2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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千原徹也氏(以下、千原):じゃあもう1個(質問)いきますか。どなたかいらっしゃいますか? じゃあそちら。
質問者2:本日はありがとうございます。
千原:ありがとうございます。
質問者2:私から見て、もうお二人はすごい成功されてる方に見えるんですけど。
森田哲也氏(以下、森田):ぜんぜん、ぜんぜん。
質問者2:5年後、10年後、あとは自分が死ぬ時に、思い返してぜったいに叶えておきたい夢みたいなところを。本当に大きい目標、「これだけはぜったい叶えて死ぬぞ」みたいなのはどんなのかというのが、ちょっと気になっているんですけれども。
森田:ああ、でも気になります。(千原さん)なんかあります?
千原:僕はもう、わりと公言していますけど「映画がやりたい」と。
森田:ああ、でももうやるじゃないですか。
千原:まあそうですね。でもそれが夢なので、それぐらいですかね。映画を1回やったら、1個撮ってオッケーというよりはずーっと死ぬまで撮り続けたいです。
森田:じゃあここからはわりと、職業的に映画監督と言われてもいいというか。むしろ、映画監督になっていきたいという。
千原:そう、そんな感じですね。でも、やっぱりデザインを10年やってきたので、それが根底にある監督に(なりたいです)。他の人と違うところはそこだという気持ちではやっていますけど。大きいのはそれですかね。
千原:(森田さんは)なんかこれから先。
森田:なんですかねえ……。
千原:そんなにないもんなんですか?
森田:……養成所ビジネスとか、わかんないですけど(笑)。
千原:なるほど、育てるという。
森田:育てる。養成所って、マジで一番合法的に金を取れる手段なんですよ。やってみたいなって。だって、吉本の養成所、今は少ないですけど、全盛期の計算をしたら、確か余裕で50億円くらいいくんですよ。養成所だけでですよ? それで、「週1回来い」っつって、「ネタ見せろ」って言って、年間50億円手に入れられるんですよ。こんなボロい商売ある? と思って。
千原:しかも、あれはすごく効率が良いというか。あれでおもんないやつは別に放っとけばいいし。
森田:そうなんですよ。
千原:その中でおもろいやつだけ引き上げて、そいつをまた売れさせてお金持ちにさせるというね。
森田:あの中で、売れるやつが年間1組出てくればいいぐらいのノリなので。だから、1回ぐらいやってみたいなと。それで、吉本さんのとこに連絡して、「こんな儲かってたんすね」って電話したいです(笑)。
千原:(笑)。でも僕も、デザインの養成所をやりたいですね。
森田:塾みたいなのはやっているんでしょ?
千原:やっていますけど、ほんまにプロとして明日から使える人を育てているというよりは、わりとこういう話を聞いて、「みんなで夢を持っていこうね」みたいな話なんですけど。
デザイン会社だけじゃなくて、たぶんヘアメイクとかスタイリストさんとかカメラマンもみんなそうですけど、やっぱり入ったらまず最初の3年ぐらいは修行じゃないですか。給料を払って教えることのほうが多いわけですよね。
まずその前に1年ぐらいはちゃんと養成所みたいなものがあって、授業料を払ってもらって教えてプロにするというほうが、きれいかなと思いますね。
森田:そっか。タダで教えるのがもう違うよということ。
千原:そうしていかないと、両方にとってもよくない気がします。教わる側も、教える側も。
森田:とはいえ、料理人の世界って、「見て盗め」みたいなことを言うじゃないですか。「いや、教えろや」って思いません?(笑)。
千原:確かに。
森田:「なんやそれ、見て盗めって」「合理的じゃないな」みたいな。
千原:でも、そうなんでしょうね、たぶん。
森田:まあまあ、いろんな世界があるからあれですけど。
千原:だってお寿司屋さんとかも、10年ぐらい修行したりとか。
森田:見て盗まなあかんからですよ。あれ、ちゃんと教えてたら、2〜3年でいけますよ(笑)。わからないですけど。
千原:(笑)。
森田:「なんやこの風習」って思う時があります。俺がもし職人やったら「教えて。教えて」って言いますもん。でもわからないです、見て盗むことで(しか得られない)自分のオリジナリティとか、突き詰め方があるのかもしれないですけど。
千原:でも、その10年いるべきことが何かあるんでしょうね。
森田:煮物とかでも、先輩が「洗っとけ」って言った器を、こうやって(味見して)「これ何入ってんやろ?」みたいな。いや、「何入ってんやろ?」やないねん、「何入れたんですか?」って聞いたら一瞬やで、とか思いますけどね(笑)。
千原:教えてもらえばね。
千原:でも、僕も社長になってからはたまに、寿司屋とか連れて行ってもらうじゃないですか。ほんで、何年も行ってる寿司屋とかあるんですけど、ずーっといますもんね。
森田:下積みというか。
千原:そう、弟子の子。2〜3年で辞めて独立するとかじゃなくてずっといらっしゃるから、やっぱりこの(長期間の)積み上げは、彼がもし独立したら行ってみたいなってちょっと思いますもん。
森田:だから、千原さんの本で書いてた、苦しかったこととか、もうぜんぶ血になり肉になりっていう経験が、彼の寿司の味を上げてると考えたら、下積みはいるということで。「教えたらアカン」っていうことですよね。
『これはデザインではない 「勝てない」僕の人生〈徹〉学』(CCCメディアハウス)
千原:まあそうですかね。
千原:僕がたまに行くその寿司屋で、外人の若い男の子が1人いるんですよ。
森田:カウンターの中に?
千原:弟子で。ほんで、ちょっとノリがチャラいんですよ(笑)。
森田:カリフォルニアロールしか作らへん感じの。
千原:でも、それがおもしろくて。「ウイスキー何になさいますか?」って聞かれて、白州とかいろいろ種類があるんですけど、「山崎で」って言ったら、その外人が「ザキヤマ一丁!」って言うんですよ。
森田:いいですね(笑)。
千原:それで、そいつがもう5〜6年いるんかな。あれが2年で辞めて、「店作りました。千原さん来てください」って言われても、行かへんよね(笑)。
森田:行くわけないっす。そりゃそうっすよね(笑)。
千原:だから、あの感じでずっといるっていうのが、信頼とかいろんなものになるんかもしれないですね。
森田:そうか。千原さん、質問の答えは映画監督ですよね。
千原:そう、映画監督。
森田:俺は養成所。
千原:はい。次、手を挙げてらっしゃいますよね。
質問者3:お二人に(質問)なんですけども。デザインでもお笑いでも、他の人の作品とかをいっぱい見たりするのか。あと、それを見て自分の作品に影響を受けてしまわないのか。まず(他人の作品を)見るかどうかと、その後自分のオリジナリティとしてどう活かしてくのかといったところを聞ければなと思うんですけど。
千原:どうですか?
森田:僕は見ます。
千原:あっ、見ます?
森田:見ます、というか、もともとネタが好きっていうのもあるし、見とかないと被る可能性っていうのもあるので。そういう意味でも見るかなって。見て、しっかりおもろいやつはしっかり嫉妬するし、「これよりおもろいの作りたいな」とかも思うし。
「ぜんぜん見ないんですよ」っていうのは、僕は基本的にはないですね。見られるだけは見る。でも、好きな人のやつをYouTubeで見たり、けっこう偏ってしまいますけど。僕はそういう感じですかね。千原さんどうすか?
千原:僕も、同じ業界の人たちもInstagramとかでつながってるから、投稿が上がってくるので見たりはしますけどね。
森田:それはどうなんですか? やっぱり嫉妬することもあるんですか?
千原:めちゃくちゃあります。
森田:「これやられたな」みたいな。
千原:「これ僕やりたかったな」っていう感じ、ありますね。
森田:あるんですね。それはもう単純にそこで、奮い立たせるしかないというか?
千原:そうですね。ひどい時は悔しすぎていったんフォロー外したりする時ありますね。
森田:悔しすぎて(笑)。
千原:またそいつのやつ(投稿)が回ってくるじゃないですか。
森田:フォローしてたらね。
千原:そうそう。そういうぐらいの時もありますね。
森田:そうなんですね。でも、たぶんデザイン業界は特に、否が応でも目に入るということですよね?
千原:意識的に見てるっていうよりは、目に入ってくるんで。で、「いや、悔しいなあ」とか思って、「もっともっとやらなな」という活力にはなりますね。
森田:例えば、おもんないデザインを見たりすることもあるじゃないですか。
千原:あります、あります。
森田:そこから着想を得ることってあります? 例えばね、僕らでいうと、こんなこと言ったらあれですけど、「このネタおもんな」とかあるんすよ。でも、それって実はちょっとチャンスやったりするんですよ。
「こんなおもんないネタ」っていう1個のカテゴリになってるから、「これ、こうずらしただけでめっちゃおもろなれへんか?」と思う。でも、この(ネタを考えた)人はもうそこには気付かない。そういうのが、意外にチャンスやったりするというか。「こんなおもんないネタありますよね」っていうフリにもなることもある。そういうのは、ちょっとあんのかなとか思いますけどね。
千原:おもろい・おもんないっていうので言うと、デザインって意外と差がわかりづらいので。でも、「僕ならこうしてもっとこうできて、おもしろくできたな」とか、そういうのは頭の中でデザインする時がありますね。
森田:例えば、今こんなデザインが流行ってるっていうのって、どう思うんですか? これを揶揄した「はい、お前らここおるか知らんけど」みたいなのとかも考えたりするんですか?
千原:します。やっぱりデザインも流行りが多いので。
千原:でも、流行ってるやつをやりたくないんですよ。だから、「それはやらんとこ」と思う。例えば、映画のポスターの題名とかって、今流行ってるのは手書きの斜めなんですよ。
森田:(笑)。なんか恥ずかしいですね。もう何回も見た、特に邦画ね。
千原:邦画はぜんぶ手書きの斜めじゃないですか。
森田:わかる。
千原:もう最近ほとんどあれじゃないですか?
森田:確かに。なんやったら、俺がこないだ見に行ったのもそうやったな。
千原:そうでしょ? あれはやりたくないなと思って。
森田:そっか、そういうとこに目いくんか。……手書きの斜め(笑)。それはデザイン業界であるあるなんですか?
千原:いや、どうなんですか。僕、デザイナーとそういう会話したことないですけど、「またこれ?」とか思います。邦画の、特に恋愛もの。
森田:うん、わかる。確かに。
千原:あと、それにさらに、最近流行ってるからハッシュタグつけるタイトルとかもやりたくないなと思いますね。
森田:(笑)。そうか、恋愛ものの映画とかってそんな感じですよね。多いですよね。
千原:多いですよね。その流行ってるやつがやっぱり目につくので、「これはやらんとこ」とか思いながら街を歩いたりしてますね。
森田:おもしろいですね。
千原:逆にああいうのがいっぱい溢れてると、それをやってくれてるうちは違うアイデアをいくらでも出せるなって思いますね。
森田:それって、なんで増えてるんだと思うんですか?
千原:単純に「っぽく」見えるから。
森田:簡単な手法ではあるってことね。
千原:あるし、やっぱり印象として強いんでしょうね。
森田:でも、そんなマインドで生きてたら、街歩いてて頭おかしなりません? 看板とか……思わないですか?
千原:思います。だから、全看板が気になるので。
森田:ですよね。だって、ぜんぶデザインですもんね。
千原:そうです、そうです。だから、JRとか乗ると、千駄ヶ谷駅とかにホームまでの長いストロークの廊下があるわけですよ。ずっと広告じゃないですか。あれぜんぶ、めちゃくちゃ気になりますよね。
森田:ああ、そうなんや。確かに。気にしてないわけでも気にしてるわけでもない俺らですら、やっぱり良い広告とか見たら「なんかこういうのおもしろいな」と思うぐらいやから。それのもっと細かいことも思うわけじゃないですか。
千原:思います。だから、本当に細かいこと言ったら、写真のトーン見て「あ、またこのカメラマンやな」とか。
森田:へえ~! もうそれすらもわかんねや。
千原:わかります。だから、「このカメラマン今流行ってんな」とか、「逆にそれは今やめとこう」とか、そういう感じですね。
質問者3:ありがとうございます。
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