
2025.02.12
職員一人あたり52時間の残業削減に成功 kintone導入がもたらした富士吉田市の自治体DX“変革”ハウツー
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麻生要一氏(以下、麻生):ありがとうございます。ちょっと盛り上がってきてしまっているんですが、時間も残り少ないので、(イベント参加者の方の)Q&Aコーナーに行きたいなと思っております。一問一答形式で、上から順にいきたいなと思います。
じゃあここからいきましょう。「コロナ後の社会がどう変わるかを、武井さんはどう捉えていますでしょうか」。
武井浩三氏(以下、武井):だからもうまさに、今僕が言ったような世界の方向にもっと進んでいくと思います。それで、コロナの影響はあと早くて2年、長ければ3年ぐらい続くでしょうから。
麻生:一説には、もうこれで緊急事態宣言が終わるじゃないですか(イベント実施は5月23日時点)。そうするとリモートワーク前提になっていた会社も通勤を復活させて、出社前提に戻ってくるとか。思ったより、すぐ前の時代に戻っちゃうんじゃないかという説もありますけど、どう思われますか。
武井:そうですね。戻す会社もけっこうあると思いますけど、例えば僕の周りでは、もうすでにオフィスを解約し始めた企業がけっこう出てきてるんですよね。「リモートワークで、出社は半分ぐらいでいいんじゃない」とか。
それから、こういう働き方をすると「そもそも通勤圏内で人材を募集する必要はなくない?」というふうになるわけですよね。それで、そういう企業って経済合理性から見ても競争力を持つわけじゃないですか。固定費が低い。あんまり一概には言えないですけど、地方は人件費が安いとか。優秀な主婦とか、地方にいっぱいいますから。
そうしたら、そういう企業のほうが競争力を持っちゃうわけですよね。そういう状況になったら、好むと好まざるに関わらず、企業はそっちの方向に行くしかなくなる。方向感としてはそういうものが絶対に出ると思っていて。なぜなら僕の周りで、超レガシーな不動産会社ですら、そういうことを言い始めてるんですよ。
麻生:あぁ、そうですか。不動産会社でも。それはすごいな。
武井:だからもうこれは間違いないですよね。不動産テック協会でも、クラウドサインの橘さんとかと一緒にやってたりするので。そのへんの肌感というか、現場感もすごく話が入ってきますし。
麻生:なるほど、ありがとうございます。どんどんいきたいと思います。「ポストコロナの企業は自律分散型組織に向かっていくのでしょうか。むしろ監視の色合いが強まってきているような気がします」。
武井:あー。やばい会社がパソコンの画面を定期的にスクショ撮るみたいなシステム作ったりしてますけど、あんなのもう「ああいう会社で働きたいと思いますか、あなたは」という話ですよね(笑)。
麻生:なるほどね。
武井:監視を強めても別にいいですけど、監視される会社に行きたいと思う人のほうが少ないと。
麻生:「競争力を落とすだけだよ」と。「二極化するよ」というような話ですね。
武井:そう。だって働く場所が自由になったら、もっと流動的にできるし。俺とか要ちゃんみたいに、別にいろいろな会社で同時に仕事できちゃうし。どうぞ(監視したければ)やってください、と(笑)。
麻生:なるほど。どんどんいきましょう。「自由に生きたいと思う人はたくさんいると思う。でも、その中で自由に生きている人とそうでない人がいたとしたら、その分かれ道はどこにあるのでしょうか」。
武井:自由というのもわからないですよ、もう。僕もわからないし。それぞれ今必要があってそのフェーズにいて、とにかくそれを味わうということじゃないでしょうかという、人生観みたいな話になると思うので。
やっぱり人生って、俺は「社会的役割」だと思っていて。それって、人とのご縁の中で……使命って「与えられるもの」という表現をするじゃないですか。やっぱり自分で見つけるものじゃないんですよね。人間関係の中で勝手にそうなっていくもので。
俺だってこんなことをやっているとは、10年前はまったく予測していなかったわけで(笑)。だから自由に生きる・生きないということをそんなに気にせず、関係性の中で自分の役割を全うしていくと。
麻生:なるほど。自由・不自由じゃなくて味わえ、という話ですね。
武井:そう。もう自由とかわからないです(笑)。
麻生:ありがとうございます。どんどんいきましょう。
麻生:「日本でも労働者協同組合法案(注:働く者や市民が協同で出資し、民主的に経営に参加し、地域に必要な仕事を自らの手でおこす「労働者協同組合」に法人格を与える法案)の成立を今国会で目指しています。これが法制化されることで、武井さんのおっしゃっていた『法律が邪魔する』という点で、一定の変化が生まれると思われますか?」。
武井:なるほど。すいません、この「労働者協同組合法案」がわからない!(笑)。
麻生:よし! 質問された方、いらっしゃいますでしょうか? ちょっと補足いただけたりするとうれしいんですけど(笑)。
質問者:はい、ありがとうございます。すごく詳しいわけじゃないんですけど、これ、私はけっこう前から期待していて。実は前回の衆議院解散前に通る予定だったのが、解散になって流れてしまったんですね。それで今回の国会でまた復活して。ワーカーズコープ(日本労働者協同組合)の方などがすごくがんばっています。
ワーカーズコープは、さっき武井さんがおっしゃっていた「雇う人と雇われる人がない関係」を目指してやってきています。それこそ社会に必要な学童クラブだったり、生活協同組合もそうですよね。あと、さっき言った信金なども、実はそういうところを目指していたりするんですが。
日本には法律がないので、いろいろと守られるものがなかったということで。諸外国には法律があるそうなんです。ちょっと1個1個の法文までは私もわからないんですけれど、簡単に言うと「社長がいて株主がいて」というものではない、もっと平たいものを法制化するというものなんですけれど。私も、さっきの「法律が邪魔をする」ということが響いて。
麻生:そういう新しい法人形態ができるってことなんですか?
質問者:もうすでにワーカーズコープや生活協同組合などがあるんですけれど、法律で守られていなかったんですよね。
麻生:なるほど、そのガイドラインというか。
質問者:簡単にいうとそういうガイドラインです。NPO法ができたことでNPO法人がばーっとできたじゃないですか。それのもうちょっと平らな感じで、ちゃんと利益も出していくということです。
武井:おもしろいですね。そうか、法人形態は重要ですよね。だから、僕が関わっている、eumo(ユーモ)という会社やNext Commons Lab(ネクストコモンズラボ)という株式会社は、種類株を設計して、支配権をなくした協同組合圏の株式会社にしちゃってるんですよね。
そのいいところは、株式会社みたいにエクイティを調達できるんですよ。組合も出資して中に入るという話ですけれども、出資して中に入らないという選択肢も取れる。そういう意味で、けっこうこの組合型株式会社は柔軟性が高くて、今の法律上はなかなかいい感じでいけそうかなと思っているんですけど。
でも、これは方向感としては、めちゃくちゃいいと思いますよね。統計データを見ても、やっぱり労働者の賃金はずっと上がっていないじゃないですか。でも、実質物価などが上がっているから、ジリ貧になっているわけだし。
やっぱり資本家優位の法人形態や税制を変えていかなきゃいけないし、その1つの方向感かなとは思うので、なんだかうれしいですね。ちょっと調べてみたいと思います、ありがとうございます。
麻生:ありがとうございます。次にいきましょう。「武井さんは何かを研究しようと思った時に、まず何から調べるんでしょうか」。
武井:僕はまぁ、まずググるというのと。
麻生:(笑)。
武井:次にAmazonで本を買うという、もうめちゃくちゃ資本主義の力を借りていますけれども(笑)。
麻生:(笑)。それはたぶん「どうやって」だと思うんだよ。「何から」ということで言うと?
武井:これはたぶん僕の性格なんですけど、音楽をやっていた時も作ることが好きで、それが何で作られているのか、何で構成されているのか。僕はそれを構成要素分解と呼ぶんですけど、物事を分解する時に、構成要素で分解するのと時系列で分解するという、2つの軸で展開すると、全体像がほとんど見えてくるということがあって。
そういう観点で、その業界のことやトピックを構造的に捉えている人の本を選んで読む。そうするとなんだか画として見えるみたいな。
麻生:なるほど、構造と構成要素を調べるということですね。
武井:そうそう。そういうふうに調べる癖がついてるというか。これは僕の好きな方法なので、人それぞれあると思いますけど。
麻生:ありがとうございます、次いきましょう。「ティールや自然経営が万全という話ではないと感じました。合っていますか?」。
武井:そうですよ。だって完全な人間なんていないでしょ、って。
麻生:(笑)。
武井:でも、これが重要で。グリーン以下のパラダイム(注:ティール組織に至るまでの5段階で、上から3番目~5番目のオレンジ、アンバー、レッド)だと、完全を目指すんですよね。だけどティール以上の世界観だと、これは成人発達的なパラダイムでもありますけど、完璧がないということは不完全もないということじゃないですか。
つまり、問題のある個人なんて存在しないんですよ。組織の中で問題児という概念も存在しないんです。学校の中でもそんなのないんですよ。問題というのは人と人の間に存在してるんですよね。人間は、問題を人から切り離して扱うことができるようにならなければいけなくて。
麻生:なるほど、ありがとうございます。じゃあ続きまして。「組織やコミュニティは気づいたら上下ができて、マウント取ろうみたいな人が出てきますよね。これは健全なかたちなのでしょうか」と。
武井:それが「力の流動性」という、自然経営の3要素のうちの1つですね。
麻生:「力の流動性」の解説も含めてお願いします。
武井:「力の流動性」は、誰がそこの意思決定者なのか、リーダーなのかというもの自体が、流動的に循環している状態です。例えば青年商工会議所(JC)って、40歳までしかだめで、その会長は毎年持ち回りだったりするじゃないですか。
麻生:確かに。
武井:そうすると老害も生まれなければ、誰が偉いということもないんですよ。あれはコミュニティを健全に維持する上ではめちゃくちゃいい仕組みで。俺は「これは本当によくできてるな」と思って(笑)。
麻生:そうか、代表を固定しない、ということですね。
武井:そう。でも今の株式会社とか、やっぱり営利組織になるとそれがしにくいんですよ。だから俺の究極はもう、代表のいない組織・法人格というものができたら最高だと思っていて。最初から代表なんてものはないと。
麻生:代表が8人いらっしゃるっておっしゃってましたけど、近いのは構成員全員が代表権を持つとか、そういう話ですよね。
武井:そうそう。株式会社ニートという会社は、社員が全員取締役だったり(笑)。あと最近、共同代表などで2人、3人の代表を持ってる会社が増えていますけれど、僕はそれもやっぱりこの1つだと思っていますけれどね。やっぱり、社会がそういうかたちを求めているんですよね。誰も支配者になりたいと思っていないですよ、という話。
麻生:ありがとうございます。あと3分ですが、残り3つの質問を全部いっちゃいたいなと思ってますけど。
武井:(笑)。
麻生:「メディア会社を事業譲渡した時代のハードシングスが、その後の自然経営に活きているということはありますか」。
武井:あります。まさにその時に、世の中の見え方が180度変わっちゃったんですよね。それまではナポレオン・ヒル的な「夢は叶う」「思考は現実化する」というふうに考えたんですけど。そんなのどうでもよくて、「いかによりよく生きるか」というようなウェルビーイングに一気に変わっちゃいましたね。
麻生:ありがとうございます。続きまして「武井さんがどういうジェネレーション観を持っているのか」。
武井:これも一概に言えないのでね。イケてるおじいちゃんもいれば、イケてない若者もいるので(笑)。ジェネレーションという概念自体がもう階層を隔てているわけで、その階層をなくしちゃいましょうって。例えば、オルタナティブ教育は異学年教育と言って、最初から学年がなかったりするわけですよね。だから、僕は教育でもそういうほうがいいと思っています。
麻生:確かにそうですよね。同ジェネレーション間での二極化みたいなことが、あらゆることで進んでいますよね。イケてるおじいちゃんはイケてるし、イケてない若者はイケてないみたいな。最近は、本当にそんな話ですよね。
ということで、すべての質問をこなすことができました。ありがとうございます。
(拍手)
武井さん、改めましてありがとうございました。
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