしいですね。「メンバーとしてどう組織を良くしていくか」「自分の仕事や、半径5メートル以内から良くしていくこと」を考えている方もいらっしゃいますね。
小田木:「2と3の組み合わせ」「1でもあり、2でもあり、3でもあり」とお答えくださった方もいます。
沢渡:組み合わせの方も。
小田木:今日は幅広く、いろんな立場の方の視点を交えながら進行できるんだなと理解しました。
沢渡:「4、人づくり支援担当」。いいですね。自分の仕事に自分で名前をつける。これは、マネジメントを主体的にやっていく上でものすごく大事だと思います。
小田木:みなさん、ありがとうございました。次に進みます。今日のセミナーにどうして参加しようと思いましたか? よろしければご参加の理由や関心事、この場に期待していることを、お聞かせいただけますでしょうか。
沢渡:「こんなことを解決したいよ」とかね。
小田木:「ピンときた」とか、そういう一言でもオッケーですよ。
沢渡:「有馬さんとの対談に興味がありました」ですって。うれしいですね。
有馬:あら、そうですか。ありがとうございます。
沢渡:ご自身が「マネージャーを目指しているため」。すばらしい。
小田木:「毎回参加しています」という方もいらっしゃる。どうもありがとうございます。
沢渡:めちゃめちゃうれしい。ありがとうございます。Voicyを聞いて共感された方もいらっしゃいますね。「課長職も少なく、その上の次長・部長職が2人しかいないので、どうにか増やしていく方向性を会社と話し合ってみたいから」。いいですね。組織に働きかけていくことは、すごく大事な視点だと思います。
小田木:チャットの回答から、現状を否定するのではなく、「可能性を引き上げたい」「働きかけていきたい」「組織と対話したい」というポジティブモードをすごく感じますね。
沢渡:そうですね。そして、今日のテーマの背景にある社会課題を言い当てているのがこちら、「今のままだと管理職になりたくないので、光を見たくて」。
有馬:光、ですか……(笑)。
小田木:一筋の光が差している絵が頭に浮かびました。
有馬:「ぼっちすぎて」なんてコメントもありますよね。私もずっとぼっちでしたから、わかります。
沢渡:そうですね、ぼっちの解消。
小田木:そういった孤独感を、どうやって手放していくのか。実は「個人でどうするかじゃないテーマ」として考える余地がありそうですよね。
有馬:「怖くならないように」とのコメントもあります。本当ですね(笑)。
小田木:こんな感じの関心や期待が寄せられていますが、有馬さん、どうですか?
有馬:とってもよくわかります。
小田木:「とってもよくわかる」というコメントをいただきました。みなさん、本当にオープンな書き込みをありがとうございます。こんな感じで今日はチャットを使いながら、コミュニケーションを取っていきたいと思います。では沢渡さん、有馬さん、参りましょう。
沢渡:いきましょう!
小田木:では、さっそくステップ1の「教えて! 多様な“上級管理職”が増えない問題の背景に何がある?」ですね。今日はホワイトボードを用意していますので、沢渡さん、有馬さんからそれぞれ3つずつ着眼点をいただき、そこから深掘っていくスタイルとなります。1つ目のお題は、どちらから参りましょうか?
沢渡:沢渡からいきます。
有馬:ありがとうございます。
小田木:大喜利みたいな感じで(笑)。
沢渡:前回同様、ここは3つ韻を踏んでみたいと思います。
小田木:仕込みがすばらしいな。
沢渡:有馬さんは別に真似しなくていいですよ。
有馬:かなりプレッシャーですけどね。
小田木:本当に。有馬さん、「ハードル上がるからやめてくれ」って言っていいんですよ(笑)。
有馬:(笑)。
沢渡:まあね、軽くいきましょうか。1つ目「魅力なし」、2つ目「ルートなし」、3つ目「体験機会なし」。
小田木:すごい。韻が踏まれている。
沢渡:では、一つひとつ簡単にお話ししていきましょうか。1つ目は、今日ご参加されている方も挙げていらしたとおり、「固定化された古いマネージャー像に魅力を感じない」ということ。これは、はっきり言って性別の話だけではないですね。全国で起こっていますと。
2つ目、ルートなし。例えば、育休前後でキャリアが分断されてしまう。いわゆるマミートラック(育休から復帰した女性が出世コースから外れてしまうこと)という話がありますよね。そこで1回ブランクがあると、そもそもそこからマネージャーになるルートがない。あるいはロールモデルがいない。
小田木:年次的にも、1日あたりの時間的にも、長く働き続けることが(マネージャーになるための)必須条件というイメージですかね。
沢渡:そうですね。これは1番目とも関連するところがあると思っています。日本の古い組織はいわゆる年功序列で、新入社員で入社した人が生え抜きで20年、30年、40年連続したルートの中で意思決定権や権限を持っていく。こうしたやり方に最適化されている組織が多いのかなと思います。
1回分断されてしまうと、もうアウト。このようなマネジメント環境がまだまだ支配的なのかな。これが2番目ですね。
そして、3番目は体験機会がない。これに関しては大きく2つのことがあると思うんですね。1つ目は「本人の体験機会がない」。どういうことかというと、女性は「マネジメントの仕事をまったく経験したことがない」「マネジメントの能力の育成も受けたことがない」という人が意外に多いんですね。
男性社員は将来を期待されて、会社から育成の投資をしてもらって、マネジメントを学んだり体験したりする機会がある。でも、女性にはまったくその機会がない。
2つ目は「組織側の体験機会がない」。女性のみならず、今までとは異なる人にマネジメントを任せた機会がない。意思決定に参画する機会を与えてこなかった。組織側もどうしたらいいかわからない、という話ですね。
「3なし」は、「魅力なし」「ルートなし」「体験機会なし」。こんな3点をまとめてみました。
小田木:「3なし」、まとめすぎですね。
有馬:(笑)。
小田木:例えば管理職登用時研修があったとしても、管理職になってからがメインですもんね。「なる前に経験する」「体験しながらジャッジする」という機会提供がないという構図は、本当に女性だけではないですよね。
沢渡:そうですね。マネジメントの疑似体験をしていない。マネージャーの仕事って、「何それ、おいしいの? まずいの? 甘いの? 酸っぱいの?」ということがまったくわからない状態になってしまいますよね。
コメントで「育休前後でキャリアは分断され、出産後は相当意志を強く持って、千尋の谷に突き落とされた獅子が上がってくる覚悟じゃないとマネージャーになれません」。ありますよね。
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