2024.10.10
将来は卵1パックの価格が2倍に? 多くの日本人が知らない世界の新潮流、「動物福祉」とは
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北川拓也氏(以下、北川):せっかくなので、ご自身の分析チームを運営する上で一番大切にしていることを聞きたいと思います。何かキーワードはありますか?
五十嵐航氏(以下、五十嵐):キーワードとしては「事業貢献」が大きいと思います。ひと言でいうと、分析組織はなくてもいい組織だと思っていて、要は僕が何もしなくても、ウチのチームが何もしなくても、事業は回っていくんです。
なので、(分析組織がなくても)何かが急に止まるわけではないといったときに、それでも分析組織が必要だと思われるためには、事業貢献をしなければいけないと思っています。
ある程度頭が良い人はいるから、いろいろ考えて、いろいろ(データを)持ってはくるんですけど、「結局それが何になるのか」ということが説明できないと、意味のある分析ではないと思っているので。
北川:事業貢献は何で計るんですか?
五十嵐:(分析によって)売上がダイレクトに出せるわけではないので、なかなか難しいんですけど、僕としてはそんなに定量的に見ないようにしています。ただ、それがきちんと事業貢献になっているということを説明させます。
さっきの(樫田さんの)「わかりやすさ」の話もそうですけど、誰が見ても事業貢献していることを評価できるというような説明のさせ方をするという感じですかね。
例えば、全部が事実というわけではないんですけど、さっきのTVCMの話をすると、TVCMをやろうとしていて、他社との協業タイトルであると。
このまま(の条件で)やるとTVCMが実施できないということが出てきたときに、ウチのチームがきちんと「レベシェアを見直さなければいけない」と言って、結果的にTVCMを実施して、売上が伸びたということがあれば、それは事業の売上の増加分につながっていると言えますよね。
ただ、伸びた分の全部がウチの成果なのかというと、そういうわけではありません。当然プロダクト側の努力もあるわけなので。なので、金額は厳密に求めないけれども、(分析が)売上の伸びにつながったということは説明できます。
北川:ありがとうございます。
小東祥氏(以下、小東):ちょっと粒度が違うんですけど、「信頼関係」「属人化」「平準化」の3つがあると思っています。
まず「信頼関係」でいうと、五十嵐さんがおっしゃっていたような「事業貢献」を目指す過程で、事業リーダーやチームメンバーとの信頼関係を構築しないと、どんなにいいアウトプットを出そうが、それがプロダクトに反映されないので、信頼関係を構築することが重要だとメンバーにもかなり口をすっぱくして言っています。
例えば、それを個人の評価として反映させることももちろんそうですし、ウチの組織でやっているのは、毎月MVPを選出するときも、プロダクト側のメンバーのコメントを集めてきて、その人たちにどれだけ信頼されているかということを示しています。
メンバーに対して「これが受賞理由なんだよ」ということを組織全体に言って、ステークホルダーとの信頼関係の構築が重要であるという空気感をつくっていくところがあります。
「属人化」と「平準化」については、分析組織は人数が少ないときだと、人によってやっていることがぜんぜん違うというフェーズがあると思っています。
人数が増えていってそのフェーズが過ぎ去っていくと、今度は「平準化」ということで、システムを効率化・自動化するフェーズがあります。
そこを乗り越えてくると、今度は見える化しているだけでは価値が出なくなるフェーズがあって、DeNAはそのフェーズにきているんですけど、そうするとまた「属人化」とそれに伴う分析の高度化が必要になります。
事業が立っていくためにも、誰にも真似できない、すごく強い属人化・高度化が必要だと思っていて、そこが繰り返していくと思うんですけど、「今は属人化・高度化が必要だからこっち」「今は平準化が必要だからこっち」というフェーズを見極めながら、組織運営をするということです。
北川:「コイツ、もう超属人化したな」みたいな例はありますか?
小東:ありますね。すごく昔、私が入社した頃にいたメンバーで、前職でスパコンをつくっていたエンジニアがいたんですけど……聞いただけですごく属人化しそうじゃないですか?(笑)。
(会場笑)
小東:当時の、機械学習がそこまで手軽に使えない環境の中でも、「自分でスクラッチでコード書いちゃったよ。これはいいものだから、君たちも使いなよ」な感じでポーンと渡されて、他のアナリストメンバーは「いやぁ、使えないですね。使い方教えてくださいよ」といった反応でした。何を説明されているのかわからないみたいな(笑)。
まあ、その人はすごくバリューが出ていて、平準化が進むと誰でも使えるツールになっていたりするんですよね。なので、そこのフェーズは繰り返しているなと思います。
北川:すばらしい。樫田さんは?
樫田光氏(以下、樫田):いろいろあると思うんですけど、あえてシンプルに言ってしまうと、「採用」です。
本当に最高の人材を雇うことがすべてかなと思っていて、自分では僕のチームのメンバーは本当に最高だと思っています。
「採用」で何が大事かというと、今のメルカリだと「勇者」というキーワードがけっこう大事かなと思っていて、自分ですべてこなせるオールラウンダーみたいなところをすごく重要視しています。
それは僕がメルカリで大事にしている「意思決定を支援する」ということと、メルカリという組織体の風土や事業スピードを考えると、最終的にはそのようなオールラウンドなスキルセットを持ったアナリストであることが分析チームとしてものすごく大事かなと思っています。
北川:ご自身がチームを運営する上で、参考にしたデータ組織というか、すごいと思ったデータ組織はありますか? 海外でも国内でもいいんですけど。
樫田:ないです。自社をそうしたいと思っています。
北川:おっ! 残念だな。飲み会でカッシーと話したはずなのに(笑)。
(会場笑)
五十嵐:僕も正直ないと思っています。やっぱりこういう場に来ているのも、そこの答えを求めに来ているということがけっこう大きいなと思っていて、分析組織というのは世の中的に成熟して、答えのあるものではないと思っています。
今の自分を導いてくれる上司はいますが、答えを与えてくれるわけではないと思っていて、上司も自分と同じ役割をしているわけではないので、そこを自分で模索している真っ最中です。なので、他の方からも話を聞きたくて、こういう場に来ています。
北川:たしかに、僕らは他の会社のデータ組織を経験する機会はないっちゃないね。先ほども(休憩時間に)、交換留学みたいな感じで、1週間ずつくらい他の会社のデータ組織で仕事をできる機会があってもいいという話をしていました。樫田さん、ぜひそういうプログラムを立ち上げてください。
樫田:僕がですか?(笑)。
五十嵐:すごい行きたいです。
北川:小東さんはどうですか?
小東:僕もないって言っちゃうとあれなので、世の中的にまだこういう仕事が定着してないので、ロールモデルがいないというのはまさにそうだと思うんですけど、僕は小市民なので、すごいなと思った組織で言うと、海外のNetflixですかね。
北川:僕も同じです。
小東:彼らはすごく膨大な映画やドラマのデータの中から、すごく地道に「この映画はこのジャンルだ」というメタデータを本当に手作業で繰り返していて、それを泥臭く分析して、そこで出た結果に対して、100億規模の投資をする意思決定ができる組織はすごいなと思っています。
しかもそれが、世界最先端のトップ技術を持っているからできるとかではなくて、単純に僕らも当たり前にできるようなことを積み上げて大きな意思決定に繋げている点は見事だと思います。
樫田:ちょっと補足してもいいですか? さっきの質問の「データアナリストになって後悔したこと」を考えていたんですけど、実は最近1個あります。
ウチの会社のUSオフィスにB氏というすごい優秀なプロダクトマネージャーがいるんですけど。B氏はもともとエンジニアで、そこからGoogleのプロダクトマネージャーになって、自分でもガリガリ分析ができて、1人でPDCAサイクルを回しながら、必要な場合はコードを書いたりコードレビューをするという、めちゃくちゃすごい人材なんですよね。
彼に聞くと、Googleのプロダクトマネージャーってけっこうそういう感じで、いわゆる分析の専任が隣にいなくても、ある程度分析やPDCAサイクルを自分で回せるから、ぜんぜんやっていけるという感じなんですよね。
この話を聞いたときに、僕はすごい後悔したというか、「えー、じゃあ俺らいらないじゃん」みたいな感じになったんです。
本当にGoogleはすごいなと思っていて、最終的に1人でPDCAサイクルを回せるというのは一番最強だと思っているので、本当に最強な分析チームが行き着く先というのは、分析チームがいなくて、B氏のようなプロダクトマネージャーだらけの会社なのかもしれないと思っています。
それは1個の解かなとは思っているのですが、ただ自分はこの分野の専門家もしくは専門部隊のマネージャーとして、それをある程度くつがえせるような、本当に分析の専門部隊だから出せるような価値をつくりたいと思っています。
どのようなかたちかはぜんぜんわからないし、目指すわけではないけど自分が考える1つの理想として、Googleのプロダクトマネージャーの集団みたいなものはありえるのかなと思っています。
北川:たしかにね。先ほどのNetflixの話で、最近日本語化されたんですけど、Netflixの組織文化の本というか、シェリル・サンドバーグが「シリコンバレー史上もっとも重要なホワイトペーパーである」みたいなことを言っている組織文化の話があって、そこがすごい好きだったんですよね。いろいろと書いてあるんですけど、「コントロールするのではなくて、コンテクストを示す」という話があったり、みなさんも興味があったらぜひ読んでみてください。
樫田:北川さんはチーフデータオフィサーなわけですよね。楽天という超でかい会社のデータ分析のすべての責任を負っていると思うんですけど、北川さんが考える「データ分析チームに大事なこと」を普通に聞きたいんですけど。
北川:そうですね……逆に聞かれると困りますね(笑)。
樫田:カウンターに弱いですよね(笑)。
北川:でも、僕も「10 times more trust 10 times more excitement 100 times more result」という言葉を言っていたんですけど、やっぱり信頼関係が大事だなと思いますね。データ組織のくせに、結局理屈じゃないところで組織を動かさないといけないじゃないですか。
みんなが同じ方向を向いていないと物事を成し遂げられないので、やっぱり雑談したりだとか、仲の良いチームだといいなと思うことがありますね。(会場に)ウチのメンバーも来ているんですけど、どうですかね? ウチは仲良いですかね?(笑)。
(会場笑)
樫田:「仲良い」って言うしかないじゃないですか、それは(笑)。
北川:やっぱり仲の良いチームがすごい大事だと。それと雑談も多いほうがいいなと。これはデータ組織に限らず、一般的にも思います。データ組織という観点では、やっぱり役割分担はすごい大事だなと思いますね。
そこにいる2人はインサイト分析が得意なんですけど、エンジニア寄りだとか、プラットフォームに強い人だとか、プロダクトマネージメントできるような人もいるので、そのあたりの役割分担を、それぞれが腹落ちしたうえで、お互い依存できる関係性が大事だなと思います。
ウチとかは7割くらいが海外の方なので、基本的に文化も言葉も違うので、お互いがリスペクトして一緒に仕事をする雰囲気をつくるのはすごい大事で、よく「人に依存できる強さ」という話をします。
とくに分析者はすごい頭のいい人が多いので、自分ができないということはあまりないと思うんですけど、自分でやらないということを覚悟できる人間というのは、なかなか少ないのかなというところで、「ぜひ自分でやらない強さを身につけてください」という話をしていたことがありました。すみません、ちょっとつまらない話で(笑)。
北川:みなさんいろいろなサービスを育てられていると思うんですけど、せっかくなので「データサイエンティストのキャリアパス」ということで、データサイエンスをやる人の10年後のキャリアパスってどういったものがあると思いますか?
小東:さっきも言ったんですけど、まだデータ分析の10年選手ってそんなに世の中にいないと思っていて、実際にウチの会社の中でも10年後のロールモデルはないです。
データ分析自体を続けていく、その中でもデータサイエンスのところを尖らせるとか、マーケットリサーチャーの領域の専門性を尖らせていくということも考えられるし、経営側・事業側・プロダクト側に行くというところもあるでしょうし、あとはAIのエンジニアやプロマネだったりとか、本当にいろいろなキャリアパスがあるかなと思っていて、正直予測がつきません。
ただ、樫田さんもおっしゃっていたんですけど、分析者ってビジネスとエンジニアリングと事業ドメインの3つの間にいたりするので、将来的に事業リーダーになっていくと、その3つの理解を持った事業リーダーになっていくので、個人的には強いんじゃないかと考えていて、そのような事業リーダーがデータ分析者の中から出てきたらうれしいなと思います。
今後、世の中的にデータ分析をする人は増えてくると思うので、何かしらそのような尖りがないと淘汰されてしまうんじゃないかなとも思っています。
五十嵐:僕も基本的なところは近いかなと思っていて、分析組織といったときに、ビジネスよりのアナリストだと、これといったハードスキルはないけどアナリストとしてやっているパターンがけっこうあると思います。
例えば、クエリ(query)は書くとか、簡単なプログラミングはするけど、それってわりと勉強すればすぐに身につくことだと思うので、ハードスキルとしてそんなに価値が高いとは思いません。
では何の価値が高いのかいうと、やっぱり頭を使う、脳みそで勝負するところだと思うんですね。
なのでそこを磨いていくことが第一歩として必要で、その先にどのようなことがあるのかというと、行き先としては事業側とか経営側もあると思っていて、ウチの社内の具体的な例を挙げると、ウチのチームのもともとの僕の最初の上司が、プロダクト側の部長としてゲームをつくっています。
なぜその人がそこに抜擢されたのかと考えてみると、やっぱりアナリストチームとしてプロダクトを分析するときに、まずは思考力を鍛えていて、それに合わせて事業のことを深く理解するということが分析をするためにすごく重要だと思うんです。
彼はそれを徹底的にやっていたなと思っていて、事業を理解して、一緒に考えることもできて、分析的な視点で視座も高いとなると、プロデューサーとして求められるところが満たされているなと思っているので、それを買われて最初はゲームの分析担当として入っていて、実質的に主要な役割になって、そこから抜擢されて事業部のリーダーをやっていると。
小東:弊社でも分析組織の前任の部長が、今はプレイヤーとしてHR Techの領域の分析にチャレンジしています。
北川:そういう抜擢はすごいいいなと思います。やっぱり分析サイドから事業部長になるというのが王道かなと思ったので、そういう動きが増えれば増えるほど、日本における分析者の価値が高まってくるので、どの会社であれ、そのようなことをやってくれるのはすばらしいなと思います。
樫田:どういうキャリアパスがあるかというのは、例えば僕のチームのメンバーに関していうと正直それは「知らん」というか、自分で考えてくれればいいという感じです(笑)。
もちろん相談には乗りますけど、基本は個々で見つけに行くしかないと思っていて、この仕事は思った以上にいろんなモチベーションで仕事をしている人がいるので、そこはけっこう千差万別かなと思っています。
ちょっと答えになっていないので、逆に僕が今後どういうキャリアに興味があるかという話をしたいと思います。
今はこの仕事が楽しいのでやっているんですけど、さっき五十嵐さんも言ったとおり、分析は1つのツールであり、道具でしかないと思っているので、やっぱり何かとかけ合わせることによって価値を持つと思っています。
何をかけ合わせるといいのかというのは、要素が2つあるといいかなと思っていて、1つ目はデータ分析の領域と近いと思われる部分。2つ目は北川さんが言ったとおり、アービトラージじゃないですけど、実はそこをやったら価値が出せるはずなのに、意外と誰も目をつけていないみたいな部分がいいんじゃないかなと思っています。
そういう分野はざっと考えてみただけでも5つくらいはあって、1つ目は、UXデザイン。僕はUXデザインはデータ分析と脳みその使い方が相当近いと思っていて、けっこうUXデザインに興味があるので、自分で分析できるデザイナーは今後強いキャリアなんじゃないかなと思っています。
2つ目は、機械学習のリードができるPM的なディレクター、アナリスト。これもやっぱり自分が分析することによって、ディレクターはデータが身近にあるし、どのような実装ができるのかとか、できないのかとか、もしくは実装してからの効果測定も自分でできると思うので、単に企画の方で機械学習系のPMをやるという方よりかは、価値がすごく高いと思っています。
3つ目は、経済系のデータアナリスト。僕は今、行動経済学にすごい興味があって、例えば、何かUXを変えることによって、ユーザー、この場合は国民の行動を操って(笑)、行動を取らせるということにすごく興味があります。
北川:それは俺もやりたい。
樫田:一緒にやりましょう(笑)。そこはデータ分析の力がすごい活きるし、近いところなんじゃないかと思っています。
4つ目は、財務です。僕は元コンサルなのでそうなのかもしれないんですけど、財務はすごい数字の塊で、大量の計算が必要なわりにはやっていることはExcelを使って、チマチマとデータをSUMIF(サム・イフ)している……すみません、ディスっているわけじゃないんですけど、古典的なところが多いので、例えば、そこにPythonを持ち込んだり、予測の力を持ち込んだら、ものすごい無双ができるんじゃないかと思っていて。
北川:メルカリってそういう環境はあるんですか?
樫田:ウチはけっこう財務の人間でもSQLバンバンつくって、ダッシュボードとかもつくったりしています。ただそこは、本職である僕らが乗り込んで行ったら、もっと無双ができるんじゃないかと思っていて。
北川:じゃあ今後、上場した後の(決算)発表とかも、自分の(会社の)株価を予測するみたいな?(笑)。
(会場笑)
樫田:そうですね(笑)。5つ目は、ピープルアナリティクスとかはぜんぜんあるかなと思っていて、人事というのはある種ヒューリスティックながらも論理があることが大事な分野かなと思っていて、頭の使い方が実はデータアナリストと近いかなと思っています。
今、採用をやっていても楽しかったりするので、「この人をどういうところに配置したら、どうワークしそう」とか、すごいいろんな変数がからむ問題じゃないですか? その企業とのマッチング、上司とのマッチング、周りの環境とのマッチング、タイミング、その人の人生中でどういうキャリアのステージにいるかとかいう変数を考慮したうえで、最終的にはヒューリスティックにいけるかどうか判断すると思うので、そのあたりは(データ分析と)すごい似ている分野じゃないかなと思っていて、興味があります。
……答えになってますかね? (キャリアパスは)無限大だと思います。
北川:おもしろい。今、カッシーが話し始めたら、タイピングでノートを取る音がすごいなと思って(笑)。みんなすごい興味あるんだな。
北川:五十嵐さんにも聞きたいんですけど、僕らはマネージャーだから、正直メンバーのキャリアパスまではまだわからないと思います。
ただ、抜擢人事をするにしろ、徐々に育てるにしろ、デザインしてキャリアパスをつくってあげなきゃいけないと思うんですけど、どうやってつくってあげますか?
五十嵐:今まさにけっこう悩んでいるところがあるかなと思っていて、自分より年上の部下もいますし、自分も働き始めて6年目なので、正直迷っているところではあります。どうやって(キャリアパスを)つくるのか、というところでいうと、やっぱり最後の判断は本人の意思が大きいのかなと思っています。
ウチで考えてみると、けっこういろんなバックグラウンドだったり、いろんなモチベーションの人がいるかなと思っていて、最初からゲームが好きで入ってきている人はそういうところに向けるようにするのがいいと思いますし、そのために視座を高めるというか、自分のやりたいポジションに必要な要件を満たすようなアサインはやります。
北川:自分で聞いていて、自分で気づいたんですけど、ウチでもキャリアパスデザインを考えていて、マネージャー陣で集まって、とにかくメンバーをべた褒めする会を始めました。例えば、エース級の人の名前を挙げまくって、「この人はここがいいよね」と言い合うことをやり始めて、それはけっこうよかったですね。
マネージャーがみんなで集まってそういう話をすると、それぞれのマネージャーが「違うグループのこの人は、こういうふうに育ちたいと思っているんだ」ということに気づいてくれるので、何かしらのポジションを与えるときにもやりやすくなったりとか、僕自身の気づきにもなっているので、やってみるといいかもしれません。
五十嵐:ありがとうございます。
小東:ウチだとけっこうシニアのメンバーが、今までのキャリアを語る会を定期的に開催していて、積極的に他の部署に人を送り出しています。
さっきちょっとビックリしたんですけど、樫田さんが言った(データ分析とかけ合わせられる)領域に本当に人が行っていて、HR Techに行っていたり、経営管理関連に行っていたり、機械学習のPMに行っていたりしていて、そこのメンバーに分析部での経験とその後の経験はどうだったか話してもらう会をやっています。
そこで、それぞれのメンバーが「こういうキャリアもあるのか」とか、「自分はこういうキャリアに行ってみよう」とか、最終的に自分で考えるしかないというのは同意なので、そのために積極的な情報提供をしています。
北川:なるほどね。たしかに、ウチでもそういうキャリアの人がいますね。
樫田:(お二人は)メンバーのキャリアについてもすごいよく考えていて、「自分で勝手に考えろ」と言った自分が恥ずかしいですね(笑)。
(会場笑)
北川:さっきカッシーも言ってたけど、人の話になると、採用の話は絶対に避けて通れないと思っていて、とくに採用が難しい状況ではあるので、ぜひ聞きたいのが、みなさんの最大の口説き文句をここで言ってみてください。
来てもらいたいときに、何を言って口説いてますか?
五十嵐:「ポンコツだった僕がここまで来れたので、みんなでもできるよ」みたいな(笑)。それだけウチは育成環境が整っているということが大きくて、先ほど(データ分析者としての)環境が成熟してないという話もありましたけど、データアナリストになりたいけれど、今の環境でそれがやれていないという人はけっこう多いと思っています。
実際に今採用をして、狙おうとしている人も、当然前職での経験があればそれにこしたことはないんですけど、そういった人が採れないという現状があるので、ポテンシャルがある人、素養がある人を見抜いて採るということは意識的に取り組んでいます。
北川:どういった人が合ってるんですか?
五十嵐:簡単なポイントとしては、まず当たり前のことですけど、会話ができるというのは大きいところで、やっぱり地頭というのがすごい大事だと思うんです。頭で考えて勝負するといったときに、相手の意図を汲み取って答えられるというのがすごい大事だと思っています。
プロダクト側と会話するときも、「どういうことを言いたいのか」とか、「相手が求めていることはどうなのか?」とか、それに答えたうえで自分の意見を伝えていかないと、信頼関係を築けていけないというところが1個すごく大きいかなと思います。
北川:カッシーはどうですか?
樫田:「人がいい」という話をしますかね。やっぱり集めている人材の質は、プランナーであれ、エンジニアであれ、経営陣であれ、データアナリストであれ、僕の実感としては日本でもトップレベルの水準だと自信を持って言えるので、けっこう目を見てそれをはっきり言ってしまうということが1つあります。
もう1つは、本当に経営陣がすごいかどうか興味があれば、「経営陣で話してみたい人名前を挙げてくれれば絶対にブッキングする」と言って、実現するという感じですかね。
僕たちはけっこう仕事している間柄、プロダクトのヘッドの取締役とかとは親しかったりするので、ざっくりとブッキングできます。まあこれを言って、「じゃあ誰々に会わせてくれ」という人はそんなにいないので、ハッタリっぽくなるんですけど(笑)、言われれば本当にブッキングするつもりでいます。
小東:僕はあまり口説くという概念で接していなくて、当然「事業としてこっちの方向に行くよ」ということは、誰でも調べたら出てくると思うので、「分析組織をどうしていこうと思っているよ」とか、「今後、こういう分析のテーマに取り組んでみようと思っているよ」という、等身大の自分を話して、そこに共感していただいて、相手にも選んでいただくものだと思っています。
あまりに口説く力が強すぎて、入ってきた後で「ぜんぜん違った」となるよりは、等身大の我々の姿を伝えて共感を持ってもらえたら、「一緒にがんばって行きましょう」という感覚に近いです。
北川:ウチだと、やっぱりデータ量の話はしますかね。70以上のサービスをしていて、ライフスタイル(領域)をほぼ全部カバーしているのと、国のGDPの比率で言えば2〜3パーセントが見れるというところで、正直、僕自身が入ってデータを見たときに、激興奮したので、その興奮した話をひたすらしていると。口説くとかしていないですね。興奮して声が枯れるまで話すみたいな感じです。
樫田:ヤバいやつじゃないですか(笑)。
北川:でも、僕も人の話はしますね。やっぱり僕はウチのチームが大好きなので、国際的にも豊かで、すげえいいキャラがいっぱい集まってるんですよ。中国の天才だとか、インドの天才だとか、たくさんいますので、「ウチは世界で一番優れています」という話をします(笑)。これは本当かなと思うので。
樫田:あと10分くらいで、たぶん会場の質問を募る時間がないので、ハッシュタグをつけてTweetしてくれたら、僕のほうで拾おうと思います。
北川:聞きたい人がいたら聞いてもいいよ。叫んだり、手を挙げてくれたら。誰かいます? やっぱりインタラクティブなほうがいいよね。すみません、勝手に盛り上がっちゃって。
質問者1:AbemaTVのアベと申します。サイバーグループの何人かから「これ聞いてきて」と言われてるんですけど、みなさんけっこう、よしなに分析組織をつくられてきたと思うんですけど、できてきた時点で「ここを改善したほうがいいかな」と思っているポイントがあったら教えてください。
北川:みなさん、言いたい人?
質問者1:あるいは「やり直すならここをやり直したい」でも大丈夫です。
樫田:実は「もっとこうすべきだ」ということってめちゃくちゃいっぱいあると思うんですけど、ひとつあげるなら、実は分析部署の名前を変えたいと思っています。
僕が入ったときは、すでにBI(ビジネス・インテリジェンス)チームという名前があって、とてもよい名前だと思ってますし、社内でもものすごく親しまれているんですけど、さっき話したとおり「意思決定に関わる部署である」ということをはっきりとわかるようにしたいなと思っています。
「データの部署なんでしょ? このデータ出してよ」みたいな感じの依頼がくるので、それもいいんですけど、「データを扱うことが価値なんじゃなくて、(データによって)意思決定をすることが仕事なんだよ」みたいな感じにしたいので、そういう部署の名前にしたいと思っています。
北川:すぐ変えられるんじゃないですか?
樫田:一時期「ディシジョン・サイエンス部」にしようかなと思っていて、DSだと「データサイエンス」とかぶって間違われるし、ヤフーさんのD&Sみたいな感じでちょっとくやしいので、いい感じで僕らの業態を表す名前があれば変えたいなと思っているんですけど、BIという名前が社内ですごい浸透してしまっているので、変えるならもっと早く変えればよかったなというのは、1個の悔いです。
北川:俺もあるわ。もっと早く僕じゃないマネージャーをトップにしたい。適材適所じゃないですけど、先ほど「人に頼る強さを持ちなさい」と言っておきながら、自分が一番(頼るのが)遅かったんじゃないかと。
今、ちょうどこの半年くらいで、他の方にやってもらっていることがかなり増えてきていて、例えば、アメリカのチームもウチが買収した会社のCEOとかCTOが僕にレポートしているんですけど、彼らのほうが圧倒的に経営力があるんですよね。
その人たちに全部お任せすることをやり始めたりとか、日本でも今、外資系のベンチャー企業のカントリーマネージャーを2社くらいやっていた方に来てもらって、ウチのチームのマネジメントをやってもらったりしているので、これをもっと早くやっておけば、ウチのチームはもっとよくなったのになと思いますね。
五十嵐:最近ようやく動き始めているところではあるんですけど、僕も任せることをやっていきたいなと思っていて。一時期、自分で8人くらい見ていたんですよ。そうするとやっぱり1人で見る限界はあるなと思っていて、育成をするといったときにも、もともとゼロから始まっているような人をデータアナリストに育てるのは根気のいる作業だと思うんです。なので、どんどん下に任せていて、人を育成していくような好循環をどんどんつくっていきたいなと。
北川:楽しいですよ。人に預け始めると、自分のことがよく知れますよ。他に何かありますか?
樫田:(Twitterのハッシュタグから)「分析チームの評価指標 or OKRについて知りたいです!」という質問はなんかよさそう。
北川:これは、みなさんのチームが経営陣からどう評価されているか?
樫田:この質問の意図は?
質問者2:メンバーの方々の評価です。あ、でも(経営陣からの)分析チームの評価も聞きたいです。
北川:みなさん、どうですか?
樫田:メンバーの評価に関しては、僕はSpeakerDeckで実際に使っている評価項目を公表しているので、よければそれを見てください。
五十嵐:僕はResult(結果)とProcess(過程)で見るんですけど、結果はさっき言った「事業貢献」というところで見ます。プロセスはどういうところで見ているかというと、やっぱり「自分できちんと考え抜いているのか」ということはすごく見ます。
要は、プロダクト(側)と話をして、それの分析をするといったときに、お題をきちんと理解して、そこに向き合った分析をしているのか。自分勝手に分析を導いて、もともとのお題に答えていなければ分析として価値がないので、もともとのお題に答えているかというプロセスを見ます。
小東:僕も一緒なんですけど、基本的には事業の成果に連動するかたちにすることがポイントかなと思っていて、ウチの部署も事業部の中にいるので、事業部の目標と同じものを追います。
ただ、プロセスは分析チーム独自のものを持っていて、当然スキルベースで考えられるものもあれば、先ほどの話にあった信頼関係のような目で見て計りづらいようなものがあったりするときに、自分が工夫しているのは、そのメンバーが誰と一番働いているのかというところを、ちゃんと自分が把握して、そのメンバーに徹底的に聞く。
そのメンバーが出しているアウトプットが自分の意思決定にどう反映されて、その結果、事業としてどのように改善されたか、どのように影響したかということを聞いて、それを評価にも反映していくということは意識的にトライしています。
北川:ありがとうございます。じゃあ、(Twitterから)他の質問も拾ってみますか?
樫田:あと1分しかないので、そろそろまとめに入りましょうか?
北川:せっかくなんで、もう1個だけ。みんな書いてくれたから。
樫田:しょうがないですね(笑)。
北川:これはどうですかね?「1人目のアナリストを採用するときに、最低限すべきことはなにか?」。難しい?
樫田:難しい質問は北川さんが答えるみたいな。
(会場笑)
北川:アナリストを採用するときは、僕の観点では、この言い方はあれかもしれないですけど、「高くてもいいからリーダー格の人を雇ったほうがいい」というのが僕の意見ですね。ウン千万出してもいいから、やっぱり1人目はちゃんと雇ったほうが、圧倒的に結果が出ますね。あと、これは僕への質問ですね。
「北川さんに質問です! ワンプロダクトではなく、複数プロダクトの会社でデータ分析の基盤チームを作るには?」。
……これはちょっと難しい質問ですね。誰か答えられる人いますか? まあでも、俺はあんまり変わんないと思うけどね。
五十嵐:ウチが今やっているのは、最近、メディアの分析をはじめたんですよ。ゲームだともともとやれていることなんですけど、やっぱり共通基準を儲けることが非常に重要かなと思っています。それで、子会社と社内でやっているものをそれぞれ横比較して、複数プロダクトを育てていこうとしていたんですけど、PVの定義1つとっても全部定義がバラバラだと、もはやKPIとして意味をなさないんですよね。
なので、そこをきちんと言語化して、実装化のかたちに落としていって、横比較できるようにするというのは、まず1つ大事なことかなと思います。
樫田:大事なことは、人のつながりじゃないかなと思っていて。こういうことってできるならお互い相談して決めていきたいって思ってるじゃないですか。でも、「あの部署の人は誰が何をやっているか知らない」っていう理由であまり相談できないだけなので、ガッチリと話せる人を初期コストが高くてもつくるのがいい気がします。
メルカリとかだと、メルカリに僕がいて、子会社のメルペイにもともと僕のチームだったメンバーが1人行っています。
そのメンバーは優秀だったので、(彼をメルペイに異動することに決めて)最初は本当に夜も眠れないくらい辛かったんですけど、彼がメルペイにいることによって、けっこう距離が近く話せているので、結果的にはよかったんじゃないかなと思っています。
そこからどのような分析プラットフォームが必要かとか、データ基盤をどうするかとか、もしくはメルペイ側の考えがメルカリ側への気づきになったりして、そういうときにはやっぱり「つながりがあって話せるか」ということが、すごいシンプルなんですけど大事なんじゃないかなと思います。
北川:ありがとうございます。時間が時間なので、締めたいと思います。せっかくなので最後にひと言ずつ、何でもいいので思ったことをお願いします。
小東:この会に来る前に、(スピーカーの)4人で呑んだんですけど、けっこう各社で事業ドメインが違ったり、いる人が違うにも関わらず、根底に流れる思想は共通する部分が多かったのかなと思っていて、今日のお話をする中でそれがみなさんに伝わればよかったなと思いますし、もう少し聞きたいことがあれば、懇親会でいろいろとお話ができればと思います。今日はありがとうございました。
北川:ありがとうございました。
五十嵐:先ほども言ったように、口説き文句として、「ウチの会社はデータアナリストを育てられる組織である」と思っているので、データアナリストになりたいとか、もっと(能力を)伸ばしていきたいという方がいたら、絶賛募集中ですので、お声がけいただければというのが1つ。
あとは、僕もまだまだ学ばせてもらっている身だと思っていて、こういう場に来ているのも、人から学ぶためにはまず自分をさらけ出すことが大事だと思っているので、懇親会でいろいろとお話しさせていただいて、勉強させていただければと思うので、ぜひ気軽に声をかけてください。よろしくお願いいたします。
樫田:今日は自分自身でもすごくおもしろくて、こういう話をしていると頭が活性化されるなという感じです。やっぱり第一に、人のつながりが大事かなと思っていて自分としてはさっきの評価基準もそうですし、自分側に隠すことはないつもりで、聞かれたらどんどん答えるつもりだったんですけど、つながりがないとそういう情報交換もできないじゃないですか。
自分でイベントをやったり、こういうすごいメンバーと呑んだりしているうちに、どんどん情報交換の機会をもらえて、やっぱりつながりがすべてをつくっていくと思っているので、今日みたいな会もそうですし、別途やっているイベントでもつながりをどんどんつくっているので、興味があったらぜひ参加してほしいと思っています。
五十嵐さんじゃないですけど、メルカリも絶賛アナリスト人材募集中で、さっきも言ったとおり、自社が日本で最高のデータ分析チームになることを目指して、チーム作りをしていきたいと思っているので、ちょっとした興味でもいいので、ぜひお話をしましょう。今日はありがとうございました。
北川:キャリアパスみたいな話もあったんですけど、僕も一緒にやってくれている仲間のキャリアパスを伸ばしたいなと思っていて、チーフデータオフィサーというポジションは自分のためにつくったわけではなくて、各カンパニーにいる分析の人を偉くしたいなと思いまして、ウチにある7〜10くらいのカンパニーごとにチーフデータオフィサーという役職をつくったんです。
それでみんなが来たいなと思えるような会社にしたいなと思ってやったこともありまして、かなりダイナミックにキャリアパスをつくっていける会社にしたいと思っています。
こうして話していても、何より感じたのは、この分野はまだはじまったばかりなので、各社でいいことをしていこうということで、情報交換をしていけるような仲間と仲良くなれて、僕らが一番得をしたんじゃないかなと思うんですけど、すごくいい分野じゃないかと思いますので、ぜひ一緒にコミュニティをつくっていけたらいいかなと思います。今後ともよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
(会場拍手)
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気づいたら借金、倒産して身ぐるみを剥がされる経営者 起業に「立派な動機」を求められる恐ろしさ
2024.11.11
「退職代行」を使われた管理職の本音と葛藤 メディアで話題、利用者が右肩上がり…企業が置かれている現状とは
2024.11.18
20名の会社でGoogleの採用を真似するのはもったいない 人手不足の時代における「脱能力主義」のヒント
2024.11.12
先週まで元気だったのに、突然辞める「びっくり退職」 退職代行サービスの影響も?上司と部下の“すれ違い”が起きる原因
2024.11.14
よってたかってハイリスクのビジネスモデルに仕立て上げるステークホルダー 「社会的理由」が求められる時代の起業戦略