2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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櫻井将氏:あらためまして、みなさんこんにちは。エールの櫻井です。よろしくお願いいたします。では、我々のお客さまの具体的な事例を交えつつ、自律型人材を育成するためのアプローチについてお話ししていきたいと思います。
ではまず、事例をお話しします。自律的な人材がいて、自律性が発揮される組織がある。これが両方備わっていてこそ「自律的な組織」であると、いったん定義させていただきます。この30~40分で、みなさんの課題感の解像度が少しでも上がって、自律的な組織に向かうためのヒントを持ち帰っていただきたいと思っております。
(スライドを指して)アジェンダとして、よく耳にする10個の課題感を挙げてみました。これは「自律型に組織を変革していきたい」、あるいは「変わっていかなければならない」と危機感を持たれている会社さんから実際に聞いたものです。その10個の課題と、先ほどの(第一部の篠田氏パートで言及された)「3つの信念」についてお話ししようと思います。
それに対して、全部ではないのですが、5つの実際のアプローチ事例をみていきます。「この課題には、こんなふうに対応していくんだな」というヒントを持ち帰っていただけるとうれしいです。
まず、10個の課題感についてお話ししていきます。自律型に関して、先ほどから「自分自身の内的なもの」という話をしていますが、今まで日本では行動管理型の組織で、うまく運営がされてきたと思います。動機づけも、報酬、インセンティブ、ポジション・地位などを含めた外発的なものでした。かつ、行動や考え方も管理するかたちのマネジメントで、日本の企業はうまくいってきたんですね。
それがだんだんと、内発的な動機づけが重要視されるようになってきました。もともと、こうした研究は1970年代頃から始まっています。また、その(内発的動機づけの)ためには、人の価値観・感情を扱う必要があると言われるようになりました。EQ、ダイバーシティ&インクルージョンなども含め、今はこちらの方向に社会が向かってきているんです。
その中で、(スライドに示したような)課題感をよくいただくんですね。自律的な組織を目指している人事の方や組織長の方であれば、おそらくどれかに当てはまると思います。この10個の課題感に対して、その裏側にありそうなキーワードを一緒に並べてみました。
ではキーワードを見ていきましょう。(課題感として)「組織体質を改善したい」という会社さんでは、わりと「心理的安全性」とか「もっとアジャイル型で組織を作っていきたい」「忖度なく言い合える状態にしたい」といった話をされるケースがあります。
また、2番目の「社員に自社で働く意義を感じてほしい」という課題感だと、「企業理念」「企業パーパス」などを設定されるケースがあります。理念の浸透や、業務と自分の重なりをどうやって増やそうか、というお話をされるケースが多いですね。
「組織拡大に合わせてマネジメント力を向上させたい」というところは、「対話型の組織」「心理的安全性」「1on1力を上げたい」などの話がよく出てきます。
あと「エンゲージメントの向上をさせたい」というのも、最近では課題感として多数いただきます。「サーベイを取るんだけど『取って終わり』になっちゃっているので、活用をしたい」といった声があります。
最近は、エンゲージメントやモチベーションのスコアが、経営会議や労働組合での指標になっているケースも多いんですね。なので、このあたりを向上させたいというケースもすごく増えてきています。
また「社員の内発的動機を高めたい」という、具体的な課題感をお持ちのケースもあります。これには、(社員が)自分の理解を深めるために「コーチング」を導入したり「個人のパーパス」(を探ったり)ということになると思います。
あとは「社員に当事者意識を持たせたい」ですね。これは、先ほど(話題に出た)の自動車産業などもそうだと思いますが、会社状況に危機感を持っているところで(よくある課題)ですね。経営層は非常に危機感を持っているけれど、現場の方々は「別に会社が潰れることはない」と思っているという。
それに対して「1on1をやっていても、みんな自己流なので、やり方を知りたい・伝えたい」という課題感があります。
それから「キャリア自律」という言葉も、最近すごく聞きますね。若手の方や次世代リーダーに関してはもちろん、最近ですと40~50代の方のキャリア自律という課題もよく聞くようになりました。
人事制度の変更により、実際に待遇が悪くなっているのに、40~50代の方々自身がその制度変更にすら気づいていないこともあります。危機感を持っていないことに対して、どうやってキャリア自律を目指していくのか? というケースですね。
あとは「個性を生かしたい」。これはもうD&Iの本質だと思いますが、属性ではなくて個人の特性や能力をどうやって生かしていくのか。
最後はリモートワークの中で(「予期せぬ離職を防ぎたい」というもの)。コミュニケーション不足になって、予期せぬ離職がぽんぽん出てきている。急に「辞めます」という話が出てきて、どうしたら良いのか? ということですね。
以上のような課題が挙がってきています。ご自身の組織の中で「自律型人材」「自律的な組織」について考えた時、「このあたりが課題だな」「このあたりに悩んでいるな」「ここの壁を越えたいんだよな」といった課題感を言葉にして、みなさんとシェアしていただけるとうれしいです。
【ここで、参加者のブレイクアウトルームを挟む】
みなさま、お帰りなさいませ。ゆっくり話せましたでしょうか。ではこれより、自律型の組織を目指すための10の課題に対して、エールが知っている範囲ですが、いくつか事例を紹介したいと思います。みなさまの会社やチームの課題のヒントにしていただければと思います。
この10の課題の前提には、さっき篠田さんがお話しした「3つの信念」があります。みなさんも、これをお持ちだからここにいらっしゃるのだと思います。
「(社員の)内的な変化を願って」いて、「組織理念・戦略と個人の動機は重なる」と思われている。そして、この重なった部分をどうやったらさらに増やせるだろう? ということを、できれば組織の中で探求していきたい。今日ここにいらっしゃる方は、こういうふうに思われているという前提でお話ししていきます。
絵にすると(スライドを指して)こんな形だと思います。「Will/Can/Must」という、リクルートさんが作られたフレームワークに近いのかなと思って描いてみました。「個人の動機」が自分の「Will」や「Can」、自分の好き、得意という領域だとするならば、組織の理念・戦略というのは、個人からすると「Must」の領域に近いかなと思います。ここの重なりの部分を作っていく、ということですね。
内的な変革とは「自分が何が好きで、何が得意か?」ということの解像度を上げていくことです。この黄色い丸が大きくなっていくイメージですね。自分がどういう人で、どういうことが好きで、どういうことに価値を感じるか。この解像度が上がっていくと、この重なりは増えていきますよね。
みなさん、この重なりをどうやって増やしていこうか考えていらっしゃると思います。この3つの(信念)を図示すると、(スライドを指して)こんな感じですね。
では、課題感に対する5つのアプローチの事例を、ささっとお話ししていきます。全部刺さらなくても大丈夫です。1個でも2個でもヒントがあれば良いと思います。
1つ目、この「社員の個性を生かしたい」という課題感です。ダイバーシティ&インクルージョン、個人の特性や能力を引き出すといった取り組みをされている会社さんですね。
これは、比較的縮小している産業の、日本の大手のメーカーさんでやらせていただいている「研修+YeLL」というサービスです。一般的に会社では、(個人の)外形的な経歴や資格、これまで何をやってきたかなどを扱いますよね。この会社さんでは、個人というものをもっと深く探っていこうということで、今まで扱わなかったような、一人ひとりの個性を掘り下げていくことを行いました。
それぞれ「Will」「Can」「Role」があります。「Will」とは一般的には「あなたは何をやりたいんですか?」と問われると思いますが、(この会社では)「あなたはどうありたいんですか?」と問うことを行っています。
特に自分自身が本当に自然体で、一番力が発揮できる時はどういう状態であるか。「ただ自然体で、楽に生きれば良い」という話ではなく、自然体でも組織に貢献できるような状態です。自分が本当に自然体でいる時に、周りにはどんなものが生まれてくるのか。周りの人はどんな状態になっているのか。その時に自分が大切にしている価値観や信念はどういうものか。こうしたことを言語化する取り組みを行いました。
「Will」だけではなく、「Can」もおもしろいんですね。「Can」はだいたい「できること」「できないこと」を明確にして言語化していきますよね。でもこの会社さんは「Can」と「Cannot」の間に線を引くのではなく、「Cannot」の中でも、「伸ばすCannot」と「手放すCannot」を明確にしようというアプローチをしました。
ここに線を引くことで、「手放すCannot」に関しては、誰かに手伝ってもらうんです。先ほど「自立」の反対語は「依存」であると(篠田氏は)言いましたが、この場合は「健全に依存する」んです。自分を律する生き方をするために、自分が立ちながら健全に依存する。そうして、自分で自律する状態を作っていく。
つまり、単に「できない」という話ではなくて、「ここはできないけど伸ばしたい」というものと「ここはできないから誰かを頼ろう」というものを明確にする。そして、これをチームでシェアして、助け合う状況を作っていきました。
あと、おもしろかったのは「Role」、役割です。名刺を見れば「あなたは営業、あなたはマーケティング、あなたは経理」などが書いてありますよね。でも、営業といってもいろんな営業の方がいて、いろんな役割があります。これを、もう少し細かく動詞で捉えて、分解していくことを行いました。
そうすると「私は営業の中でも、とにかく語ることが好きなんです」という方もいれば、「営業の中でも、広く(情報などを)集めることが好きなんです」という方もいる。こうして、自分自身が本当に好きで得意な領域における、「Will」「Can」「Role」の解像度を上げていく。(つまり)自分自身がどういう人間なのか? ということを測っていくんです。
「ダイバーシティ」とは、属性ではなく、個人を見ていくことなので、「個性を生かしていく」ための研修として、このように解像度を上げることを行いました。
今までだと人事データベースには、これまでの職歴や資格などしか入っていませんでした。そうした外形的な情報だけでなく、個人の本当の「好き」や「得意」や「好きな動詞」を人事データベースに入れていく。「私、マーケティングできます」ではなくて、「マーケティングの中で、こういうことが本当にできます」ということです。
最近では、例えばカオナビさんやHRMOSさんなど、見やすいツールがありますので、そういったものに情報を入れていって、人を探しやすくしたり、チームのアサインをしやすくしたりしました。このように、個性について話をして、さらにそれを見える化して、組織の中でどう活用するかといったことをしている会社があります。こちらを1つ目の事例とさせていただきました。
2つ目は「社員に自社で働く意義を感じて欲しい」「当事者意識を持って欲しい」というものですね。先ほど言った自動車産業などでは、(今)すごく危機感を持っています。でも「この会社にすごく価値がある」「意味がある」ということで働かれている方が多いと思います。オウンドメディアにも出ているので、社名を出させていただきますが、トヨタさんで行った研修になります。
『トヨタイムズ』をご覧になった方も多いと思いますが、トヨタさんは会社の理念や方向性を明確に発信されています。外部向けにはもちろんのこと、社員向けにも相当発信されているんですね。
豊田章男さんが話をされていますが、管理職側からすると、毎日忙しくて受け取る時間や深める時間があまりないんですね。そこで、これ(会社の理念や方向性)をきちんと受け取って、現場につなぎたいという話をいただき、やらせてもらった研修となります。
一般的に、経営方針は一方的に伝えるもので、背景まで知ってもらう時間がないので、温度感や危機感がなかなか伝わらないんですよね。実際、現場でOJTや面談をしようにも、上司側もそこに対する意識や面談能力が高いわけではなくて。現場の仕事に没頭しているし、経営方針と現場のリアルとをつなぐことに時間が使えるかというと、なかなかそうはいかない。
そこで忙しい上司に代わって、社外の人材が『トヨタイムズ』について対話していくんですね。幸い『トヨタイムズ』は簡潔で良質なコンテンツが多いので、(社員の方に)観ていただきながら「この動画は、あなたにとってどういう意味があるんですか?」「どう思いますか?」などの話をしながら自分ごとにしていくことを行いました。
「こういう意味なのかな」ということを言葉にしていき、また次のコンテンツにつなげていく。最近は「マイクロラーニング」と呼ばれますが、1日でガツンと研修するのではなく、(細かな)コンテンツにしていき、(その都度)きちんと対話をしていく。そして、自分自身の言葉にして、腹落ちさせて、各人の業務とつなげていく。こうした時間を作って、エンゲージメントを上げていったんですね。
このようにして「会社の理念やパーパスと、各人との重なりを見つけること」「会社の危機感を自分ごとにすること」へのサポートをさせていただきました。
これはトヨタさんの事例ではないのですが、YeLLを受けるとこのような「wevox」という、エンゲージメントのスコアが出るんですね。外部の人に話を聴いてもらうだけで、実は「ビジョン共感」「方針への納得感」「サービスへの誇り」といったスコアが上がるんです。
(スライドのグラフのとおり)YeLLを利用された方、外部の人と話した方は軒並みスコアが上がっているんです。未利用群は上がったり下がったりしていますね。人に話をする、それも社外の人と話すだけで、自分の会社への納得度、腹落ち感、誇りが高まっていくといったデータが出てきています。
このようにして、理念を浸透させることができるというお話でした。詳しくは、我々のnote、またはトヨタさんのオウンドメディアに事例も載っていますので、よろしければご覧になってください。
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