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自社のリニューアル事例で解説!人と人をつなぐハイブリッド型オフィスの作り方(全1記事)

ワーカーの自律性を引き出し、多様性を受容できる空間へ アフターコロナのオフィスのあり方

ニューノーマルな働き方やオフィスの在り方が注目される中、2021年5月に「オフィスでしか叶わない機能と役割」、そして「社員やお客様などさまざまな人がつながる場所」を目指して本社オフィスをリニューアルしたコニカミノルタジャパン。本記事では、同社で空間デザイン部でリーダーを務める奈良孝一氏が、自社のオフィスリニューアル事例を交えながら、ニューノーマル時代のオフィスに求められる条件やその価値を高めるデザインを解説しています。 ■動画コンテンツはこちら(※動画の閲覧には会員登録が必要です)

万能型のオフィスから、「機能特化型のオフィス」へのニーズの変化

奈良孝一氏:これからのニューノーマル時代、オフィスに求められる在り方と価値とは。オフィスの移転やリニューアルに伴い、デザインについて悩んでいる従業員50名以上の企業さまで、総務・人事・経営企画・管理職の方々にご参考になるかと思います。

オフィスデザインで注意すべきポイント、リニューアルの実例を解説します。まず、コロナ禍で生じた変化として、緊急事態宣言などで急速に、そして半強制的にテレワークを経験されたかと思います。しかし、そのうちのほとんどの方々が肯定的にテレワークを受け止め、定着の兆しが見えています。

また、ワーカーの多くはオフィスに求める役割の変化を感じており、働く場所はオフィスに加えて在宅、サテライトオフィスなど、多様化が顕著となっています。

通勤の必要がなくなることで時間や精神的なゆとりが生まれ、育児や介護などにも対応しやすく、企業の求める「働き方改革」ともマッチしてきています。テレワークや時差出勤など、働き方の多様化により、必ずしも社員の人数分のスペースを確保する必要がなくなり、狭いオフィスでも業務を行えるようになりました。

オフィスを縮小すれば毎月の固定費を減らせるため、大幅な経費削減が実現可能です。経費を削減することで経営の安定化にもつながるため、縮小移転やダウンサイジングなどを検討する企業が非常に増えている状況です。

では、こんな時代に求められる働き方とは何なのか。組織やチームで働いていた時代からテレワークが加速度的に進み、個人で自律した働き方が求められると言われています。オフィスで言えば、今までは1人に1席、席を用意して、与えられたビルや選んだ箱に対していかに効率よく席を配置するかが求められてきました。いわゆる「全体最適」のもと、万能型のオフィスを作ればよかったわけです。

しかし、個人が自律した働き方を求められるようになった今、ワーカーの職務やタスク、その日の業務内容に応じて働ける「機能特化型のオフィス」が必要になってきています。

従業員の自律性を引き出し、多様性を持って受容できる空間づくり

ジョブ型雇用やフリーランスなど、「得意な人に得意なことは任せましょう」といった、仕事に人がつく「個の時代」へと進む中、その人らしさを引き出すことが重要であり、一人ひとりの創造力・生産性を上げていくことが、結果として組織の成長につながっていきます。企業・経営者は、従業員が持つ自律性を(引き出し)、多様性を持って受容できる空間を準備しなければならなくなっています。

個人と組織をつなぐブリッジの役割を持たせる工夫や仕掛け、オフィスでしか実現できない機能や役割といったものを実装した空間。その会社の「らしさ」がしっかりと体現できるデザインや価値が必要と我々は考えています。

では本題に入っていきます。方向性は分かったけれども、これからのオフィスを作る上で大事なことは何かについて、ご紹介させていただきます。重要なポイントとして、3つ挙げています。

ポイント1。「デザインはロジカルに」。オフィスを効率・効果的に活用するためには、デザインの軸となるコンセプトのほか、出社率や座席数、機能・運用面などをロジカルに導き出す必要があります。

新型コロナウイルスの流行によりワークスタイルが多様化したことで、企業の目指す姿や社員が理想とする働き方を見直す企業さまが増えています。オフィスの役割を見つめ直し、ニューノーマルな働き方に合ったデザインを構築しましょう。

ポイント2。「“ヒト”を中心に考える戦略プロセスが不可欠」。ABW(Activity Based Working:「時間」と「場所」を自由に選択できる働き方)を取り入れたオフィスを実現し、効果へとつなげるには、組織自体がABWの働き方を根本的に理解しているかどうかが重要なポイントとなります。働き方をより効率的に、そして豊かなものにしていくためには、まず組織のマインドを変えていくことが最初の重要なステップであり、不可欠な要素です。

ポイント3。「他社のオフィスはアイデアの宝庫」。ほかの企業さまのオフィスは企業理念や風土も反映していたりと、デザイン性や方向性など、さまざまなものがあります。自身では思いつかなかった工夫・アイデアが盛り込まれています。

働く「人」を中心に考えるための、ワークショップの開催

しかし、実際に「オフィスを見学させてください」と他社さまを訪問することはなかなか難しいので、本動画では特別にコニカミノルタのオフィスをご案内します。

ポイント1と2についてご説明させていただきます。(コニカミノルタでは)デザインをロジカルに行っていくために、プログラミングデザインのタスクフローを実施しています。ビジョンやミッション、企業理念や経営方針を理解して現状の課題とありたい姿とのギャップを把握し、プロジェクトの方針検討となる「ステップ1」。

理想の働き方を実際に働く社員がどのように考えているか。ワークショップやアンケートの手法などを用い、インプット、そしてアウトプットする「ステップ2」。

「ステップ3」では、これからのビジョンやコンセプト、働く上でのアクティビティを検討・定義づけしていきます。3つのステップを踏んで、働く環境の要件を抽出して、基本設計を行っていきます。

申し上げているとおり、働き方が多様化する今、企業さま一社一社が求める空間が変わっているため、しっかりと自社を理解した上で空間を作り上げていくことが重要となっています。

一例として、我々のオフィスを構築する時に使用したワークショップの事例をご紹介します。各部門からキーマンをアサインし、実際にそこで働く社員がどのように働きたいのか、どのような機能を望んでいるのかをポストイットに記入してもらいました。大事なことは、そこで働く「人」を中心に考えていくことです。

出てきたアイデアを7つにカテゴライズして、オフィスに来る意味や価値、オフィスの役割をしっかりと空間設計に落とし込んでいきます。

では、ここからは弊社オフィスをご案内いたします。社員がいきいきと働く工夫がいたる箇所に盛り込まれていますので、ぜひアイデアの1つとしてお持ち帰りください。

「つながる場所」としての、オフィスの価値を高める取り組み

今回、弊社オフィスは、これからの働き方に合わせてリニューアルをいたしました。社員やお客さまなど、さまざまな人がつながる場所であり、オフィスでしか叶わない機能をきちんと備えた新しいオフィスです。リニューアルにあたってどのような調査を行い、どんなアイデアが生まれたのか、実際に完成したオフィスをご覧ください。

コニカミノルタのコロナ禍での働き方としては、高いテレワークの活用率となっております。かつ、生産性の低下が懸念される傾向が強いテレワークにおいて、「出社時と比べて業務生産性を維持・向上している」と答えた社員は80パーセント以上となっています。しっかりと生産性を維持・向上させていることから、コニカミノルタではテレワークが働き方の1つとして定着しています。

しかしながら、一方ではテレワークにおける課題も出ています。周囲の人の状況が把握しづらくなり、孤独感を感じていたり、対面コミュニケーションのほうが情報量の多さや意思決定のスピードが高いことにあらためて気づいたりもしています。人材育成やエンゲージメント、他部門とのコラボレーションなど、テレワークのみでは「実はなくしているもの」があるのではないかと考えました。

テレワークがワークスタイルの1つとして確立する中、五感で自然に感じる相手との空気感や偶発的に生まれる会話。文字や言葉だけでは伝わりにくい「人柄」を感じながら接する重要な場所として、オフィスを考える社員が増えてきています。心の距離を縮める場、つまり「つながる場所」として、オフィスの価値を高める取り組みを行うことにしました。

働くシーンをエリアで分類し、空間に役割を与える

人と人を強くつなぐための仕掛けを叶えるために、「集中力をより高める」「チームワークをより深める」「アイデアをより出しやすくする」など。あるいは「社員の能力を向上させるための空間を作ることでオフィスの価値と社員のエンゲージメントを高める」など。必要な働くシーンを7つのエリアに分類し、空間に役割を与えております。

「High Collaboration」「High Creativity」「High Focus」は、社員が多く集まるオープンスペースを利用して3等分しています。また、「High Secure」「High Function」は左右の個室を使い、2014年改修当初のレイアウトを有効的に活用しました。各エリアの中でも景観の美しい窓際には、リラックス効果やオフィスならではの価値を感じさせてくれる、社員のモチベーションを高める家具を配置しています。

「閉ざされた空間で集中して作業を行いたい人」から「さまざまな人と関わり共創したい人」まで、すべての社員が目的に合わせて自由に場所を選び、働くことができるゾーニングとなっています。

「High Focus」エリアでは、作業に集中したい時、正確かつスピーディーな業務を行いたい時、効率的に定型業務をこなしたい時、周囲の気配を消して没頭するためにパフォーマンスを最大限まで上げることができる環境を準備いたしました。

こちらの「High Collaboration」エリアは、社内のチームワークを強化する上で重要なエリアとなっています。リモートだけでは成しえない、クオリティの高い成果を生み出すことができるよう、アジャイルな空間が必要とされています。さまざまなチームのコラボレーションを集結させることで、チームの枠を超えた、より大きなコラボレーションを起こすことを狙ったエリアとなっています。

「High Creativity」のエリアでは、偶発的なコミュニケーションを目的としています。自席の環境を自由に選べることでパフォーマンスを向上させ、バイオフィリック(空間の中にいる人が自然とのつながりを感じられるようにするための設計や手法)に配慮された健康的な空間が創造力を高めます。

リラックスやリフレッシュをしながらのコワークや、チームの結束力を作るグループワーク、ふだん関わらない人との出会いが、さまざまな刺激を与えてくれる空間となっています。

より良いオフィスにするために、効果検証をしてブラッシュアップ

こちらの「High Function」エリアは、社外向けのプレゼンテーションやプロジェクトワーク、新たな商材を試すアトリエ・LAB・デモルームなどで、オフィスとして重要な機能です。特殊な機能や環境が用意され、特有の業務を行う場として設計しております。

その他の仕掛けとしては、座席予約ができる「ポテリングシステム」や人流計測ができるカメラの配置、オフィス空間をまるごと抗菌コーティングする感染対策商材「delfino」など、さまざまな仕掛けを用いています。本動画ではオンラインでのご案内でしたが、実際に体感されると、また新しい気づきがあります。

「つながるオフィス」は検証の場です。さまざまな種類の什器はもちろん、視覚情報や香りなど、感覚による影響の検証なども行っております。こうしたノウハウを日々蓄積・ブラッシュアップしております。ぜひ我々のオフィスに一度、ご見学のツアーにお越しください。

最後に少しだけ、我々が行っている空間デザインのサービスについてご紹介させてください。我々の強みの1つ目。「お客さまの『働き方』を変える独自の提案力」。コニカミノルタが自分たちで自社実践した働き方改革のノウハウをもとに、お客さまの理想の働き方を実現するご提案をいたします。

2つ目。「計画をスムーズに実現するきめ細やかなサポート」。お客さまのご移転・リニューアル計画に合わせて、経験豊富なチームが最適なスケジュールやコスト管理を実現します。

3つ目。「オフィスデザイン、ICT、文書管理までトータルでプロデュース」させていただきます。オフィスデザインだけでなく、働き方変革の実現に必要なICTや文書管理も含めてワンストップでご提供いたします。

アフターコロナに合ったオフィス然り、これから変化し続ける働き方に合ったオフィスを実現するには、プロフェッショナルなパートナーの存在が必要不可欠です。我々は、みなさまの働く空間をもって働き方を変えるパートナーです。ぜひ、一緒にデザインしていきましょう。最初の一歩として、コニカミノルタ「オフィス見学ツアー」にお越しくださいませ。

本日は最後までご視聴いただき、誠にありがとうございました。

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