2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
1万6千社がはじめている「生産性向上」に本当に必要なこと(全1記事)
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宮田昇始氏:みなさま、こんにちは。株式会社SmartHRの代表取締役の宮田と申します。本日は、「1万6千社がはじめている『生産性向上』に本当に必要なこと」というテーマで、30分から40分ほど、お話をさせていただければと思います。
このセッションの内容は撮影OKです。Twitter、Facebook、Instagramなど、SNSに載せていただいても大丈夫です。本日残念ながらご来場できなかったみなさまのためにもぜひ、積極的にシェアしていただければと思っております。
ということで、本題に入っていきたいと思います。改めまして自己紹介なんですが、私は大学卒業後、IT系のベンチャーに入社しまして、Webディレクターという名前の職種でやってきました。ですので、どちらかというと開発者の立場に近い職種の人間でございます。
しかし、今から約3年前のとある出来事をきっかけに、この人事の世界に興味を持ちまして、SmartHRを発案し、今に至ります。そのお話は後ほど、詳しくご紹介できればと思っております。
まずは、このセッションのタイトルにもある「生産性」についてです。生産性の向上とよく言われているかと思いますが、そもそも、我々日本人の生産性は本当に低いのでしょうか?また、低いとすれば、どれくらい低いのでしょうか?
みなさまに調査結果を一つ、ご紹介させてください。(スライドを指して)これは日米の生産性の差についての調査結果です。結論として、日本の生産性は米国の30パーセントから40パーセントぐらいしかないという結果が出ております。
とはいえ、日本のほうが安心・安全だったり、きめ細やかなおもてなしができて接客がいいなど、そういったサービスの質に違いはあるかもしれません。ですが、その質の違いを考慮しても、日本の生産性は米国と比較してわずか50パーセント。そういう調査結果が出ています。
私自身この結果を見て、そんなに差があるんだと驚きました。単純に同じ人が働くだけでも、アメリカのほうでは2倍の成果が出ていて、日本ではその半分しか出ていない。そういった現状があります。
この状況を改善しようと政府が推進しているのが、ご存知の「働き方改革」です。しかし「働き方改革」と一口に言っても、ぼんやりとしてなかなかつかみどころがない話だと思っています。
我々は、「働き方改革」をもう少し具体的に、3つの要素に分けて認識しております。我々SmartHRが考える「働き方改革」の定義をご紹介します。
今後10年間で日本の労働人口は43パーセントと、おおよそ半減する見通しがあります。これから人の確保がますます難しくなっていくなか、労働時間を23パーセントも削減していかなければいけません。我々日本人は残業が多いので、23パーセント、だいたい4分の1くらいは落としていく必要がございます。
さらに、AI化やRPAといった新しいテクノロジーに職業が代替されないためにも、従業員へのキャリア形成サポートが必要になってきます。これらの3つの難しい問題を同時に解決していくのが「働き方改革」であると、我々SmartHRは明示しております。
1つを解決するだけでも、ものすごく難易度が高いです。なのに、その難易度が高い問題を3つ同時にやっていかなければいけません。すごく大変だと思います。
まず、労働時間の23パーセント削減。これを具体例を交えてお話ししたいと思います。みなさまが社内で、早く仕事を終わらせて帰りましょうということを推進して、仮に23パーセントの労働時間削減に成功したとします。「やった! 働き方改革成功だ」と。実はそうではないんです。
例えば、テキパキ働くAさんとダラダラ働いてあまり生産性のよくないBさんの2人の社員がいたとします。
Aさんのほうが仕事を早く終わらせることができます。Aさんは仕事をテキパキ終わらせた結果、残業がなくなり定時で帰るようになりました。一方、Bさんはダラダラ働きますので、残業時間はそのままです。
そして、この2人によくある評価制度や給与制度を当てはめると、なんとAさんの給与は下がってしまい、ダラダラ働いたBさんの給与は変わらないという、非常にちぐはぐな状態になってしまいます。こういった状況は、多くの会社で見受けられると思っています。
Twitterの投稿なんかを見ていると、うちの会社では生産性を上げろって言われるけれど、上げた結果、浮いた時間で新しい仕事を詰め込まれるから、真面目に働くのがバカらしい。そういったツイートもよく出回ったりしています。これは実際によくある話だと思っております。
じゃあ、この問題を解消するために制度を見直せばいいじゃないかと。私自身も経営者なんですが、人事の評価制度やいろいろな制度を見直す立場にあります。これは非常に大変なんですよね。
(スライドを指して)この赤くなっているのは、評価制度を変えるための手順ですが、見るからにやることが多いですよね。先ほどのような賃金とか、就業時間のルールを変えようとすると、就業規則の見直しが必要になります。「そもそも今、残業時間どれだけあるんだっけ?」といったことも、なんとなくデータはとれているんだけど、なかなかその実態はわかっていないというのが現状だと思います。
働き方改革を通じて生産性向上を推進しようとすると、それ以外でたくさんのやるべきことが出てきます。これは先ほど申し上げたように、就業時間を23パーセント削減するだけなんですけど、それだけでも大変です。
それを一体誰が推進していくのでしょうか? 企業の人事労務担当者のみなさまです。しかし、人事労務担当者のみなさまは非常に多忙です。(スライドを指して)これはエン・ジャパンさんが調査した、人事労務担当者さんがどんな業務をやっているか、ということについてのデータになります。
左側の棒グラフが彼らが担当している業務。ほとんどの方が採用に関与しています。労務も半分以上の人が担当し、社会保険や年末調整にも約4割の方が携わっています。右側のグラフが、その兼務の状況を表したグラフです。かなりの方がたくさんの業務を兼務されていることが見てとれるかと思います。
そう、とにかく人事(担当者)の多くは忙しいです。2つ以上業務を兼務している方が8割以上、3つ以上兼務が6割、6つ以上兼務というのも3割となっています。また、残業時間も非常に多い職種です。業種によっては、半数以上の方が月30時間以上の残業を行っているという、そんな状況にあります。
このような状況で人事が「働き方改革」を推進していくのは、非常に難しいと我々は感じております。皮肉にも、人事労務担当者の業務負荷を下げること、まずこれが「働き方改革」の最初の一歩になると考えております。
では、どこから手をつけていけばいいのか? こちらは先ほどご紹介したグラフの左側です。いま緑のマークをつけたのが、採用であったり、評価であったり、人事企画といった、本来しっかりと時間をかけるべき仕事です。ここに時間をかけるのは非常に良いことだと思っております。
青いマークをつけたのが、給与計算ソフトや勤怠管理ソフトなどによって、何十年も前からすでにソリューションが存在していて、テクノロジーの効率化が始まっている場所です。
そして、赤いマークをつけた箇所は最も効率化が遅れているジャンルです。労務、社会保険、年末調整。こういったところは未だに紙の業務が非常に多く、従業員さんに手書きで書いてもらって集めて、間違いがあったら差し戻しして、役所に持っていったりするジャンルの仕事です。
わかりやすくまとめると、社会保険・雇用保険の手続き、年末調整、そのほか諸々を含む労務業務。この3つが、未だにソリューションがなく、人事労務の効率化を大きく妨げている箇所になります。
この3つを解決しようとしているSaaSがあります。それが我々が提供している『SmartHR』というサービスです。この3つの大きな課題を我々はどのように解決しているのか、開発のストーリーと合わせてお話しさせていただければと思います。
まずは社会保険・雇用保険の手続きからお話しさせてください。(スライドを指して)この写真はまさにSmartHRを開発するきっかけになった出来事の写真でして、私の自宅で撮ったものです。この大きいお腹の女性は私の妻で、当時妊娠9ヶ月です。なのに、自分で自分の産休・育休手続きをやっているという写真になります。
妻は、10名ぐらいの比較的小さめな設計事務所に勤めていました。そこでは社長さんが図面を書きながら、手続き業務を1人で回されていたそうです。こうも仕事が忙しいと、どうしてもそういう手続きは後回しにされがちです。
実際、妻の産休手続きを後回しにされていて、産休に入っているのにまだ手続きされていないという状態でした。社長さんは「ごめん宮田ちゃん、もうちょっと待ってくれない?」とまあ、そんなようなことを言っていたのですが、妻としては「待ってって言われても、もう産まれる」と、すごく怒ってたんですよね。結果どうしたかというと、自分でハローワークだとか年金事務所に書類をもらいに行って、自分で自分の手続きを進めました。
ただ、こういった書類ってけっこう専門用語が多かったり、会社じゃないとわからない情報がたくさん詰まっています。その書き方をハローワークとか年金事務所に電話しながら聞くんですけど、「それは会社の方がやってください」「会社の方に聞けばわかりますよ」などと言われてしまう。かといって会社はなかなか対応してくれないので、当然ながら、すごく怒っていたんですよね。
こういった手続きってすごく大変そうだなあというイメージがありますし、世の中でも多くの人がやっているにもかかわらず、それを便利にするソリューションの存在は聞いたことがないなと思いました。それが、私がこのジャンルに興味を持つきっかけになったエピソードです。
そこからこのジャンルの課題を見つけるために、ヒアリングを開始しました。サービス開始までの半年間、約200社を超える企業の人事のみなさまにご協力いただいて、このジャンルの課題を聞いていきました。
当たり前なんですが、担当者のみなさまは非常に困られていました。アナログだろうな、ということは予想どおりだったんですけど、私たちの想像以上に煩雑で、面倒な状態になっていました。
(スライドを指して)まず、このように大量の紙が発生します。みなさま、なんとなく年末調整などで見たことがあると思うんですけど、ああいった手続きは、従業員の入退社や給与変更、引越、子どもの出産など、折々で大量に発生します。
どの書類にも専門知識がないと書けないような難しい単語が並んでいて、「なにを書いていいんだろうか……」と迷うようなことも多いんですね。専門書籍を見ながらやらないといけないくらい難しい仕事です。
(スライドを指して)ちなみに、従業員さんを1人雇うたびに、こんなに大量の書類をつくったりしています。同じく、辞めるときにもこのような書類が必要になります。従業員がたまに1人くらい入社してくるような会社だったら、マンパワーでなんとかなるかもしれません。しかし、毎月数十名のアルバイトの入れ替わりがあるような会社だと、この業務だけでも非常に大変です。
また、作成した書類は役所へ届け出る必要があります。しかも1ヵ所だけではありません。年金事務所、ハローワーク、健康保険組合、場合によっては労働基準監督署といったように、複数の役所を巡らなければいけません。
創業当初は渋谷にワンルームマンションを借りていましたが、渋谷でこの手続きをするために、渋谷のハローワークに行くんです。そこに行って絶望したのが、朝8時の時点でものすごい行列ができていることです。2時間ぐらい平気で待たされたりするんですよね。
しかも、これが4月の入社シーズンだと、ビルの2階に入っている年金事務所の入り口から、建物の外にまでずーっと行列が続いているような状態になってしまいます。これは生産性という観点からは、あまり褒められたことではないかなと思っております。
驚くことに、当時はこの課題を解決するソリューションがありませんでした。みなさま手書きで先ほどの書類を書いて、自分の足で役所に持っていって、窓口に並んで提出する。こういったことが行われていました。
そういった実体験から出発し、200社へのヒアリングを通しながら、サービスの構想を固めました。そして、なければ自分たちでつくってしまおうという発想から、SmartHRの開発に至ります。
(スライドを指して)ちょっとここで、デモ動画をご覧ください。これは実際に入社手続きをするときの例です。これまでこんなに大量の書類が必要でしたが、SmartHRを使っていただくと、このような書類は不要になります。
人事がやることは非常に簡単でして、新入社員の方をメールアドレスなどで招待するだけです。そうしますと、「入社手続きを進めてくださいね」という案内が送られてきます。
新入社員の方は、入社前に、自宅に居ながら手続きを進められるようになっています。インターフェースもすごくシンプルになっていますので、初めての方でも簡単に操作できるようになっています。入力が終わりましたら、入社日や給与額などの情報を会社側が入力すれば、必要な書類がすべてできあがって出てくるようになっています。
また、SmartHRからは役所へのオンライン申請ができるようになっています。これまで半日から1日かけてやっていた役所への届出が、SmartHRを使えば画面上で30秒ほど操作すれば完結してしまう。こういった非常に便利なサービスを提供しております。
ちなみにこの電子申請の機能なんですが、これは我々が裏側でなにかやっているわけではありません。総務省が運営しているe-Gov、通称「電子政府」と呼ばれているサイトがありますが、SmartHRはそのサイトと直接データをつなげることで、ダイレクトに申請ができるようになっております。
この「電子政府API」というのが出てきたのが2015年。ちょうどSmartHRというサービスを公開したときになります。いまでは我々の持つデータと国とがつながり始めていますが、国がこの分野の電子化に踏み切ったことによって、その変化にいち早く対応することができました。
こうしてSmartHRは、社会保険や雇用保険の手続きの効率化に成功しました。
続いて年末調整です。この会場にどんな方がいるのかお聞きしたいなと思うんですけど、人事や労務、経営者の方ってどれくらいいらっしゃいますでしょうか?
(会場挙手)
2割くらいですかね。8割くらいの方は、たぶん従業員として年末調整を書く側だと思います。ですが、いまからするお話は、みなさまにとって他人事ではないお話になるのではないかと思います。
なぜなら、みなさまはこれから3ヶ月以内に年末調整の書類を提出しなければなりません。毎年書いてらっしゃる方は覚えていると思うんですけど、まぁ見るだけで「ウッ」ってなりますよね。ちなみにこれ、1枚だけではなくて、もう1枚あります。
去年までは2枚書けばよかったんですが、なんと今年からはもう1枚増えます。このご時世に、これまで2枚でよかった年末調整が、3枚必要になります。「あれ?」と思った方もいらっしゃるかもしれないですが、生命保険などに加入されている方はさらにもう1枚必要なので、合計4枚書かなければいけません。
この面倒くさい年末調整を、劇的に便利にするサービスを我々はつくっております。それがSmartHRの年末調整機能になります。
この機能は、SmartHRの女性プロダクトマネージャーが企画した機能です。
彼女は大手飲食チェーンを始めとして、製薬会社など、いろいろな規模かつ複数の業種の会社で、15年間にわたり人事労務の担当者として実際に働いた経験を持ちます。そんな彼女が、年末調整はすごく大変だという現場の課題から開発した機能になります。
従業員たちが感じているのは「年末調整を書くのは面倒くさいなー」くらいだと思うんですが、管理者や人事の方がどれくらい困っているかというお話をこれからします。
飲食チェーン店を例にしましょう。飲食チェーン店の場合は、スタッフがたくさんいることから大量の書類が必要になります。店舗にはあんまりいいプリンターを置いていないので、本社で事前に大量の紙を印刷して送ったりします。
飲食チェーン店ではよくある規模なんですけど、仮に100店舗で従業員さんが2,000名いたとして、いざ年末調整をしようとすると、事前に6,000枚の書類の印刷が必要になります。次に段ボールを100個用意し、100店舗にそれぞれ郵送するんですね。まず、これだけでもかなり大変です。
さらに、飲食チェーン店で勤務されている方は、正直言ってこういった書類の書き方についてまったく詳しくないです。アルバイトの方がわからないのは当然なんですけど、店長もけっこうわかっていないです。だから、彼らが書くのを迷わないように、大量のマニュアルを用意しなければいけません。これももちろん印刷して送ります。
マニュアルを用意したとしても、毎年10月から12月の間は、ひっきりなしに問い合わせの電話がかかってくる状態になります。「この書き方はどうしたらいいですか?」「保険の紙がどこにあるかわかりません」などですね。この3ヶ月間、人事労務の方はこういったことでだいたい時間がなくなります。
会社としては店長に、売上アップや、お客さんによろこんでもらえるお食事をいかに出すかといったことに集中してほしいんです。ですが、こういった面倒くさい業務に時間をとられてしまっているという事情があります。こういったところが飲食チェーン店で年末調整をする場合の大きな課題です。
SmartHRの年末調整を使えば、印刷や段ボールで郵送する手間やコストがかかりません。対象となる従業員の方を選んで「年末調整してくださいね」と依頼するだけです。従業員もスマホやパソコンから年末調整が可能になりますし、しかもアンケートに答えていくだけでできるようになっています。
さらに、誰が終わっていて誰が未対応なのかという進捗も管理できるようになっており、差し戻しも簡単にできます。
毎年10月から12月の間は年末調整でつぶれてしまう。そんな課題を解決するこの機能は今年で3回目を迎えていて、おかげさまで大ヒットしております。毎年どんどん機能をアップデートしておりますが、今年追加した機能を1つだけご紹介させてください。
(スライドを指して)これは人事など管理者側から見た画面だと思ってください。これがなにをしているかわかりますかね? 従業員たちから集めた保険の証明書と、実際に書かれている内容が合っているかどうか、突き合わせのチェックができるようになっているんですよ。
これまでは、みなさまこれを紙でやっていたんですけど、それが画面上から簡単にできるようになっています。回転させるのはもちろん、拡大して間違いがあったらその場で直すこともできるようになっています。今までは、間違いがあったら二重線を引いて、印鑑で訂正印を押したり、途中で差し戻ししたりと、非常に大変な作業でした。こういったところも非常に便利になっています。
このように、SmartHRによる年末調整は毎年どんどん便利になっています。年末調整は10月から12月の人事労務の機能を完全にストップさせます。その一大行事で失う3ヶ月という時間を他のことに回せるとしたら、それは大きな効率化のチャンスになる思います。
まもなく年末調整のシーズンが始まりますので、よろしければぜひご検討いただければと思っております。このように、日本の年末調整をSmartHRは劇的に変えてきましたが、これは今後も続けていきます。
最後は、雇用契約や人事情報の管理といった諸々を含む労務業務についてです。先日公開したばかりの新機能を一つご紹介させてください。雇用契約書もオンラインで締結が可能です。こちらデモ動画になります。
まずは年末調整と同様に、雇用契約を結ぶ相手を選択します。その新入社員のところに、「雇用契約書を送ったから内容を確認してね」といった連絡が届きます。新入社員の方はスマホを立ち上げて内容を確認し、自分の名前を入れるだけです。これで契約ができるようになっております。
これまで、雇用契約も年末調整ですとか社会保険手続きと同じように大量の紙が発生したり、それを製本したり、ハンコを持ってきてもらう必要がありました。そういったことが不要になります。
もう一つ、新規の便利な機能をご紹介させてください。画面上で契約書を編集できるようになっています。これはなにをやっているかといいますと、差し込み印字ができるようになっているんですね。会社名を差し込んだりですとか、従業員さんの名字をここに入れるみたいなことをやりますと、SmartHRに取り込んであるデータが自動で雇用契約書を生成していく仕組みになっています。
ただ、設定するのがちょっと面倒くさそうですよね。ちなみに、これはWordドの画面なんですけど、Wordで雇用契約書のテンプレートをお持ちの場合は、Wordからコピペするだけで取り込めるようになっております。ですので、今ある雇用契約書をそのまま使えるという非常に便利な機能になっております。
今後は、「派遣・契約社員の契約はいつ巻き直さなきゃいけないんだっけ?」といった雇用期間の管理などもできるようになっていきますので、雇用契約もぜひSmartHRで行っていただければと思っております。
ここまで、社会保険の手続きや年末調整、雇用契約などについてご紹介してきました。まだ紹介していないものでは、社員名簿の機能やマイナンバーの収集管理、給与のWeb明細などに幅広く対応しております。これで面倒な労務に関する業務も大幅に削減できます。
このように、人事労務の仕事のなかで最も効率化が遅れていた社会保険や雇用保険の手続き、年末調整、そのほか諸々を含む労務上の課題を解決してまいりました。
冒頭にも申し上げたとおり、「働き方改革」には人事労務の負荷軽減という最初の一歩が必要になりますが、我々SmartHRは、まさにその第一歩をお手伝いするソリューションとして、多くの企業さまに選んでいただける存在になってきました。
サービス公開からまだ2年と10ヶ月、3年未満の若いサービスですが、利用企業数は16,000社を超え、その継続利用率は99.6パーセントと非常に高い数字を誇っております。
我々のようなクラウドサービスですと、継続率が98パーセント、別の言い方をすれば、解約率が2パーセントを下回ると「すごいですね」と言われるような世界です。そのなかで、我々はその5倍以上となる0.4パーセント未満の解約率という驚異的な数字を誇っております。
この1年の間に大きな変化が1つ起こりました。我々はまだ3年未満の若いサービスで、もともとはITベンチャーをターゲットにしたサービスだったのですが、ここ最近ではその規模や業種が一気に膨らんでおります。
メルカリさんのようなITベンチャーだけでなく、DEAN & DELUCAさん、銀のさらさんなどの外食産業業界や、小売り業界のヴィレッジヴァンガードさん、アパレル業界のイトキンさん、星野リゾートさんなど、サービス業界で広がりを続けております。
まだロゴを載せていないのですが、近々ではテレビ局や、百貨店を持っているような大手私鉄の会社さんでも導入が決まっており、10,000名規模の企業にもご用命いただいております。
ここまでの振り返りなんですが、まず日本の生産性は、アメリカと比べて半分と非常に低くなっています。それを変えていくためには「働き方改革」が必要なんですが、そのすべてをやるのは非常に大変です。改革は誰が推進するのかというと人事労務なのですが、ご承知のとおり非常に多忙です。
給与計算や勤怠管理の業務にはテクノロジーが入りこんだ結果、改善や効率化がなされてきました。そんななか、我々がいま取り組んでいるのが、社会保険、年末調整、労務などの領域です。これが、SmartHRを使うことで簡単になってきたという状況があります。
今日は、ちょっと違うお話も1つさせていただければと思っております。先日、我々はSmartHR Nextという名前で、初めての自社イベントを開催しました。人事、労務、経営者の方々、約500名にお集まりいただいたイベントです。
ここまでお話ししてきたSmartHRの便利さの先、今後我々がどういうことを考えているかについて少しだけ触れて、発表を終わりとさせていただければと思います。
我々のサービスは順調に伸びてきたのですが、そのなかで、ニーズの多様化という一つの課題が出てまいりました。これまでITベンチャー中心だったお客さまが、飲食や小売りのチェーン店を始め、さまざまな業種の方に使われるようになってきました。またその規模も、これまで数百名ぐらいだったものが、数千、数万の会社に使われるようになってきました。
こうしてニーズが広がってきました。なるべく多くのニーズに応えたいのは山々なのですが、すべてのニーズに応えようとすると機能が中途半端になってしまったり、ごちゃごちゃして使い勝手が著しく落ちてしまう。そういった話は、我々のようなクラウドを扱う世界ではよくあることです。
私たちは、この課題に対して「やらないこと」を決めております。1つは、ニーズに無理に応えようとして、製品を中途半端にしてしまうこと。ないしは中途半端な製品を出してしまうこと。もう1つは、利益を追求するあまり、中途半端な製品で囲い込みをしてしまうことです。
しかし、もちろんニーズには応えたいなぁと思っております。この課題を解決するために、次の施策を考えました。それは、SmartHRをプラットフォーム化させていこうという構想です。プラットフォーム化にあたって、2つのことをやっていきます。
1つは、「MFクラウド給与」さんを始めとした外部サービスとの連携の強化です。もう1つは、SmartHR Plusというコードネームで社内では呼ばれているんですが、アプリケーションストアみたいなものをつくろうといった構想です。SmartHR Plusでさまざまなアプリケーションをインストールできるようになると、人事データの連携が可能になってきます。
それぞれ、ご説明させてください。まずは外部サービスとの連携強化です。(スライドを指して)これは、SmartHRがすでに連携を発表している外部サービスです。「KING OF TIME」さんや「AKASHI」さんを始めとした勤怠管理サービスや、ご存知「MFクラウド給与」さん。あとは「Talentio」さんですとか、採用管理システムの「HITO-Link」さん。これは内定までを便利にするフレームですね。その他にも、IDを管理するサービスやストレスチェック、さらには「slack」や「Chatwork」といったようなビジネスチャットとの連携をしております。
こうした連携にあまり力を入れてきたわけではなくて、良い話があったところから順に連携をやっていたのですが、今後は力を入れて、どんどんどんどん連携していくぞというふうに考えています。
もしかしたら今日、会場にもSmartHRでMFクラウド給与を使っていらっしゃるお客さまがいらっしゃるかもしれません。MFクラウド給与さんとは1年くらい前から連携をしています。他の会社さんともこのような連携を増やしつつ、それを深めていこうと考えております。
また、LINEさんとの連携も発表させていただきました。時期は来年以降になるかと思います。LINEとSmartHRの連携によって、、例えばLINEで入社手続きができたり、年末調整もLINEのbotで質問に答えていくだけでできたり、毎月の給与明細もLINEから届くといったことが、実現できる可能性があります。我々は、LINEで人事労務が回っていくような未来を考えております。
我々は、ニーズから中途半端な製品をつくってしまうことは決していたしません。その代わりに、各ジャンルの優れたサービスとの連携をどんどん強化してまいります。
もう1つが、SmartHR Plusのコードネームで呼ばれているアプリケーションストア構想です。これは、SalesforceさんのAppExchangeや、Google CromeのExtensionストアといったものをイメージしていただくといいかもしれません。
SmartHRにさまざまな拡張機能をインストールできるようになり、人事データの連携が可能になります。さまざまなアプリケーションのインストールはもちろんなのですが、各アプリにSmartHRから人事データを連携させることができます。この仕組みは外部のベンダーさんにも公開をして、決済ディフェンスやOAuth認証といったものを開発者の方に提供していきます。
1つ、具体的な話をしたいなと思っています。これまでSmartHRでは雇用契約や年末調整の機能を出してきたのですが、実はこれ、SmartHR Plusのアプリケーションストア上で動く外部アプリケーションなんです。ユーザーからすると、SmartHRを使っているのとなんら変わりない操作感で利用することが可能となっています。
その他、自社アプリとして、まもなく店舗向けのiPadアプリですとか、HRデータのレポート機能、顔と名前が一致するような、さまざまな用途で使える社員名簿も公開を控えております。
SmartHRで我々が独自に使っている機能だけではなくて、外部のベンダーさんにもその機能を公開します。外部のベンダーさんがSmartHR上でサービスを公開できるような状況をつくっていきたいなと考えております。
ユーザーさまのさまざまなニーズには応えつつ、シンプルに使いたいユーザーさまの邪魔もしない。ユーザーさまは使いたいときに、使いたい分だけ、使いたい機能だけを使える。
我々は製品の質を下げることなく、多種多様なニーズに応えていくことを諦めておりません。SmartHRのプラットフォーム化を推進させ、さらにみなさまのお役に立てるようなサービスにしていきたいと考えております。
SmartHRのプラットフォーム化。それが実現したあとには、どんなことができるようになるのでしょうか? 少し先の話をしたいと思っています。
これまで人事情報は、オフィスのキャビネットであるとか、パソコンのローカル環境のなかに閉じていることが多かったんです。それがいま、クラウド上に集まってきています。これはSmartHRのプラットフォーム化で急激に進んでいくと考えています。
すると、これまでバラバラだった人事データをつなぐことができるようになります。データをつなぐことで、どんな未来があるのか?
例えば、採用を管理する人向けの評価・エンゲージメントといったサービスと連携することで、どこから来た人材がどんな配置だと活躍するのかといったことを、AIなどによって高い精度で見られるようになっていきます。このようにデータをつなぐことにより、AI事業を見据えた人事データの連携や蓄積ができるようになってきます。企業内において、AIで活用できる意味のあるデータを持ち始められるようになります。
くり返しになりますが、我々SmartHRは、より幅広いニーズに応えるため、そして、AI時代を見据えた意味のあるデータを企業内に蓄積していくため、プラットフォーム化を進めてまいります。
今、この働き方改革の時代においても、将来やってくるAI活用の時代においても、経営者や人事労務のみなさまが、すべての時間を価値ある仕事に集中できるように、未来を見据えたプラットフォーム化を推進していく予定でございます。
といったところで、我々SmartHRのお話を終わりとさせていただければと思っております。ちなみに、この会場を出てすぐの場所にSmartHRのブースがございます。年末調整シーズンに間に合うかわからないけれど、ちょっと話を聞いてみたい、SmartHRを使って、会社のなかに人事データを貯めていきたい、そう思われたお客さまは、ぜひブースのほうにも足を運んでいただければと思っております。それでは長い時間、ご清聴ありがとうございました。
(会場拍手)
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