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なぜ1on1が機能しないのか ~企業成長を加速させる最強の組織づくり~(全3記事)

雑談ばかりで、正解が分からず、ルールだから強制される「1on1」 上司・部下ともに理解すべきは「面談との違い」と「5つの目的」

テレワークの普及などでコミュニケーションの在り方が変化する中で、上司と部下の関係性が希薄となりつつある昨今。これまで以上に注目を集めているのが「1on1ミーティング」です。1on1は、既に多くの企業で導入されていますが、経営層や人事部が考える導入目的が各部署の上司や部下まで浸透せず「業務の進捗確認の場となっている」「形骸化している」など、運用・継続における課題感を感じている企業が少なくありません。そこで『シリコンバレー式 最強の育て方 ―人材マネジメントの新しい常識 1on1ミーティング―』の著者であり、株式会社サーバントコーチ代表取締役 世古詞一氏が登壇したウェビナーの模様を公開。1on1が形骸化をしてしまう原因は何か? 1on1を起点として組織コミュニケーションを活性化させ企業成長を加速させるためのポイントは何か? など、組織づくりにおける1on1の活用について徹底解説します。

「なぜ1on1が機能しないのか ~企業成長を加速させる最強の組織づくり~」

斉藤知明氏(以下、斉藤):みなさん、おはようございます。Uniposの斉藤です。本日は「なぜ1on1が機能しないのか ~企業成長を加速させる最強の組織づくり~」と題して、世古さんと一緒にお送りしていきます。

本日のプログラムはこちらです。まずは「参加者のみなさんは、1on1についてどう捉えていますか?」を一緒に考えた上で、なぜ1on1が機能しないのかについて世古さんにお話しいただいてからディスカッションに入り、最後にはQ&Aコーナーを設けています。よろしくお願いします。

あらためまして、Unipos株式会社執行役員CPOとしてプロダクトの責任者をしている斉藤です。在学時に英単語アプリで起業して、その後、今の会社の前身になるFringe81株式会社に入社しました。さらにUniposという事業を立ち上げて子会社を運営しており、合併後は執行役員もさせていただいています。

自分自身もゼロイチからのスタートでの組織作りの経験があり、今は100人を超える組織の経営をし、さらにUniposを通しては500人以上の方々の支援を行っている観点から、世古さんのことを掘り下げてみたいと思います。

では本日ご一緒させていただく、株式会社サーバントコーチ代表取締役、株式会社VOYAGE GROUPフェローの世古詞一さんです。よろしくお願いします。

世古詞一氏(以下、世古):よろしくお願いいたします。株式会社サーバントコーチ代表の世古詞一です。1on1コミュニケーション協会という社団法人も始めまして、そちらの代表もしております。前職はVOYAGE GROUPという会社で、創業から計8年間在籍しました。こちらの会社は3年ぐらい前に電通さんの子会社のCCIさんと経営統合して、今はCARTA HOLDINGSという名前になっています。私はこちらの企業から卒業して14年ほど経っていますが、今もフェローというかたちで関わらせてもらっています。

主に企業さまの組織・人事コンサルティング、コミュニケーションに関するお手伝いをさせていただいていて、心理的な部分を専門としております。最近では組織内の1on1ミーティングやコミュニケーションにおいて、「手段としての1on1」に関しての多数のご依頼をいただいています。本日はよろしくお願いいたします。

斉藤:1on1に関していろんな所でのご講演やご支援をされていらっしゃいますし、もちろん組織作りで実践もされていらっしゃる世古さんです。よろしくお願いします。

今、世の中では「1on1ってやらないといけないよね」「1on1やったほうが良いよね」と、なんとなく言われており、浸透してきています。でも、果たしてきちんと機能しているか? (今日は)「なんでそれが必要なのか」「どうやったら機能していくのか」についてディスカッションしていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

世古:お願いします。

一番やってはいけないのは「苦痛になっちゃうこと」

斉藤:ではまずは「1on1について参加者全員で考える」というセッション。我々から2つの問いかけをご用意しています。

1つ目です。ぜひみなさん、チャットでお答えください。みなさんが「1on1がうまく機能していないな」と思われる時には、どんなことが起きていると思いますか? 組織に対してどんな影響が起きていると思いますか? という問いです。

「形骸化して社員の時間ばかり奪ってしまう」「上司の管理志向が強まりメンバーの主体性が下がるのではないか」など、さまざまですね。時間的側面だったり、仕事の内容的側面だったりいろいろあるかと思いますので、ぜひ想像して書いてみてください。(コメントを指して)どんどんきていますね。

「互いに職位を意識しすぎるので、メンバーのモチベーションがむしろ低下してしまう」「上司側から一方的に話してしまった時はうまく機能しないのではないか」「心理的距離が逆に広がってしまう」「成長スピードが鈍化してしまう」。

「信頼関係がうまく構築できていない」「管理職とメンバー、ともに実施を負担に感じてしまっていて『意味ない』と思っちゃっている」とか、あるあるですよね。「管理職の自己満足に終わってしまう」「進捗管理など、管理するだけになってしまう」。

「指示待ち族が増えてしまう」「時間の浪費感がすごく高いです」「個人面談恐怖症につながる」「組織全体のモチベーションが低下」「上司からの一方通行で聞くだけの流れになる」、なるほど。聞きすぎるのも良くないんじゃないかってことですかね。「早く終わりたい」。これは、率直な気持ちがグサッときますね(笑)。

100件以上コメントをいただいてますが、世古さん、見ていらっしゃる中で何か気になるところはございますか? 

世古:いやもう、1個1個についていろいろ話したいですね(笑)。一番やっちゃいけないのは「苦痛になっちゃうこと」なんですよね。逆効果になっちゃうなら、やらないほうが良いのかもしれない。

でもほとんどは当たり障りないっていうか、まぁ普通というか(笑)。得にも損にもなってないぐらいのところまではなんとか、やっていただきたい。逆効果になっちゃうパターンだと、やっぱり辛いので。

斉藤:ありがとうございます。1個目の問いは「うまく機能しない場合」ですが、「必要性を感じない」「苦痛だ」という声も上がってきていて(笑)。みなさん実際に現場でも悩んでいらっしゃることがうかがわれますよね。

最終ゴールは「1on1」が会社の中ですごく当たり前になる状態

斉藤:では次の問いに移らせてください。2つ目の問いは、逆に「うまく機能している場合」。妄想でも構わないですし、実際こういう人との1on1はうまく機能しているよ、という実体験でも構いません。個人間でも組織全体でも良いです。「うまく機能している場合は組織にどのようなポジティブなことが起きると思いますか?」。「やる気爆上がり」ってコメントいただいてますね(笑)。

世古:良いですね(笑)。

斉藤:「上司も部下も臨機応変な対応ができるようになる」。これはうまくいっている気がしますね。「1on1をやっているという実感がなくなる」、なるほど。

世古:そうそう、これね。私も最終的なゴールって「ことさら1on1みたいなことが言われなくなる状態」だと思っています。「普通にやるでしょ、1on1。やらないでどうやって進めるの?」という。業務を進めるのはできるんですけど……。

斉藤:(1on1なしでどうやって)関係性の構築を進めるのか、とか。

世古:質の向上だったり。それが文化の中で、会社の中ですごく当たり前になる状態(が最終的なゴール)ですかね。

斉藤:一方で「うまく機能している例が身近にない」なんて声もありますね。すごく悩ましいポイントですよね。「自律的人材が増える」「ネガティブな情報も入りやすくなる」「率直な意見交換ができるようになる場にもなるのではないか」「ちょっとした不調も伝えやすくなる」、確かにそうですよね。

この間「心理的安全性」の本を書いていらっしゃる株式会社ZENTech 取締役 石井(遼介)さんと対談した時に「心理的安全性が上がったから対話が生まれるというよりは、対話ができるから心理的安全性が上がっていく。“ニワトリと卵”が両方ある」っていうお話をされていて。こういう1on1の必要性を説いてましたね。

世古:私も1回、石井さんと一緒に(お仕事を)やったことがありまして、そういう話もしていました。やっぱりニワトリ・卵とおっしゃるように、じゃあいつになったら1on1始まるの? っていうね(笑)。「信頼関係できてから」と言うけど「1on1をやることで信頼関係を作っていくんじゃないの?」と思いますね。

斉藤:そうですね。勝手に信頼関係が上がっていって、なんでも話しやすくなるわけないですからね。

世古:本当にね、相乗効果なんです。

斉藤:今お話を聞いた中でも、1on1は、本当にいろんな目的でやられていますよね。「業務の整理」「お互いの理解」「モチベーション向上」など、いろいろあると思います。

あらためて、今回は1on1を実践していく上で、どうやったら機能する・良い場にすることができるのか。なぜそれが今の我々にとって必要なのか。これについて、みなさんと対話しながら議論を深めていきたいと思っています。

では「なぜ1on1が機能しないのか」について、世古さん。よろしくお願いします。

マネージャー・メンバー双方の「1on1の目的」への理解

世古:はい。私から15分ぐらいかけて、3つのポイントをお伝えしていきたいと思います。「Why」「What」「How」ですね。「前提をすり合わせましょう」「何を話せば良いの」そして「どのように進めていけば良いのか」というポイントでお伝えしていきます。本当に時間が短い中で、ちょっとエッセンスだけお伝えしちゃいますね。

(もしみなさんが)上司側、マネージャーだったとして、メンバーに「1on1の目的って何ですか?」と聞かれたとします。この時に、マネージャーとして目的をしっかり答えられるか。メンバーはメンバーで、この1on1の目的をきちんと理解しているのか。ここがやっぱり一番大事なポイントだと思うんですよね。

従来の面談では、マネージャー側が主体で「目標設定」「評価査定」「進捗確認」を行わないといけなかった。役割上必要でした。「進捗確認」の後、会議に持っていったりもしました。また、言わなくてはいけないことを伝える「指摘管理」もありました。「こういうことをやられると困るんだよね」などと言ったり、短期的な成果についてアドバイスすることもありました。

必要なアウトプットが明確な面談に対し、1on1の目的は5つある

世古:時間軸も非常に短期的。つまり緊急かつ重要で、(面談は)「やらなければならないこと」だったんです。アウトプットが非常に明確だった。それに対して、1on1の目的は5つあると考えています。まずは「信頼関係づくり」。先ほどのニワトリ・卵じゃないですが、話をすることを重ねて、信頼関係ができていきます。要するに相互理解が深まっていく。これはポイントですよね。

あと「継続的成果」。短絡的な成果や、案件ベースの話はふだんからしているので、継続的に成果を追うために中長期の視点を持つこと。そして、より成果の質を向上させるための土台作りや、今の問題意識を共有していくことも行います。また、仕事の進め方の優先順位や価値観のすり合わせ。そういった土台部分の話もできると良いですね。

そして「成長促進」。メンバー側の成長に、ことさらフォーカスした時間にする。具体的には「この1ヶ月を振り返って、どんな学びがあったか。どんな成長があったか」などに焦点を当てて、メンバーにいろいろ考えてもらう時間にします。

そして気持ちの部分もあります。「モチベーションの向上」。最低限のこととしては、不安の解消。モヤモヤしたものを解消できていれば良いですよね。その上で「お話ししてスッキリしました」「やる気満々になりました」なんてことがあれば最高です。でも、そこまではそうそうないと思いますので、最低限、モヤモヤが解消されること。

そして、全体を通しての「働きがい向上」。自分がやっていることが「組織にどうつながっているのか」「自分の将来にどうつながっているのか」「自分にとってどんな意味を持っているのか」など、あらためて実感したり考えたりする機会にする。エンゲージメントの観点からもそうですね。

ここで会社の情報や、今の動向についていろいろ知り、それを自分とつなげていく。こういう時間にしていくんですね。まず初めの段階として、メンバーにとってこういうメリットがあるんです。

(1on1が持つ)時間軸は中長期です。だから、アウトプットがすぐに見えてこないこともあります。例えば「30分の1on1を1回やっただけで、信頼関係がしっかり作れる」ということはないと思います。でもこういうことを継続していけば、(信頼関係の構築という)目的達成が可能になります。

これをメンバーの方もよく理解していただきたいんですね。「〇〇さんにとって、この時間をどういう時間にしていくと良いんだろうね」「とにかく成長について考えましょう」「今、会社のこといろいろ知りたいんです」「お互いのことをまだ知らないから、お互いについていろいろ(質問を)交わしていく時間にしましょう」などのように、お互いがすり合わせていくことが大事なんです。

その上で、今やってる話の内容やテーマをちょっと参照していく。例えば、雑談ばかりになってしまうこともあると思います。それが信頼関係作りに寄与しているのであれば、それは有意義な雑談かもしれません。でも、何を話して良いのかわからなくて、だらだらと雑談をしていて、信頼関係作りに寄与していないのであれば、それはやっぱり無駄な時間だといえます。なので(この5つの目的に)立ち返っていただきたいと思います。

1on1導入後の7つの落とし穴

世古:そして、こういった目的を通して「1on1が大事だね」と、いろんな組織で対話が始まっています。よくある「うまくいかないケース」がいろいろあって。そもそも対話の正解がわからないので「これで良いのかな?」となってしまうんですね。

今までの対話は、メンバー側が「ちょっといいですか?」と上司を呼び止めて、「これどうしたら良いんですかね?」と確認して。「じゃあこういうふうにやって」と言われて、「わかりました」となる。つまり問題を伝えて、そこに解決策をもらう。正解がある会話が多かったんですね。

一方、1on1で30分話す時。「時間がきたからこれで終わり」で「なんか結論出てないけど良いのかな?」となる。上司も部下も“のれんに腕押し感”があるんですね。あとマネージャーが言いたいことを言って、メンバーは特に何もない場合。マネージャーがいつもの感じで(しゃべる)。マネージャー側は、期待なんかも含め、いろいろ伝えたいことあるわけですよ。別にこれは悪いことではないのですが、いつもこの感じになっちゃうんですね。

「話が場当たり的で、思いつきで進んでいる」。これも、単なる会話になっちゃうからですよね。もちろんこれで盛り上がることもあるんですが、意図した対話・戦略的な対話がなかなか行われていないんです。やっぱり営業時間の中なので、そこに何らかの意図を持ちたいですよね。

あとは「『やれ』と言われているのでやっているケース」もあります。また「従来型の業務進捗確認の場になっている」ということも多々あります。いつも仕事の進捗の話になっちゃうってことです。これも悪いとは言い切れませんが。特に週次で1on1をやられている方は、前半に進捗確認を盛り込むのは良いかもしれないです。でも、これだけにならないようにしたいですね。つまり(進捗確認は)緊急性があって重要なので、たぶんこれは別でもやると思うんです。

あと「やっぱり雑談は必要だよね」と思われがちですが、それだけなのはどうかと思います。アイスブレイク的には良いですが、それだけだと話がマンネリ化して、結局「何を話せば良いんだろう」となってしまう。3~4回ぐらいは良いんですが、(マンネリ化により、1on1自体が)だんだんスキップされるようになったり(笑)。

対話によって「業務・個人・組織」をつなげていくのが、1on1

世古:じゃあ結局、上司・部下、マネージャー・メンバーで何を話したら良いのか。(これまでは)「マネジメントに必要な対話の定義」がなされていなかったんですね。私の中でも、すごく問題意識がありまして、「結局のところ、何を話したら良いのか?」と、ずっと考えていたんです。

昨年に『対話型マネジャー 部下のポテンシャルを引き出す最強育成術』という本を出させてもらって、この定義についてまとめました。従業員とは、往々にして入社したての頃が状態が良いと思うんです。というのも、内定を獲得するまで面接に行って、やっと入社できて、がんばろうとしている。つまり「業務」を早く覚えて「個人」として成長して「組織」に貢献していこう。こういった3つの要素がつながっている状態なんです。

それが、だんだん一人前になって仕事がルーティン化してくると「最近つまんないな」「成長実感わかないし」「会社も上司も何考えてるかよくわかんないんだよね」というように、この3つの要素が離れていきがちです。

これを対話によってつなげていく、すり合わせていく。これが上司と部下が行うべき対話の全体像なんじゃないかと。これを「業務レベル」「個人レベル」「組織レベル」という概念に分けて、さらに「過去」「現在」「未来」の3つの時間軸で切った9つの要素について、対話を進めてすり合わせていく。これが上司・部下で必要な対話の全体像なんじゃないかと。

これを「すり合わせ9ボックス」と呼んでいます。今日は具体的なそれぞれについてのお話しはできないんですが、これを使って2つのことをやっていただきたいと思います。1つは「各ボックスをすり合わせる」こと。「9ボックス」と言うとおり、ボックス、箱ですね。箱なので立体感があって奥行きがあります。

奥にいくほど潜在意識的で、まだ言語化できていないモヤモヤしたもの、つまり本音みたいなものだったりします。メンバー側もまだ言葉にできていなくて、潜在意識にあるものです。これを対話によって、上司側も掘り起こしていく。メンバー側も(潜在意識を表に)出すことで自覚的になれる。なので上司は傾聴や質問などのスキルが必要になってきます。

すり合わせなのでメンバーの話を聞くだけじゃなくて、上司側も伝える。お互いのものをすり合わせていく。そうすることで深いレベルの相互理解、価値観レベルの相互理解に至っていきます。表面的な問題ではなく、もっと根本的な問題解決も可能になります。「そういうことだったんですね」という納得感が生まれたり、モヤモヤ・不安が解消されたり、新たな課題が発見されたり。こういうこと(良い変化)が起こってくるんですね。

戦略立った対話を可能にする「9ボックス」の活用法

世古:もう1つは「各ボックス間をつなげること」です。こんな(スライドにある矢印の)イメージです。例えば、組織レベルの未来「組織方針」には、「こういう目標を持っているのでこういうものをやりましょう」という目標が見えてきます。その目標を業務として行うことで、「業務不安」みたいなものが起こってくるとします。その業務不安を解消するために、自分の将来にどういうふうにそれがつながるんだ、などの話をすることがあると思うんですね。

その時に、こういう(9ボックスの)図が見えていると「組織の目標を業務として行うことで、自分の成長や将来につながるんだ」ということが見えてきますよね。メンバーもこれを認識することで、その対話の意味・意義みたいなものが感じられる。マネージャー側も、意図した対話作りができるし、今、何を話しているか理解することで全体像を把握できるようになるんですね。この考え方によって、こうした戦略立った対話をすることが可能になってきます。

こういうもの(9ボックスの図)をお互いに見ながら話を進めていくと良いと思います。そうすれば、自分がやっていることが組織につながって見えて、働きがいが生まれてきますよね。

こんなふうに、どんなテーマで話せば良いのかということが最低限わかっていると、対話ができると思います。今日お話ししたのは全体像ですが、まずここが大事です。

まず「なんで」というところ(が大切)。「なぜ今、この組織で対話が必要なんだろう」と、(対話の)目的をしっかり理解した上で、何を話せば良いのかを明確にしていく。その上で、マネージャーは対話をより効果的にしていくために、「傾聴」「承認」「質問」といったコミュニケーションスキルが必要になってきます。これ、従来なかなか重視されてこなかったスキルなんです。でも、ここがやっぱり重要になってきます。

メンバーに求められる「考えること」と「しゃべること」

世古:そして「(1on1は)メンバーのための時間」というくらいなので、メンバー側こそ意識する必要があるんです。主体的に準備をしていかなければなりません。例えばさっきのテーマに沿って、自ら「今日こういうことを話していきたい」「こういうことを確認したいんです」といった準備をしていく。

その上で話をしていきます。対話中には「考えること」「しゃべること」。この2つをやっていただきたいんです。「考えをいろいろ巡らす」ことです。いろいろ考える時間にしていく。考えを深める。内省する。そういうことで新たな気づきが生まれたり、整理ができたり、スッキリしたり。

そして(いろいろ考えたことを)話すことで自覚することができます。あらためて「やっぱりこれが大事だな」とか「やっぱりこれがわからないな」など、自覚できる。そういうことをまた、マネージャーとすり合わせていくんです。

この「考える」「しゃべる」。シンプルなことですが、かなり大事なポイントです。業務の中ではどちらかというと、(メンバーは)マネージャーの話を「聞いて」「理解して」「やる」というほうに主眼が置かれているんですね。でもメンバーがいろいろ考えを巡らせながらしゃべる機会は、意外とない。そこで、1on1をこういう機会にしていくと良いと思います。

最後は宣伝みたいになりますが、私はメルマガや研修・講演などもやっていますので、ご依頼がある方はぜひお願いします。ありがとうございました。

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