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基調講演(全2記事)

モチベーションのギャップにどう対処するか? 小泉進次郎氏のチームマネジメント 

2018年9月7日~17日にかけて、日本財団「SOCIAL INNOVATION FORUM」と、渋谷区で開催した複合カンファレンスイベント「DIVE DIVERSITY SUMMIT SHIBUYA」が連携し、都市回遊型イベント「SOCIAL INNOVATION WEEK SHIBUYA」が開催されました。本パートでは日本財団会長の笹川氏、渋谷区長の長谷部氏、衆議院議員の小泉氏による鼎談が行われ、来場者から寄せられたさまざまな質問に答えました。

「とりあえずビール!」はやらない

司会者2:小泉様、ありがとうございました。では御三方、前に出ていただきまして、これから三者の鼎談をさせていただきたいと思っております。

そうしましたら、最初に現役大学生の岡崎さんから御三方にお尋ねしたい質問がございますので、お話しさせていただければと思います。

司会者1:恐縮ですが質問させていただきます。青学生としてお話を聞いていて、すごく嬉しいことがたくさんありました。小泉様にお伺いしたいことがあります。人材のお話をされていたと思うんですが、その中で若者に期待していることについて、すばりお伺いしたいです。

小泉:若者に期待すること。それは、一言で言えますね。

司会者1:お願いします。

小泉:Be the Difference!

(会場拍手)

小泉:堀田理事長がいるから言うわけではないですよ(笑)。人と違うことを恐れないということは、本当に大事だと思います。

例えば、最近私がやってることは何かと言うと……小さなことですが。議員の仲間や、ときどきお世話になった官僚のみなさまと飲んだりしますよね。友達ともそうです。そのときに「とりあえずビール!」をやらない。

(会場笑)

小泉:これ、やっているんですよ。日本では、私のように「小泉さん何にしますか?」と気を遣われる立場が「じゃあビールで」と言うと、飲みたくない人までみんながビールを飲むんですよ! 私はそれを見るのがすごく嫌で。飲みたくないお酒を飲むときほどまずい酒はないですから。

好きな酒を1杯目から頼めばいいんです! だから、私は1杯目にビールを飲みたくてもビールを頼まない。

(会場笑)

小泉:みんなに変えてもらうために。だから最近はね、1杯目はハイボール率が相当高いです(笑)。我慢して、2杯目に生ビールを頼む。

長谷部:みんなハイボールになるんじゃないですか?

小泉:それがなるんですよ!

(会場笑)

小泉:だからちょっと何にしようかな~と思って。今度から「生ビールとハイボール」って両方言おうかなと思ったんですが(笑)。 例えばサークルやゼミの飲み会がありますよね。そのときに従わないこと。

司会者1:私もけっこう従ってしまいます。

小泉:それをね、従わないことにしてください。理事長、こんなこともいいですよね。Be the Difference。本当に大事だと思いますよ。「私はこうしたい」「俺はこうしたい」という主張をちゃんと大事にして、最後は自分が納得する以外ないですからね。

司会者1:ありがとうございます。

失敗を恐れずに突き進む

司会者2:「違いを生む前に、違いになれ」というようなことですよね。区長、もしよろしければ。ダイバーシティを掲げる渋谷区ですので。

長谷部:最近学生がだいぶ年下に見えてきたので、若い人に何か言うのは、ちょっと偉そうな感じなんですが(笑)。あえて言わせてもらうと、やっぱり失敗を恐れずに突き進むことだと思います。

もちろん恐れて足がすくむときもあると思うけれど、ポジティブに前を向いて考えていくということが必要だし、疲れたら勝手に立ち止まるときがあると思うので、そこは無理して休まず、どんどん前に進むほうがいいと思うんです。

「最近の若い者は……」というのは、僕らの頃も言われていたし(笑)。僕らのちょっと上は新人類だと言われてすごく叩かれていた世代でもあるしね。でも、若い人は常にそうやって言われていくんだと思うので、そこに負けじと。

年上の人たちも別に潰そうと思ってやっているわけではなくて、どっちかと言うと「かかってこい!」くらいのつもりだと思うので。そういうところに正面からドーンと寄っていくというのは、逆にありかなと思いますね。

司会者1:ありがとうございます。

司会者:会長からも若手に一言いただけると。

笹川:若い人の特権というのは、失敗が許されるんですよ。何回でもチャレンジできる。我々みたいに後期高齢者を超えて末期高齢者になると、やり直しができない。チャレンジができない。

(会場笑)

笹川:だから、チャレンジができる。失敗ができる。それが若者の特権ですよ。

司会者1:失敗を恐れずにがんばります!

司会者2:Be the Differenceで失敗を恐れないという、難しいですけれど、ありがたいお言葉だったと思います。

では会場のほうから御二方、ご質問をいただいて、そのテーマに沿ってお話をしたいなと思っております。挙手をしていただきまして、岡崎さんから指名しますので端的に質問をお聞かせください。

申し訳ございません。メディアの方はご遠慮いただければと思います。では、ご質問のある方は挙手をお願いします。

(会場挙手)

司会者1:右側の紺色のワイシャツを着ている男性の方、お願いします。

モチベーションのギャップにどう対処すべきか?

質問者1:ありがとうございます。素敵なお話をありがとうございました。将来は日本と諸外国の教育制度の比較研究を行いたいと考えています。もうすぐ大学院に進学する予定です。

昨年このフォーラムでできなかった質問を1年越しでさせていただきたいなと思って。今御三方から若い人に期待することであったり、失敗をポジティブに捉えて進んでいくべきだというお話があったと思います。

若い人の中でも、学生のときに団体に所属する構成員だったり、あるいは社会に出て会社に入ってすごくやる気がある人と、残念ながらそうではない人で、モチベーションのギャップというのがかなり目立っていて。

しっかりがんばろうと言ってやっている人が、なかなかモチベーションが上がらないという若い人にどんどん引っ張られてしまって士気が下がって、何年か前の先輩たちみたいに成果が出せないよね、という話を周りやいろんな書籍からけっこう聞いたことがあります。

若い人に限ったことではないかもしれないですが、「こういうことがあると若い人が元気づくよね」「こういうリーダー像というか、こういう先輩やロールモデルがいると、みんな目覚めて一緒にがんばりたいと思うんじゃないか」という、こういうのが効果的なのではないかというアイデアがあればお聞きしたいです。

司会者2:リーダーシップ、若い人を惹きつける方法、モチベーションといった話ですか?

質問者1:いろいろあると思うんですけれど、どうお考えなのかなと思って。聞かせてほしいです。

司会者2:ではもう一方。まとめてご質問を受けてからお答えしたいなと。

司会者1:紺色のお洋服の女性の方、お願いいたします。

国民一人ひとりが健康であることが一番経済的

質問者2:おはようございます。質問でございますが、先ほどペーパーレスのところで4,500万円のマイナス要求というお話がございました。読売新聞で2040年くらいに日本のいわゆる一般会計というか、160兆円くらいの医療費、社会保障費が必要というような社説を読みまして愕然として。

今100兆円レベルだと思うんですけれども、消費税が17兆円くらいで、国債発行30兆円くらいとなったときに、来年2019年度に10パーセントになるかもしれないというお話で、果たして160兆円の予算に対して消費税オンリーで予算を組むとすると何パーセントなんだろうと計算していくと、100パーセント、200パーセントとか……(実際には)法人税などもあるんですけれど。

考えていったときに、結論として「病院に行かない」というか、国民の一人ひとりが健康であるということが1番経済的なのかなと思って。それでちょっとお酒の話が出たので、国民が健康になるためにお酒に対してコントロールと言いますか、可能かどうかということと。

最後に1点だけ、ちょっと非国民というか、ボコボコにされるのも覚悟で言うと、アメリカでトランプ大統領になってオバマケアが廃案になったように、日本も国民健康制度を廃止するか。

あるいはアルコールや喫煙などの健康リスクの高い人とフィットネスなどで健康に配慮している人を別の保険の制度として、民間を活用することなどが可能かどうか。その2つの質問で終わらせていただきます。長々と申し訳ございませんでした。

司会者2:お時間が限られておりますので、まずは若手をモチベートする、組織をモチベートする方法というところで。では、進次郎さん。

周囲が何にモチベーションを感じるかを理解する

小泉:正直、僕自身も同じ悩みを持っていますね。やっぱり(自分の)モチベーションが高ければ、周りのモチベーションが上がるという単純な問題ではないので。

モチベーションコントロール。これをどうやって合わせて、結果的に大きなモチベーションを組織としてチームとしてやっていくかというのは、最終的には一緒に仕事をする一人ひとりが何にモチベーションを感じるのかということを理解することがすごく大事だと思います。

遮二無二イケイケで燃えに燃えて火の玉男で、という松岡修造さんのあの熱さ。あれは最高ですよ。だけど、みんなが彼のような熱さを表に出すかと言うと、表に出さないけれど、中は彼みたいな人もいっぱいいるんですよ。

そのときに、その人が感じるコミュニケーションのあり方や働き方といったことは、私も試行錯誤しながらで、自分の事務所の中、議員同士の中、官僚との仕事において、「これ」という答えはたぶん永遠にない気がします。

ただ大事なのは、常に理想的なリーダーシップと「フォロワーの仕事は何なのか?」と問い続け合う。これがモチベーションを合わせることにとても大事なのではないかなと思います。

あと1つ、教育に関係するお仕事をされるかもしれないということで言うと、教育はもっと自分たちで変わるスピードを早めてほしいと思いますね。教科書を変えることにものすごく時間がかかって、教科書が変わったときにはもう時代も変わっているというようなこともありますし。

最近で言うと、私は、将来坊主頭のいない甲子園を見たいですね。もう自由でいいじゃないですか。私も高校球児だったのでわかりますが、坊主にしたらヒットが打てるの!? と思って。

(会場笑)

それもやっぱり自由であるべきだし、別に坊主にしたい人はそれでいいのよ。

本当に教師が生徒に向き合ってやるべきことは何なのか

あとは、2年後から小学生でプログラミングの教育が始まります。最近ニュースで見てびっくりしたのが、学校の先生たちが今プログラミングを習いに行っていると。

私は習わなくていいよと思うわけです。だって、今の先生たちよりも今の10代のほうがよっぽどプログラミングがネイティブだから。わかっている子たちはいっぱいいますよ。

その子たちに今から学ぶ先生たちがプログラミングを教えるということは、本当に先生たちにとっても生徒たちにとっても幸せですか? というか。これからどんどん社会が変わっていくたびに、先生たちがそれに追いつく研修をやり続けたその果てにあるのは、先生たちの疲弊と結果的に教育の低下だと思います。

だからそういったものはどんどんアウトソースして、本当に教師が生徒と向き合ってやるべきことは何なのかを考えたら、今すでにALT(外国語指導助手)のように、外国人の方が教育に入って英語を教えたりする制度があるんだから、プログラミングだって先生たちが学ぶ必要はないですよ。

もっと外部から人を入れて……この青学の堀田理事長はもともと商社で働いていた。その理事長がこの学校に就いて掲げているスローガンが「経営力を上げる」と。新経営宣言だと。大学に経営という言葉が入って来たんですよ。絶対外部から人が来なかったら、これは生まれなかったことですよ。

このように、私は教育の全体的な改革も最終的には先生のモチベーション、学ぶ側の生徒のモチベーション、そういったことを含めて上がっていくと思います。

そうすると、18歳から22歳までが大学生だと思い込んでいる日本の社会が変わって、もっと理想的に、行きたいときに大学に行く。まさに生涯学習の場。これが大学に変わっていくんじゃないですかね。

経団連の中西(宏明)会長が、2021年から新卒一括採用廃止という言葉を投げて、それが波紋を広げています。こういう波紋が広がることは、私は大歓迎ですね。本当にそれがいいかどうかも含めて議論すればいいと思います。

気づいたら当たり前のように運動して健康になる仕掛け

あと最後に1点だけ、二つ目の質問に答えると、今までの日本は病気になってからお金を使っていた。それをこれからは病気にならないようにお金を使うように変えていこう。

まちづくりのあり方から変わっていかないとこの問題には対処できないと思うから、社会保障イコールただ予算を切る、負担を増やすというのではなくて、まちづくりから変えていかなければいけない。

1つヒントを言うと、国会の近くにある議員会館という国会議員のオフィスと国会は地下通路でつながっているんですね。地下通路の天井はジャンプしたら届くかもしれないくらいの高さなんです。

国会と議員会館の中をその地下通路で移動するたびに私が思うのは、「ここが『うんてい』みたいになっていたら、俺はジムへ行かなくていいな」と。

(会場笑)

小泉:街にも、最近「バリアフリー」がありますよね。多様な立場の方がいますから、バリアフリーは大事ですよ。バリアフリーと同時に超バリアとか。自分に負荷をかけたい人には急な階段を用意してあげるとかね。

(会場笑)

小泉:1つのアイデア、発想です。

司会者2:でも今、日本財団もエレベーターが使えなくて、7階まで階段なんですよ。

小泉:いいですよね。(エレベーターを)使わなければいけない人は使わなければいけないんですよ。ただ私が言いたいことは、最近ランジ(下半身の筋力トレーニング)ということを言ったりするんですけれど。

(階段を昇り降りするように)気づいたら当たり前のように運動して健康になれる仕掛けというのを街に入れ込んでいくというのが、オリンピック・パラリンピックを迎える国がやることなんですよ。だからこれをやれば、結果的にはスポーツと食は、これから大きな特区制度になるんですよ。

司会者2:ありがとうございます。では、お時間も押してしまいましたので。

司会者1:鼎談は以上で終了させていただきます。小泉様、長谷部様、笹川会長、ありがとうございました。大きな拍手をお願いいたします。

(会場拍手)

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