2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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菅原弘暁氏(以下、菅原):それ(PC、スマホの画面を見て話すこと)が寂しいっていうのは一旦横に置いておいて。じゃあファッションも、これから光る画面の中でどうやって関係を作らなきゃいけないのかとか、そういうことを考えなきゃいけないんだなというところも改めて思いました。
あと3つぐらいテーマがあって、10分ぐらいで話したいと思うんですけども「経営者の情報発信」。これ、もしかしたら政治家、タレントもそうかもしれないんだけど、これってWithコロナで何か変わっていくのか、けっこう気になるなと。これ挙げてくれたのは三浦さんですよね。
三浦崇宏氏(以下、三浦):そうですね。まず政治家に関しては、政治家になりたい人が増えるという、いい変化が起きるんじゃないかなと思っていて。3.11の時に、当時高校生とか中学生だった人たちが「何か力を発揮したい、何か人の役に立ちたいと思ったけど自分には何もできなかった。だからこそ世の中に影響力を発揮したい」と言って、いい経営者になった人がけっこう多くて。
それが今、例えばそれこそさっきも話してたけどクラシルの堀江くんとか、いろんなパワーのある経営者が、当時の経験を糧に今パワーを持ってるということがあって。
今回すごくよかったのが、ボリス首相だったりとか、イギリスの女王とか。あとはニュージーランドの女性の首相がいますけれども、すごく強いリーダーシップを発揮する方が多かったですね。
そして、それがリアルタイムに翻訳されて、リアルタイムにTwitterで流れてくる。あるいはテレビで報道されることが、多くの人に政治家とかリーダーがいかにかっこいいか、いかに社会に必要な職業かということを、かなりリアルに伝えたと思うんですよ。
かたや、ある国の首相は犬を抱きながらシンガーソングライターとコラボするみたいな、ちょっと……(笑)。「GOかケトルを呼べよ!」という事案が。
一同:(笑)。
三浦:政治家のかっこいいあり方とか、政治家という職業のイニシアティブについてすごくみんなが意識したんじゃないかなと思っていて。今回のことで、HUFFPOSTとかBuzzFeedでも各国の政策を比較するみたいな記事がたくさん出たと思うんですよ。あれを受けて、自分たちも政治家になりたいと思うような、若い才能が増えてくるんじゃないかという。希望の話です、これは。
菅原:なるほどね。すばらしいですね。
河炅珍氏(以下、河):いい話ですね。
松原佳代氏(以下、松原):それ、私見た時にすごくいい質問だなと思って。
三浦:どうですか? アメリカとか、けっこうイケてる政治家になりたい人みたいな、増えていくんじゃないですかね? 日本でも増えると思う。
松原:そう、やっぱりニューヨーク州のクオモ知事の会見が毎日毎日、30分ぐらいにわたってやってますよね。あれが、ニューヨークの市民はもちろんですけど、米国内を勇気づけてるし、ニューヨーク州は一番先に立ってこのコロナに立ち向かってるので、世界が注目するという状況になっていると思うんです。
彼の会見を友人が翻訳してくれているので、それを毎日見てるんですけど。政治の役割と、企業の役割と、メディアの役割が、コロナですごく明確化したなと思っていて。
もともと政治というのは、おそらく生活者が暮らしよい社会を作るという仕事だと思うんですけど。それって公衆衛生の面と、経済の面と、生活する権利、そのトライアングルをいかに生成するかが政治の仕事だと思うんですが、今回それが、明確にリーダーシップを取らないとうまくいかない状況下に。
三浦:「政治家とはリーダーシップを取る人間である」ということが可視化されたことは、とても大きかったと思ってます。
松原:そうですね。あと、仕組みを作るっていう。
三浦:はい。
嶋浩一郎氏(以下、嶋):まぁでも、本来ねぇ。政治家がビジョンを描いて、それを産業が形にするみたいなことを、PRパーソンがそれを言語化などのテクノロジーを通じて定着するみたいなことが循環だったわけで。だからこそ、今こそPRパーソンが活躍できる時代だなぁと思うよね。
三浦:その通りだと思います。
嶋:単純にパブリシティをするんじゃなくて、こういう世の中が来たらいい、こういう働き方ができるほうがいいっていう時に、じゃあそれをどういうテクノロジーでできるかということを政治家がビジョンとして示す。それをPRパーソンは手伝うし、産業はそれをテクノロジーなり技術で実現するし、PRパーソンは並走するしみたいな。こうなるといいなぁとは思いますね。
三浦:すごいつまんないことを言うと、リーダーとリーダーシップが必要だということが、今回すごく可視化されたと思うんですよ。
今まで、いい意味では民主的で、悪く言えば議論で進むことによってスピードが遅れる部分が多かった。強いリーダーシップが常に正しいとは限らないし、危険性もあるんですよ、もちろん。でも少なくとも今回は、リーダーが社会には必要だし、リーダーシップを取る人間が社会には必要であるっていうことが、一般の子どもから大人、お年寄り、ビジネスパーソンまで、広く多くの人に伝わったタイミングなのかなと思ってます。
松原:嶋さんが今おっしゃった、政治とか企業とかメディアの役割の話が、今回コロナのマスクとPPE、防護服の製造において、米国内の企業が取った行動すべてがそこに可視化されているような気がしていて。
アメリカの政治家がマスクとPPEがどれだけ足りないのかをしっかりと示し、必要だと呼びかけた。そうしたら、有名なところだとニューバランスとかナイキ、あとポートランドのKEENとかもみんなマスクを作り始めた。
もしかしたらあとで始まるかもしれないけど、まだ助成とかもない中で。先立ってどうやって機動力を生かして実現するかというところに取り組み、しっかりと消費者に「なぜ私たちがこれをやるのか」というところを、まさにPRパーソン的な人がしっかりとサイトとかでメッセージを発信してるんですよね。
なんか、そんなマスクの状況に私は縮図を見たというか。これからあるべき未来がそこにあったような気がしてるんですよね。
三浦:すごいおもしろいことがあって。これ名前出したほうが得なのか得じゃないのかわからないので嶋さん教えてほしいんですけど。とあるマッチングアプリの企業から我々に相談が来まして、そのアプリのユーザーの多くの女性が、医療系従事者だったんですよ。看護師さん。
看護師さんたちに出会いを提供することで成立してきたビジネスモデルで、それはすごく感謝してると。それで「今現場で医療従事者がすごい困ってるので、我々としてはぜひそこに対して、何か利益を還元するアプローチをしたいと思っています」と。
「ただ、自分たちはマッチングアプリっていうビジネスモデル上、ちょっとまだ偏見がある。昔の出会い系みたいに見られる部分がある中で、どういうやり方をすれば自分たちが真っ当な企業であり、社会的に社会善に対して向き合おうとしてるということを伝えられるでしょうか」という相談をいただいたんですよ。
これはねぇ、PRパーソンとして冥利に尽きるというか、ここがんばんなきゃダメだろって思って。
嶋:これはPRパーソンならではの仕事だよね。
三浦:これ、言っていいですよね? どうですか? 嶋さん。
菅原:行くべきかどうか?
三浦:あっ、もちろんこの仕事は当然やらせていただくんですけども。言っちゃうと、サイバーエージェントグループの「タップル誕生」っていうアプリで。本当にすばらしい気持ちで経営者や広報の方々もやっていらっしゃって、本当に起業家とPRパーソンのいい関係が作れるんじゃないかなと思っているところですよね。
嶋:本当にそう思う。
河:ちょっと話が戻るかもしれないんですけれども、私も政治とPRの関係について、今後、とても大事になっていく領域だと思っています。
今までどちらかというと、PRは企業の中でもやっぱり大手企業とか、あとは最近だとベンチャーとか、いわゆる「企業」にとって欠かせないテクノロジーだと思われてきました。
でも嶋さんもおっしゃったように、歴史的にみるとPRは政治的な組織、政府もそうですし、政治家などリーダーもそうなんですけれども。こことの関係性を通じて発達してきた経緯があって。
ちょっと難しい言葉で言うと、企業のPRは、“経済的主体の政治的営み”だと私は思っているんですよ。この経済主体の商業的営みは広告に近いんですけど、企業だって社会的存在ですから、当然ながら政治的な営みに拡張していく。その時に、PR的なアプローチが非常に大事になっていく。
ここからさらに拡張していくのではないかと思っているんです。つまり“政治的主体の政治的営み”へ、PRはその本質的なところに回帰していく可能性があると考えていて。
三浦さんがおっしゃったように、世界のリーダーたちは今、自分たちの個人的なアイデンティティだけではなくて、それぞれの国家ブランドを背負って、ある種競争的な演出をしている。それをメディアを使ってレプレゼンテーションしていく、まるでゲームをやっているような……ちょっと冷めた目で見るとそういうふうにも見えてくるのですけれども。
その時、政治家をはじめ、リーダーをリーダーたる存在にするのは、自分の信念や誇り、自国の国民だけを重視する姿勢ではなく。世界に広がる無数の他者の「目」と「口」が、インターネット・SNSを通じてつながっていることをどこまで認識できるか、これにかかっていると思うんです。政治においてはもともと大事なテーマですが、今改めてその力がものすごく目立ってきていると思うんですよね。
これからPRは、パブリックリレーションズは政治の領域へ拡張していく。今みたいな危機的状況はもちろんですが、平時にも政治の領域から求められる可能性が問われている気がして。
個人的には、広島に来てやっているのが、パブリックディプロマシーの研究です。簡単に言えば、パブリックリレーションズが政治の領域に行ったらパブリックディプロマシーになるという理解でいいと思うんですけれども、PR業界でも新しい領域を見出せるのではないかと。
三浦さんが予測されたように、これからどんどん政治の世界に入りたいと思う人たちが増えてくると、嶋さんがおっしゃったようにPRパーソンがしっかりサポートする。政治家の言葉と表現をデザインする専門家が必要になってくるわけですから、ここは日本ではすこし遅れている分野かもしれないんですけれども、今後、非常に大事になっていく気がします。
菅原:ありがとうございます。そろそろね、時間が1時間経ちましたので。
三浦:これねぇ、河さん、松原さん、嶋さん、菅原ありがとう。俺すげぇ楽しい、今。勉強になって。
松原:ははは(笑)。
三浦:拍手してぇな。すげぇよ、ありがとう。
菅原:すごい楽しいですね、これ。今日で終わらせたら、ちょっともったいないなという気持ちもありつつ。
河:シリーズで(笑)。
菅原:いったん、まだ終わらないんだけど、1回話を切ったほうがいい気もするので。
PRという仕事がどう変わるのか、今話が出ただけですごい可能性があったと思うんですけれども、まず目の前のことで言うと、メディアに対するスタンスは変えなきゃいけないなと思うんですね。彼らに「報じてもらう」じゃなくて、彼らとどうポジティブなニュースを世の中に届けていくかというのを、本気で考えなきゃいけない。
もしメディアが乗っかってこないのであれば、個人というメディアがもういるので。なんでしょうね、一次情報を託すメディアは必ずしも媒体社じゃなくていいと思うんですよね。それが大きくあった部分だと思うので、そういうふうにPRパーソンの仕事は変わっていくんじゃないかなということを、1つ思いました。
もう1個は、僕は河さんのおっしゃった「企業の政治的営み」ということにヒントがあるんじゃないかと思っていて。みなさんが言ったことは、けっこうそこに詰まっていると思うんですよ。明日からすぐには実践できないかもしれないけれども、経営者に寄り添っていくことでできるチャンスが増えると思いますので、ぜひ取り組んでいただければと思います。
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