2024.12.24
「経営陣が見たい数字」が見えない状況からの脱却法 経営課題を解決に導く、オファリングサービスの特長
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島田:最初にあった「『組織』と『コミュニティ』は違うのか?」という切り口から、何か言うことはありますか?
柳澤:あとね、もうちょっとだけあります。“はせっち”でいいの? はせっちがさっき「(コルクラボには)評価がないから」って言っていたんですよね。あれは、すごく的確です。やっぱり評価がないと、ティールになりやすいですね。
ティール組織の評価制度はおそらく3種類くらいしかなくて、「全員一律の給料になっている」「自分で決める」とかです。そして、「給料ゼロ・ボランティア」。これはやっぱりティールになりやすいですね。
島田:評価の話が出ちゃったからしゃべりたくなったんですけど、いいですか?
(会場笑)
島田:私はいろいろ考えて、やっぱり評価は必要だと思っているんですね。でも、ラベルを貼ることは不要だと思っています。
完全にボランティアというのはぜんぜんいいんだけれども、それでもやっぱり、その人が自分の強みを使って出してきたアイデアに関しては、どんなパッションとプレゼンスとを持ってやったかということは、賞賛されていいと思う。
評価というよりも、フィードバックというのかな。そういう意味で、私はそれが絶対に必要だと思うんですよね。
ただ「あなたは何番目ですよ」とか、「あなたはレベルが何々だ」とかって、それはやっぱり人格とくっついて違う要素を生んでいる可能性がとても高いと思うから、ノーレイティングみたいなのはわかるんですけどね。そのあたり、“やなっち”はどうですか?
柳澤:(成澤氏を指す)
島田:何かあります? 評価のところをぜひ聞きたい。
成澤:評価って、「アウトプット」+「プロセス」ということかなと思っています。評価って、アウトプットだけではないと思っています。それこそ、どう考えても障害や病気で時間生産性が低いとなると、やっぱりアウトプットだけで評価するということにはならないです。
おもしろい話で、人ってボールペンをくるくる回したりしていて、業務時間中に3割の無駄な時間があるんです。この3割の無駄な時間をトップマネジメントで「無駄にしている時間やめろよ」って言っても、5パーセントしか下がらないんですね。
残りの95パーセントはどうやったら下げられるかと言うと、おそらく一緒に働いている人なんですよね。
普通にみんなで働いていて、LINEで夜の飲み会のやり取りをしていたけど、目の前に給与の書類を一生懸命封筒に入れている知的障害を持つ人がいたとします。
そこで「俺、自分の仕事を早くやって手伝ってあげようかな」とかという生物学的な行動を取るときに、個人的な生産性は下がるかもしれないけど、チームに与える影響というプロセスも加味すると、評価って変わってくるなって思っています。
今、僕は一般社団法人をやっています。テレワークとかリモートワーク専門の会社なんですけど、そこでこれからやろうかなと思っていることがあります。
みんなで仕組みに落とすところなんですけど、病気や障害が進行して重くなればなるほど給料が高くなっていく会社を作れないかなと思っているんです。それは「存在給」みたいなものだと僕は思っています。
僕の会社には、指先1本しか動かせないけど、プログラミングとかEスポーツができる優秀なメンバーがいます。彼はどんどん病気が進行していて、最後は心臓が止まるんです。
でも、今できるプログラミングと、死ぬ直前にやるプログラミングって意味が違うかなぁって思ったときに……なんか、よくないですか?
病気が重くなればなるほど、自分の給料が高くなっていくんですよ。そうしたら、俺の人生どうなっていっているんだろうなって(考えるでしょう)。
僕はそれって本質的だなと思っていて、評価をディスラプト(破壊)するみたいなことを、一般社団法人で実験的に始められたらいいなと仲間のみんなで話したりしています。
長谷川:「コミュニティの話をしなくていいかな?」というところにちょっと不安を持っているんですけど……。
(会場笑)
長谷川:ちょっと、まじめなんです。とはいえ、少し評価の話もできそうな感じもあるので(笑)。というのも……。
え? (柳澤氏のほうを見て)何ですか? (私の)動きですか? コミカルな感じ?(笑)。緊張しているんですよ(笑)。
ボストンコンサルティンググループ(BCG)の話になっちゃうんですけど、限りなくティールっぽい組織だったなって今になって思うんです。マッキンゼーもそうだと思っています。
私はもともと、ボストンコンサルティングにいたんですけど、あそこの評価制度って売上とかではまったくなくて、「どれだけビジョンにミートしているか」というところを評価するのがブレイクダウンされていたんですね。
少なくとも私が認識していたBCGジャパンのビジョンは、Shaping the future togetherという、要は「未来をかたちづくっていくために、企業に行動変容を起こす」というものでした。
そういうビジョンに対して、「問いを設定できる力」「クライアントとのコミュニケーションがうまい」「チーム全体に貢献できているか」「人を育成したのか」「極めてタイトな納期どおりに出せるか」といった項目があり、細分化されて70項目くらいで評価が決まっていました。全部、5段階(の評価)になっています。かなりフェアな軸で1個1個決まっています。
(さらに)フェアになるように、人間のバイアスが極力かからないようにするために、いろんなプロジェクトで別の人間がボスになって(評価を)付けていったものが、そのボスがまったく入っていない会議体で評価されるという仕組みでした。
そこでその人間が次の役割に進めるかどうかが定義付けられていく仕組みになっていて、かなりフェアだなと思いました。
島田:それだと、すごくティール的なんですか?
長谷川:私の中ではけっこうそうだと思います。
評価制度の中でティール的だったのが、今の私の理解で申し上げると、売上とかわかりやすいKPIよりも、「その評価(の基準)に則して評価されると(どの程度)ビジョンを達成し得たのかがわかる」という組み立て方が、けっこう大事かなと思っています。そこにかなり近かった気がしますかね。
島田:それで、コミュニティというところにいくとすると、コミュニティにはそういった評価は必要? それともあってもいいし、なくてもいいってもの? さっきの2つの違う組織での状況も含めて、何か思っていらっしゃることはあります?
長谷川:コミュニティについては……難しいですね。
島田:難しいよね。
長谷川:私個人の意見になりますけど、コミュニティだと評価はたぶんないか、かなり可変的なものという考えです。
何を言っているかと言うと、例えば(漫画の)『宇宙兄弟』が好きな人たちのファンクラブがあって、ここで『宇宙兄弟』のボードゲームをやるとしましょう。
そこで勝敗がついて、「今日の『宇宙兄弟』のファンクラブではこの人が一番すごかったね」というアワードみたいなものはあっていいと思うんです。けれども、デジタリックなかたちでの評価制度みたいなところは、コミュニティとあんまり噛み合わないかなと思いますね。
島田:コミュニティという切り口で見ると、私の中ではまだ「組織」と「コミュニティ」というのは別のものとは思っていないです。
感覚ですが、組織というものはコミュニティとも言えるし、コミュニティも組織と言える部分もあるのかもしれないって思います。まだちょっとはっきりしていないんです。やなっち、なるっち、何かその点でありますか?
柳澤:今見ていて、「これからのコミュニティ」を考えるというテーマだなと思っています。例えば「これからの」というときには、「コミュニティが変化しているのか、していないのか」という意味が含まれていますね。
そして「そもそもコミュニティがこれから大事になる」と「コミュニティそのものは変わっていないんだけど、価値が大事になってきている」という話と、2つの方向があると思うんです。
まずね、変化しているとは思いますね。それは何かと言うと、組織とコミュニティという違いもなくなってきているということです。
組織とコミュニティをどういう意味で考えているかですけど、たぶん組織って何か目的があって、プロジェクト指向でそれをみんながやっている感じじゃないですかね。(対して)コミュニティって、なんとなくただ好きなものを共有したり、目的が必ずしもないようなイメージです。
柳澤:それでたぶん「違い」の話が出たんだと思うんですけれども、(思うに)会社がコミュニティ化して、コミュニティがプロジェクト化しているんですよ。
例えば家族って、すごくコミュニティのような感じじゃないですか。だけど家族も組織のように捉えて、夫婦のプロジェクトとして会社のようにビジョンを語り合う。家訓みたいな話ですけど、子育てを1つの共通プロジェクトとしてちゃんとやったほうが、ひょっとするとより良いのかもしれない。
僕らは地域活動をやっていますが、コミュニティもただ集まっているだけじゃ、ぜんぜんおもしろくないんです。お給料はゼロなんですけど、共通のプロジェクトを一緒にやったときに、むちゃくちゃ仲良くなるんですよ。
だから、やっぱり垣根がなくなっているんです。そこはどっちも(違いが)なくなってきている。変化に対してはそういう感じで捉えているんです。
価値についてですが、なぜ昔からのコミュニティの価値が高まっているのは、ちょっとわからないです。だけど、僕なりにちょっと考えていることがあるんです。
例えば小売業でも、何年か前からショップの店長を「コミュニティマネージャー」と呼び始めたところがありますね。物を売るにしてもコミュニティの価値が重要になっているから、肩書きもそうなってきているんじゃないですかね。
ティールもその一環だと思うんですけど、結局、コミュニティは人の繋がりだと思うんですね。だから、人の繋がりが重要ということでコミュニティの価値が上がっている。地域に住みたい人も、地域コミュニティがすごく注目されて若い人が入ってくるんですけど、人に繋がりたいんだなと思います。
ティール組織が注目されているのは、さっき言ったように僕の感覚では本当に同体化して一体化しないとティール組織にはできないからです。一見自由にやっているけど、それは逆で、他の人がやったものを自分が責任を取らなきゃいけないという共同体みたいなことが、ティールの最終的な方向感です。
やっぱり繋がりたくてティールが注目されていっているということなのかな。無理矢理な感じですけどね。そういうふうに捉えています。
成澤:僕もそうだと思っていて、組織がコミュニティ化しているというベクトルのほうが感じやすくて、わかりやすいかなと思います。あとは別の言い方にすると、会社がNPO化していくような流れも圧倒的にあるなぁと思っています。
でも、さっき柳澤さんの話を聞いていて、NPOは目的があってやり方の自由度が高いので、本来ティール的であるけれども、けっこう旧態依然としているNPOが多いから、なかなかティール化されづらいというのも、まさにそのとおりだなと思っています。
柳澤:あそこに宮城さんがいるから怒られそうですけどね(笑)。
成澤:いや、自戒の念も込めて(笑)。組織はやや受け身的で、コミュニティは主体的かなと思っています。僕はよく「KinKi Kidsだよ」って言うんです。KinKi Kidsには、『愛されるより愛したい』という歌がありますよね。
やっぱり愛されるより愛するほうが幸せだし、より生産的になるので、どう主体的になっていくか、作り手側になっていくかという時代の流れも大きくあるなぁと思っています。
「組織はやっぱりまとめるものじゃなくて、まとまるものだよね」「人はまとめるものじゃなくて、まとまるものだよね」「人は育てるものじゃなくて、育つものだよね」というような意識が、コミュニティ化していくという流れとそっくりそのまま近いのかなという気がしますね。
島田:私が組織というものに興味を持った最大の理由、原点はそこにあります。
そもそも会社という生き物なんてなくて、会社に元気がないんだとかいうのも、それって私たち一人ひとりの問題なんです。これってすごくおもしろくて、掴みどころがないんです。だからおもしろいなって思ったのがきっかけなんですね。
島田:となると、本当はなぜ私たちがその会社に入ったかと言えば、共通の大きな目的に関して「あ、いいね」と思ったからですよね。1人だとできないことも、何人かがそれを共通の目的として持っていて、力を合わせられるからできるんです。
だからcompany(注:companyの語源はラテン語の「com(共に)」と「panis(パンを食べる)」の合成語に、仲間を現す「-y」が付いた形だとされている)って言うわけじゃないですか。
だとすると「コミュニティ化」じゃなくて、「本来のあるべき姿に戻ろうとしている」とでもいうのかな、「思い出し始めている」という感じなのかなぁって聞こえるんですよね。
ちょっとこのまま流れで話しちゃいます。そう考えると今、ピラミッド(型の組織)でも、やろうと思えばティールと言われるような、コミュニティでやりやすいティールの状態というのが、やっぱりできるのかなと思います。
レイヤー(階層)があるから結局は上下関係ができて、なかなか本当のブレインストーミングができない。自分の意見が言えない。
昨日も今日もずっと「自分じゃない自分になって、言いたいことも言えてなくて……」というお話がありましたけど、やっぱりそういう人が多いから普通の、一般的な会社という状態になっていると思うんですよね。
私が今関わっている「Team WAA!」(注:ユニリーバの、働く場所や時間を自由に選ぶことができる制度「WAA」のビジョンに共感する人たちが集まっている)は、コミュニティと呼んでいます。なぜなら階層があるわけでもなく、ただ大きな共通した目的のもとに集まっているといった点からです。
それは組織と言えるのか言えないのか、私なんかはまだぐちゃぐちゃしているんだけれどもね。でも1つ、「やりたいことをやる」とか、それから「強みを出す」とか、「ありのままでいられる」というのは明確に今、「Team WAA!」の中にはあると思っているんですよね。
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