2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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遠山正道氏:(スライドを指して)これは私がケンタッキーにいた96年当時、会社に提案したときのプレゼン資料ですね。99年オープンだから、98年というともう20年前ですね。ご覧の通り、絵のキャンバスです。古臭いから麻布を取って、ビニールをかぶせて、私が描いたものです。今日はデザインがテーマなので、デザインのことでいうと、このロゴも私が描いて提案しました。
ちなみにロゴが黒い理由は、企画書にもありますが「スープに彩りがあるから、余計な色を使わない。だからマークも墨である」と書いていますね。実際にうちの店に行っていただくと、例えば木やモルタルやステンレスといった素材だけで、意味なく壁を赤く塗ったりするような、そうしたことはしていません。
またリーフレットなども、イタリアンフェアなどのときに三色旗が必要、などといった場合はあるけれども、意味なく赤く塗ったりするようなことはしていません。最初の企画書に三行くらいそうしたことが書いてあったので、今はもう、今年で20年ですが、そこはずっと変わりません。
世の中は、右に行ったり左に行ったりはしますが、私はよくブランドや会社を人物に置き換えるんですね。Soup Stockだったら、「Soup Stockさん」といったように。20年続くと、だいぶその顔立ちがはっきりしてきて、ジャッジがしやすくなります、むしろ。まぁ作品だという意識がこれですね。
(スライドを指して)それから、これは途中で書いた事業計画です。これもキャンバスにスープがあります。ちなみに、よく見ると数字などはぜんぜん書いていないんですね、私の事業計画は。最後なんか鶏一匹になっちゃっていますね。これは意味が、私にもよく分かっていません。
普通は右肩上がりでね、摩天楼とか、そういった拡大がよくビジネスのイメージとしては使われると思いますが、うちは百より千の方が偉いという、拡大がよいという価値観は特段ないんですね。
MBOといって、会社の株を買わせて頂いたんですが、そのときに会社を、サイコロに見立てて写真を撮りました。当時アンドレアス・グルスキー(Andreas Gursky)という写真家が好きだったから、今日とはぜんぜん関係のない話ですが、GRで小っちゃなサイコロを撮って、どこを振っても丸しかないサイコロだったので、みんなで振ろうと。サイコロにとって不幸なのは、振られないことだから、みんなで振ろうね。ということで写真を撮りました。
また、Girrafというネクタイのブランドをやっています。これはなにかというと、私は……こんな調子で話していてもいいのかな(笑)。もうすこし早くしますね。
「ウラガワ」だからコンセプトのようなもの、アートでいえばコンテクストのようなことをここで言おうと思います。あるいは冒頭の話でいうところの、本能のような感じですかね。
私は三菱商事に入ったときに、6年目ぐらいだったか、なんか調子が悪いなと思っていました。仕事の後、ガード下で一杯やりながら、上司や会社の愚痴を言っていて。ビジネスマンに憧れて入ってきたんだけど……と思っていました。サラリーマンの首って、会社や社会にネクタイで首を絞められているような感じだから、それを変えようと思ったんですね。
当時、情報産業の部長に、ネクタイを「世の中が良くなる提案としてのネクタイなんですが」といってプレゼンしたら、「いや、分からない」と言われました。「そうですね」と、一回引き返した。
次にSoup Stockができて5年ぐらいしてから、いよいよ機は熟したと思い、今度は商社のアパレルの部長さんのところに行って「温めていた企画のネクタイです」とプレゼンしたら、「君はスープを作っていなさい」などと言われた。
当時は、まだ研究などはダメだったので、僕は外で会社を作り、かみさんに代表になってもらって、「giraffe」という会社を作りました。(スライドを指して)下に、数字が4つ書いてありますが、左から2つ目の36度。これは体温なんですね。36度、「平熱。技術、家族、知性」といって、おじさんの、なんかぐじゅぐじゅしたネクタイを、無地でもいいからきれいにしたいと。
38度は「反骨の気概、ユニークネス。恋愛!」。これは一番giraffらしいところで、人に首を絞められるんじゃなくてですね、自分で自分の首をキチッと締めて、キリンのように高い視点から遠くを見つめる。一人ひとりがそうすればいい。世の中が良くなるだろうという前向きなメッセージ。40度はもうイっちゃっている世界で、34度はもう俺クールな世界。そういうものです。
また、海苔弁屋さんもやっています。これはうちのクリエティティブから言われて、自分でこの文字を書いたんですね。この間、インスタにあげたものを持ってきました。
「自分で書いた字はさすがに自分も好き。好きに書いているから当たり前か。自分たちで作ったブランドは自分も好き。好きで作っているから当たり前だ。その当たり前が、いかに少ない世の中か。誰のものでも、誰の好きでも、誰の責任でもないものたち。できれば誰かの好きに溺れたい」
もうそのままですね。
20世紀は経済の時代、21世紀は文化と価値の時代だと思っています。「文化と価値とは一体なんだろう」と思い、我々スマイルズという会社は、作家やアーティストとして、芸術祭に6年前から作品を出しているんですね。
(スライドを指して)これは2015年の、越後妻有大地の芸術祭の作品です。これはその翌年、瀬戸内国際芸術祭に出した「檸檬ホテル」という作品です。まぁ作品なんだけど、作家としてのスマイルズのコンテクストはビジネスです。だからちゃんとビジネスとして自立するということを作品のコンテクストにしたので、ホテルにして、ちゃんと収益を上げて、自立しています。
(スライドを指して)これはなんだと思いますか? これは言っちゃうと、レモンのお洋服ですね。ニッターさんに編んでもらったんです。とっくりがキュッと絞られたような感じでね。これ、私はすごく好きで。檸檬ホテル、香川県に行かないと買えないんですね。
これが1個1,200円。だいたい反応がふたつあるんですよね。「え、なにこれ!?」というのと、「え、かわいい!」という反応なんですが、だいたい女子が来たら、「なにこれかわいい!」と言って、1,200円でうっかり買ってくれる。
(会場笑)
東京に戻って、友だちに「はい、これ」と言うと友だちも「なにこれ!」と言って「檸檬の洋服よ」と言う、そういうものなんですね。
(会場笑)
うちの会社はこういう感じになるといいと思っています。少なくとも、マーケティングなどからは出てきませんね。まぁこれだけでは会社は経営できないんだけど、分母がちっちゃければ、分子がちゃんと帳尻合ってればいいかと思っております。
アートも事業も経営も、「子どもの眼差し×大人の都合」なんて言っています。世の中は大人の都合ばっかり。なんかマーケティング的になってしまっていて、もっと「ああこういうシーンが見たい」、「ああ、絶対にあそこにたどり着きたい」というような、子どもの眼差しのようなことが、今はほんとに少なくなっちゃっている。
だから、今日はたぶんビジネス側の方が多いと思うので、子どもの眼差しを思いだそうよと。内側のことや、好き嫌いのことなど正直に。こっちにはなんか成立するか、忖度といったことが書いてありますが。アートの見栄えなんかで話すと、こっちばかりじゃなく、こっちも成立しないんだからというような(笑)。その両方を掛け合わせながらやっています。
アートとは「みえないトリガー」などと言っているのだけど、まぁ「きっかけ」ということですかね。私はもう見えている世界や喋れる言葉、触れるものというのは、世の中の10パーセントぐらいだと思っています。それ以外の90パーセントはまだ闇のなかにあって、そこにたぶん価値がたくさん眠っている。
そこに例えば、アーティストであれば彫刻があって、大きな石の塊から自分だけに見えている像を、ノミと金槌で、コンコンコンやって掘り出していくじゃないですか。まだなにもないころから、うっすらと自分で思っているものを作り上げていく。ビジネスもそうだと思うんですよね。えーとこんな感じ、というような。
アーティストは1人でもできるけれども、ビジネスはなかなか1人じゃできないので、なるべく迎合化したり、共有化しながら、その形を言葉にしながら、見えない9割の中からこんなものというものを作り出す。だから私は、ビジネスはアートにすごくよく似ていると思うんですね。
冒頭に「すべては自分ごと」だと言いましたが、アーティストも、自分でなにをやるか、なにを作って、なにを提示するかということを感じるじゃないですか。ビジネスはどうしてもそこがマーケティング的になっちゃったりする。でもそこはアートと同じように、自分たちの中にある、発意からスタートしようね、ということを言っています。
あと5分ですね。私は「The Chain Museum」という新しいビジネスを始めているんですね。それこそ、先ほどの9割のところ。芸術祭で、私はそのスマイルズという会社が、作家として次の作品はなにを作ろうかと思ったときに、スマイルズの作家としてのコンテクストとビジネス。
我々はチェーン店をやっていたから「チェーン店とアートってすげえ相入れなくて、なんか面白そうだな」と。だったらいっそのこと、Museumとチェーン店をかけ合わせて「The Chain Museum」という言葉だけができたんですね。まぁ、先ほどの話でいえば、このまだ暗い所に、さっきの「The Chain Museum」という言葉だけをまずは置いてみた。
そうすると、なんか面白いんですね。だいたいこの1割のほうというのは、いろんな上司がいたり、法律とか……まぁ法律はしょうがないんだけど、いろんな常識だとかなんだとかがあって、たどり着くのがめんどくさい。でもこっち側は、ポンと置いてみると、なんかヒュ~ッと行けるんですね。
と言いますか、手前で勝手にやりゃあいいんだから。そこに行けるようにね。「The Chain Museum」なんていう概念を、それってなあに? という、それ自体を自分たちで作っていけばいいわけですよね。
来月ぐらいにできるんですが、唐津に自然電力の発電所をつくります(唐津市湊風力発電所)。電力というものは目に見えませんが、このちっちゃいスライドの須田悦弘さんという作家の、ちっちゃい雑草をモチーフにした作品がのっかっているんですね。目に見えないものを、目を凝らして見てみようとする作品です。
年に1日、10人だけが上に登って見ることができます。これは、私が登ってiPhoneで撮った写真です。こんな建築もあったり、そして「ArtSticker」というアプリを作りました。「アートにはお金が必要だ。王様や宗教にかわって私たちがそれを支えよう。アートを自由にする小さくて大きな革命」
みなさんの袋に、チラシを入れさせて頂いているので、ぜひQRコードで読んでいただきたいと思います。アートは売買や入場料収入しかなかったけれど、その次となる第三のお金の流れをつくって、売買でも入場料でもないお金によって、アーティストがもしそれで食っていけたら、アートは自由になる。イラストレーションなど、なんか売りにくいものでも、これでお金が入ってくるんであれば、売買しなくても食っていける。
あるいは、ちっちゃな売買しやすいものではなくて、5メートルの絵だとしても、むしろそっちのほうがこの「ArtSticker」で伝えていくようになるかもしれない。そうした、アートの在り方を新しく模索しているものです。
そんなことで「ウラガワ」とは、なんでしょうか。最後にいえば、見えている10パーセントではなくて、まだみえてない「ウラガワ」というのか、見えていない9割の方にこそ、まだまだ可能性があるし、自分で見つけちゃえば、そこに直線でたどり着けるので、9割側をときめきと共に、見出すことをお勧めします。
ぜひ、QRコードを読んでくださいね。これでギリギリなんでお終いにします。ありがとうございました。
(会場拍手)
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