2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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司会者:「最強のナンバー2を語る平成のトップリーダーとは」というテーマで語っていただきたいと思います。モデレーターはCyberBull代表取締役社長の中田大樹さんにお願いしております。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは第1部に入っていきたいと思います。第1部で登壇いただきます嶋聡さんと、モデレーターの中田大樹さんです。みなさま大きな拍手でお迎えください。
(会場拍手)
中田大樹氏(以下、中田):みなさん、おはようございます。さっそく始めていきたいんですけど。トークセッション、孫正義の参謀と呼ばれた男ということで。
今日はうちのサイバーエージェントのナンバー2の日高と、もうお辞めになってるんですけど、孫さんのナンバー2というか、参謀というかたちで傍でがんばってこられた、ソフトバンクの嶋さんにお話をいろいろとおうかがいしていきたいと思っています。
僕、個人的に嶋さんにはいろいろとかわいがっていただいてまして。嶋さんから、いつもうちの藤田と孫さんとのリーダーとしての違いとか、いろんな話を聞いています。これまで僕がけっこういろいろ聞いてきた話を、今日はこの場を借りてみなさんにもどんどんシェアをできればなと思っています。
ちょっと嶋さんの紹介をしていただきながら、僕も聞きながら進めていければというふうに思っているんですが。
嶋さんは実は……みなさん、松下幸之助って知ってますよね? 令和だと知らない可能性があるんですけど(笑)。松下幸之助の政経塾というのがあって、15人くらいですよね? 嶋さん?
嶋聡氏(以下、嶋):(頷く)
中田:1期15人くらいで、松下幸之助のもとで勉強するみたいなところに、嶋さんはまず入られてます。そこから嶋さんは衆議院議員になるんですよね。衆議院議員になって、そのあとにソフトバンクに入るというかたちです。
今は退社されているんですけど、ミクシィだったりいろんなベンチャー企業、スタートアップを含めて社外取締役をやられています。
中田:嶋さん、今日は平成のトップリーダーについてですが、昭和のリーダーだと松下幸之助でそのあと平成のリーダーは、たぶんみんなが第一想起するのって孫さんですよね。もともと自分で事業をやるというか、トップリーダーの下でなにかを学んで将来事業に携わりたいと思って松下幸之助の政経塾に入ったりされたんですか?
嶋:みなさん、こんにちは。中田社長からすごく説明をしていただいて。今ご紹介いただいたように松下政経塾っていう、松下幸之助さんが塾長の学校を出ました。松下幸之助さんって知ってる? 丁稚奉公から始めてパナソニックを作った人ですね。そこでやったんですけどね。
そのあとソフトバンクに行って。ソフトバンク時代は社長室長というポストだったんだけど、ソフトバンクの社長が孫正義ということは知ってますね? その孫正義さんと自分の奥さんより長い間一緒にいました(笑)。大変でした(笑)。
今の質問に答えると、松下幸之助さんが作った松下政経塾という学校に入りました。その当時松下幸之助さんが存命で、3次まで試験があった。1次試験は体力試験だった。それは自信があった。
嶋:3次試験、最終試験は松下幸之助本人の面接。30人くらいにして、それを15人にする。2人に1人を選ぶのが松下幸之助の面接。
リーダーの卵を選ぶのです。こちらは藤田さんというすごいリーダーがおられるけど。またリーダーである中田社長もおられるけど。
中田:いやいや、恐れ多いです。
嶋:松下幸之助さんが最終面接で2人に1人を選んでいくときの基準が2つあって。その第一、「その人間、愛嬌があるかどうか」と言うんです。
リーダーというのはね、ビジョンがあります。夢を語る。その夢・ビジョンが事業計画になりますよね。それがまたいろんな計画になっていく。でもそれを実現するのはリーダーじゃなくて、例えば中田社長じゃなくて中田社長を支える社員とか、スタッフとか、ステークホルダーでしょ?
そういうものがリーダーの夢やビジョンに共感してやってくれるには、そのリーダーの説得力も必要だし、先見性も必要だし、いろいろ必要。みなさんも一緒でリーダーの卵なんだから。その第一は、その人間に愛嬌があるかどうかというね。
第一が愛嬌。愛嬌がないとみんな寄ってきてくれないし。そして知恵も出してくれないから、まずは愛嬌。
中田:なるほど。
嶋:もう1つ。「その人間、運がいいかどうか」と言っている。
中田:それは見抜くのは難しそうですよね。
嶋:そう、難しい。経営は決断だからね、すべて。徹底して考えれば数値化できるわけ。51対49になって51を選ぶ。これはわりと簡単な決断。
でも本当は非常によくわからない。将来がわからない中で決断しなくちゃいけない。50対50のときもあるし。実は考えることができないこともある。だけどそのリーダーが決断したものがパタッといいほうに落ちるかどうかというのは、そのリーダーが持っている運だと言うんです。
で、今の質問の話になるんです。今のね、難しいですよ。同じことを敏腕記者さんが松下幸之助に聞いたの。「愛嬌がいいかどうかって見ればわかります。運がいいかどうかって本当にわかるんですか?」と。
松下幸之助が重々しく、「わしにはわかる」と言ったそうです。本当かいなって思うけどね(笑)。
中田:どういう目があったんですかね。たしかに愛嬌はしゃべればわかると思うんですけど、運っていうのは。
嶋:やっぱりその人の持つ考え方とか。運というのは全員にあるんです。運というのはチャンスを活かすっていう話。チャンスというのはみんな平等にあるわけ。
そのチャンスを掴める。チャンスを掴んでどれだけの効果、収益をあげられるか。そういうことができるかどうかというのは、その人間の持っている資質による。1つは楽観的に物事を考える力とか。それから行動力とか。そういうものがあって、運ができる。
中田:なるほどなるほど。
嶋:要するにみんな将来リーダーになろうと思ったら、運と愛嬌だね。その2つで選ばれて政経塾に入りました。
中田:じゃあこのままいきたいんですけど、今、松下幸之助の話もあったんですけど、孫さんとこれまでにいろんな仕事をされてきたと思います。
いわゆるメディアに出ている孫さんのイメージって、すごく大きいビジョンを、風呂敷を広げて、そこに対して部下を率いてやっていく大将軍みたいなイメージです。実際、孫さんとずっと一緒に仕事をされていて、人物像を含めて孫さんはどういう人だったかを教えていただきたいんです。
嶋:今中田社長が言われたように、まず私が入ったのは2005年の11月だから、ソフトバンクがまだ携帯電話事業を始めてなかったんですね。売上高がね、今ソフトバンクは10兆円くらいなんだけど、(当時は)売上高1.1兆円。
中田:それでもすごいですけどね。
嶋:4年連続営業利益大赤字。いつソフトバンクは潰れるかと言われていた時代に僕は入った。最初の仕事は……さっきの話でいくと、孫正義は2008年ごろにモバイルインターネット革命が起きるって予言していたの。2008年ごろ。なぜか?
2004年、2005年ごろに僕は議員でした。孫さんと話してたら、「嶋さん、2008年ごろにモバイルインターネット革命が起きますよ」と。当時、スマホという言葉はなかったから。モバイルインターネット、移動するインターネット。
なぜですかと聞くと 2つ理由がありますと。1つはムーアの法則というのがありましてね。要するに、コンピュータのCPUが18ヶ月で倍々になっていくってやつ。それでいくと、今コンピュータってこれくらいの大きさ、これくらいの大きさのものが……彼はこう言ったの。「クレジットカード状くらいの大きさの上で、できるようになります」と。「だから携帯電話に入るんです」と。
嶋:もう1つありますと。世界の最高峰のCEOが2008年ごろに再定義された携帯電話を作ろうとしてますっていうのを、2004年、2005年ごろに言っていた。
中田:それはスティーブ・ジョブズのことですね?
嶋:そう。スティーブ・ジョブズのiPhone。
中田:孫さんに先見の明があったのか。実はそういう情報を裏で仕入れていたからそういうことが言えたのか。
嶋:2004年くらいにスティーブ・ジョブズに会ったって。
中田:なるほどなるほど。
嶋:会ったときに、せっかく会えるのでスティーブ・ジョブズに1枚のスケッチを持っていったと。みなさんiPodって知ってる? 若い人。音楽が聞けるやつ。
中田:懐かしいですね(笑)。
嶋:懐かしいでしょ。iPodと携帯電話を足して新しい携帯電話を作るべきだと言って持って行ったと。そうしたらジョブズがニヤッと笑って、「今考えている」と言ったと。だから今の話でいくとなんとなくね、こういうことがあると思ってた。
中田:それはさっきの冒頭の行動力という話があったと思うんですけど。孫さんってトランプが就任したときにトランプに会いに行ったりとか、それこそスティーブ・ジョブズに会いに行くとか。
そういうのって普通の経営者やったら……会いたいですけど(笑)。そこまで行動できるっていうのが(なかなかできるものじゃない)。だからこそ今の先見の明じゃないですけど、先に情報を仕入れてにいくことができたみたいなところだと思うんです。
嶋:それはまず第一。行動力があるというのは第一です。中田社長もものすごく英語うまいんだよね。
中田:実はね(笑)。そうなんですよ。
嶋:まずはみなさんね、英語くらいはできるようになっといたほうがいいよ。
中田:言語ですよね。
嶋:まず第一言語で。ただ今英語ができるのは、正直言って普通だから、第二言語、中国語でもいいし何語でもいいけれど、それくらいやらなきゃ。彼もやっぱり英語が得意だったことは大きいよ。
中田:なるほど。
嶋:ただね、会ってもね、スティーブ・ジョブズと話して。(ジョブズは)普通言わないんだよ。そんなこと。将来何をするかっていうのは。私もAppleとはよくいろいろやったけど、ものすごく秘密主義で言わないのよ。だけどなんで孫にそんなことを言ったかと言うと、たぶんね、同じ未来を見てたんだと思う。
中田:なるほど。
嶋:この男は同じ未来を見てると。だからこの携帯電話の話、つまり今のiPhoneね。2004年、2005年くらいの話よ? 「この携帯電話の話は誰にも言ってないのに、君が最初に会いにきた」と。
中田:その当時。
嶋:この男は同じ未来を見てると。同じビション、同じ夢、同じ未来。それが見れるかどうかが行動力+でリーダーの条件だと思いますね。
中田:そうか。それ以外で、孫さんといろいろ仕事されてきたと思うんですけど、印象に残っている仕事とかってあったりするんですか?
嶋:だいたい孫というのは将来を見て、ビジョンを描いて、こういうビジョンが来るからそこから逆算して、今これをやるんだって言って。旗を掲げて、理想を掲げて走るタイプなんですよ。「みんなついてこい!」って感じで。一番尊敬するのが織田信長。
中田:孫さんぽいですね。
嶋:好きなのは坂本龍馬。
中田:会議室でたまに木刀振ってるんですよね? 集中するために。
嶋:そうそう。坂本龍馬の写真があるんだよ。社長室に。そこで坂本龍馬の写真を見ながら、(素振りのジェスチャーをしながら)こう振ったりして。
ソフトバンクの社章っていうのは、今はシルバーの線で3つのあれなんですけど。あれ海援隊のマークから取ってるんですよ。
中田:あ、そうなんですね。
嶋:海援隊のマークは赤。
中田:なるほどなるほど。
嶋:孫さんという人は今中田社長がおっしゃったように、ともかく前へ、5年先10年先を見ている。今みなさんいろいろ迷ってるかもしれないけど、「迷ったときほど遠くを見ろ」というのが方針。
荒波に入っていくときに、海の近くを見ていると酔っちゃう。そういうときこそ5年先、10年先を見る。そのビジョンに向けてそれを実現するために逆算して、戦略戦術を尽くしてなんとしてもそこに到達する。そこにみんなついてきてくれっていう。こういうリーダー。どちらかと言うと織田信長型リーダー。
中田:ガンガン引っ張っていくタイプですね。
嶋:ガンガン引っ張っていくタイプですね。それを通訳するのが私の仕事。例えばね、孫さんって仕事好きな人なんですね。朝9時半くらいに出てきますけど、ずっとやって、昼も夜もだいたい仕事しながら。ご飯食べながら仕事をする。
21時半くらいに、例えばだけどFacebookのザッカーバーグとか、Googleのエリック・シュミットとか、そういう方と話をしたあとに21時半に終わるでしょ。接待終わって、どうもありがとうございましたって帰すでしょ。22時から会議入ってんだよ。
中田:そのまま。
嶋:夜の。そこは大幹部ばかりだから、非常に複雑な会議です。難しい会議。それで議論を1時間半くらいします。私は毎日のことだから23時半に孫さんに帰ってもらうようにします。そのものすごく難しい議論をした会議のときの最後の孫の言葉というのは、いつも決まっている。「よし、見えてきたな!」って言うんだよ。
中田:なるほど。
嶋:「よし、見えてきたな!」と言って、みんな23時半に帰るわけ。そのあと、その会議に出てた副社長とか常務とか役員が僕のところに来て、「嶋さん、どう見えてきたんですか?」と聞くのね(笑)。
中田:ははは(笑)。
嶋:でもこれ大事だよ、リーダーは。「よし、見えてきたな!」と夜寝ると、前向きに考えるからソリューションが見つかる。そういう人生観。
中田:思考方法みたいなところもあるんですね。ポジティブというか、肯定的な。
嶋:そうそう。楽観主義ね。物事は楽観的になれば力が何倍にもなるんだよ。
中田:「なるほどなるほど」と考えてて、落ちてきてバーって散らばったものを嶋さんが全部整理していく感じですね(笑)。
嶋:まあ大変だったね(笑)。
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