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人材不足時代を勝ち抜く経営の道筋 ~全員戦力化を実現する組織力開発~(全3記事)

いま、多くの人事担当者が忘れている「自社で働く人への理解」 簡単に“人を切れない”日本企業に必要な、労働者のチェンジ

日本企業が抱える大きな経営課題の1つとなっている「人材不足」。これを引き起こす原因は、少子高齢化による生産年齢人口の減少だけではなく、経営環境の急速な変化や、働く人の働き方や価値観の多様化が背景に存在しています。複雑化する人材不足という難問に直面して「何から手をつければ良いか分からない」「働き方改革を進めているがこのままで良いのだろうか」などの悩みを持つ経営者や人事責任者の方が多いのではないでしょうか。そこで、人材マジメント研究の第一人者で、書籍『全員戦力化 戦略人材不足と組織力開発』の著者・学習院大学 経済学部経営学科 教授の守島基博氏が登壇されたウェビナー「人材不足時代を勝ち抜く経営の道筋 ~全員戦力化を実現する組織力開発~」の模様を公開します。

最近の人事担当者が忘れている「人に対する理解」

斉藤知明氏(以下、斉藤):守島先生、ありがとうございました。

守島基博氏(以下、守島):ありがとうございます。

斉藤:ではディスカッションに移ります。今、お話をうかがっている中で、すごく難しいなと思ったことがありました。人事が、経営の戦略を理解しなければならない。それに関して「適材適所」ではなく「適所適材」というワードがあったかと思います。

斉藤:事業を成長させるための人材の定義が、経営戦略ありきであると。「成功するためには、こういうチームでなければならない」「こういう人材が必要だ」という定義が(まず)あって、そこに対して現状の人材状況とのギャップを埋めていく。もしくはそれを採用や育成で埋めていく。こういう動きになってくるのかなと思います。

「経営戦略への理解」「個人への理解」「組織開発」の三つを全部同時にやらないと、この「全員戦力化」というものが生きてこないんだろうなと思いました。この中で、特に日本企業においてギャップになっているところはどこだと、守島先生はみていらっしゃいますか?

守島:特に大企業中心に、人事の経営戦略への理解は進んできていると思います。でも、やっぱり人事の人たちが最近忘れていると思うのが「人に対する理解」なんですね。昔の人事はわりと働いている人の味方で、密接な関係を持っていることが多かったんです。

(今は、)人事のスタッフが減っていたり、仕事が多くなっていたり、事業部制が進んでいったりして、結果としてだんだん人に関する情報が入ってこなくなる。それで、人に対する理解が(忘れられている)。

「人」っていうのは一般的な「人」ではなくて、「自分の企業で働いている人」です。そこに対する理解を、多くの人事が失っていると思います。そこの部分が一番重要ですね。

そのように考える理由がもう1つあります。今、斉藤さんが「戦略と人事を合わせていくのがポイントだ」とおっしゃいましたが、まさにそのとおりなんです。その合わせ方が、日本と海外ではちょっと違うんですよ。

海外では、今まで働いていた人たちをクビにして、新しい人たちを雇ってくるといったフィット(のさせ方)が可能なんですね。でも日本ではどちらかというと、今働いている人で次の戦略もやらないといけない。つまり、働く人たちにチェンジしてもらわないといけない。

もし会社に非常に不満があって、ちょっと言葉は悪いですが「こんな会社クソくらえだ!」「こんな会社大嫌いだ!」と思っている人たちは、当然、変わってくれないわけです。働く人のマインド、ココロを捉えることなく、(経営)戦略にフィットする人事を行うことは、日本の企業の場合はできないと私は思っています。

戦時だけでなく、平時のマネジメントも極めて重要

斉藤:確かに、すごく大事だと思います。海外だとジョブ型雇用、それこそポスト型の雇用を成功させていくために、人を切って入れ替えることができる。日本だとそれが難しいと表現されました。逆に言うと、日本では「キャリアをチェンジしてくれ」「横のチームに動いてくれ」ということに対して、受け入れてくれる人たちが多い。これはポジティブな側面ですよね。

守島:それも(働く人たちに)前向きに受け入れてもらわないといけないですよね。事業が変わるわけですから、やっぱり難しいことは難しいので(笑)。

斉藤:「会社として、こういうミッションがあります」「会社として、こう変化していくべきだと思っています」「だからこそ、このポジションにこういう人が必要だから、あなたにオファーしたいんだけど、どう思いますか?」という、社内ジョブオファーみたいなものが、すごくたくさん起こってくると思います。

だからこそ「個を理解する」ことを人事がないがしろにしてしまうと、「なんでそんなところに僕が動かないといけないんだろう?」という期待値ギャップが起こる。そうして、どんどん心が離れていってしまう仕組みになっていると思います。

守島:そうですね。さらに言うと「平時」と「戦時」みたいな言い方をよくしますが、人のココロをつかむのは、戦略が変わった時や、何か戦う時にだけ必要というわけではないんです。ふだんのマネジメントの中で丁寧に扱われていない人は、やっぱりどんなに「変わってくれ」と言っても結果的に変わらないので。そういう意味では、平時のマネジメントも極めて重要なんですね。

斉藤:この「個の理解」「個の尊重」に関して、すごくびっくりしたのが、さっきのリンクアンドモチベーションさんの調査データ。2019年卒と2020年卒でもこんなに変わっているんですね。ちょうどそれこそ、コロナがあった前と後なんですかね。

守島:そうですね。そうなると思います。

斉藤:もう「ミレニアル(世代)だから」という括り方すら、怪しくなってきているってことですよね。

守島:そうなんですよ。要するに、一番人間の意識に影響を与えるのは、世代もありますけど、やっぱり経験なんですよね。「どういう経験をしているのか?」によって違ってくるので。

やっぱり企業の中でも同じで、良い経験をさせてあげないと、最終的には企業のために貢献してくれない、戦力になってくれないという状況が起こってきます。そういう意味では「ミレニアル」とは世代論ですから。世代論で人事をしていると、やっぱり負けちゃうと思いますね。

「働きがいがあり、働きやすい環境を準備すること」が人事の重要ミッション

斉藤:本当の意味での「個の尊重」ですよね。人側が変化している中で個人を理解していかないといけない。(会社の)外から人材を採用することも増えてきているとはいえ、日本では前提として、今いる人材で戦っていかなくてはいけない。社内での(人材の)流動性が一番高いのが、この日本という国での組織の特徴なんですよね。

(つまり)これから経営戦略が変わるのなら、人も変わっていかないといけないのは前提であり、常であると。そのためには、人が移動して、そこに対してスキルをつけていって、納得感高く、かつミッション達成のためにがんばりたいと思える状況を作り続けていかないといけない。これが、変化の時代に求められる人事側のミッションになっていく・なり続けていくだろう。こう理解しました。

守島:そうだと思いますね。

斉藤:そして「人側」としては、経営戦略の変化に合わせて個人へのオファーもしていく。個人の変化も促進していく。「組織開発」としては、全体として、それがずっと起こりやすい状況や、受け入れてもらいやすい状況を作っていく。

守島:そうだと思います。本(『全員戦力化 戦略人材不足と組織力開発』)の中で、公平性についての議論もしています。公平性や納得感がない企業で働きたいとは(誰も)思わないので、今そういう企業では、どんどん人が辞めていっている状態があります。

つまり、働きがいがあって、働きやすい環境を準備することが人事の重要なミッションになっている。もちろん、戦略とかそういった話も大切なのですが、(環境の準備が)ここ20年くらい忘れられているような気がしますね。

「個の尊重」とは「個を甘やかすこと」ではない

斉藤:ありがとうございます。チャットでご質問をいただきました。「尊重というのは、強制せずに、ただ理念・価値観を理解・認識してもらうということでしょうか?」。

個の尊重って難しいと思うんですよ。日本人のエンゲージメントが海外に比べて低いことの一因について、以前、ある研究成果を見たことがあるんですね。(日本では、)上司が言うことを聞いてくれやすい。不満を言ったらそれを受け入れてくれやすい。

だからこそ、不満を出しやすくてエンゲージメントも低くなっている傾向があるのではないか? と。「個の尊重」と、こうした「御用聞き」みたいなところの違いって、すごく難しいと思うのですが、どう思われますか?

守島:コメントの中でも何人かおっしゃっていますが、個の尊重とは「個を甘やかすこと」ではないんですね。「何でもあなたの言うことを聞いてあげるよ」ということではなくて。「あなたの未来と会社の未来を良くするために、一緒に共同作業をしていきましょう」という話だから、当然、個人側のニーズをある程度は曲げてもらう部分もあるし。(一方で)最近の「転勤をやめよう」といった議論のように、会社側のニーズを曲げていく部分もある。

それを「納得感」を持ってやっていくのが、個の尊重なんですよ。強制的に「お前、明日からシンガポールに転勤ね」みたいに辞令1枚で動かすのではなくて。会社も納得して、シンガポールに行く意義をきちんと説明する。(転勤する)本人も自分のライフプランをいろいろと工夫して、キャリアを考えていく。このように「納得感を持てるまで話し合っていきましょう」ということが個の尊重だと思いますね。

斉藤:あえて聞いてしまいますが、すごく大切な話だなと思いながらも、(僕も)経営者の1人なので、(個を尊重することは)すごく大変だなと思ってしまう節もやっぱりあるんですよ。経営視点だと、一人ひとりとしっかり対話していきましょうというのは、すごく泥臭いことだし、大変だと思ってしまう。

その大変なことをやり続けることがしんどくなって、ないがしろにしてしまう。個人の尊重がないがしろになってきているのは、こんな(背景が)あるのかなと思います。

特に若手にはチョイスがあり、他に行こうと思えばいくらでも行ける

斉藤:いわゆる欧米型と日本型で、人事の仕組みが違う。それこそ、(今いる人材を)切って(新しい人材を)入れていくということが、日本ではできないとおっしゃっていました。これはもう、「できないもの」というルールとして、我々は考えていった方が良いんですかね?

守島:(人材を)切っていくとか、そういうことですか?

斉藤:人材の流動性を社内だけで考えるのではなくて、社外間を中心(とした人材流動)の考え方にシフトしていくことはあり得るんですかね?

守島:流動性はもう、かなり社外でも考えていると思います。例えば、Uniposでも中途採用をされると思いますが、それはものすごく重要な人材獲得のやり方だと思いますね。その時に、雇った人が3ヶ月で辞めてしまったら意味がないので、その人たちが残ってくれるかどうかが大きなポイントになります。そのためにも、やっぱり先ほど申し上げた個人の尊重、いろんなことの戦力化、全戦力化のあり方が重要だと思っていますね。

だから、今、働いている人、特に若手はチョイスがあるんですよ。他に行こうと思えばいくらでも行ける。例えば1年ごととか、定期的に「自分はこの会社にいて良いのか?」ということを考える。「やっぱりこの会社は他より魅力的だ」と考えて残っていく。こんなことをやっていくのも、私は戦力化の1つの大きなポイントだと思います。

斉藤:ありがとうございます。そうですよね。人側の変化が本当に起こっていて、選択肢が出てきている。「シンガポールに転勤です」と辞令1枚で言われていた時代は、そこを辞めて他の会社に入って、ゼロからキャリアを築き直すという選択肢が採れなかった。

守島:そう。失うものが多すぎたんですよね。

斉藤:でも、今は(人を)採用しやすくなってしまったからこそ、「納得感」や「人の尊重」が必要になってきている。こんなルールに変わってきていることを理解しましょうと。

守島:そうですね。変わるんですよ。確かに経営者としては、いろいろと面倒くさいことはあると思います。「そんなブツクサ言ってないで俺に従え」と思うこともあるのかもしれませんが、それではどんどん人が辞めちゃうし、良い人たちが外に出ちゃう時代にだんだんなってきた。これを日本の経営者も人事もきちんと理解しないといけないんだろうな、と思いますね。

斉藤:ありがとうございます。大局的な視点からあえて聞いてしまって、すみません。

守島:いやいや、良いですよ。わかります。

斉藤:「個の尊重の必要性」が、これだけ高まってきている。むしろ、(それが)ないがしろにされているというより、需要が高まってきている分、必要性に対して行動力が伴っていないのかなと感じるようになりました。

「個の尊重」ができている企業の特徴

斉藤:またチャットでご意見をいただきました。「今度は人事側やマネジメント側が『個の尊重をするための人材不足』になってきているように感じます」と。守島先生が見ていて、個の尊重ができていると思われる企業は、日々どのような行動をとられているものなんでしょうか?

守島:社員との対話の機会がものすごく多い企業です。昨日も3つの企業とウェビナーを行ったんです。その中で、1つの企業はものすごく社員との対話の機会(を大切にしている)。社長レベルでも、現場のマネージャーさんレベルでも、(社員との)対話の機会をものすごく多く持っているそうです。それを通じて社員の情報を集めて、その中で何をやっていきたいかということを考えるとおっしゃっていました。

やっぱり「社員との対話の機会をできるだけ持つこと」は、1つ重要なポイントだと思います。

斉藤:ちなみにその対話の機会とは、例えばアニバーサリーのタイミングで、(社長が)社員とランチに行ったりするんですかね。それこそ「入社2年目で社長とランチに行きましょう」などの取り組みをしている企業のお話を耳にしたことがあって。

守島:そういうのも重要だと思います。社長というものは「紙(書類)に出てくる名前」で、実際に生きてる姿を見たことがない社員がたくさんいる。そういう企業だったら、(社長とランチ)は非常に重要だと思うんです。

ただ、社員からすると、やっぱり一番気になるのは現場の上司なんですね。例えば1on1などの機会を通じて、現場の上司がどこまで丁寧に、(社員の)言いたいことや大切にしていることを聞いてくれるのか。ここがポイントだと思っています。

最近は1on1やコーチングについてよく議論されますが、こうしたことが重要視されてきているからだと思います。

現場のマネージャーを「人事の仲間」と考えられるか?

斉藤:「聞いてくれる」「自分自身が尊重されている」と感じる状態が続く。(さらに)例えば、新しいチームに配属になった時にも、異動先の上司も(話を)聞いてくれる環境がある。そうすれば、自分自身も尊重されているから、相手や会社の言うことも理解しようという姿勢ができてくる。

お互いが納得感がある状態で、仕事に取り組み続けられるようになる。人事は仕事として、上司部下の関係性が良好で、お互い尊重し合えるような状態が作り出せるような組織にしていく。またある意味、自分自身の行動によって背中を見せることを、(上司が)泥臭く行っていく。それがある意味「組織開発力」ですよね。

守島:そうですね。組織開発につながっていきます。そういう中で、極めて重要なプレイヤーは現場のマネージャーさんなんですよ。「現場のマネージャーさんを『人事の仲間』として考えられるかどうか?」ということが、大きなポイントです。今、人事と現場のマネージャーさんが対立している企業がけっこう多いんですが、やっぱり非常に重要な味方なんです。

逆に言うと、現場のマネージャーさんだけしか、働いている人の気持ちがわかっていないという状況がある。(だから、)この人たち(現場のマネージャー)がどれだけきちんと(メンバーとの)1on1を行っているのか、対話をしているのかといったことが大きなポイントになると思っています。

斉藤:人事にとって、現場を理解するための良きパートナーとして、現場のマネージャーさんたちがいる。その人たちがハブとなって、みなさんの情報を知ることができる。このような状態を作っておくことが、個の成長のための人事サイドの一番の方法ですよね。

守島:それがやっぱり、非常に重要な組織力だと思うんですね。現場が、働いている人の(声を)聞く耳を持っていること。(さらに)聞く態度も重要だと思います。

「育成」ではなく「成長支援」

斉藤:チャットでご意見をいただきました。部下を育成する際に、個人と経営戦略とを理解した上で、必要なギャップを埋めるための育成ならば効果的ですよね。でも、個人を理解していないのに、例えば何か「流行りの研修があるからやってみよう」では、ただの負荷になってしまう。

守島:「どっかでDX研修をやってるから行ってこいよ」じゃなくて、今の企業にとって重要なコンテンツとはいったい何なのか? ということを(考える)。不完全なところももちろんあるとは思いますが、現場のマネージャーさんが判断をして、マッチさせていくことが重要だと思います。

あと、ごめんなさい。ちょっと話が変わっちゃうかもしれないけれども、私、「『育成』という言葉をやめよう」と最近言っているんです。これは「成長支援」なんですね。要するに「育成」とは、企業が働いている人たちに対して「これを教えてあげる」ということですよね。(それでは)私たち教員がやっている作業になってしまいます。

働いている人たちが「自分で成長したい」と思える成長支援の場を、環境としてどうやって提供していくか。これが能力開発のポイントになってくると思いますね。

斉藤:それこそ、(まず)「会社としての道筋はこうだ」「こういう成長をしていき、この価値を世の中に提供している会社だ」と(明確にする。その上で)「そのために必要な役割はこれだ」「こういう機能を持つチームや個人が必要だ」と提示する。

そして「(あなたは)どういうキャリアを選んでいきたいの?」「だとしたらそのギャップを埋めるための機会はこうして提供できるよ」「ちょっとここは今少ないから、できればここにいっぱい来てほしいんだよね」という順番ですよね。

守島:そう、そう。「こうやったら、そこはあなたのキャリアも展開するよ」ってコミュニケーションをしていくのが上司で。そうすると、上司もやっぱり楽になるわけですよね。どこまで(キャリアが)つながっていくかということが考えられるようになるんです。

斉藤:すごい。今日の議論がまるっと、ぱちっと、通った気がしました。ありがとうございます。あらためまして、「経営戦略の理解」「組織の構築」「個の尊重」この3つが必要になってくるというお話でした。

ありとあらゆる「関係性の質の改善」を支援できる、Unipos

斉藤:この後、少しUniposのご紹介をさせていただいてから、Q&Aのセッションに移っていきます。

私たちは「ピアボーナスで働き方を変える」というタグラインを掲げて「Unipos」というサービスをご提供しています。具体的には、AさんからBさんに対して、オンラインの環境上で(「仕事を手伝ってくれてありがとう」等)メッセージとポイントを送ることができるんですね。

(さらに)そのメッセージに対して、他の人がパチパチと「いいね!(拍手)」を送ることができます。これによって、1人の貢献を広く知ってもらうことが可能になります。手伝ってもらった個人に対してだけの貢献ではなく、会社にとって大事な行動があったことをみんなに知ってもらえるんですね。(それによって、仕事を手伝った本人も)やって良かったと思える。そんな環境を作っていく支援をさせていただいています。

私たちは、4年ほどこのサービスをご提供していて、どんなことで貢献できているのか? について、顧客のみなさまと対話をさせていただいています。そこで、このサービスによって「いろいろな関係性の質が改善できている」ことがわかってきました。

これがどういうことかといいますと、(例えば)いわゆる経営層が「こんなことをしていきたいんだよね」と思ったことに対して、一人ひとりが具体的な事例を持って理解する場を提供する。それによってパーパスやミッション、経営戦略の浸透へのご支援ができます。

また事業部間(の相互理解促進を支援します。)この事業部間って、そもそも無関心ですよね。自分のミッションと関係ない、自分の成果と関係ないからあまり関心を持てない。知る機会がないから無関心であるという状況です。

その中で、Uniposを通して他のチームのみんなが、日々行っていることを知るようになると、部署間のサイロ化の解消となります。また、上司は部下について知らなくてはいけないのに、忙しくて大変だという時。1on1にしても、なかなか月1回30分や1時間の中では話をしたり、聞き出したりしきれない。

そういう時に、(Uniposを見てみると)個人が個人を称賛している。個人が個人に感謝をしている。他の人たちの目を通して、部下の日々の行動を知ることができるんですね。

(Uniposを見ているので)上司が個人を理解した上で、さらに1on1や面談の場に臨むことができる。こんな支援ができています。また、それ(Unipos)を通して一人ひとりが自分自身の仕事をやっていて良かったと思える。結果、話していて良かった。チャレンジして良かったなど、心理的安全性が向上していく。

このように、ありとあらゆる「関係性の質の改善」にご支援ができる。Uniposは、そういう環境を作ってご提供できるプロダクトとなっております。

企業における活用事例

斉藤:実際の活用事例として、何社かお話しさせていただきます。まずは、ハイフライヤーズさんという会社が運営する、キートスさんという保育園の企業さんです。

ハイフライヤーさんの本社の方が、保護者のみなさんから会社のホームページにいただいた感謝のメッセージを、Unipos上で保育士さんに流しているんですね。

「○○先生の思いが保護者に伝わったのだと思います」「こんなメッセージも送られてきてましたよ」というのがUnipos上で流れてきて。

それをみんながパチパチとすると、保育士の先生も「こんなことやっていて良かったなぁ」「これがちゃんと社内に広がっていって、もっとみんなにも知ってもらえるんだな」という感覚を得ることができます。それによって自己肯定感(も上がります。)「やっていて良かった」「こういう仕事をしていて良かった」という思いが醸成されていく。こんなお手伝いにもなっています。

あと日阪製作所さんでは、パーパス浸透の文脈でUniposをご活用いただいています。こちらの行動指針、「より高く、まずやってみる」「軌道修正する」「知識の幅を広げる」に沿った、(とある従業員の方の安全監査に関する)アドバイスや施策が本当に大切であった(という投稿がされています)。

安全監査とは、わかりづらい仕事ですよね。何もなかったことが成果であるという仕事だと思います。そういう(指摘に対する称賛)が行われています。

一つひとつの仕事が大事であるということを、事例とともにオープンな場所で共有することができる。それによって、安全監査(担当の)みなさんが、経営理念である「軌道修正」の考え方を体現されていることがわかります。(Uniposでこうしたやりとりを見ることで)上司や他部署もそれを理解することができ、(称賛を受けた本人の)「やって良かった」という気持ちの醸成にもつながっていきます。

また、アース製薬さんでは優秀な若手層の離職、それこそ若手の人材不足に悩んでおられました。そこで「叱る文化」から「褒める文化」に変えることによって、若手の離職が7分の1になったということです。このようなことから、(Uniposが)「個の尊重」のためのサービスとして機能していることがわかります。

もちろん、浸透させたり、利用したりするのが大変な側面もあるサービスです。「個の尊重」とは泥臭いものでもあると思いますが、興味をお持ちの方は、ぜひお問い合わせいただければと思います。

以上、Uniposの簡単な説明でした。この他にも「心理的安全性の高い組織作りの実現」に関する実践版のウェビナーもご案内していますので、ご興味のある方はお申込みください。

「情報リッチな会社」の素晴らしさ

守島:斉藤さん、やっぱりUniposみたいな制度(を導入している)、「情報リッチな会社」が素晴らしいと思うんですよ。

日本の企業って……日本の企業だけじゃないですけど、グローバルであっても、企業は放っておくとやっぱりどんどん情報が遮断される構造があると思います。上司と部下間、事業部間、部門間、お客さまからの情報なども(遮断されてしまう)。

でも、情報の流れを作ることで結果として組織力を作っている。心理的安全性も組織力の大きなポイントですし。こういう動きは、企業において「やれ」と言えばできるとは思いますが、それをアシストするという意味では、非常に良い(サービス)です。いつか別の機会に、賞を差し上げたこともありましたよね。

斉藤:3年前ですね。

守島:非常に素晴らしいなと、いつも思って聞いています。

斉藤:ありがとうございます。そうおっしゃっていただけて、僕は本当にうれしいです。アース製薬さんでは1ヶ月に15,000件の投稿が集まるそうです。(社員数)1,000人で15,000件集まるということは、1人あたり15件ほど、(毎月その人)の貢献した情報が集まっているわけですよね。上司は、1on1の前にポチッとその人が貰ったUniposを見るだけで、一気に「情報リッチ」になれる。こんな側面もあると思いますので、ぜひ。

守島:アースさんは、文化を作っちゃったんですね。やっぱり文化を作るところまでいけば(素晴らしいですよね)。いろいろな意味で工程もかかる中で、1人15件出すというのはかなり高いですよね。そういった(手間を惜しまず称賛する)文化になっている。これが大きなポイントだと思いますね。

斉藤:まさに。社長のみなさんをはじめ、みなさんのご尽力のお陰で自文化になっているなと感じます。

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