
2025.02.18
AIが「嘘のデータ」を返してしまう アルペンが生成AI導入で味わった失敗と、その教訓
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生崎文彦氏(以下、生崎):それでは最後のセッションになります。パネルディスカッション「サブスクリプションへの道筋、あるべき姿」ということで、モデレーターはキメラの生崎が務めさせていただきます。
最初はパネラーのご紹介からさせてください。まず照井さんから、お願いいたします。
照井真一氏(以下、照井):みなさん、こんにちは。電通の照井といいます。
僕は出版ビジネスプロデュース局の新規事業開発部的なところにおりまして、主に出版社さんとデジタル領域で新しい事業をつくって収益を上げていくというミッションに日々取組んでいます。
去年、こちらにいらっしゃる富士山マガジンさんと一緒に、雑誌の記事のマネタイズに特化したmagaportという会社をつくったり、直近では小学館さんとDeNAさんがやってらっしゃるMERYという会社に事業投資をさせていただきました。MERYさんと一緒に、広告に限らず、ECですとかグローバル展開ですとか、メディアビジネスのあらゆるマネタイズにトライアルしていたりします。
なので、電通的には広告ビジネスはもちろんなのですが、広告以外のあらゆるメディアビジネスのグロースに貢献していきたいということで、いろいろと取り組んでおります。
生崎:ありがとうございます。今回のこの3人のメンバーって、通常のパブリッシャービジネスのどこでサブスクリプションと絡んでくるんだろうと、疑問を持たれたかもしれないんですけれども。三者三様で、パブリッシャーのグロースに貢献するという立場で今日は登壇いただいております。続きまして、神谷さんお願いいたします。
神谷アントニオ氏(以下、神谷):こんにちは。富士山マガジンサービスの神谷と申します。
当社はずっとメディアの元祖サブスクリプションである定期購読の分野で、出版社様のコンテンツのマネタイズにいろいろ注力してまいりました。
今後、その主戦場が紙の流通からWebに移るにあたって新しい取り組みを考えています。いま照井さんからもお話がありましたが、magaportというジョイントベンチャーを通して、みなさまのコンテンツをお預かりしてマネタイズすると。今回はキメラさんのPianoとも積極的に取り組んでいこうと考えていますので、よろしくお願いいたします。
生崎:ありがとうございます。3人目、大東さんお願いいたします。
大東洋克氏(以下、大東):キメラの大東です。
もともとはGMOという会社で「お名前.com」とか「.shop」とか「.tokyo」の事業をやっていました。そこから独立したあと、コンテンツ最適化やマシンラーニングの分野に入ってきまして、今はCAMPFIREという会社と、あとはキメラで事業をやっています。
僕はもともとIxPという、サブスクリプションとすごくディープに関わる文脈にいたりですとか、ホスティングとかお名前.comみたいなドメインの小売事業とかをやっていたので、そういったマーケティングの要素をなんかを活かしつつやっているんですけど。ぜんぜんパブリッシャーとは違う界隈からやってきて、その方向を見ているので、ある程度客観的にやっていこうという感じでやっています。よろしくお願いします。
生崎:ありがとうございます。自己紹介がきれいに終わりました。
井崎:最初のテーマについて、今日の途中のセッションへのご質問でもあったんですが、自社メディアのエンゲージメントと、あと日本の特殊事情としてYahoo!ニュースさんやSmartNewsさん、Gunosyさんなど、その他諸々のポータルだったりキュレーションアプリなどでたくさんのコンテンツが読める状況で、果たして今日の各セッションであったようなエンゲージメントをどうやってつくっていくのか。
そのあたりについてディスカッションを進めていきたいと思います。
まず、サブスクリプションといえば富士山マガジンさん、一応紙ベースではずっとやっていらっしゃると思うんですけれども、デジタル時代のサブスクリプションはどのように考えていけばいいかについて、聞かせていただけないでしょうか。
神谷:当社といたしましては、外部メディアというのは、そういう意味ではいわゆる本屋さんと同じ役割を果たしていると考えています。それぞれのメディアでちゃんと表紙が見えるよう置いてあるので、ブランドを読者に提案する役割を果たしています。
読者は、何を信じるか、どういうコンテンツを信じるかを、外部メディアを通じて模索しているんだと考えています。そして、その外部メディアからのトラフィックに乗ってきた読者たちを、自分たちのコンテンツを使って、最終的に自分たちのブランドの下にユーザーを引き込むべきなんです。
そうやって外部メディアとは今後も引き続き付き合いながらも、自分たちの顧客への誘導の源として使うべきじゃないかなと考えています。
生崎:ありがとうございます。
井崎:電通さんはいろんなメディアと、もともとお仕事されていると思うんですけれども。電通さんとしては、プラットフォームの類いだったりとかエンゲージメントの知見としては、どういった考えがありますでしょうか?
照井:我々が広告ビジネスを行ってきたなかで、出版社さんのWebサイトでのタイアップ展開をよくするのですが、そのタイアップコンテンツを外部のSNSやキュレーションメディアとか、いろんなところに展開してリーチを稼ぐことで、クライアントさんに満足いただけるような結果を出すといったことをやっております。
そういう意味で、先ほど「読者を知る」みたいな話がありましたが、広告会社もそのタイアップコンテンツを見る読者がどういう人で、どういうインサイトを持っているかといったデータを、DMPなどを活用し分析しています。そのあたりのノウハウは、出版社さんのサブスクリプションビジネス等に活かせるんじゃないかなと考えています。
生崎:ありがとうございます。我々としても分析できる体制と人間がいますって話なんですけれども。そういったところで、ポータルやキュレーションアプリに人がたくさん集まってきているという現状に対して、我々はどう考えていけばいいのでしょうか。
サブスクリプションにつなげるにあたって、どう考えていけばいいのかということを、ちょっともう一度、照井さんに追加でお願いできないでしょうか。
照井:キュレーションサービスやニュースアグリゲーションサービスというのは、簡単にニュースとか情報を収集する上では便利なのかなと思っています。
だけどパブリッシャーさん視点では、そこにどういう記事を出して、そもそもどういう目的でその記事を出していくのかなど、ちゃんと考えてマネジメントしていって、認知を広めるためにやるのか、あるいはリーチを稼いで広告ビジネスに活かすのかなど、目的をきちんと整理する必要があるのかなとは思っています。
生崎:ありがとうございます。富士山マガジンさんはメディアで人をちゃんと集めた上で定期購読につなげる仕組みをお持ちだと思うんですけれども。その中で、キュレーションあるいはポータルはどういうふうに運用しているんでしょうか?
神谷:新しいお客さんとの出会いの場というのは、ソーシャルだったりキュレーションサイトだったり、新しい本屋さんもそうですが、どんどんシフトしているわけです。どういう新しい場所でどういうお客さんと出会うか。
実際にPVを集めるだけじゃなくて、キュレーションサイトだったりトラフィックの源からどういうお客さんが来ているのかをしっかりと認識した上で、「こういうお客さんが1回記事を読んでくれたんだったら、2回目にはどういう記事を出すべきなのか?」とか、そういうエンゲージメントの方法に取り組む必要があるんじゃないかなと思っています。
生崎:ありがとうございます。大東さん、そのあたりなにか海外事例とかってご存じじゃないでしょうか?
大東:海外事例? ……けっこう難しいことを振りますね。逆に日本の事例で、すごく海外と違うなというのはあって。さっきの事例の中でもすごく出てきたんですけど、どうしても無料とかフリーミアムに走りたがって、「まずはユーザー数を獲得しましょう」と。でも、「そのあとどうするの?」と。実は施策があんまりないなと思っていて。
海外では、けっこう最初から振り切っていて。有料モデルは有料モデルということで、最初からきちんと課金を回していて、実はフリーミアムとかが謳われている以前から実はあったりします。なので、プレミアムがどこについているのかを明確に出しながらやっているのが、海外でのすごい大きいところで。
日本が今後チャレンジしていくのは、例えばニュース記事のコンテンツにしてもいろんなサービスにしてもそうなんですけど、無料でユーザーを増やしたことによって、そのプレミアムの価値がどんどん薄れていったりとか、そのプロダクト自体に対する信頼値がけっこう落ちてきているのをいかに盛り返していくか。プレミアムを高めつつ、今あるビジネスモデルをいかに転換していくのが重要になってくるかなというのは思っています。
ちょっと質問からズレちゃいましたけど。
生崎:いえいえ。そういうモデルをいかに作るかということですね。海外ではそのような事例が見られるなかで、富士山マガジンサービスさんは紙を含めたサブスクってところでいろいろすでにやっていらっしゃると思うんですけれども、じゃあ、例えばユーザーをちゃんと知るために、具体的にどういう手段を組んでいってやればいいのでしょうか?
神谷:まずは手元にあるデータをしっかりと分析できるようになることです。そもそもどのサイトから来たのかというだけである程度ユーザーのことはわかっているはずなので、それをもとにデータ分析を、それこそChartbeatだったり、そういうツールを使ってしっかりと認識していくことが重要かと思います。
また、メディアだけでなく、イベントだったり物販だったりいろんなWeb上で展開できるCall To Actionや、ユーザーのアクティビティを提案することによって、そのユーザーがどういう行動をとっているかにもとづいてそのユーザーを知っていくのが、1つの重要な今後の取り組みになるんじゃないかなと考えています。
生崎:そういう点でいくと、今日のセッションでもいくつかありましたけれども、「まずEmailアドレスをちゃんとゲットしましょう。コミュニケーションのタッチポイントを作りましょう」というのが継続においてもけっこう重要なところだと考えています。
神谷:そうですね。いろいろなタッチポイント……ソーシャルだったりアプリだったりがある中でも、メールはそういう意味では重要です。ログインでも使われていますし、一番効率よくユーザーを捉えることができる1つの手段だと考えています。当社としては、今後も引き続きメールを中心としたコミュニケーションを含め、出版社様と一緒にお客さんとコミュニケーションをとれるようにしていきたいと考えています。
生崎:電通さんの広告ビジネスとしては、当然プラットフォーマー様だったりというのは御社のビジネスとしては大きいじゃないですか。一方で、じゃあパブリッシャーさんにその知見を展開するとして、電通さんがやれることは例えばどういうところになるのでしょうか?
照井:我々は当然キュレーションサイトさんとかニュースサイトさんともお付き合いがありますが、出版社さんのWebサイトでのマネタイズという観点でいくと、サブスクリプションとかEコマースとかのいろんなサービスモデルを作って、いわゆる360度で稼いでいく事が重要で、そのお手伝いが僕らもできるんじゃないかなと思っています。
Pianoさんや、Googleさんなどからサブスクリプションを活かすいろんな便利ツールが出てきていますが、パブリッシャーのみなさんが本当に価値あるコンテンツを作って、サブスクリプションユーザーが増えれば増えるほど、すなわちロイヤリティが高いユーザーがどんどん増えていくことになります。結果、それが広告ビジネスにとっても大きな価値になるんじゃないかと思います。
海外だと、サブスクリプションユーザーに対する広告配信が、通常の無料のユーザーに対してよりも数倍高い単価設定が可能になったという話も聞いています。そういう意味では、サブスクリプションユーザーを獲得していくことと、広告ビジネスとは必ずしも相反しないことだと思っています。
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