2024.10.10
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井上和幸氏(以下、井上):みなさん、こんばんは。経営者JPの井上です。よろしくお願いいたします。今日は「心をつかむ幹部の法則!」というテーマです。
「なぜか好かれる」というところがポイントかもしれませんが、放送作家・PRコンサルタントとして非常にご活躍されていらっしゃる野呂エイシロウさんをお迎えして、幹部・リーダーの皆さんが「なぜか好かれる」理由、ポイントについて伺ってまいります。野呂さん、今日はよろしくお願いいたします。
野呂エイシロウ氏(以下、野呂):よろしくお願いいたします。
井上:僕から野呂さんにけしかけて、今日はいろいろぶっちゃけトークもしていただこうと思っています(笑)。みなさんもぜひ楽しみながら参考にしていただければと思います。
1時間半あっという間かとは思うんですが、今日はウェビナーですので、みなさまのお顔や声は入りません。ただ、インタラクティブな感じでいきたいなと思うので、ご質問があったら、我々がお話ししている合間でどんどんチャットに書き込んでいただいて構いません。
全体の最後にQ&Aの時間を少し取ろうと思っていますが、今日はわりとやわらかく進めていければと思っていますので、ぜひお気軽に「ちょっと聞いてみたい」とか、ご意見でも構いませんので書き込んでください。いただいたものは随時拾わせていただきますので、そんなことも交えて進めていければと思います。
井上:あらためてですが、本日は野呂エイシロウさんをゲストにお迎えしております。経営者JPとしては、野呂さんには創業期から本当にお世話になっていて、折々経営者向けにPRのお話をしていただいたり、やわらかめの会に出ていただいたりもしていただいております。野呂さん、最近の活動としてはどんなものが多いんですか?
野呂:やっぱりテレビは相変わらず。『奇跡体験! アンビリバボー』とかを作っているんですが、今日は放送しているのかな? 放送日がまちまちで、飛んでいてよくわからないですけど。
井上:(笑)。
野呂:今日も放送はありますね。19時から21時まで2時間。
井上:スペシャル。
野呂:なので、自分の番組を見ていないっていう状態なんですが、いろんな番組を作っています。本もいっぱい書いていますし、今も並行して2冊書いています。今はコラムを7~8本ぐらいレギュラーで持っていたり、PRのコンサルタントは30社近くですかね。
井上:すごいですね。
野呂:人もいっぱい雇っているので、「ものはどうやったら当たるか(ヒットするか)」ということをずっと考えています。とりあえず手を下すことは減ってきたんですが、自分で言うのもあれなんですけど「会議芸者」と呼んでいるんですね。
井上:会議芸者。
野呂:芸者さんって、ちょっとやってきて膨大な金額を持っていくじゃないですか。
井上:(笑)。
野呂:「会議に来てくれ」と言う人が多くて、「会議にうかがいますので、1時間いくらで」という金額で行くし、「一緒に接待に付き合ってくれ」「ゴルフも付き合ってくれ」と言われている。それも一種の仕事なので、ちゃんといただくものはいただきながらいろんなことをやっています。
野呂:だから、今日のお話はちょっと興味深いなと思ったんですが、ある意味会議芸者だし、ある意味本当にコンサルタントだし、そんな感じでございます。
井上:なるほど。そこらへんの実体験とか、「こんなふうにしたら」という話を今日は野呂さんからしていただきますので、みなさんぜひ楽しみにしてください。相手役は私、経営者JPの井上が務めさせていただきます。
今日は経営者の方、それから幹部やリーダーの方々にご参加いただいていますが、いろんなコミュニケーションを社内外でされていて、人を引きつける・心をつかむ立場の方々ではいらっしゃるので、そういう観点(「心をつかむ幹部の法則」)へのご興味はみなさんも当然あるだろうと思います。
あとは個々人だけじゃなくて、会社として・事業としてもそういう観点がすごくおありだと思います。先ほど野呂さんもお話しくださいましたが、野呂さんは広報の仕掛け人として、僕らが日常的に目にしている報道に出てくるような話の中に、仕掛け人として潜んでいらっしゃいます。
限られた時間の中ですから、全部というわけにはいかないと思うんですが、(プログラムの)3つ目に置いている「広報としてこんなふうにやっていくといいよ」という話もお聞きしたいなと思っています。
野呂:ここで言うことじゃないけど、去年『WBS(ワールドビジネスサテライ)』に出ていただいて、どうもありがとうございました。
井上:いや、本当ですよ。当社も野呂さんの恩恵を受けまして、昨年コロナの中でオフィスをリニューアルをしたリリースを出させていただいたら、野呂さんが拾ってくださって。『WBS』へつないでいただいて、翌日に取材をしていただいて、非常に恩恵をいただきました(笑)。本当にありがとうございました。
野呂:こちらこそ。
井上:野呂さんとお付き合いするとそういうことがありますので、今日はせっかく参加いただいたので、ぜひみなさんも関係を持っていただければと思います。
じゃあ、カジュアルにお話ししていければと思うんですが、まずは「個人編」です。野呂さんはベストセラーをいっぱい書かれているんですが、この本(『心をつかむ話し方 無敵の法則』)が特に売れていらっしゃるとお聞きしました。
野呂:そうですね。最初に『「話のおもしろい人」の法則』という本を書いて、それが10万部ぐらい売れたんですが、それをさらにリニューアルして数万部売れているという感じです。
「やっぱり話し方に興味があるんだな」と思うんですが、(本の内容を)ハウツーだと思った人はちょっとがっかりしたかなと思われるんですが、そうではないかなと僕は思っています。
井上:なるほどですね。野呂さんはいろんな方々とお付き合いして、会議芸者として飛び回っていらっしゃいます。『心をつかむ話し方 無敵の法則』でも紹介くださっていますが、野呂さんから見ていて、「好かれる」「煙たがられる」ということをよくいろんな意味で感じていらっしゃるんだと思います。
井上:トピックをいくつか拾っていただくとして、今日はターゲットが経営者幹部の方々ですが、「やっぱりこういう人はいいよね」「こういう人はちょっとまずいよね」という話からできればと思います。
野呂:よく言われることなんですが、相手の話をよく聞くことが大事かなと思います。それで、まずは相手の言ったことに「ですよね」と言っておくというか(笑)。
井上:(笑)。
野呂:特に初対面の時はそうですが、まずは同調して「とりあえずはあなたの味方ですよ」という感じで、相手にどんどん近寄っていく。やっぱり、うまくいかない人って自分の意見を言っちゃうんですよね。
いろんな本とかで、「アメリカ人や欧米の人は自分の意見を言うんだ」ということを言われる方が多くて、実際に僕もアメリカの会社でも働いているんですが、みんな上司のイエスマンですね(笑)。
井上:(笑)。
野呂:「ノー」と言う人はあんまり見たことがなくて。「ですよね」と言う雰囲気もあるから、まずは一緒にいる共有時間が気持ちいい人になれるかどうかが大事です。なんでも反対して「あいつは呼ばなくていいよ」と言われちゃったら、もう意味がなくて。
野球の試合に出られるかどうかなんだと思うんです。野球の試合は1チーム9人がグラウンドに出ますが、試合に出る人を決めているのは監督じゃないですか。監督に嫌われたら、どんなに能力があっても試合に出られないんだから。
井上:そういうことですよね。
野呂:9人とは言わないけど、監督に好かれて、会議の場に呼ばれる何人かに選ばれましょう。僕も会社の組織を見ながら、「ピッチャーが空いているかな」「サードが空いているかな」「このポジションは空いているな」と思ったら、そのポジションにひょろひょろっと寄っていく感じですね。
井上:なるほど。やっぱり、監督にスタメンに選んでもらわなきゃいけないわけです。数年前まで、不定期の特番で『消えた天才』という番組がありましたよね。
野呂:ありました。すごくいい番組です。
井上:あれを見ていた時、野呂さんがおっしゃったことをすごく思ってたんですよ。僕らが言うトップスターの方々が、「実はあの人を尊敬してた」「俺よりできる奴らだった」というのをずっと拾ってらっしゃって。最後はヤラセかなんかがあって(笑)、打ち切りになったような記憶がありますが。
でも、僕らが見ているJリーガーであれプロ野球選手であれ、「トッププレイヤーよりすごかった」という人って、実力は本当に彼らのほうがすごかったけど、共通する挫折ポイントは野呂さんが今おっしゃってくださったところなんですよね。チームプレイができなくて嫌われちゃったとか、そういう話がほとんどだった記憶があって。
野呂:最初に言っておくと、みなさんは僕に対して「すごい能力がある」「企画書がすごくうまいんじゃないか」「(野呂さんの話を聞けば)アイデアがどんどん出るんじゃないか」とか、いろんなことを期待していると思うんですが。
いろんなことを公にしているんですけど、僕は受験に2回も失敗しちゃって。まず、テストの問題に書いてあることがよくわからない、みたいな。
井上:(笑)。
野呂:(笑)。「この人は何を問うんだろう?」とか、昔はよくわからないところもあって。それで、受験に失敗したりして今があるんです。僕は愛知県出身なんですが、2浪して愛工大(愛知工業大学)になんとか引っかかって受かったんです。
その時に「運が良いな。この運は何かの足しになるだろう」と思って生きてきたんです。MBAを持っているとか、すごい能力があったり、経営者JPさんでお付き合いがあるようなすごい経営者とはぜんぜん違うので。そうなってくると、「どうやって好かれるか」を考えるようになったんです。
野呂:最初は、親に好かれることをすごく考えていたんですよね。
井上:親にですか。
野呂:だって、浪人しているんですよ。親に好かれないと小遣いをもらえない。
井上:(笑)。打ち切られちゃ困りますね。
野呂:打ち切られちゃ困るし、勉強している体で「一生懸命がんばっているぞ」という雰囲気を出さないと、夕飯も出なくなっちゃうじゃないですか。
井上:(笑)。なるほど。
野呂:ちょっと話は逸れるんですが、子どもの頃に反抗期がなかったんです。「反抗するのってムダだよな」と思ったんですよね。
井上:すごく大人ですね(笑)。
野呂:だって、中学校2年生の時に小遣いを毎月2,700円もらってたんですよ。反抗してそれがゼロになったら、レコードも本も買えないし、マクドナルドにも行けないんです。そんな生活、嫌じゃないですか。
井上:嫌ですね。どっちかと言うと増やしてほしいですよね。
野呂:そう、増やしてほしい。そのためには、父親と母親に好かれるような中学生になろうって思って。
井上:(笑)。すごい。大人だな。
野呂:「だって、反抗してもなんかいいことないよな」みたいな。当時、反抗期の(登場人物が出てくる)ドラマがあったりしたりして、「ムダだな」って思ったんですよね。とにかく逆らわない。
井上:素晴らしい。一般的には、身内に対する甘えがありますよね。僕自身もそうだったんですが(笑)。
野呂:そうですか。
井上:そんなに激しい反抗期もなかったんですが、親に対してけっこうシカトしてた時期はありました。「すごく失礼なことをしてたな」って、大人になってから思いましたけど(笑)。
野呂:僕は家に帰ったら、今日学校であったことを一生懸命しゃべってたんです。「やっぱり歴史はぜんぜんわからないんだよね」「明智光秀はなんで信長を殺しちゃったのかなあ」とか。
井上:親からしたら、すごくかわいいですよね。
野呂:そういうことを延々と言うような子どもでしたね。「私、高卒だからそんな難しい話をされても」と母親によく言われました。だからそんな感じで、とりあえず好かれるっていうことは自分の武器だなと思っていたんですね。お小遣いがなくなるっていうことは、中学生にとっては命綱がなくなるようなもの。
井上:確かに。
野呂:学校の売店でパンや牛乳が買えなくなっちゃうんですよね。
井上:(笑)。死活問題ですね。
野呂:死活問題。なので、「好かれよう」というのは昔からありましたね。能力があるんだったら、偉そうにしてもいいと思っていたんです。
すごく失礼なことを言えば、もし僕が東大へ入ってハーバード大学とかを出て、MBAとか持っちゃったりしたら、本当に嫌なやつになっていたなと思うんですよね。だからある意味良かったかなと。
井上:(笑)。なんか、僕も良かった。そんな野呂さんは見たくない。
野呂:「え、井上さん何? ハーバードとか出てないの?」って言われたら嫌でしょう?
井上:嫌ですね(笑)。「すいません」みたいな。でも、確かに無用にネガティブな行動をしていることってあるのかもしれないですね。
野呂:ちょっと話がそれて恐縮なんですが、僕は車を運転するんです。もちろん事故を起こさないようには気をつけているんですが、「とりあえずクラクションは鳴らされないようにしよう」「怖い車が来ても煽られないようにしよう」「ぶつけられないようにしよう」「因縁をつけられないようにしよう」とすごく考えているんですね。
だから、ちょっと怖そうな車が来たらすぐに横にどいて道を譲っちゃうし、高速道路は一番左の車線を制限速度通りに走っていればだいたい怒られないんですよ。それで、ちょっと怖そうだったり煽られそうだったら、すぐにパーキングエリアに入って「トイレに行こう」みたいな。
街を歩いていて、怖い人がいたらやっぱり退くじゃないですか。しかも俺はけんかが弱いし、それと同じようなことをずっと考えていますね。なので、トラブルは起こさないようにしています。
井上:こじつけかもしれないけど、企画マンとしての野呂さんの在り方のところに、今みたいなことも紐づいているんでしょうね。
野呂:企画は読んでもらわなきゃいけないんですよ。だから料理と一緒で、料理を見た時にたとえ不格好な料理でも、母親が作ったとわかった瞬間に「おいしい」と思うのが当たり前じゃないですか。いろんなご家庭があるとは思うんですが。
野呂:「この握り飯、なんか不格好だけど70歳の母親が作ってくれたんだ」と思ったら、別に普通のものであっても「おいしい、おいしい」って食べるじゃないですか。そうじゃないから、みんな「○○で修行した一流シェフが何々米を使って、ご飯も窯で炊きました」みたいにいちいち言われないと、よくわからないじゃないですか。
それと同じように、企画書も見てもらわないと意味がないんですよ。その時に「野呂さんっていい人ですよね」「ああ、この間ちょっとお酒をくれた人ね」「お菓子をいつも持ってくる人でしょ?」と思われると、企画書を読んでもらえる。
「面倒くせえよ。野呂さんの企画書は放置しとけ」と言われれば終わりなんだけど、そうするとバッターボックスに立てないわけじゃないですか。
井上:まずはバッターボックスに立つ。そもそも立たなきゃ話は始まらないということですね。
野呂:始まらない。監督に嫌われたらバッターボックスに立たせてもらえないから。だから「立たせてもらうにはどうしたらいいんだろう? ああ、この人はお酒好きか」と思ったら、本当はコンビニかなんかで買ったお酒なんだけど、うそをついて「実家の近くで見つけたお酒なんです」と言って渡したりとか。
井上:いや、それはまずいんじゃないですか(笑)。
野呂:でも、そういうことを言いながらも相手も人間ですからね。上手に、賄賂にならない程度にお付き合いしていけばぜんぜんいいと思うんですよね。
井上:そういうことですね。プログラムの1つ目で言うと、みなさんは仕事上のバッターボックスに立とうとしているわけだから、試合をさせてもらえるかどうかが意外と大事というか、本質的に一番大事だということですよね。
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