2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
ITreview 2019 Making Tech Companies Successful(全1記事)
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森田智史氏:バーチャレクスの森田と申します、よろしくお願いいたします。本日は「カスタマーサクセスの実態調査結果+αから見えた、日本におけるカスタマーサクセスの壁」で20分ほどお時間いただきまして、講演させていただければと思います。
ということで、はじめに自己紹介でございます。改めましてバーチャレクスの森田です。これまで15、6年、いわゆるコンサルタントとしてCRMの界隈でビジネスコンサルティングからIT関連のプロジェクトを担当して参りました。最近はコンサルタントとしての実務というよりは、コンサルティング部門、弊社のコンサルティング部門の運営を管理しております。
それから全社のマーコムに加えて、新規ビジネスの開発等々を担当させていただいております。その新規ビジネスの一環で、CRMのネクストウェーブというか、これからのCRMという世界観という意味合いも込めて、カスタマーサクセス関連のビジネスの立ち上げと、それに伴うマーケットの啓蒙を担当させていただいています。
弊社はバーチャレクスという会社なんですけれども、主に3つのビジネスを手がけております。いわゆるコンサルティングのビジネスと、テクノロジーのビジネス。自社にもCRMのパッケージがございまして、その製品開発及び販売導入をやらせていただいております。最近は自社パッケージに限らず、いわゆるクラウドのサービスをお客様に提供するということなどもさせていただいております。
それからアウトソーシングビジネス。弊社は20年来の会社になるのですが、創業時からコールセンターやコンタクトセンターの業務など運営・受託させていただいております。このコンサルティングとIT、それからアウトソーシングの3つを融合しながらお客様に対してサービスを提供しており、クライアント様を成功に導くということを生業にしております。
「バーチャレクスと青本」というところで、先ほど冒頭にご紹介がありましたけれども『カスタマーサクセス』通称『青本』を昨年(2018年)の6月に英治出版さんより、翻訳して発売させていただいております。出版についてはいろんな縁があっての結果なんですけれども、弊社はCRMの会社というところもありまして、創業以来、お客様に寄り添う「伴走」というものをずっとやっていた会社ということもありまして。「バーチャレクスが翻訳しないで、誰が翻訳するの?」というところでお声掛けいただいて、翻訳にいたりました。私も微弱ながら、この翻訳に携わらせていただいたというところでございます。
弊社としては、青本の翻訳者としてサブスクリプションビジネスだけでなく、全てのビジネスにおいて必要不可欠になっていくであろうカスタマーサクセスをもっと日本にも浸透させていきたいなと、思っております。
ですので、(スライドを指して)このキャラクターのようにですね。4次元ポケットからいろんな秘密道具を出して、表で裏でのび太くんをサポートし、のび太くんの成長をサポートし、自身も成長すると。のび太くんの成長に伴って、いろんな周りの友人たちを巻き込みながら、友人たちも成長していくと。そんなことを思いながら、いろんな関係会社様と一緒に成長していきたいという思いを込めて、CS界のドラえもんになりたいなと思ってたりします。
ということで前置きが若干長くなりましたが、こういったかたちで今日のコンテンツとしては4つ、説明をしていきたいと思っております。まずは「カスタマーサクセスとは?」。会場の皆様はおそらくSaaS系、もしくはテックカンパニー(の方々)だと思いますので、今更感があるところが多分に含まれていると思いますけれども「カスタマーサクセスとは?」というところで、ビジュアライズしております。
たぶん、このCO+CX=CSという、(スライドを指して)この左3つですかね。左3つの絵だと、カスタマーサクセス先進国のアメリカとかでけっこう使われている絵なので、ご覧になった方もいらっしゃるかもしれません。弊社の解釈としては、ここに2つ要素を加えたいなと思っていて。(スライドを指して)こういった絵にしております。
ですので「CO=Customer Outcomes」「CX=Customer Experience」「CO+CX=Customer‘s Success」というところが、狭義の意味のカスタマーサクセスだと思うんですけれども。ここに加えて「Customer Advocacy」ということで。雑に言えばコミュニティーですよね。
結局、そのファン・ロイヤリティー化をどんどん進めることが必要ですし「Customer’s Success」を通し、そのお客様・エンドユーザー様との関係性が深まれば深まるほど「Company's (Revenue) Growth」と(スライドに)書いてますが、自社の成長も当然進んでいきます。先ほど申しました「Customer Advocacy」。ファン化が進んでいけば、そのロイヤリティーもどんどん深まっていくということで、口コミなどなども含めてどんどん自社の成長につながっていく。
こういったループというか、サイクルもしっかり変わっていくこと。この総体ががカスタマーサクセスと我々は捉えておりますので、こういったビジュアライズした概念でご説明をさせていただいております。ということで、次は「カスタマーサクセス実態調査結果+α」の振り返りです。日本でのカスタマーサクセスの広がりについて、「カスタマーサクセス」というキーワードをGoogle検索をしてみました。というところです。
ちょっと前の数字になりますが、2018年3月から2019年の7月までで、約15.5倍の検索数の伸びになっています。マーケットとしての熱さ、温度感の高まりがわかりやすく出てきているなと思います。我々と、今回のイベントの主催者でありますアイティクラウドさんは、カスタマーサクセス文脈を中心に調査や市場への認知拡大を目的とした協業ををさせていただいておりまして、その縁もあって今回私がここで登壇させていただいます。そのアイティクラウドさんとの共同で、カスタマーサクセスについての調査をして、4回に分けてその結果を公開しています。先ほど言った15.5倍という速度で、加速度的に伸びている認知度かな? というところを感じていたんですが。
実際調査してみて蓋を開けてみたところ「カスタマーサクセスとは何かをよく知っている」と答えた方は、結果的にわずか3パーセントでした。まだまだ一部の先進的なアーリーアダプター/イノベーター企業さんのみで浸透している。というレベルがカスタマーサクセスの実態なのかな? と感じたのが1回目の調査結果でした。
2回目の調査結果で「カスタマーサクセスに着手する上で、どんなところが課題でしたか?」と聞いたところ「最初に直面するのは人材と組織の問題でした」と。これも、進められている皆様にとっては「まぁそうだよね」という感じかと思うんですけど。それから「どこから着手して良いかわからない」という「そもそも論」だというところです。
カスタマーサクセス自体が、狭義では「お客様との向き合い方」ですけど、広義には「経営コンセプト」というところ。「ビジネスコンセプトを変えていかなきゃいけない」ということなので、どの論点から攻めていくべきかが非常に難しい、という声が上がっているような結果でした。
そして3回目ですね。カスタマーサクセスをやっている企業さんにいろいろ聞いた結果。その取り組みの具合度に応じて「カスタマーサクセスの取り組み効果を感じていますか?」という調査です。
これに対して、なんらかを推進している企業さんは、立ち上がりでは悩むものの、努力・自力で突破している傾向にあります。その突破している方々のかなり多く、6〜7割が「カスタマーサクセスを持ってよかったな」「やるべきだ」「やった結果としての効果・恩恵を体感できている」というお話でした。
そして最後、4回目の結果です。カスタマーサクセスの効果・恩恵を体感し始めている企業さんにおいては「ヘルススコア」が非常に重要視されているようです。当然と言えば当然なんですけれども。これは仮説としては、成果・恩恵を体感された企業様が、当然ながらお客様のことをさらに深く理解できるようになり、その結果としてさらに適切な打ち手が打てるので、さらなる成長の創出ができている。といった好循環を生んでいるからなのではないかと、考えています。
一方で、効果・恩恵を体感されていない企業さんは、全体の30〜40パーセントというところで伸び悩みを見せているので「何を図っていくべきなのか」を定めて、それをしっかりと取っていくことが、ある種、成否の分かれ目になっている、ということが調査結果からわかりました。
2019年5月に、先ほどの青本の原書を書かれた作者の方の1人である、Danさん――アメリカのカスタマーサクセスソリューションの「Gainsight」というリーディングカンパニーがありますが、そこの前CCOの方でございます。
そのGainsightのイベントに行って参りましたが、その際、Danさんといくつか話をした中で印象的だったのが「認知度3パーセントなんだよ、日本は」と私が言ったら「まぁそんなもんかもしれないね」という反応だったということです。
CS先進国のアメリカでも、カスタマーサクセスは「Salesforce」が当然言い始めたわけなんですね。ただ、そのカスタマーサクセスが最初から来たわけではなくて、1st Waveと(スライドには)書いておりますとおり、SaaSだとか(Digital) Subscriptionのビジネスがしっかり立ち上がって、それの成功要因、KSFとしてのカスタマーサクセスが来たという順序性です。
Danは2nd Waveを“Tsunami”という言い方をしましたが、ここ1年ぐらいですかね「サブスクリプション」という言葉が日系含め、出回っていると私自身も感じてますし、バズってるのかなという印象です。ということなので、遅かれ早かれやはりカスタマーサクセスの“Tsunami”も来るのではないかと思っていますし「隗より始めよ!」ということなのかなと考えております。
続きまして、日本におけるカスタマーサクセスの「壁」というところで、3点ほどお話ししていきたいなと思います。1点目が「ハイタッチ至上主義の壁」でございます。言わずもがなですけれども、サブスクリプションビジネスは当然「ロングテール」であり、どんどんこれが一般的になっていきます。
そうすると全てのお客様に日本人がハイタッチでやっていくのは、どんどん人手不足になっているこの世の中において、コスト面でも難しいのかなと思っております。
カスタマーサクセスの青本を読まれた方であればご存知かもしれませんが、いわゆる「タッチモデル」ですね。「ハイタッチ・ロータッチ・テックタッチ」をうまく使い分けながら、カスタマーサクセスを実践していくというところが、原則上で必要になってくるのかなと思っております。
米日の違いになると、ここら辺もある種、言わずもがななのかなと思いますが。日本だと某Web会議システムの会社さんのCMとかで「it's OLD 営業」という言葉が謳われてたりもします。ですがBtoBのビジネス、とくに営業の現場だと「足で稼ぐ・顧客と膝付き合わせてナンボ」みたいな、そういう文化がやはり日本企業の特徴なのかなと思っています。
なので、日本においては先ほど言った「ロータッチ・テックタッチ」に注力していくというのは、なかなかハードルが高いのかなと思っています。それは、(スライドを指して)ここに書いてあるような、なんというか風土的というか文化的な背景もけっこうあるのかなと思っていまして。アメリカという国は当然ですが、国土が広くて、非常に多民族・多文化というところがあり、その結果として言語文化も多様ですと。
そうすると別途、なんらかの共通言語が必要不可欠ですし、広い国土を足で稼ぐのは当然無理です。なのでフレームワークだとか、方法論化が進む風土が整っているということですし、テクノロジーを使ってどうにかしていく、広いカバレッジを取りに行くというところが必要になってくるのかなと。一方日本では、住んでいる我々にはよくわかると思いますが、所詮島国で狭いので、足で稼げる。
日本語が通じるので「よしなに」で通じる。というところで、ある種、属人的対面アプローチでなんとかなってたというのが、ここ数十年の歴史なのかなと思っています。ただこれからはそれだけじゃ難しい時代に突入していると思いますので、やはりハイタッチを重視しつつも、本気でデジタル・データファーストに向き合う、というところが重要なのかなと思っております。
2点目が、代理店モデルの壁です。最近、先ほどのサブスクリプションに続いて、BtoC、ダイレクトコンシューマーという言葉、もしくは、ビジネスモデルも増えてきているというところでして。世界的なダイレクト化の潮流があると思います。ここにいらっしゃる会社さん、もしくは新興のSaaSベンダーさんは、国内外問わず、直販体制というのを前提とされたビジネスモデルが多いのかなという印象です。
それはおそらく直感的なものも含めて「意識的に顧客と直接つながっていかないと」と感じてらっしゃるからなのかなと思っています。一方で多くの日本の中堅、もしくは大企業さんは、結局「まず販路拡大しないと始まらん」というところで、これまでいわゆる代理店モデルで成長されてきたところが多いのかなと。そういった背景が大きいかなと思っています。
カスタマーサクセス関係なく、CRMの世界で仕事している私は、よく「顧客の声を聞けないこと」が悩みだよ、ということをよく耳にしました。ですので、カスタマーサクセスはいかにこのエンドユーザの声を聞いて、それを製品なりサービスの提供なりに当てはめていくか。本当にエンドユーザのサクセスに向き合うところが肝である以上、この代理店モデルとどう向き合っていくのか、ということがこれから必要になってくると考えます。
ビジネスモデルによっては、チャネル戦略の見直しというのも必要になってくるのではないかと考えております。「では、代理店モデルをどうするの?」というところですが、いくつかやり方があるのかなと思っていて、オプションとしていくつかパターンを(スライドを指して)こういうふうに書いております。1つ目は代理店委託というところで、引き続き、販売だけじゃなくてカスタマーサクセスまで代理店のほうにやってもらおうというアプローチですね。
なので、自社としてはしっかりとパートナーサクセスをやっていこう。カスタマーサクセスのやり方、販売のやり方に加えて、カスタマーサクセスのイロハも代理店に伝え、自分たちとしてやりたいカスタマーサクセスを代理店を通して実践していくというやり方が、まずは挙げられると思います。それからカスタマーサクセス内製化というところで、販売の部分については引き続き、代理店さんの販売網を使わせてもらおう。ただ、許されるのならば、その後の受注後のお客様のカスタマーサクセスについては自社の方で請け負うというやり方が、次のパターンとして考えられるのかなと思います。
3点目が、これもなかなかドラスティックな話ではありますが、いっそのこと直販体制にしてしまおうというところですね。既存のサービスに加えて、新規サービスソリューションを立ち上げるというかたちなのであれば、もしかしたらこういったことも可能なのかもしれません。
最後がミックスというところで、こういったことの作戦を捉えている会社さん多いかなとも思いますが、特定の重要顧客、戦略顧客のみを直販でやり、それ以外のところはパートナーに任せていくという分け方も考えられるかなと思います。ただ結局のところ、広いマーケットで見ると、日本というマーケット全体で見ると、カスタマーサクセス人材は当然どんどん不足していくと思います。
カスタマーサクセス人材に必要なスキルセットとかをしゃべり始めるとキリがないので、今回は一旦おいておきますが、お客さんとコミュニケーションが取れて営業もしっかりできて、お客さんの課題も見つけられて、いわゆるちゃんとコンサルタントっぽいことができて、予算も語れる。そんなことがやれる人材ってそうそういないので……そういった人材はたぶん、どんどんこれから引っ張りだこになると思います。
となると、そういう素養を持った人をどう育てていくのかというところが自社、内外問わず課題感として突き付けられると思っています。
ですので、全体としてなんらかの育成は必要不可欠だと思いますし、(スライドを指して)括弧で書いてますが。既存の代理店さんが、例えば「Aのパターンでやっていく」とした場合も「既存の代理店さんだとカスタマーサクセス伝わないんだよね」というのであれば、場合によっては別の「カスタマーサクセスよく知ってます」という会社さんがあるなら、そういうところと新しく付き合い始めた方がいいかもしれない。
そういったことも含めて、代理店モデル自体をどうしていくのかということに向き合っていかないといけない時代なのかなと、考えております。少し、代理店モデルの課題感かどうかというところはさておきというところであるんですけれど、これも先ほどの調査結果の中の1つになるところですね。
効果・恩恵を体感できている企業ほど、もっと顧客の声を拾いたいという明確なメッセージが見て取れたというところでございます。そういったのがやっぱり数字としても出てきているね、というところですね。
最後、3点目。おもてなし文化の壁というところです。おもてなし文化自体は日本が世界に誇るべきことなんだと思いますが、サービサー的にはけっこうしんどいなと思うことがいっぱいあるのかな、と。
ホテルのコンシェルジュサービスだとか、あと再配達。「これが無料なのは日本ぐらい」みたいなところがあるとおり、やはりおもてなしの国である日本での、いわゆる顧客の期待値というのが非常に高いと私自身も思いますし、おそらくみなさんも異議はないかなと感じます。
ですので(スライドを指して)ここにも絵を書いてますが、日本の顧客満足「Customer Satisfaction」は、欧米だと「Customer Surprise」「顧客感動」だと呼ばれるくらい、実は違うレベルなんだと言われることがあります。ですので、逆に日本のカスタマーサクセスは、世界からわりと注目されています。要は「これだけ顧客の期待値が高い日本のマーケットで、カスタマーサクセスが成功するとはどういうことだ」と。
逆に日本でそれだけ成功するのであれば、わりとグローバル全体でいけるんじゃないというふうに思われている節があります。じゃあどうするの? というところについては、一言で言うと、やっぱり期待値コントロールをどうしていくの? と。お客様とのサクセスをしっかり握って、その期待値をどういうふうにコントロールしていくのか? というところが重要かなと思っています。
(スライドを指して)これは先ほどから触れている弊社とアイティクラウドさんの共同調査の内容ではないんですが、先ほどから申してる「日本人サービスレベルに対する期待値、高すぎるんじゃないか問題」を証明する調査結果だったので、引用させてもらっています。
アメックスさんが2017年に出されているレポートです。BtoBではないという、多少の違いはあるんですけれど、BtoB・BtoC問わず近しい結果なんじゃないかなと思います。
この後もう1スライドありますが、1スライド目は「『顧客サービス』への期待値が高く、シビアな感覚の日本人」というところで、期待を守る顧客サービスを受けている」もしくは「『期待通り』の顧客サービスを受けている」。この両方合わせても、45パーセントという数値でした。
他の先進国なども含めた9カ国が大体60~70パーセント、アメリカについては80パーセントを超えているところに対し、日本はたった45パーセントというところで、群を抜いて低い。どれだけサービスレベルに対して期待値が高すぎるんだ日本は、というところの調査が1つ目の結果でございます。もう一つのほうが、先ほどの話は言ってしまえば「オンボーディングをちゃんとできるのか?」という話ですね。
また、こちらはチャーンリスクがどれだけ高いかという話です。「一度でもひどいサービスを受けたら、その企業を離れる」割合が最も多いというところです。軒並み他の国がだいたい30パーセント、香港だと23パーセント。それに対し、日本の場合、約56パーセント。「ワンミスは致命傷」という結果が出ているというところで「もうミスは許されない」と。恐ろしい結果です。
こういった日本人の特性を踏まえると、本質的には日本人だけじゃないはずなんですけれども、とくにサービスレベルに厳しい日本においては「今のアプローチ順序を間違えないこと」が重要なのかなと思っています。日頃の不平・不満・不安等解消する体験、マイナスをゼロにしっかりします、と。それから、驚きや感動を与える体験、ゼロをプラスにする体験を提供する。
ここの順番だと思うんですよね。NPSとかCSみたいなものが、いわゆる成果指標としてのカスタマーサクセス・成果指標によく用いられるのと同様に、CESも同じく使われるというところに代表されると思うんですけど。「つまらないミスがあるとか、行き届いていないサービスの状態で、余計なことしてくれるんじゃない」と。
そういった、ちゃんとかゆいところにちゃんと手が届いてない状態で、言ったこともやってくれてないのに、余計なことをしてくれるんじゃない、と。一個間違えると、火に油を注ぐことになっちゃうということなので、ここの順番を間違えないようにしないといけないかなと思っています。
ですのでしっかり事案を描く時にも、こういった日ごろのネガティブなポイントをしっかりと洗って、そこに対する打ち手・ヘルスコアを書き、アドオンで(スライドを指して)この下段のほうをやっていくというところが、順序性としては重要かなと思っています。
終わりに(スライドを指して)この写真、ご存知の方もいらっしゃると思いますが、マネジメントという言葉を発明されたピーター・ドラッカーさんです。『マネジメント』という名著がありますが、その中の1文に「マーケティングの理想は、販売を不要にすることである」とあります。
そして「マーケティングが目指すものは顧客を理解し、製品とサービスを顧客に合わせ、おのずから売れるようにすることである」と続きます。この名言に習うと、結局これもカスタマーサクセスの青本の中の原則の中にもありますが、製品こそ唯一差別化できる要素であるというようなお話にも通じるなと。「勝手に触れて勝手にサクセスしてくれる」「サクセスの支援をしてなくてもサクセスしてくれている」という状態が、一番望ましいサクセス。カスタマーサクセスだと思っています。
ですので“セルフサクセスできている”状態こそ、カスタマーサクセスの理想形だと私自身は思っておりますし、Amazonのジェフ・ベゾスの言葉じゃないですけど、お客様に向き合う、カスタマーオブセッションという言葉がありますが、それくらいお客さんに執着し、お客様のなんたるかということを捉え続けるというところが重要なのかなと思っております。
ということで、私の講演は以上になります。ご清聴いただきありがとうございました。
(会場拍手)
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