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優秀なマネージャーは「役割」に徹する?【リーダーの仮面 - 安藤 広大】(全1記事)
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安藤広大氏(以下、安藤):安藤広大と申します。株式会社識学の代表取締役社長をやらせていただいています。「識学」という独自の考え方に基づいた組織運営のコンサルティングをやっている会社でございまして、2015年の3月に設立し、現在8期目です。
会社自体は2019年の2月に、今の東証グロース市場に上場しています。多くの会社の組織の悩みを解決する会社で、今約3,000社くらいのクライアントがいます。
『リーダーの仮面 ーー 「いちプレーヤー」から「マネジャー」に頭を切り替える思考法』(ダイヤモンド社)
本のタイトルは『リーダーの仮面』です。サブタイトルにもありますように、「『いちプレーヤー』から『マネージャー』に頭を切り替える思考法」ということで、プレーヤー目線からマネージャー目線になって、マネージャーになった時にどういうマネージャーが良いマネージャーなのか。
どういうマネージャーが成果を上げ、部下を成長させることができるマネージャーなのかを定義させていただき、どういうふうにやっていけばいいのかという方法論について、書かせていただいた本です。
一般的なリーダーと識学におけるリーダーの違い
一般的なリーダー像は、どちらかというと人間にフォーカスしているというか、「人間として上位者として見られなければ、リーダーシップはうまくいかないものだ」と定義されている。
結果的に何が起きているかというと、人間の好き嫌いとか、人間を尊敬するかどうかというのは、人によってバラバラです。なのである部下からは好かれたり尊敬されたりするけど、ある部下からは嫌われたりということによって、苦しんでいる方が多い。そして中間管理職になって「プレーヤーに戻りたい」というような人が増えていると。
今回、もしくは識学ではどういうふうに定義しているかというと、「リーダー」というのはあくまでも役割であると。なので役割に徹し、そして役割に徹した結果、チームを成長させ、部下を成長させることができた結果、部下から信頼されたり尊敬されたりすればいいと。
なので、人間的に部下から好かれたり、人間的に部下から尊敬される必要はまったくなくて、部下からの評価を気にする必要もまったくない。あくまでもリーダーという役割、リーダーという機能をしっかり果たすことによって、結果的にチームや部下に利益を与えて、結果的に尊敬されればいい。この順番の差が一番大きいかなというふうに思いますね。
『リーダーの仮面』を被るとは?
あくまでも(リーダーは)役割や機能を果たすということでありますので、ともすると役割や機能を果たす時には、1人の人間に戻った時に「ちょっと厳しいと思われるの嫌だな」とか「ちょっと嫌と思われるだろうな」ということをやらないといけないわけですね。
仮面を被らなかった時に、1人の人間として部下からいいと思われたいが為に、無駄に褒めちゃったり、優しくしすぎちゃったりというのが出てくる。1人の人間として戻れば、例えば友だちとかに接する時には、こうしたいと思うこととは違うことをやらなきゃいけないという意味で「仮面」を被ると。「役割を果たす」ということを「仮面を被る」と言っているという感じですね。
当然、人間って感情が出る生き物なんですけど、感情で判断しないということが大切ですね。仕組み上、部下の成長につながったり、組織の成長につながるという方向に視点をおいて、感情的に「嫌だ」とか「うれしい」とか、そっち側で意思決定しないようにしなきゃいけないということを、まず心がけるのが大切です。
あとは、「そんなことをしたら部下のモチベーション下がっちゃうんじゃないか」みたいなことを言う人もいるんですけど、「モチベーションって何なの?」という話なんですよね。要は、モチベーションという言葉が流行って、本当に僕は社会悪だと思っているんです。逆に「モチベーションを上げてもらえなければがんばれない人たち」を作っちゃっていると思うんですよね。
モチベーションなんてことはまったく気にしなくてよくて。仮にモチベートするのが上手い上司のもとで育った部下がいますと。その部下って、モチベートが上手くない上司のもとではがんばれなくなっちゃうわけです。仕事なんてモチベーションの上下でする・しないを決めれるものじゃないから、やって当たり前という状態を作ることが大切かなと思います。
モチベーションを識学ではどう定義しているかというと、成長感の先に勝手に発生するものなので、上司がやるべきことはモチベーションを上げることではなくて、しっかり厳しい環境を作ってあげて、成長感を認識できるような、そういう状況を作ることだけでいい。
(そのために)1つは、人間に戻らない。感情で判断しないということと、もう1つは、部下をモチベートできないことをビビらないというか、そこに恐怖を認識しないというこの2つが、準備としては必要になってくるんじゃないかなと思いますね。
給料を獲得できるというのは、どういう順番になっているかというと、会社がサービスを提供して、そしてそのサービスでお客様から対価をいただいて、その対価に対して貢献できた貢献度に応じて、給料を獲得できると。本来はこういう順番ですよね。
なので、仕組み上で言うと、会社に入って給料を獲得するためには、がんばって成果を上げなければいけない存在であるというのが、正しい順番です。でもここで間違っている人達は、まず給料をもらって、そこからがんばりますと、そういう順番でいいかなという勘違いを起こしている。
そしてさらにひどい状況になっているのは、昨今はそれこそ「モチベーション」という言葉が流行っているので、要は従業員のみなさんは会社に入って、まず給料をもらって、がんばる理由を与えてもらってから、がんばるかどうか決めるというのが許されている。こういう勘違いを起こしているわけですね。
このがんばる理由の1つに、上司に褒めてもらってテンションが上がって、そこからがんばるかどうか決めるということが許されている存在だという、勘違いを起こしているん。(そんなこと)許されていないんですよ。
さっきの順番を逸脱した考え方の社員が増えたらどうなるかというと、その会社は当然稼げなくなりますから、顧客からの対価が減っていく。となると、この状態は長続きしないので、会社が倒産するか、もしくはそういう勘違いした人には退場いただかなきゃならなくなる。
結果的に褒めなきゃがんばれない人を作っている会社というのは、いずれはそれでは長続きしないわけだから、本当に優しいようでエグいことをやっているということだと思いますね。
マネジメントには正解がある
成長の定義は「人から求められる結果を出せるようになること」だとすると、手取り足取り教えている間は、上司の手取り足取りがないと求められる結果を出せない。
でも一定のスパンで、部下に任せてやらせてみるということをやらせ、結果に対して評価を与え、その評価に対して不足を認識して、それをもう1度部下が取り組むというサイクルを続けていけば、求められる結果を出せる人間になってくる。
手取り足取りやってしまうと、何か困った時に自分で考える前に、上司のほうに助けを求めに行っちゃう人間にしかならないので、成長しないという意味では、それはダメですよということです。
もう1個、背中を見せて教えるというパターンなんですけど、成長の定義というのはできないことができるようになること。「できなかったことができるようになる」ということですので、そういう意味では、成長させる上では「評価」という機能が非常に重要になってきます。
評価とは何かというと、評価制度上の評価だけではなくて、毎週「これができた」「これができなかった」ということを明確にしていく作業が必要になってきます。そういう意味では、背中を見せているだけではそこが明確にならないので、リーダーの重要な役割が「評価」。もっと言うと、何ができていないかを明確にする作業が、リーダーにとってはすごく重要な作業なんです。
ただ背中を見せているだけでは、それを放棄していることになる。じゃあ評価する上で重要なことは何かというと、まず「適切な目標」を「明確に設定」をすることが始めにありまして、何を求めているかを明確に設定し、そしてその期間が来た時には評価を下し、求めた結果に対して何が足りないかと明確にしてあげることによって、部下は翌週、次のタームではそれを埋めることに集中すると。
人間、何が足りないかが明確になれば、少なからず埋めることができます。そうすると人は必ず成長できるので、設定と評価という作業が、リーダーの重要な役割です。そう考えた時に、ただ背中を見せただけでは、まだまだ(リーダーとしては)力不足だということですね。
今日はご視聴ありがとうございました。今日のインタビューでお話させていただいた内容もそうですし、『リーダーの仮面』に書いてある内容もそうなんですけど、「仮面を被る」というぐらいなので、一見本当に厳しい、優しくないリーダーになろうというような本にも思えるかもしれません。
部下のみなさんとか組織、その未来を考えた時には、結果的に一番利益をもたらしてあげる方法なんだというと、(リーダーの仮面を被ることが)実は一番部下思い、チーム思いの考え方なんじゃないかなと僕らは思って、日々この考え方を広げています。
なので、本当に「ちょっと厳しくなるの嫌だな」と思われる方は、実はこれが一番優しい方法だということを思っていただいて、ぜひ実践していただければなと思います。
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