2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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小室淑恵氏(以下、小室):ありがとうございます。じゃあ1番後ろの方。お願いします。
質問者3:ロート製薬のジュネジャと申します。私は今、副社長兼技術担当で、海外事業もみています。たぶん日本ではじめてのCHO、チーフヘルスオフィサー(最高健康責任者)という役職になりました。
ロート製薬のことをちょっと、30秒話してから質問したいんですけど。「働き方」か「生き方」どちらがいいかはわかりませんけど。私たちは働き改革をやって、まず本部長をなくしまして、ミドルマネジメントもなくして。自立型、応募型のプロジェクトですね。
「明日のロートを考える」ということで、まず応募で社員をひろって、そこからプロジェクトを作っていく。まず自ら、やりたい! という人から、はじめるということです。あともう1つ、うちも社員の6割以上が女性ですが、出産したあとも、ほぼ100パーセント戻ってくるんですね。
製薬会社なんですけど、うちの会長が「薬に頼らない製薬会社になりたい」と言い出しまして。自分で自分の商売をなくしている会社はほかにないと思うんですが(笑)。とにかく健康というキーワードで、健康社員をつくろうということ。健康経営という取り組みをやっています。
そのなかで1番やっているということは、「4日間休んだらボーナスもらえるよ」とか「副業OK」だとか。いろんなことを次から次へと言いだしてますが、質問したいことはですね……。
いろいろと壁にもあたっているんですね。というのは、禁煙の問題、それから世耕大臣のお話でもありましたが、やっぱり1番引っかかっているのは個人の情報です。
ストレスチェックも導入したんですが、どうしても最終的に個人の情報を明らかにできない。「私がタバコを吸っても、ほっといてください」「私の健康は私の体の問題ですよ」「なんでやらないといけない?」という感じで。でも個人を責めないとよくならない。そこに何かいいアイデアがあったら教えてください。
小室:どなたに質問されたい……あっ私?
質問者3:小室さんで。
小室:ありがとうございます。私が見てきた企業さんのなかで面白いなと思うのは、そういう喫煙家を禁煙家にするとか、健康的な取り組みをしていただくときに、本当は「あなた、それをしないでね」って言うのがいいわけですが。
ちょっと別のやり方としては表彰するっていうやり方ですね。やめられた人に、けっこう金額出していたところがありましたね。「禁煙できたら5万円」とか。あとは「禁煙宣言をしているのに喫煙している人を密告したら1万円」とかですね(笑)。
(会場笑)
小室:大変面白いんですけども。なので楽しみながらポイント化して取り組んでいかないと、おっしゃるとおり個人個人の価値観や考え方も含めての「働き方」なので。何十年も続けてきた働き方を変えさせていくっていうのは非常に難しいところがあって。
残業を削減するときも本当に一緒なんです。「北風方式」と私たちは呼んでいるんですが、一気に「帰れと言ったら帰れ!」というやり方で変えようとした会社さんは大抵、その取り組みにトップ層が飽きた頃に、その前以上のリバウンドをする、ということが起きます。
なので、徹底した対話と自主性の引き上げということをやる必要があって。各社そうだったと思うんですが、取り組んだ部署の成功事例を見せて「うらやましい」と思わせる。あそこは成果も落ちていないし、自分たちと同じような仕事をしているにもかかわらず以前よりも早く帰っている、と。
「自分たちもできるんじゃない?」というかたちでいかに「うらやましい」と思わせて、引き上げて、対応政策でやっていくか。働き方っていうものがもう見えなくなっていて、心のなかにあるものなので、そこを変えていくにはそういうアプローチが必要かなと思っています。ありがとうございます。
小林史明氏(以下、小林):個人情報のところだけいいですか? 補足しても。
小室:はい、どうぞ。
小林:使いたい方はたくさんいらっしゃるところですね。補足すると、これまで日本というのは、個人情報保護法っていう、利活用をしたいと思うんだけど、基本的には個人情報を守る前提でやってください、というルールがズドンと立ってました。
そのカウンターとして去年、官民データ利活用推進基本法っていうのをズドンと作りました。これは「むしろ利活用するためにどう考えるか? それで、最低限の個人情報は守りなさい」ということが書いてある法律で。むしろ利用を促進する法律です。そこにはすべてを電子化しようとか、オープンデータしようとか、民で持っているデータをなるだけオープンにしようと。そのなかの1つで取り組むのが、やっぱりヘルスデータっていうのは、なかなか自動的には取れないですね。
パーミッション(許可)を取るのも大変だと。そうなったときに、「情報銀行」という組織を民間でつくれるようにしようと。その情報銀行というのは、個人が自分で了承したら自分のパーソナルデータをそこに預けられる。
そこで、そのデータを病院や医療機関やネット系の会社に渡しますよ、ということをやらしてくれたら、個人にはこういうメリットが返ってきます! こういうビジネスをOKにしようということを打ち立てています。
これからそれがスタートしていくので、ぜひその中間的なところに個人が預ける。まさに個人が自分のデータを管理する時代に私たちは転換したいと。それがたぶん日本人には合っていて、無理やり集めるというのはかなり難しい。
小林:一方で、行政がもっている情報をなるべくオープンデータにするために、匿名加工という仕組みを入れました。名前がわからないようにする。でも、100歳で広島県福山市に住んでいるっていったら特定されちゃうので、その場合はもう少し消す、ということをやれば、オープンデータにできるというふうにしました。
ただ、自治体によって、2,000個の個人情報保護条例があって、1個しか個人情報保護法ってないんですよ? でも条例は2,000個あるんですね。自治体ごとにルールが違うからなんです。このフォーマットを合わせようってのを、これから官民データ基本法でやっていく。
みなさんに働き方改革をお願いするだけじゃなくて、我々もちゃんとできるようにうやりたいと思っていて。1番の事例は、みなさんの会社で保育の申請書で勤労証明書というのがあります。
これを一部の上場企業が、1年間で平均何時間やっているかというと、88時間。手書き用のスタッフさんがやっている。
小室:本当にそうです!
小林:本当にそうですよね。これはなんで起こっているかっていうと、保育の証明書の書類のフォーマットが1,700の自治体で全部違うんです。ありえない話ですね。これを全部整えるっていうことを、私が党時代に提案をして、今は政務官になっちゃいましたから。そのことは今、自分でやっていますが。
それをやるためにマイナンバーの仕組みであったり、そういったものを活用して、まずみなさんが仕事がしやすい環境をつくる。そこで一緒に踏み出してゆくってことがやれたらなと思っています。
小室:ちょっとぜひ聞いてみたいんですけど、自民党内の働き方改革は進んでいるんですか? どうでしょう?(笑)。
(会場笑)
小林:えーっとですね。そういう思いも込めて、私はいつもこのMacを持ち歩いているんですけど、これ見えるかなあ? これ見ていただきたいんですけど、一昨日(11月1日 内閣総理大臣の指名日)の写真なんですね。
これ何かというと、選挙が終わった直後は国会議事堂の本会議場で、議長と副議長と総理を投票で選ぶんです。衆議院、400名以上いらっしゃいます。全員が立って、3回、マジックペンで手書きで紙に書いて投票するんですね。
このただ並んで投票するという時間だけで、3回の投票で、なんと1時間50分です。「ボタンで押そうよ」っていうところあるんですね。でも、これは国会ですから、総理大臣では決められないんですね。議員同士の合意形成が必要で、なかなか進まないっていうのがあります。
私はNTTドコモ出身で、法人営業としてモバイルソリューションを売っていた。そのあと人事採用担当をやって、この世界入ったんですが。残念ながら、民間ベースでは考えられないことが本当に国会ではあって。
衆議院の控室の自民党の部屋では、なんとどこでもタバコが吸えます。参議院は分煙されてますが。ですからそういう観点からしても、かなり自分たちも変えなきゃいけないところがあるので。あの官民データ利活用推進基本法のなかには、その「官」の電子化も入っていますから。
そういったかたちでみなさんに対して恥ずかしくないようなやり方をしたいと思います。あの、総務省のオフィスにぜひ見学に来ていただきたいのは、オフィス改革というのを実はやっていて。かなり生産性が上がっているので、 一緒に進められたらなと思います。
あの、「忙しすぎて……」と、「いつ解散があるかわからない」という働き方と将来不安によって、私や小泉さん(小泉進次郎氏)は独身なんじゃないかと。こう思ってますが。
小室:(笑)。まさにこの間、小泉進次郎さんに月間40時間以上残業している人の7割が恋愛に支障をきたしているというデータをお見せしたら「まさに!」と納得していらっしゃいました(笑)。
(会場笑)
企業でもトップが土日にメールを出す。だから、部下が土日に心臓が冷えるような思いをして、土日にぶわーっと駆け回って、月曜朝イチでご回答をお渡ししていると。
みなさんやってませんよね? 大丈夫ですよね? ということがあるので、政治家もそれと同じことを霞が関内でもやっていますし、企業に対してもやっているわけですので。この1番上のところの働き方改革が進まないと「下に言われても困るよ!」というところはかなりあるかなと思います。
小室:じゃあ、ちょっと戻っていただいて、1番後ろの席の方、お願いします。
質問者4:お話ありがとうございました。私、InstaVR代表のハガと申します。VRを使った企業研修の改革として、接客や設備の管理、そういったところで導入いただいてまして。例えば、銀行の新人研修だったり、そのほかアメリカだと農務省さんや海軍の研修などに使っていただいてます。
研修の速度アップというところに関して「解決できないと思っているけど、できれば解決したいな」と思われている課題がありましたら、みなさん一言ずついただけると嬉しいなと思います。
小室:どなたか、ありますか? 要するに人材を早く育成するために。
質問者4:そうですね。例えば、海軍さんの例ですと、空母って世界に1個しかないんですね。それで訓練できる期間が限られていると。あとは接客ですと、エースの接客ができる人って銀行に1人しかいないんですね。
その人の隣に1日いるだけで接客スキルが上がるんだけど、隣にいるわけにもいかない。お客様をどんなふうに見ているかという目線を見るだけでもいい、など。そういった例ですね。
小室:ありがとうございます。どうですか?
山口文洋氏(以下、山口):そうですね。リクルートもやっぱり新陳代謝が多いので、常に入ってきた人をトレーニングしなきゃいけない。なので、学校じゃないですけど基礎知識的なものは、もう積極的にICTを入れて、とにかく動画もしくはライブ配信をして。全国津々浦々の部署があるので、いちいち全国から集めてくるというより、ストック型でいつでも学べる状態を作ったりしています。
ただもう一方で、応用的な実地研修っていうのは、やっぱり対面でやらなきゃいけないかなというところがあります。そこは集合型で、来てもらって時間をかけてやっています。以前よりはかなりメリハリをつけてやっているかなとは思っています。
小室:ありがとうございます。あ、千葉さんも? ありがとうございます。
千葉太氏:スピードアップじゃないかもしれないんですけど、研修の効果を上げるって意味で、当社の場合は人数が1,000ちょっとの会社だからできるのかもしれませんけど。ほとんどの研修の前に私が行って、なぜこの研修をやるのかという話を、できるだけするようにしている。
要は「どうせみんな『また研修だ……』と思ってるんだろ?」と「なんでこれをやるかって、僕にはこういう思いがあるんだよ。だからこれをやって欲しいんだ」って。別にこれでどれだけ効果があるかわからないですけど。ただ当たり前のように人事に呼ばれて、その研修を受けるというよりことよりも、いちいち社長が出てきて、だめなときはビデオメッセージの場合もありますけど、なんでみなさんにこれをやってもらいたいのか、それはこれを目指しているんだってやる。それは少し効果があるのかなとは思ってます。
小室:ありがとうございます。
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