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あなたがマネジメントすべきプロダクトとは?〜BtoB SaaSプロダクトにおけるマネジメントすべき領域について〜(全1記事)

プロダクトマネージャーには視座を調整するスキルが必要 SaaSのプロダクトにおける、マネジメントすべき領域とは

2018年7月7日、株式会社フリークアウト にて「プロダクトオーナー祭り 2018 Summer ~プロダクトマネジメントが世界をツナぐ~」が開催されました。IT関連企業に所属するソフトウェア開発のプロダクトマネージャーやプロダクトオーナーを中心に、それぞれが携わるプロダクトの価値や、マネージャーとしての体験談など、幅広い観点からライトニングトークが繰り広げられました。本記事では、ベルフェイス株式会社のプロダクトマネージャー 吉本猛氏によるLT「あなたがマネジメントすべきプロダクトとは? 〜BtoB SaaSプロダクトにおけるマネジメントすべき領域について〜」の模様をお送りします。

勘と根性の営業をテクノロジーで進化させる

吉本猛氏:ありがとうございます。よろしくお願いします。ベルフェイス株式会社の吉本といいます。ベルフェイスでは取締役業と、開発チームの取りまとめと、あとプロダクトマネージャー(以下、PM)及び、他にもいくつかやっています。

まず簡単に自己紹介します。なんとなく見た目で「この人はエンジニア出身じゃなさそうだな」って思われた方もいるかもしれないんですが、私はもともと営業出身でして、開発をしたことがなかった人間です。

広告代理店で営業をしてまして、今の会社の代表は中島一明というんですが、彼と8~9年前くらいにTwitterで出会いまして。そこから一緒にいろんな事業をやらせていただいてます。

前職も今の代表がやってた会社なんですけど、そこで「インサイドセールス」というものを用いて、3年で新規契約を6,000社くらい開拓いたしました。ほかには『日本の社長.tv』というWebメディアなんですが、そこのセールスのチームや代理店支援、あとは制作チーム、カスタマーサクセスチームなど、もろもろの統括を全部やってました。

そして3年前くらいにベルフェイスを一緒に立ち上げまして、セールスとカスタマーサクセス、テクニカルサポートなどいろんなものを経て、今はPMをやってるという状況です。

現在は主にリモートでプロダクトチームを運営してまして、私も普段は福岡にいます。福岡と東京を行ったり来たりしながらも、リモートで各県にいるエンジニアやデザイナーとやりとりをして開発してる、という状況です。その他のトピックのところは、特にいらないですね、割愛して(笑)。「いきなりステーキ部(非公認)」とかいろいろやってるんで、ご興味ある方はお声がけいただければと思います。

訪問を超える「インサイドセールスシステム」

ちなみに、さっきちょっと名前を出してしまったんですが、「ベルフェイス」という社名を聞いたことある方ってどれくらいいらっしゃいますか?

(会場挙手)

おお……でも思ったより多い気がしました。まだうちは4期目なので、正直まだまだ知られてないだろうなと思ってたんですけども。

ちょっと簡単に紹介すると、ベルフェイスは「Technology for Sales ~勘と根性の営業をテクノロジーで進化させる~」をビジョンにしています。なにをやってるかって言うと、B to Bのセールス・顧客のサポート向けに特化した、訪問を超える「インサイドセールスシステム」……要は営業に特化したWeb会議システム、営業向けSkypeみたいなものですね。そういうものをやってます。

まだ4期目なので、正直まだまだです。リリースしてからは2年ちょっとですけども、導入社数もまだ700ちょっとくらいですし、まだまだ自分としては発展途上のプロダクトだなと認識をしています。

(手元にある旗を指して)ベルフェイスって「インサイドセールスシステム」というくらいなので、事務所でオンラインで商談してると、一見なにをしているのかわからないんですね。なので近づかれたり、話しかけられたりするんですよ。それって困るじゃないですか。だからこうやって「ベルフェイスしてます」っていう旗を立てておくと、周りから話しかけられなくていいんです。今は導入企業様にも配っているグッズの1つです。「なんだあいつ?」って思われていたかもしれないんですが、ご理解いただければと思います(笑)。

PMは成果がすべて

自己紹介はこのくらいまでにして、ちょっと仕切り直させていただきます。「マネジメントすべきプロダクトってなに?」っていうとこなんですけど。まず最初に、私は基本的にPMは「成果がすべてである」と考えてます。

例えば、マーケティングチームがリード取り切れないのも、セールスチームが売れないのも、CSチームの継続率が低くなってしまうことも、サポートチームがパンクしててんやわんやするのも、基本的にはPMの責任であると私は考えてます。私は会社で取締役をしながらっていうところもあるので、少し発想が違うかもしれないんですが。

「PMって結局なんなの?」っていうところに最終的には行きついてしまうと思うんですけれども、それを考える時、ちょっと言葉を分解してみましょう。「プロダクトマネージャー」って「プロダクト」を「マネジメントする人」ですよね。

プロダクトについては後程お話するんですが、「マネジメント」っていう言葉が入っている以上……これはドラッカーの本などにもいろいろ書いてますが、基本的には「組織に成果を上げさせる」っていう言葉が必ず入ってきます。これはなにかって言うと、要は「成果を出す」のがやっぱり1番求められてる役職なんですね。「マネージャー」という言葉がつく人は、基本的には成果を出す人だと。

じゃあこの成果ってなんなのかって言うと、企業からしてみれば、ビジョンの実現だったり事業計画の達成っていうところがいわゆる成果なんですよ。それを超えられるかどうかが1つの成果だと。出ないんだったら、言ってしまえばやってる意味がない……。ここまで言うとちょっとオーバーですけど、それくらいの気持ちで取り組んでます。

「自社のプロダクト」とはどこまでを指しているのか

じゃあ次は「プロダクト」のほうですね。ちょっともう1回(言葉を)分解してみます。「プロダクト」を「マネジメントする人」なので、「じゃあ『プロダクト」は?」って話になってくるんですね。

セールスマネージャーとかサポートマネージャー、カスタマーサクセスマネージャーとかもそうですね。いろんな部署で「マネージャー」ってつきます。「マネージャー」っていう言葉がつく役職において、じゃあ「プロダクト」ってなんなのというところで、ここにちょっとエンジニア出身じゃない私として、いくつか思うところがありまして。

「じゃあ、うちのプロダクトってなに?」「あなたが言うプロダクトってどこまでを指してるの?」っていうところに、結構ひっかかることが多くて。よくあるのは、「プロダクト」ってそのまま翻訳すれば「製品」とかっていう言葉になってくるので、一般的な企業的にも認識されてたりするのが、デザインとか開発の部分がどうしてもメインになってきます。

それ以外はあくまで1つのステークホルダーであって、コミュニケーションをしっかりとってはいくけども、「やっぱり開発チームがメインだよね」ってところが多いのかなと思ってます。

こんな感じですね。真ん中にプロダクトがあって、それぞれをこうやって結んでいくようなのがプロダクトですと。うちは「プロダクト」っていったら「製品」ですっていうのが、一般的によく聞いたりすることなんですね。

私からすると、あんまりその考えって好きじゃなくて。「本当にそれで成果が上がるのかな?」っていうところがあります。なんかモヤモヤするんですね。自分でPMをやってて、「そこだけしか、やっちゃダメ」って言われたら、モヤモヤするんです。「そこにしか関わるな」って言われたらモヤモヤしちゃうんですよ。

「プロダクト」とは顧客に提供しているものすべて

うちの場合はとくにその気が強いんですけど、オンライン商談やインサイドセールスという分野で、競合となるプロダクト・製品って実はそんなにないんですね。どちらかと言うと競合というのは「商習慣」「昔ながらの勘と根性の営業」だと定義しています。

そうなってくると、商品がどうとか製品がどうってだけじゃないんですよね。営業をされたことのある方もいらっしゃるかもしれないんですけど、ツールが良いからって必ず成功するとは約束できない世界です。PowerPointが使えたからといって、営業が成功するかっていったらそうじゃないんですね。

なので、UI(User Interface)とか機能とか、目に見えるものがいくら良くても不十分で。どうしてもそれを使う営業マンのスキルだったり、考え方だったり、インサイドセールスであればそれを運用するチーム体制だったり、いろんなことが関係してきます。カスタマーサクセスチームによるものだったりテクニカルサポートチームによるものだったりのサポートの中で、そういう目に見えない部分も一緒に設計していって、そことセットになってないと成立しないと考えています。

なので自分は、プロダクトっていうのはあくまで「顧客からいただいてる料金内に納まってる、顧客に提供しているものすべて」と考えています。一連の物事すべてをプロダクトと定義しています。

(スライドを指しながら)どういうことかって言うと、こういう一連の流れがあります。さっきのとちょっと違うんですけど、こういう一連の流れを全部含めてのプロダクトじゃん、っていう話ですね。サポートセンターに電話して問い合わせ対応してくれるんだったら、それもプロダクトなわけですね。そこの設計までしっかり考えないと、本当の意味で事業として成り立たないよね、っていう話ですね。

なので、こういったことができないっていう課題があるんだとしたら、それは基本的に全部自分の責任であると認識しています。

ここまで言うと、「それって社長の責任じゃん」「事業責任者の役割では」っていう声もあるんですが、正直それでいいと思ってます。なにが言いたいかっていうと、大事なのは「視座」の調整をする力ですね。末端の現場の目線で見ることも大事だし、経営層の目線で見ることもめちゃめちゃ大事なんですね。そういうことができるかどうかっていうところが大事です。

PMは視座を調整する力が大事

ちょっともう残り時間が少ないんで、端折りながらやっていきます。製品上の最適解をベースにやってしまうと、6ヶ月で月契約がプラス5件になるような機能がリリースできるとなると「それめっちゃいいじゃん」ってなるんですね。

実際の現場では、「そこまでしなくても実は売れるんだよね」みたいな声があったりするんですね。私の言うPMという定義の最適解で言うと、まずA’くらいのちょっとしたリリースをしてみると。2ヶ月くらいで済むならそれで、プラス2件くらいの契約が月に増えるならそれもやって。別途セールスチームとかCSとか、そういったところにレクチャーとかデータ提供をすることで補うと。そうやってA’からBにします。

それで、トータルBのリリースまでに7ヶ月かかる。「1ヶ月延びようが、それでもいい」という意思決定をする方向になります。なので、リリースを1ヶ月ずらすとか、代わりにサポートを手厚くするっていうことを、すべて合わせて定義するというところです。

(スライドを指しながら)そうすると……ちょっとグラフの説明は細かいのでここではしませんが、A’がリリースされてからのこの5~6ヶ月間っていう、ここで生まれた差は埋まりません。契約が早く決まるってことは、それだけキャッシュも早く入るってことですよね。そうすれば戦略的にどんどん進むことができるんですね。

もちろん実際はこんなわかりやすいシーンばかりではないので、難しいとこではあるんですけど。やっぱりPMって、その事業成果にしっかり責任を持っていくと。こういう取り組みをしていくのが大事なんじゃないかなと思います。というか、その方が楽しいと思ってますので、みなさんも楽しく視座をコントロールしていきましょう。以上です。

(会場拍手)

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