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第三部「質疑応答」(全1記事)

「がんばりたい自分」しか出せない職場は、心理的安全性がない 「つらいと思っている自分」の開示から始める、組織の風土改革

年間1万セッション以上の1on1を提供する「YeLL」では、その知見をもとに組織作りに関するセミナーを開催しています。今回は「受け身の組織からチャレンジが生まれる組織へ 組織体質改善へのアプローチ」をテーマに、組織に染み付いた文化・日常の振る舞いを変えていくための、個人の自律を起点とした組織体質改善のアプローチについて語られました。最終回の本記事では、質疑応答パートをお届けします。

篠田真貴子氏講演はこちら
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1on1は「タグを外した自分が出せる」有効な手法

榎本佳代氏(以下、榎本):残り10分となっておりますが、質疑応答タイムにここから入っていきたいと思います。ちょうど14時24分のチャットで「課題解決には1on1しかないと努力していますが、1on1以外の手法は、例えば何でしょうか」というようなお話をいただいております。

櫻井将氏(以下、櫻井):僕から答えたらいいですか?

榎本:ありがとうございます。よろしくお願いします。

櫻井:1on1はすごく有効な手法だと思います。先ほど説明を端折っちゃったんですが、「タグを外した自分が出せる」ということ。課長であるとかメンバーであるとか、「この会社のこういう役職である」ということ自体がタグになっているので、それを外した自分が出せて、思考だけではなく感情や価値観も出せるんです。

自分のどんなことも表現できる場がどこかにあるということが、その人が自律的になっていく、自分をメタ認知していくことにつながると思っています。そういう場は1on1とか、人が少ないほうが作りやすいとは思うんです。

この中にも何名かいらっしゃると想像できるんですが、グループでそういう「場」を作っている方もいらっしゃると思います。別に言語だけではなく、非言語で扱っている方々もいらっしゃったりするので。そういったかたちで組織に取り入れている会社さんもあるんじゃないかなと思います。

私も1on1が非常に有効な手段だろうなと思っているんですが、(質問者の方は)「「それしかないと思って努力している」と書かれているので、続けていただくのがいいんじゃないかなと思います。もし個別に何かあれば、ご連絡いただければ「こんな方法もあります」とご案内できると思います。

リーダーになるべきは「チームを運営していく力」がある人

榎本:ありがとうございます。篠田さんは加えてのご意見、ありますか?

篠田真貴子氏(以下、篠田):ありがとうございます。今日のセミナーの参加者は組織の責任者の方々がたくさんいらっしゃると思うので、その視点でいくと、仕組みで担保できることはけっこうあると思うんですね。

メンバーに耳を傾け、その方の価値観や感情も把握しながら、チームを運営していく力がある方がちゃんとリーダーになったほうがいい。いわゆる正式な肩書きは会社全体の枠組みに関わるので難しいにしても、実質的なリーダーロールはそういう方にちゃんと任せていくことが、櫻井さんのお話の最後にあった「伝播する」というところにもつながります。

権限のある方が要になっていくので、そういった人材配置をされることは極めて有効だろうと思います。

「がんばりたい自分」しか見せられない職場は、心理的安全性がない

榎本:ありがとうございます。もう1つ質問がきていますね。「体質的に『本人がつらい→本人の能力が足りてない→部署異動』という意識が根強いところがあり、上司への本音が相談しにくい環境です。こんな風土において自分が聴くという態勢をとっていくことを前提に、どのように風土改革ができるか、お考えはありますか」ということです。

櫻井:仕組みの話については篠田さんからお話しいただければ思います。僕はどちらかというと個人の話に寄ると、個人の中にも複数の自分がいると捉えられるかどうかがすごく大きい差だなと思っていて。

「がんばりたいと思っている自分と、つらいと思っている自分が、2人とも自分の中にいるんだ」という前提にあるか、「どちらかが本当の自分で、どちらかは良からぬ自分である」と捉えるか。追い出すべきだと捉えるかって、けっこう違うと思うんです。

(風土改革は)自分自身でできるかという点もあると思うので、組織として「その人はつらいんだけど、でもがんばりたいんだよね、両方あるんだよね」って見てあげられる組織なのかどうなのかが大きな差だろうなと思います。

コミュニケーションとして、がんばりたい自分しか会社側では見せづらくて、つらいという自分はちょっと後ろ向きに置いとかなきゃいけない。みんながそういう場だと、それが「心理的安全性がない」ということなのかもしれないです。

本来は仕組みで担保すべきところを、個人に負わせてるつらさ

櫻井:だから「こっちも持ち出していいんだよ」っていうことを、質問者さんからやってみたりとか。上司の方に相談する時に「自分の中に2つの自分がいて、こういう自分とこういう自分がいて、そこで葛藤して悩んでるんですよね」っていう相談の仕方をしてみるとか。個人ベースで言うといいのかななんて思いました。状況がわからないので適切なアドバイスかどうかわからないですが。

榎本:そうですね。ありがとうございます。篠田さんはご意見ありますか?

篠田:ありがとうございます。1分ぐらいいいですか?。

榎本:そうですね、(時間が迫っているので)これで最後にしたいと思います。ありがとうございます。

篠田:今のお話に加えて、これがお一人じゃなくて、けっこうなボリュームのメンバーの方がそのつらさを感じているという前提に立たせていただくと、仕事の全体の仕組みで手をつけられるところ、つまり本来は仕組みで担保すべきところを、個人に負わせてるから大変になっちゃっているという構造が、ゼロじゃないのかなという仮説を持ちました。

仕事のつなぎ方とか、情報共有の仕組みとか、顧客への対応の型化とか。何か1つに固定してあげることで、個人が感じる負荷が減る可能性はないだろうかと、拝見していて感じたところです。

高い業務目標と、高い心理的安全性は両立する

篠田:もう1点だけ、先ほど櫻井さんも触れた「心理的安全性」は、この状況において極めて大事です。1個だけ申し上げると、業務に対して非常に高い目標を持つことと、心理的安全性を高くすることは両立します。これはまったく別の概念なので。

この状況において、チーム全体のつらさから「学び」や、それを解消する「知恵」を出し合うことで、全体として成果を上げていこうじゃないかという目標を、リーダーの方が掲げること。

それには、お互いに今何で困ってるのかということを出し合えないと、改善材料も出ないですよね。まずそこから始めると心理的安全性を作っていける余地が、もしかしてあるのかなと思いました。

すいません、もしかしたらまったくそうじゃない状況かもしれませんが(笑)。そのように感じた次第です。

榎本:ありがとうございます。みなさんここまで聞いていただいてありがとうございました。次回のセミナーは「職場の『キャリア自律』を促す仕組み」ということで企画しておりますので、またみなさんの今日のアンケート結果をいただきながら、次のセミナーも楽しくお話しできればと思っております。今日はありがとうございました。

篠田・櫻井:ありがとうございました。

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