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『オンライン採用』×『対話型OJT』本音で語る採用と育成(全3記事)

早期離職の責任は、採用か?育成か? 水掛け論を防止するために決めておきたい「定義」のポイント

企業の将来にとって生命線となる「採用」と「育成」。コロナにより、そのオンライン化が急速に進みました。様々な課題がある中で、今後の「採用」「育成」はどのようになっていくのでしょうか。そこで今回は、採用の専門家である『オンライン採用 新時代と自社にフィットした人材の求め方』の著者・伊達洋駆と、育成の専門家である『対話型OJT 主体的に動ける部下を育てる知識とスキル』関根雅泰氏・林博之氏によるトークイベントの模様をお届けします。最終回の本記事では、「最高の採用」「最高の育成」とはなにか、面接で重要になる「構造化」について語られました。

早期退職者が出たときに、採用と育成の水掛け論が始まる理由

関根雅泰氏(以下、関根):参加者のみなさん、(ブレイクアウトルームでのディスカッション)ありがとうございます。少しずつこちらのメイン(画面)に戻ってきています。全員戻るまで少しタイムラグがありますので、もう少しお待ちください。

みなさん、急な延長へのご対応もありがとうございました。採用担当と育成担当がごちゃまぜになって、それぞれのお立場から聞きたいこと、話したいことを共有していただいております。

司会者:本当に熱い議論があったんだなと肌で感じております。ちょっと時間が押してしまいましたが、この後は質疑応答です。お申し込みの時や今チャットでいただいた質問について、先生方に回答していただきたいと思います。

第1部の途中で、ナカムラさんからいただいたご質問があります。「『採用を、育成の機会に』とありますが、1~3年目の早期退職社員が出た場合、採用・育成にそれぞれどのようなフィードバック機会を設けるべきでしょうか?」というものです。これは伊達先生からご回答いただいたほうがいいでしょうか。

伊達洋駆氏(以下、伊達):早期退職者が出た場合に、採用と育成にそれぞれどのように伝えるか、どのようにフィードバックするかですかね。承知しました。

先ほど(ディスカッション内で)出た「最高の採用」っていう言葉、すごくいいなって思ったんですね。結局採用ってなにを目指しているんだろうか。究極的なゴールってなんなんだろうか。これ育成にも言えますよね。「最高の育成」ってなんでしょうか。

例えば早期離職という現象が起きたとしても、それが目標に対してどうだったのかっていうことがないと、水掛け論になる。「採用がちゃんと採ってくれなかったから」「ちゃんと育成できていない」「配属のところでミスってるんじゃないんですか」みたいなことになりがちなのかなと。

早期離職で一番ショックを受けるのは、直属の先輩

伊達:結局、大事になってくるのって、その前提に当たるような、採用と育成が何をゴールに置いているのかということですよね。加えて、(参加者の)カトウさんのおっしゃった点がおもしろい。採用と育成のゴールは場合によっては相互に矛盾している可能性があるので、今まで議論してこなかったのかもしれないんですよね。

例えば極論を言うと、採用のゴールは育成が必要ない人を雇うことかもしれません。育成を減らすのが採用のゴールであると。あるいは、どんな人が採用されても育成するのが、最高の育成であると定義すれば、お互いにぶつかり合ってしまいますよね。矛と盾みたいですけど(笑)。

採用・育成それぞれの機能として、どこを目指しているのか、どういう状態がいいのかをまず定義する。その上で早期離職が出た時は、その目標と照らし合わせて「達成できてなかったんだ」「アプローチに問題があったのかな」など、考えることができると思います。

司会者:ありがとうございます。関根先生と林先生は、今のお話に付随するところ、育成の観点から何かございますでしょうか?

関根:じゃあ私から。(早期離職に関して)一番ショックを受けるのは直属の先輩だと思うんですね。辞めた本人や上司に、人事の方がヒアリングされると思うんですけど、面倒を見ていたOJTトレーナーやメンターがいた場合、この人たちが一番傷つくわけですよ。

「もしかして自分の接し方が悪かったんだろうか」「ああすればよかった」「こうすればよかった」ってなるので。僕ら育成の立場でいうと、失礼ですけど辞めちゃった人は出ていかれているので、もう仕方ない。この場合は残った人のケアのほうが大事になるのかなと思うんです。

マイナスの影響としてやっぱり、「メンツがつぶれる」っていう表現になりますが、会社に残った人が傷つく。それについてはどうしてそうなったのか、あるいは何かできることはあったのかとか、次年度にまた新人が入ってきた時にどうするのかとかケアしなければいけない。僕らの立場でいうと、中の人のケアに重きを置くかなと思います。

今後のカギは、オンラインと対面の組み合わせ

司会者:続いてなんですけれども、先生方は、申し込みの時点でいただいた質問で気になったものってございますか? 特にすぐ挙がらなければ、私からお尋ねしたいんですけれども。

これは第1部の話に戻るんですが、オンライン時代になって、OJTとして変わったところ、特に現場で変化した点について、あらためて説明をいただけないでしょうか?

林博之氏(以下、林):先ほどオブザーブさせていただいた時に、(参加者の)コジマさんのお話の中で、「オンラインとリアル、今後どうなっていくとお考えですか?」っていうのがあったんですね。

揺り戻しっては多少あると思うんですけども、確実にオンラインがなくなるっていう業種は、話を聞いていると少ないように感じますね。伊達先生、いかがですかね?

伊達:私もそう考えていまして。今後オンラインと対面の組み合わせが、鍵を握ってくるんじゃないのかなと思っています。

今のお話で興味深いと思ったのが、「こういう能力を見極めたいから対面」「こういう能力を見極めたいからオンライン」など、意図的に採用を設計できるかどうかということ。それが、オンラインと対面の組み合わせを考える上で大事な観点なんです。

今までって、なんとなく最初にグループディスカッションがあって、それから面接やってみたいな感じで、もう型が決まっていましたよね。そうではなく、あらためてそれぞれの段階で何をやっていくのかを考えることが、大事です。

「何を見るか」だけでなく「何を見せたいか」まで設計する

伊達:さらに付け加えると、こちらが候補者の何を見るのかだけではなく、実は候補者側もこちらを見ているんですよね。そのため、何を見せるのかっていうところも設計していけると。

「こちらは相手の何を見るのか」「こちらが相手に何を見せたいのか」という両面で考えていくと、「じゃあここはオンラインにしましょう」とか「ここは対面でいいですよね」という設計がしやすくなる。これだけだとシンプルに聞こえますよね。設計するべきもの、目的があってそれに応じて設計すればいいだけの話になるんですが。

現実にはもう1個考慮しなければならない点があります。それは、ちょっとした順番の違いで、相手が受ける印象や、こちらが受ける印象もだいぶ違ってくることです。例えば、最初オンラインでやって最後に対面でやる時の印象と、最初対面で最後オンラインとでは、印象って違ってくるんですよね。組み合わせの順番をうまく設計していくのが、今後大事になるのかなと思っています。

司会者:ありがとうございます。今、採用時に何を見せるのか、見られているのか、というお話もあったんですけれども。それと近いところで、「面接の時にどう動機づけするのか」とか「適切にどう評価するのか」というご質問もいただいております。この点についても、補足説明のようなかたちで回答していただけないでしょうか?

伊達:オンラインにおいては、端的に言ってしまうと、構造化が大事ですね。構造化というのは、質問項目や評価方法を事前に設計することを指します。これまでの対面の面接って、なんとなく雑談をするかたちになりがちだったんですが、そうではなくて、きちんと事前に設計することが、オンラインでは鍵を握ってきます。

これ、おもしろいのは、構造化したほうが相手も話しやすくなるので、志望度が高まりやすい点です。オンラインだと8割ぐらい準備が大事になるよ、というお話ですね。

司会者:ありがとうございます。第1部でも準備の大切さのお話があったかと思うんですが、まさにそのとおりなんだと思います。

社内の「育成する環境・文化」は長期的に作っていく

司会者:時間が押してるんですけど、最後に、育成に関する質問に参ります。「社内に育成する環境、文化を作るにはどんな仕掛けが必要になるでしょうか?」という質問がございました。関根先生、林先生いかがでしょうか?

関根:最後の最後に答えるのが難しい質問を持ってきていただいているんですけど(笑)。たぶんすぐにはできないですよね、長期的にってことになると思いますし。

例えば、今日出てきたOJTトレーナー、メンター制度であるとするならば、そこで教わった経験を持つ人たちが、数年経って教える側に立てた時に、だんだん回り始めるのかなと思うんですね。

つまり、教わった経験がない人に「後輩を教えてくれよ」っていうのはちょっと無理ですので。まずは、教わる経験を持つことのできた人たちが、だいたい5~6年後には先輩として教える立場に上がってきますので、そのぐらいの期間は必要なんじゃないかなって思います。

細かい仕掛けはいろいろあると思うんですけれども、文化、環境ってことを考えるんであれば、どうしても長期的な働きかけになるんじゃないかなとは思います。林さんなんかある? ちょっと時間もあれだけどね(笑)。

:ひと言だけ。昨日かな、中原淳先生のブログに、人材開発・組織開発のプロがずっと人事でいてくれたらいいよね、ってあったので(笑)。そういう改革ももしかしたらあるのかなと思いました。

採用と育成の「現場」とはどこを指すのか?

司会者:ありがとうございました。まだ質問は少しあるんですけれども、時間も時間ということで。最後に先生方から今回のイベント、対談されて(いかがだったか)ひと言ずつ、お話しいただければと思います。まず伊達先生からお願いいたします。

伊達:せっかく参加していただいたんで、今日のまとめというよりは、1個だけ問いを放り込んで終わりたいなって思うんですけど(笑)。

みなさんとディスカッションしていてもそうですし、私自身もよく使ってしまう「現場」という言葉があるんですよ。これ採用でも育成でも、両方「現場」って言いますよね。

みなさん「現場」って自然に使われていると思うんですけど、よくよく考えてみると「現場」ってなんだろうと思いませんか? 自分たちは「現場」にいないとしたら、じゃあどこにあるんだろうかって感じるわけですよね。

今日、採用と育成の連動とか溝についてお話ししてきたんですが、両者に共通している点として、「現場」との壁とか溝も、大きな課題としてあるのかなと。「現場」って呼んじゃうぐらいですからね。「現場ってなんだろう?」っていうことを考えていくといいのかなと思います。

私からは以上です。ありがとうございました。

司会者:ありがとうございました。関根先生はいかがでしょうか?

関根:ありがとうございます。この問いはすごく大事なので、自分もチャットに記録で残しておきます。僕も本社と現場って分けちゃってたんで。おっしゃるとおりで、人事のところに来る人だったら預かるところが(本社の人事部という)現場かもしれませんし、外の営業であればそっちが現場になりますよね。確かに、現場へのアクセスでは採用と育成が連携できるのではなかろうかと。

『オンライン採用』『対面型OJT』それぞれの取り組み

関根:私としては、宣伝になっちゃうんですけど(笑)。あと伊達さんも後ほど別のイベントをされるってことなんで、それもぜひみなさんにご紹介いただけたらと思います。

私からは今回ご参加いただいた方に、もうお持ちの方は不要なんですけれども、この本(『対話型OJT 主体的に動ける部下を育てる知識とスキル』)の1冊プレゼントというキャンペーンをやっておりまして、今チャットに上がったフォームズでアンケートにご回答いただくと、うちの専務、妻が心を込めてこの本を1冊お届けします。もしよかったらということで、見ていただけたらと思います(笑)。

じゃあ私は以上です。林さんお願いします。

:みなさん、今日は非言語コミュニケーションという言葉を持ち帰っていただけるんじゃないかなって思います。みなさんが途中からすごくリアクションしてくださって、楽しかったです。どうもありがとうございました。

司会者:ありがとうございます。伊達先生のイベントの話も出たんですが。

伊達:6月22日に、今チャットでたぶん貼り付けて……いただけましたね。オンライン採用について、『問題地図シリーズ』の著者である沢渡あまねさんと一緒に対談を行います。特に地方のオンライン採用についてお話しする予定ですので、もしご関心がある方はぜひ参加していただければと思います。

地方って広いですからね。もう首都圏以外はだいたい地方っていうところもあると思うので、ぜひ関心がある方はご参加いただければと思います。以上です。

司会者:ありがとうございます。それではちょっと時間も押してしまいましたけれども。最後に、今日は先生方のみならず、みなさんブレイクアウトルームで活発な議論もされまして、すべての参加者の方にありがとうございましたということで、最後ごあいさつをさせていただきたいと思います。本日はどうもありがとうございました。

一同:ありがとうございました。

『オンライン採用 新時代と自社にフィットした人材の求め方』

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