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VUCAの時代へ突入した2020年を経て、2021年の採用はどうなる?(全6記事)

「会社も何個も潰してます」という“失敗”すらもバックアップ 挑戦と安心をセットにする、サイバーエージェントの強み

「激動の2020年を経て、2021年の『雇用』や『組織の在り方』はどう変わるのか?」をコンセプトにした、人事担当・経営者向けのイベント「HR Knowledge Camp 2021」が開催されました。各セッションのテーマに纏わるキーパーソンを迎えて行われ、本記事では「VUCAの時代へ突入した2020年を経て、2021年の採用はどうなる?」をテーマに、サイバーエージェントの企業風土の特徴などが語られました。

VUCAの2020年を経て、2021年の採用はどうなる?

江成充氏(以下、江成):本日は「VUCAの時代へ突入した2020年を経て、2021年の採用はどうなる?」というテーマで行わせていただきます。モデレーターは、本イベントを主催しておりますLiBの江成と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

本日のスピーカーは、サイバーエージェントの石田さんと、オープンワークの大澤さんでございます。ではさっそく石田さんから、自己紹介と自社紹介をいただければと思います。

石田裕子氏(以下、石田):みなさん、はじめまして。サイバーエージェントの石田といいます、よろしくお願いします。

私は2004年に新卒でサイバーエージェントに入社をしまして、広告営業やメディアのプロデューサーを経験し、その後子会社の代表を2社しておりました。ですが、どちらも撤退してます(笑)。なので失敗ばかりの社会人人生ですが、今は人事で採用をメインに担当させていただいています。

採用だけではなく、育成やオンボーディング(組織に新たに加入した人に支援を行い、定着を促したり慣れてもらう活動)もそうですし、次世代の働き方や女性活躍・若手活躍であったり、幅広く人事を担当させていただいております。本日はよろしくお願いいたします。

続いて簡単に会社説明なんですが、「21世紀を代表する会社を創る」というビジョンのもと、部門としては広告・ゲーム・メディアという3つの柱があり、右側に最新の決算発表の資料を掲載してますけども、トップラインで言うとだいたい5,000億円ぐらいの規模感になってきています。

その中で引き続きチャレンジを続けていて、今で言うとAbemaTVですね。その投資を継続しています。なので、創業以来ずっとチャレンジし続けている会社でございます。簡単ですが、以上です。

江成:続いて大澤さん、お願いします。

大澤陽樹氏(以下、大澤):みなさん、はじめまして。オープンワーク代表の大澤と申します。僕はもともとリンクアンドモチベーションという組織人事のコンサルティングファームに入社して、ベンチャー企業の採用の支援や組織活性化、経営幹部の育成をお手伝いさせていただいてました。

そのあと投資の事業の一環で、もともとヴォーカーズという名前だったオープンワークに出資をさせていただいて。当時はリンクアンドモチベーションとの兼務で、企画室の室長をやりながらオープンワークの営業部門の立ち上げをやっていました。だんだんおもしろくなってきて、リンクアンドモチベーションを退職して、今はオープンワークに転職して代表を務めさせていただいています。

次のページですね。サイバーさんみたいな「(売上高)5,000億!」とか出されるとめちゃしんどいなと思いながら……(笑)。

(一同笑)

大澤:オープンワークは未上場なので売上や利益は非公開とさせていただきますが、社員クチコミをベースとした転職・就職のプラットフォームを運営している会社です。人事の方が今日はたくさんいらっしゃると思うので、当社に対して「むかつく」と思ってる方もいるかもしれませんが。

(一同笑)

大澤:僕もリンクアンドモチベーション時代に人事もやっていたので、マジで「ヴォーカーズ、本当にやっかいだな」って(笑)。(クチコミが)内定辞退の理由になったりするんですよね。もしかしたら恨まれてる方もいるかもしれないですけど、ちょっと今日は優しくしていただければなと思っています。

(社員クチコミ・評価スコアは)グローバルのトップが数千万件あるので、世界に比べるとまだまだ少ないんですが、1,000万件は超えたのでだいぶ増えてきたなという感じです。

今はクチコミが見えるだけじゃなくて、企業・人事側が求人も載せられるということで、就職・転職のための求職者だけじゃなくて、人事向けのプラットフォームにもしていこうと事業を展開している会社です。よろしくお願いします。

江成:よろしくお願いします。

「20代の成長環境」スコアがほぼ満点のサイバーエージェント

江成:ではまず、クチコミから見るサイバーさまの特徴からお聞きしたいと思います。

大澤:サイバーさん、やっぱりすごい会社で。オープンワークで「働きがいのある企業ランキング」を毎年公開してるんですが、今年も高順位にランクインしてて。今年はけっこう順位の変動があったんですよ。その中でもやっぱり毎回ランクインしてくるって、すごいなと思ってるんですけど。

図を見てもらうとわかるんですが、形がおもしろいんですよね、ITインターネット業界の平均とサイバーさんを比較した時に、右側がめちゃくちゃはみ出てるじゃないですか。

江成:本当だ。

大澤:逆三角形型とか右出っ張り型とか、いろいろあるんですけど。

江成:いくつかパターンがあるんですね。

大澤:そうなんです。サイバーさんは右にすごく出るパターンで。何かというと、ソフト。風土とかがめちゃくちゃ強いんですよね。「社員の士気」「風通しの良さ」「社員の相互尊重」。驚くべきは「20代の成長環境」が5点満点に近い。

それ以外にも待遇面や人事評価、人材の長期育成も、業界平均で比べても高い。ただやっぱり、ソフト面が強いのはすごくサイバーさんの特徴で。逆に言うと、これ突っ込みにくいところだと思うんですけど「法令順守(意識)」が……(笑)。

江成:突っ込みにくい(笑)。

石田:そうなんですよ! 大澤さんがサイバーのファンだとお伺いしたので、ここらへん(低いところは)操作していただけるのかなと思ってたんですけど(笑)。まんまで。

(一同笑)

大澤:そこはフラットな立場でいかないと(笑)。

江成:そうですよね、これは操作はNGですね(笑)。

大澤:当社はそういう操作は絶対しません(笑)。サイバーさんって、すごくいろんな取り組みをされてるなと思うんですよ。右側が強いのと左側が若干低くなってるのって、どんなのが思い浮かびますか?

石田:中にいる人間として、あくまで私個人の意見ですけども、これは肌感覚にかなり近いんですよ。やっぱり「社員の士気」「風通しの良さ」「相互尊重」「20代の成長環境」の項目は、かなり自信を持っているところでもあります。

会社は「挑戦と安心はセット」で応援

石田:特徴としては、挑戦を応援する会社であること、「挑戦と安心はセット」ということですかね。「挑戦だけやれ」「みんながんばってチャレンジだけし続けろ」というわけではなくて、安心できる環境もセットでつくることを意識しています。私もさっき冒頭で自己紹介の時に「失敗ばっかりしてます」「会社も何個も潰してます」という話をしたんですけども(笑)。

大澤:それを笑って言えるのがすごいですね(笑)。

(一同笑)

石田:そうなんです、ぜんぜん笑って(言えます)。本当は心は笑ってないんですけど(笑)。でも、そういうことがあったとしても次のチャレンジのフィールドがあるという事例があることが、ほかの社員の挑戦への後押しになってると思うんですよね。

江成:確かに。

石田:本当にチームワークの良い、一体感のある熱量の高い会社ですので、自分たちの会社のことを言うのはアレですけど、風通しの良さや士気の高さは納得のところかなっていう。ただ一方で、やっぱり低いのが「法令順守意識」ですよね(笑)。

大澤:これは何ですかね。

石田:若い社員も多くて、平均年齢も低いこともあって、いわゆるモラルのところだと思うんです。これが、全社員一律ですごく高いということではないと思ってますね。

もちろん、あらゆるリスクヘッジをしながらしっかりと手を打っているところではあります。主に啓蒙活動ですけど、社員に対して「世の中でこういうニュースがあって、こういうことにもちゃんと意識高く取り組んでいきましょう」みたいなことは、社内でもかなり活発にやっていますね。

大澤:ちなみにここに出てないんですけど、オープンワークのデータを経年で見ると、確かに(サイバーエージェントの)「法令順守意識」はスコアが改善してるんですよね。

石田:知らなかった、そうなんですね!

大澤:そういうのはまさに取り組みの結果が出てるのかもしれないですね。

石田:はい。相当取り組んでます。

サイバーの行動指針「敗者にはセカンドチャンスを」

大澤:なるほど。確かサイバーさんってミッションステートメントというか、行動指針に「敗者にはセカンドチャンスを」というのが。

石田:あります、あります。

大澤:じゃあ、あれは飾られてる言葉というよりも、けっこう地でいってる感じなんですかね。

石田:そうですね、おっしゃるとおりです。創業間もない頃は(社員が)どんどん辞めてっちゃったんですよね。せっかくチャレンジしても、例えば会社がうまくいかなかったり撤退する時って。

大澤:難しいですよね。居心地悪いというか。

石田:(居心地が)悪いんですよね。大手の企業のように、左遷されたりという話は一切ないんですけど。せっかくチャレンジしたけど失敗をしてしまったことで居心地が悪くなったのかはわからないですが、その人の意思として「辞めて違うチャレンジを」ということが、会社の中でも多かった時代があったんですね。

このままだとまずいということで、ミッションステートメントという行動指針にも取り込むことで「ちゃんと事例もあるし、会社の方針としてもそこは応援していきますよ。セカンドチャンスがある会社ですよ」というのを企業風土の中に取り込んでいく努力をしてきました。

これって一朝一夕で作られるものではないんですけども、事例がいくつか出てきたことでだんだん時間をかけて「やっぱり本当だね、そういう事例もあるんだね」となってきたのが、感覚として近いですかね。

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