2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
第三部「質疑応答」(全1記事)
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福山栄子氏(以下、福山):それでは、ここで質疑応答の時間を設けたいと思います。ご質問をチャットに書いていただければ、櫻井さんと篠田さんがお答えします。
さっそくコメントをいただいています。「相手が誰であれ、自分の言葉で語り直すことで自分ごとにできるということを理解しました」。これは先ほどの櫻井さんのお話に通じるかと思います。
櫻井将氏(以下、櫻井):篠田さんが(以前していた)「レンガ積み職人」の話をシェアすると良いのかな、なんて思いましたが、どうでしょう?
篠田真貴子氏(以下、篠田):ありがとうございます。ちょっと待ってくださいね。今(スライドを)出しますね。「自分の言葉で語り直すと何が起きるか?」という話になっています。これは、イソップ童話であるという説と、実話であるという説があるそうです。
櫻井:そうなんですか?
篠田:1600年代のロンドンの大火事で焼けた、セント・ポール大聖堂の再建の話だという記事が見つかって。興味深いなと思いました。
実話バージョンでいくと、実際にセント・ポール大聖堂を再建しようとした、偉い神父さまが工事現場にいたそうです。そこで、レンガを積んで作業をしている人たちに「あなたは何をしているのですか?」と問いかけたと。
1人目は「家族を養うためにレンガを積んでいるのです」。2人目は「レンガを積んで、壁を作っているのです」。そして、3人目は「歴史に残る大聖堂を作っているのです」と答えたということなんですね。
これって私たちの日常業務(にも言えますよね。)伝票を書いたり、こういうスライドを作ったりする時に「何してるの?」と聞かれたら、「パワポ作っています」と答えるのか、「世界に『聴く』を広めます」と答えるのか。
これは1人ではなかなか難しくて、やっぱり人と話をすることで違いが出てくるんですね。人に聴かれて、自分の言葉にする中で気づいていく。「(資料の)色を直しとけ」と指示されて、めんどくさいと思いながらパワーポイントを作っている時と、まったく気持ちが違ってくるのがわかると思います。
私のパートでも櫻井さんのパートでも、このような構造について、違った角度からお伝えしたのかなと思います。
福山:ありがとうございます。
櫻井:これ、本来的に相手は誰でも良いんです。
篠田:そう、そう。
櫻井:誰でも良いんですが、構造的に効果的な会話がしやすい相手と、そうでない相手がいます。これは構造なので、そこをうまくデザインできると、より多くの人が話しやすい状況を作っていけると思います。
篠田:そうですね。私が監訳した『LISTEN――知性豊かで創造力がある人になれる』の中であったのですが、「自分の人生に大きな影響があるテーマについて、誰に相談しましたか?」という問いかけに、半分以上の人が「ふだん、そんなに付き合いのない人」と答えたということなんですね。
櫻井:へえ~! アメリカですか?
篠田:アメリカです。だって、自分の人生に大きな影響がある決断って、自分の身近な人にも大きな決断で、影響が出ちゃうからだと思うんですよね。
櫻井:なるほど!
篠田:「相談できない」って、直感的に思ってしまうんですよね。だから、奥さんに言った(打ち明けた)時は、もうだいたい決めている。
櫻井:奥さんも感情が出ちゃいますからね。「いや、ちょっと待って!」みたいな話になりますよね。
篠田:そう。「私はどうなるのよ!」みたいなね。それに直面しちゃうと、自分の考えが整理できないですもんね。
福山:では、次の質問をご紹介いたします。「対話のベースとして自己開示が大事だと思いますが、その準備として、ある程度の『自分史』を言葉として持っていることが有効だと思いますが、どうなんでしょうか?」。
櫻井:質問くださった参加者の方は、お話できますか? 質問の背景をお聞きしたいなと思ったんですが。
参加者1:はい。(質問の背景ですが)会社でも1on1を始めたところなんですね。まだ6巡ぐらいしかしていないのですが、あるメンバーが、その部下のキャリアパスの相談を受けているという話になりまして。そこで、彼に「あなた自身のキャリアパスはどうなっているの?」と聞いたら「頭にはあるけど(特に言葉では語れない)」と言うんですよ。
「じゃあ、言葉にしたほうが良いよね」という話になったんですね。僕自身は、自分のことを20年ぐらい振り返ってみて、いろいろ気づきがあって喜んだりするほうなんです。(だから彼も、1on1をするにあたって)まず「自分はどうなんだ」ということから始めたら良いかなと思いました。とりあえず、「去年何をやったか、手帳見ながら書いてみて」と言って、次の回を待っているところです。
そういうやりとりを経て、自分の気づきを言葉にする時や自己開示をする時に、「自分が自分のことをどう思っているのか」を把握していないとやりにくいんだろうなと思ったんですね。だから、彼にその準備を促せたのは良かったんだろうなと思っているのですが。
こういう話について、みなさんはどう感じられるか、聞きたくなりまして。篠田さん、これ(『LISTEN』)たまに見ています。
篠田:感謝です。ありがとうございます!
櫻井:今お話を聞いていて、2つのことを感じました。1つ目は、共通のフォーマットがあると良いのかなということです。ご自身が振り返りを行う時のやり方を「こういうふうにやっているよ」と参考に見せてあげることで、すごくやりやすくなるだろうなと思いました。
もう1つ。私もよくやってしまうんですが、管理職の方はけっこうポジティブな話や未来型の話を考えるのが得意なんですよ。でも人によって、ポジティブに考えるのが得意な人と、ネガティブに考えるのが得意な人がいる。また未来を考えるのが好きな人、過去を考えるのが好きな人、わりとバラつきがありますよね。
これがズレていると、けっこう会話が嚙み合わないことが多いなと、自分でもよく思うんですね。(例えば)何か課題があった時に「じゃあ、本当はどうなったら良いの?」と未来のポジティブな話をしても、「いや、別にどうなったら良いとかじゃないんですよね」と言われてしまうんですけど。
「本当はどうなると最悪なの?」と聞くと、(考えが)出てきたりするケースもあって。「過去にすごく楽しかった仕事は何?」と聞くと出てくる人もいれば、「過去の嫌だったことって何?」のほうが出しやすい人もいる。その相手にとって、一番話しやすいことから問いかけていくのが効果的な気がします。
質問者1:ありがとうございます。先ほども「何している時が一番楽しいですか?」っていう質問の事例が出ていましたけど、「ああ、そういう質問はしたことないな」って自覚したんです。「これはいただいたな」と思ったところです(笑)。ちょっと応用させてもらおうと思っています。
櫻井:ありがとうございます。
福山:じゃあ、もう1つだけ。「業務中に雑談ができるような職場ではありません。ゆっくり話すとなると、評価面談か、何か問題があった時なので、なかなか相手の本音などを聞いたり、雑談をする時間がありません。会議室に呼んで雑談するのもなんだか抵抗があります。自分も含め、会議室に呼ばれたらドキドキすると思いますし、コミュニケーションの取り方や話の聴き方に悩んでいます」ということです。
篠田:今、お声を出せる状況にいらっしゃいますか?
質問者2:はい、出せます。
篠田:ご質問ありがとうございます。ご自身が上長として、(悩んでいる状況に)いらっしゃるんですか?
質問者2:そうです。
篠田:チームは何人ぐらいなんですか?
質問者2:フルタイムのパートさん(がメイン)の職場で、社員が10人でパートさんが100名いらっしゃいます。私の担当しているチームにはパートさんが30~40名ぐらいいらっしゃいますが、なかなか雑談がしにくい環境で。「社員さんに呼び出された。何したんだろう?」といった話になってしまうので、声をかけるとびっくりされてしまいそうで。
篠田:(笑)。
櫻井:なるほど。「何か悪いことしたのかな……?」みたいな。
篠田:社員さん同士はけっこう話されている職場なんですか? パートさんと社員さんとでは、あまり話をしないとか?
質問者2:業務時間中は話ができないんです。社員同士は、業務が終わった後とか残業中、ミーティングなどで話をしたりするんですが。
櫻井:「雑談ができる職場ではありません」と書いてくださったということは、「雑談があったほうが良い」と思われているということですよね。
質問者2:そうですね。やっぱり雑談の中からも、その方の人となりがわかると思うので。
櫻井:そういう環境の中でも、雑談ができている瞬間とか、この場所だけではうまくできるといったことはありますか?
質問者2:お手洗いとかですかね(笑)。
篠田:(笑)。
質問者2:ちょっと手を洗いながら、隣にいて「今だ」と思ってしゃべってみる、みたいな(笑)。
櫻井:なるほど。難しいですね。仕組みを変えられる状態でもないですもんね。
質問者2:業務上、あまり余計な声は出せないといいますか。(パートの方から)相談されることもあるんですが、それは“ちょっとした話”ではなく、「社員さんに相談をする」というかたちで“まあまあ大変な時”なんですね。相談に来た時には「えぇ!?」みたいな話だったりするので。もうちょっと前から話ができていれば、もう少し汲み取れて、あまり大きくならずに済むのかなと思うこともあるんですね。
お手洗いで会う一瞬だけでも、「困ったら話してみよう」と思ってもらえるような声がけができたら良いのかなと。そうすれば、どこかですれ違った時にでも、ちらっと「そういえば」と話してくれたりするんでしょうかね?
櫻井:そうですよね。その環境の中でも、雑談ができている瞬間、何かを言ってくれた瞬間をできるだけ見つけて「そうしてくれるとうれしいんだ」ということを伝えていくことだと思います。
パートの方たちもたぶん「(雑談)しても良いのかな?」みたいに感じていると思います。雑談をしてくれた時、何かを打ち明けてくれた時に「それがうれしい」ということをこまめに伝えていく。こんな地道な活動なのかなと思いました。すみません、たいした回答になっていないんですが。
質問者2:いえいえ、ありがとうございます。
篠田:ご質問ありがとうございます。
福山:お答えしきれなかったご質問については、オウンドメディアでお答えするようにいたします。
ではお時間が過ぎてしまいましたが、本セミナーはこちらで終了とさせていただきます。本日最後までお聞きくださったみなさま、どうもありがとうございました。篠田さん、櫻井さん、ありがとうございました。
櫻井:ありがとうございました。
篠田:ありがとうございました。
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