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第3部 「鎌倉×熱海から見る 地域ビジネスのあり方」(全4記事)

仲間が増えたきっかけは「期間限定のプロジェクト」 孤独な経営に陥らないためのチームづくり

2019年9月5日、株式会社machimori主催で「熱海を通して地方を考える vol.3 『地域で仕事をつくる〜ローカルビジネスが個人のキャリアにどう繋がるか〜』」が開催されました。地域で仕事をつくりたい方のために、仕事を通してサードプレイス的に地方(熱海)を使うことについて語られた本イベント。第3部では、第2部までの登壇者3名に加えて、複業マッチングメディア「CIRCULATION LIFE」を運営する水野綾子氏が登壇しました。本記事では、熱海市が考える創業支援の展望や実際の取り組み、起業の実情などをお届けします。

熱海から、地域を変えるようなイノベーションを巻き起こしたい

市来広一郎氏(以下、市来):ここまでの話を受けて、最後に何かひとこと言っておきたいことがある方々に聞きたいと思いますが、どうですか? あまり、まとまりがなく進行してしまいましたが。なし?

柳澤大輔氏(以下、柳澤):ちょっとどんな話を聞きたいのかわからないから、なしですね(笑)。どういう話をまとめていったらいいのか。

市来:わかりました、じゃあこのあとにしましょう。そしたら最後に、あと残り10分ぐらいの中で、これから熱海でやろうとしていることをご紹介したいと思います。今日は長谷川さんも、遊びに来ているわけではないと思うので。

長谷川智志氏(以下、長谷川):ありがとうございます。仕事です。

市来:仕事ですね、一応。一応って言っちゃった(笑)。宣伝もあって来ているんです。実は、この秋10月から新たな取り組みをしようと思っていまして。

僕らの取り組み「99℃ STARTUP PROGRAM FOR ATAMI 2030」(熱海で事業を生み出す創業支援プログラム)は、今まで起業したい人を募集してきました。今年、「99℃」という名前はそのままなんですけど、「地域に仕事を作る! 熱海アクセラレータープログラム」という(取り組みをする)。起業する人向けな感じもするんですけど、そうではなくて。

これまで熱海では、おもしろい起業をして、地域でチャレンジする人が出てきました。その人たちが事業も始めて少し形になってきて、実際にサービスをやってきて、ちゃんと黒字化したりとか、いいかたちに展開してきたんです。でもまだまだ、この人たちの事業はもっと伸びるはずだし、もっと地域を変えるようなイノベーションを起こしていく先駆者になって欲しいな、と思っていて。

そういう(背景があり)、起業家3名とともに、地域を変えるような新たなビジネスを生み出すことに取り組む、5日間のプログラムを開催します。5日間と言っても分散しているので、実際は3ヶ月間ぐらいかけてなんですけど。

熱海でチャレンジする、3人の起業家

市来:このテーマの1つ目が、「REFS(レフズ)」。(スライドを指して)この八百屋ですね。非常におもしろい八百屋で。伊豆とか静岡、富士山麓で、オーガニックの野菜とかを作っている生産者たちと関係を作っている、とにかく野菜と生産者が好きな人なんです。野菜のセレクトショップで、それ(野菜や生産者への想い)を語りながら野菜を売っている小松くんという人がいまして。

「REFS」は“Real Food Story”という意味なんですけど、そういうコンセプトを持って事業をやっている会社です。地域の食としてもっといいものを届けていきたいし、ビジネスとしては、店舗で売るだけではなくて、核となるようなビジネスも作っていきたいという課題があって。その課題解決を、一緒になって考えてくれる仲間を募集するのが、まず1つ目ですね。

2つめが「混流温泉」。熱海銀座というエリアは僕らが再生してきたんですけど、ちょっと海沿いに行くと、渚という非常におもしろいエリアがあります。昔、“熱海大火”と呼ばれる火事で、熱海銀座を含め熱海の町すべてが燃えてしまったんですよ。その時に燃えなかったという木造の。もともとはスナックとかが密集していて、飲み屋街だったところ。いまは、熱海の町の中でも一番衰退したエリアなんですよ。

そんな中で実際に先月から、宿を始めたりしている人がいて。その人は、実はもともとアートもやっていて、非常におもしろい現代アートの作家なんですけど。「混流温泉」という会社を作って、この渚のエリアを再生をしていこうと動き始めています。

僕らが熱海銀座でやった取り組みと、8年前に最初のカフェを始めたタイミングは同じくらいなんです。そのエリアを再生していく取り組みは、すでに動き出しているんだけど、どうやって変えていくかという話し合いをもっとやっていきたいと思って、そこに一緒に加わってくれる人を募集したい。これが、2つ目ですね。

3つ目が、「伊豆おはな」さんという、介護タクシーの事業をやられている方です。介護タクシーの事業ってすごく重要で。「伊豆おはなさん」がいないと、もう移動できないお年寄りの方々がいたりとか。こういうサービスがなかったら、みんな救急車ばっかり呼んじゃって、救急車の出動が多くなりすぎて行政的には負担があるし、本当に困った人のところに救急車が届かない、みたいな問題もある。

これは、そういう意味ですごく重要な事業なんですけど、基本は介護保険に則った事業なので。それだけだとなかなか、事業展開していけないという問題があって。

それ以外にも、観光のニーズが増えてきています。徒歩だけではなかなか移動できない人たちとか、普通にお風呂に入るのも大変な人たちとか、そういう人たちに介護付きで観光のサービスをやっていこうとしています。

観光サービスを事業の柱にすることで収益も上げていけるし、やってみるとやっぱり、「人生最後の旅行を家族で行きたい」と思って来た人たちからも非常に喜ばれる。そういうニーズが1つ2つと出てきたんですね。この事業を、もっとちゃんと展開していきたいというところを、一緒に考えてくれる人が欲しいです。

3つの事業の共通点は「チームで地域を良くしたい」という想い

市来:3つのテーマそれぞれの分野はまったく違います。「その分野について専門知識もないけれど、こうして熱海ですでに事業をやっている起業家とともに、自分もいずれ起業したいからやってみたい」という動機でもいいし。もしくは、自分は起業する気はないんだけれども、牽引する人がいれば一緒に事業を作っていきたい、みたいな動機でもいい。

ひとまず期間限定で、この期間だけ一緒になって取り組んでもらって。もう日程は決まっているんですけど、10月、11月、1月の中で計5日間、一緒に事業をブラッシュアップしていくことをやります。

事業を一緒にやって、もしかしたら経営に参画していくことになるかもしれないです。または、何らかのかたちでサポートすることになるかもしれない。そういう方々を募集していきます。何か補足があれば、お二人から。

長谷川:そうですね。さっき、移住の政策はあまりやっていないとお話ししましたが、熱海市や熱海の事業者さんに関わってくれる方は、もう本当に積極的に呼びたいと思っています。

それで、先ほどもお話に出てきた、この(プログラムの)前身である「99℃」の関わり方として、市来さんといろいろやっていきます。行政も本当にコミットしてやっていきますので、ぜひ参加していただければと思います。

市来:はい。水野さんは、起業する人たちにインタビューしたり、その記事の掲載まで含めて、主にやってこられたんですけど。そういう視点から、この取り組みの意図とか意義についてお話ししてもらえるといいな、と思います。

水野綾子氏(以下、水野):そうですね。やっぱり、創業がまだ浅い方が多いといえば多いんですけど、「チームって本当に必要だな」とすごく思っていて。それは地域の人たちに限らずだと思うんですよね。なので、この起業された方たちと一緒にやりたい人は、このプログラムを介して募集したいと思っていますし、チームになってくれる方、サポートしてくれる方をより広く集められるといいと思ってます。

会社を経営することは孤独。チームだからこそ成し遂げられる想い

市来:そうですね。本当に僕もそうだったんですけど。12年前から(熱海で事業を)やって、8年前に会社を作って。あるときまで周辺で応援してくれる人たちはたくさんいるんですけど、結局、経営するという意味ではすごく孤独だったな。

3年前ぐらいから、チームでちゃんと経営していけるようになったのかな、と思っているんです。彼らはすごくいい人たちなんですよ。それで、なんとか解決したい問題があるんですけど、やっぱり一人ひとりが個人で抱えているものがあるので。

いきなり一緒に経営に加わるとなると、うまくいかないことは僕らも経験してきているので。期間限定のプロジェクトでやろうということで。一緒に考えてくれる人を募集して、その中から本当に何か仲間になってくれたり、あるいは自分の関われるかたちでここに関わってくださる方が一人でも増えたらなあ、と。

それによって、こういった人たちの事業も想いも成し遂げられていくし、そうやって町も変わっていく。ここに関わってくれる人が、熱海に仲間が一人でも増えたらいいなあと思って。

水野:これ、プレゼンを毎回やらなきゃいけなくて、最終的には最後のプレゼンがあるんです。「この時期までにこれを出さないといけない」と決めることって、けっこうしんどいんですけど、ものすごく自分のためになると思っていて。私もリノベーションのスクールを受けたことがあるんですけど、限られた時間の中で何かしらアウトプットをするって、すごくいいなと思ってはいます。

市来:そうですね。お金を払って参加して、めちゃめちゃ怒られるということをやる感じだとは思うんですけど。

(一同笑)

市来:それだけ、僕らもけっこう本気で関わっていると。今後長期的に、別に「人生をかけてコミットしてください」というわけじゃないんです。やっている期間が少なくても、一緒にコミットしてもらって、本気で取り組んでもらえると何か繋がるのかな、と思ったりもします。この取組も、今日この「SMOUT(スマウト)」に掲載させてもらっています。以上ですが、いかがですか。柳澤さん。

柳澤:シェアします!

水野:わー、ありがとうございます!

柳澤:もし参加できないという方も、シェアしていただくかたちでもいいかもしれない。

熱海のおもしろい人が集まる「ATAMI2030会議」

市来:はい、そうですね。身近に興味ありそうな方がいたら教えていただくとか。シェアしていただくということで、だんだん広がっていったらいいなと思っています。ということで、長谷川さんからなんか最後に、みなさんに。

(一同笑)

水野:振りましたね。市来さんじゃない?

市来:熱海のPR? あとで僕はちょっと話しますが。

長谷川:PRですか?(笑)。

市来:PRじゃなくてもなんでもいいんですけど。いいですか? はい。ということで30分ぐらいオーバーしてしまって、まだ最後のアナウンス的なものはあるかと思いますが、一旦この最後のセッションは終わりにしたいと思います。今だいぶ喋っちゃったので、喋ることもなくなってるんですけど。これに限らず、熱海とか鎌倉とか、少しでも関わってみたいとか、とりあえず行ってみたいなと思ってもらえたらいいなと思っていて。

来てくれたら、僕らとしてはおもしろい人たちに会ってほしくて。あとでATAMI2030会議のアナウンスもあるんですかね? なければ、アナウンスしちゃいます。あの、ATAMI2030会議というのが……(スライドを指して)これだと小さくて見えないんですけど。

(一同笑)

市来:9月24日にあります。平日なのでなかなか来れないと思うんですけど。2ヶ月に1回ぐらい、熱海市が主催で、machimoriとか民間の人たちが一緒に運営をして、毎回だいたい100名ぐらい参加する会がありまして。次回は、まちづくりの界隈では本当に超有名人というか先駆者である、一般社団法人 エリア・イノベーション・アライアンスの木下斉さんという方がゲストで来ていただきます。

テーマが「地方企業の働かせ方改革」。熱海から本気で働き方と働かせ方を考えようという、先ほど出ていたような複業の取り組みであったりとか。そういう今日のテーマ(と同じような会議)が、9月24日火曜日にあります。11月16日土曜日にも開催する会もありますので。こういうとこに来ると……何が言いたいかというと、熱海のおもしろい人たちがだいたいここに集まって来るので、よかったら来てください。

熱海銀座通りを歩けば、町のキーマンに会えるかも

市来:なかなかイベントに行けないという方は、熱海銀座を歩いていると、だいたいおもしろい人がうちのゲストハウス「マルヤ」向かいの「カフェバー QUARTO(クアルト)」という場所にいます。QUARTOでコーヒーを飲んでいれば、おもしろい人たちがたずねてくる。最近、熱海市の副市長も、その体験をしたとおっしゃっていたので。

長谷川:そうなんです。副市長は7月より経産省から来ているんですが。先日、市来さんに会っていただいた帰りに、その銀座通りを通って帰ったんですけど。そのQUARTOに町のキーマンがたくさん集まっていたので、「ちょっとそこのカフェに寄って、お話ししていきましょう」と、副市長に言ったんですね。

副市長も「行こう行こう」なんて言うので、寄ったんです。その人たちが、複雑というか、いろんなジャンルの方たちがいるので、紹介するのがすごく大変だったんですけど。そんなわけで、少し歩いていると銀座通りでも、市役所の職員という僕の立場でも、みんな手を振ってくれたり。「こんにちは」と気軽に話しかけてくれるんです。銀座通りは、そんな人たちが集まる場所ですので、もし機会があったら寄ってみていただきたいと思います。

市来:はい、ありがとうございます。ということで、「熱海に来てくださいね」という話で終わるんですが。来月も一応、この会はあります。7月からスタートして、毎月やっていて。来月10月4日金曜日に、まだテーマは決まっていませんが、やる予定ですので。

3ヶ月に1回、「アタミート」という、ただ単に熱海をテーマに飲む会を東京で開催していまして。そのアタミートとコラボして、この場所でやろうと思っていますので、よかったらまた次回も寄ってもらえたらと思います。ということで、今日登壇していただいたみなさん、30分以上もオーバーしてすみませんでしたが、ありがとうございました。

(会場拍手)

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