2024.10.10
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コロナ禍で借金4000万円。お笑い芸人ゾフィー・サイトウさんが語る“居酒屋経営者”としての覚悟(全1記事)
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──まずは改めて自己紹介をお願いします。
サイトウナオキ氏(以下、サイトウ): お笑いコンビ・ゾフィーのサイトウナオキです。完全にネタを書いてない方ですね(笑)。「チェだぜ!」というギャグだけでお笑い界を乗り切ってやろうという甘い考えを持つとともに、居酒屋「やまよこ鮮魚店」を経営しております。
──「やまよこ鮮魚店」はどんなお店なんでしょうか?
サイトウ:町田の大和横丁にある居酒屋で、店の名前も地元のみなさんに愛されるようにそこから名づけました。
一昨年までは町田にもう一店舗と埼玉県川越市の合計3店舗あったんですが、去年、コロナ禍がやってきまして、ちょうど更新の時期だったこともあり2店舗は泣く泣く畳むことを決断しました。今は銀行にお金を借りて1店舗で歯を食いしばっている状況です。
状況が状況なだけに本当に「チェだぜ!」なんですよ……。
──非常にリアルなお話ですね。なんとか番組もサイトウさんをサポートしていきたいところです。ちなみに、「チェだぜ!」というフレーズはいつ生まれたんですか?
サイトウ:10年来の付き合いになる飲み友達のおじさんが僕のことをいじってきて、ツッコむのがめんどくさかったので「チェだぜ!」と返したんです。それをそのおじさんがマネしたのを見て「おじさんがマネるなら流行るかも?」と思ったのがきっかけです。
そのときの飲み友達のおじさんが今の「やまよこ鮮魚店」社長です。銀行から融資を受けるため保証人となってもらった際に僕は会長になり、社長は彼に引き継いでもらいました。
──そもそもサイトウさんが居酒屋をやろうと思ったきっかけは何ですか?
サイトウ:学生時代から飲み屋さんとお笑い芸人の両方をやりたいと思っていたんです。そこで、20代前半はバーテンをやっていました。その中で気づいたのがバーにはいろんないいお店があるけれど、結局はバーテンとのおしゃべりなど「人の魅力」が重要だということ。
「僕が1店舗でやる分にはいいけど、店舗展開するときに他のスタッフにノウハウを教えられるかな?」と疑問を覚え始め、楽しい店舗やおいしいレシピを作ることができればエンターティメントの輪を広げられる「居酒屋」に惹かれるようになりました。そうして居酒屋でバイトを始めたのが25、6歳くらいのときです。
──どのようにしてバイトから経営者へとキャリアアップされたのでしょうか?
サイトウ:32、3歳くらいで一旦芸人を辞めることになり、一念発起して、知り合いが潰そうとしていた居酒屋を「俺に任せてくれないか」と話しました。そうして店長になって1年目に前年比200%の売り上げを達成、その翌年もさらに150%売り上げを伸ばすことができたんです。
ただ、ちょうど同じ時期くらいにゾフィーを結成したので、それ以上現場仕事を続けることに限界を感じ始めていました。
僕は飲むのも食べるのも好きでいろんな料理人や店員の方々を知っていたので「これからはマネジメントを主にして現場を離れていいかい?」と社員に話して、そこから本格的に芸人との両立を始めました。
──200%アップとは凄いですね! サイトウさんがそれだけの結果を出せた要因にはどういったものがあるのでしょうか?
サイトウ:店舗づくりや料理などさまざまな手を打ちました。もともと個室の多い居酒屋だったんですが、そのわりに殺風景で面白みがないと感じていたんです。
来店したカップルが上手くいくよう助けられるような、エンタメを提供できる店にしたいなと。そこで、バイトの女の子に「どんな部屋が楽しい?」と聞いたりしながら、見よう見まねで材料を買ったり、つくったり、貼ったりしてDIYで店をリフォームして。
消防法に引っかかってその対応でお金がかかっちゃったりもしたんですけどね(笑)。売り上げが立っていたから当時の社長には許してもらえました。
──会社員の複(副)業も一般的になってきています。お笑いと社長業を並行することで相乗効果などはありましたか?
サイトウ:芸人をやりながら居酒屋を経営していると声をかけてくれた人が来てくれるなどで売り上げにつながることはよくありますね。
僕は芸人のSNSアカウントであまり居酒屋の告知をしてこなかったんですが、コロナ禍で四の五の言ってらんないと思ってやり始めたら、それを見たお客さんが来てくれたりとか。
居酒屋から芸人への効果は、今とのころ正直そこまで感じられていません。ですが、事務所に所属していないフリー芸人だったとき、数字の面は考えやすかったですね。相方が何も考えず突っ走るタイプなんで、「これは面白いけど予算かけすぎると赤字になるよ」とかそういう目線が持てました。
──コロナの影響で借金4,000万円を抱えられたと伺っています。当時の状況やコロナ禍での飲食店経営で実感したことについて教えて頂けますでしょうか?
サイトウ:現在、銀行から3,000万円、日本政策金融公庫から1,000万円の合計4,000万円、お金をお借りしています。日本政策金融公庫からの借金は、この状況が思った以上に伸びた場合に備えるための運転資金用ですね。
まじめな話、コロナ禍を経て「本当に引き際ってすごく大事だな」と思いました。2020年の3月~4月に2店舗を畳んだんですが、「もし夏まで頑張ろう」とか思っていたらどんどんマイナスが膨らむ一方だったはずです。
バイトとして働いていた人たちには申し訳ないし本当に悔しいですが、閉店させた判断は正しかったと思います。冷静になるために、社長と閉店させる側・させない側で1日ずつ立場を入れ替えて2日間議論した上で、決断したことでした。
──現在(2021年2月中旬)の状況はいかがでしょうか?
サイトウ:経営としては今も厳しい状況です。うちは魚メインの居酒屋なんですが、肉と魚なら圧倒的に魚の方が早く傷むんです。でも、魚を出さなきゃ魚屋じゃない。以前は町田にもう一店舗あったので大きい魚も仕入れやすかったんですが、今はたくさん廃棄が出る可能性を考えて頭を悩ますことが増えました。
とはいえ、「魚は工夫すれば皮まで食える」といわれる食材なので工夫しながら何とかやってます。以前はやっていなかったお弁当などのデリバリーも始めました。
サイトウ:ほかに課題といえるのは、従業員のモチベーション維持ですね。「もう1店舗出すからこうやって任せたい」などと話せればやる気がわきやすいと思うんですが、今は未来が見えづらい状況ですし、嘘も言いたくありません。
どうやって接客や料理を楽しんでもらえばいいのか。この間の放送(『ギモンの法則』2月期第二回『なぜあのチームは高い成果を挙げるのか?』)で「モチベーションを上げるには、情熱・インセンティブ・人間関係のどれかが必要」という話がちょうどでましたが、そういった知識も活かしていきたいです。
──ゾフィー、そして、飲食店経営者の「サイトウナオキ」さんとして、これからどうしていきたいか、ビジョンを教えてください。
サイトウ:詳細は話せませんが、コロナが収束した暁にはこれまでと違った形で店舗展開をしたいと考えています。ご飯を食べるとき、工夫一つで楽しみが増えますよね。
ポテサラに温玉や焼いたベーコンを乗っけただけでも楽しかったりとか。そういった楽しみがコロナ禍で難しくなっていますが、飛沫防止を徹底しつつ楽しみを増やしていけるよう今から何か挑戦したいですね。
そうして「やまよこ鮮魚店」のメンバーに何とかいい思いをさせてあげたいです。みんなの意見はまだ聞けていませんが、例えば店長になりたいなら、会社を大きくしてそうなれる基礎をつくりたい。もちろんお客さんに楽しんでもらうことが第一ですけどね。
ゾフィーとしては、飲食店をやっていることをもっと芸人活動に活かしていきたいです。そうなればネタをつくってくれている相方にも還元できると思うので。
──最後に、「やまよこ鮮魚店」の悩みを取り扱う3月期の『ギモンの法則』に向けての意気込みをお願いします。
サイトウ:僕はアナログ人間でSNSなどに疎いので、ビジネスでの新しい活かし方を見つけていきたいです。それに加えて学びたいのが、先に挙げた従業員のモチベーションの上げ方ですね。従業員とのコミュニケーションの取り方にまつわるいいアイデアがあればすぐにでも実行したいです。
そして、ある程度借金しても俺みたいに明るくは生きていけますよと、視聴者の皆さんに伝えたいですね。
──お悩みを扱う番組はどうしても暗くなりがちですが、『ギモンの法則』は見た方が前向きになれるような内容にしていきたいと考えています。みなさん、3月の放送をぜひ楽しみにしていてください。
サイトウ:視聴してくれなきゃ、「チェだぜ!」。
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